2005 No.21
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台湾海峡を越えて握手

――連戦・中国国民党主席と宋楚瑜・親民党主席の大陸訪問は、両岸の交流に新たな一ページを切り開いた。

彭維学
(中国社会科学院台湾研究所総合研究室主任)

中国国民党の連戦主席は4月26日から5月3日にかけて、「平和の旅」と位置づける大陸訪問を行った。中国共産党中央委員会の胡錦涛総書記は4月29日午後、連主席と会談し「コミュニケ」を発表。5月5日から13日にかけては、親民党の宋楚瑜主席が「仕事の旅」と位置づけ大陸を訪問、胡錦涛総書記は12日に宋主席と会談した。台湾第一、第二の野党の主席が相次いで大陸を訪問し、胡錦涛総書記とそれぞれ会談したことで、両岸の党間の交流に新たな局面が切り開かれただけでなく、両岸の交流にも新たなルートが切り開かれ、さらに緊迫化した両岸関係を緩和し、両岸の交流を促進し、台湾海峡地域の平和と安定を維持する上で極めて大きな推進作用を果たすなど、大きな成果を収めた。

実務的で柔軟な大陸の対台湾政策と台湾の民意

連・宋両主席の訪問招聘は、大陸の対台湾政策の積極性と主動性、実務性と柔軟性を具現化したものであり、両岸関係を緩和し、将来めざす平和的統一に対する大陸の誠意と善意を具現化したものでもある。年初以降、大陸は台湾ビジネスマンのために春節(旧正月)にチャーター便を運行し、台湾の農産物の大陸での販売を許可し、海峡両岸関係協会の汪道涵会長が辜振甫・前海峡両岸基金会理事長の死去に弔意を表すため関係者を台湾に派遣するなど、こうした一連の措置によって極度に緊迫化した両岸関係はかなり緩和された。大陸は、台湾の民意を正確に把握し、両岸関係に見られるようになった「台湾独立」という分裂活動を抑制するのに有利となる新たなプラス的要素を正視しているのである。大陸の指導者は再三再四、「九二の共通認識」を認識し、「台湾独立」に反対し、両岸関係の発展を主張する台湾の政党、団体や代表的人士による大陸訪問を歓迎すると強調してきたが、連・宋両主席が大陸を訪問できた根本となる理由は、胡錦涛総書記自らが招請したからだ。

台湾では両岸関係を緩和し発展させる、というのが主流をなす民意であり、その力強さが連・宋両主席の大陸訪問の根底にあった。台湾当局の「台湾独立」政策は両岸関係を危険の瀬戸際に押しやるものであり、台湾の民衆は、当局と李登輝をリーダーとする「台湾独立」勢力による「台湾独立」の行為に不満を抱え、両岸関係と台湾の将来を理性的に、実務的に考え始めるようになった。「台湾独立」勢力が昨年末に「立法委員」選挙に敗北したことは、両岸の緩和が依然として台湾の主流をなす民意であることを物語っている。台湾では各界が、台湾経済の大陸経済への依存度は高まりつつあり、両岸の経済貿易は台湾の将来の生存と発展のカギとなっていると考え、両岸関係を緩和し、両岸の交流を促進して、両岸の対話と話し合いを再開するよう強く求めるようになった。台湾の世論調査によると、両岸の和解と膠着状態の打開に賛成すると答えた市民は85%、両岸の交流の強化を主張するのは71%、連・宋両主席の大陸訪問を支持したのは約60%に達した。これが連・宋両主席による大陸訪問の根底にある民意である。

実り多い大陸訪問の成果

4月29日に発表した「胡錦涛中国共産党総書記と連戦中国国民党主席の会談コミュニケ」は、連戦主席の大陸訪問の成果を集約的に具現化したもので、「3項目の確認」と「5つの促進」に概括できる。

「3項目の確認 」とは、「九二の共通認識」を堅持し、「台湾独立」に反対し、台湾海峡の平和と安定を求め、両岸関係の発展を促し、両岸同胞の利益を擁護する。両岸同胞の交流と往来を促進し、中華文化を発揚する。平和と発展は21世紀の潮流であり、両岸の平和と両岸関係の発展は、両岸同胞の共通の利益にかなっており、アジア太平洋地域と世界の利益にもかなっている、というものである。

「5つの促進」について、両党は以下の活動を共に促進していくと表明した。

1.両岸は速やかに交渉を再開し、両岸人民の幸福と利益を追求することを促進する。両岸は「九二の共通認識」を踏まえ、平等な話し合いを速やかに再開し、双方が共に関心を寄せる問題やそれぞれが関心を寄せる問題について協議して、両岸関係の良好で健全な発展を促進していく。

2.敵対的状態を終結させ、和平協定の調印を促進する。両岸は敵対的状態を正式に終結させ、和平協定の調印、両岸の軍事衝突を回避する軍事分野での相互信頼メカニズムの構築など、両岸の平和と両岸関係の安定的発展のための枠組みの構築を促進していく。

3.両岸は経済の全面的な交流を進め、経済協力メカニズムの構築を促進する。

両岸は全面的な経済協力の展開を促進し、全面的で直接的な双方向の「3通」(通商・通航・通信)を含む緊密な貿易経済協力関係を確立し、海と空の直航便を解禁し、投資と貿易の往来と保障を強化し、農漁業面での協力を進めると共に、台湾の農産物の大陸における販売に関する問題を解決し、交流の秩序を改善し、犯罪を共同で取り締まり、安定した経済協力メカニズムの構築を促進していく。また両岸の協議再開後に共同の市場問題を優先的に協議することを促進していく。

4.台湾民衆が関心を寄せる国際活動参与に関する問題の協議を促進する。両岸の協議再開後に世界保健機関(WHO)の活動に参与する問題を優先的に話し合うなど、台湾民衆にとって関心のある国際活動参与問題の協議を促進していく。

5.両党間の定期的交流の場を構築する。党関係者のクラスごとの相互訪問を展開し、両岸関係を改善するための問題に関して討議し、両岸同胞の切実な利益にかかわる問題について協議していく。

国務院台湾事務弁公室の陳雲林主任は5月3日午前上海で、台湾産果物の輸入を拡大し、うち10数品目については関税をゼロとし、平和と団結、友愛のシンボルであるパンダ1組を贈呈すると共に、大陸住民の台湾旅行を近く開放すると発表したが、台湾では、これは連戦主席への「贈り物」だというのが世論となった。

胡錦涛総書記は5月12日に宋楚瑜主席と会談し、6項目にわたる共通認識を表明する「会談コミュニケ」を発表した。

1.「九二の共通認識」を踏まえ、両岸の平等な交渉を早期に再開する。

2.「台湾独立」に断固反対し、台湾海峡の平和と安定を共に図る。

3.両岸の敵対的状態を終わらせ、両岸の和平に向けた枠組みの構築を促進する。

4.両岸の経済貿易面での交流を強化し、安定した経済貿易協力の枠組みの確立を促進する。

5.台湾民衆が関心を寄せる国際活動への参与問題に関する話し合いを促進する。

6.「両岸民間菁英フォーラム」や台湾企業支援の枠組みづくりを推進する。

新たな発展チャンスに直面する両岸関係

連・宋両主席の大陸訪問は、両岸の党間の交流を深め、両岸関係の緩和と発展を大きく促進するなど、一連の成果を上げた。

1.中国共産党は国民党、親民党とハイレベルの対話・交流メカニズムを構築した。

2.両岸の緊迫化した情勢はかなり緩和され、両岸関係により幅広い新たな展望が切り開かれた。

3.両岸の「党対党」の対話・交流に新たなルートと意思疎通の場が築かれた。

4.国民党にとって発展に向けた新たな契機となった。

5.台湾当局の対大陸政策にとってはより大きな圧力となり、「台湾独立」の勢いはペースダウンした。

もちろん、両岸の政治的膠着状態が打開されるか否かは、台湾当局の姿勢と行動にかかわっている。台湾当局が時機を見て政策を講じ、民意に順応し、一つの中国の原則を具現化した「九二の共通認識」を早期に受け入れれば、両岸関係もそれに応じた成果を上げることができるだろう。