2005 No.22
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「政冷」の下で「経熱」は長く続くか

----中日関係の行方について分析

王緒昇

近年、中日関係は「政冷経熱」(政治関係は冷え込んでいるが、経済的な関係は熱い)と形容されてきた。1972年の国交正常化以降、中日両国の経済貿易関係は健全な発展を続けているが、一方では、小泉首相の靖国神社参拝や侵略の歴史を美化した教科書の検定合格、歴史問題への反省など一連の問題での日本政府の対応が、たびたび中国人民の民族感情を傷つけ、中国人民の利益を損なったことが、「政冷」現象を招いた根源である。

33年間で急成長を遂げた経済貿易関係

1972年の国交正常化以来、とりわけ1970年代末の改革開放政策の実施以来、中日両国は全方位的な経済協力を進め、二国間貿易、直接投資、政府開発援助が経済協力の三大支柱となってきた。

貿易額 1972年の中日間の貿易額はわずか10億ドルであったが、2004年には167倍増の1679億ドルに達した。2005年に入って以降も伸び続け、1月〜2月の貿易額は前年同期比10.5%増の245億5000万ドルに達している。中国の関係機関は、2005年は2000億ドルの大台を突破すると予測している。2003年まで日本は11年連続して中国最大の貿易パートナー、中国は日本にとって第二位の貿易パートナーであったが、2004年に欧州連合(EU)とアメリカがそれぞれ第一位と第二位、日本は三番目の貿易パートナーとなり、逆に、中国はアメリカに代わって日本の最大の貿易パートナーとなった。

対中直接投資 日本の対中直接投資は1979年に始まり、当時はわずか1400万ドルであった。2004年には実際利用ベースで54億5000万ドルに達し、世界の対中直接投資総額の9%を占めている。2004年末現在の累計実績は461億ドルと、同9%を占め、EU加盟国(25カ国)の総額を上回った。

政府開発援助(ODA) 中国への政府開発援助には円借款、無償資金協力、技術協力が含まれている。そのうち円借款の割合が最大で、1979年から現在までの供与総額は3兆円を超え、世界の対中援助総額の約50%を占めている。深刻な建設資金と技術力不足に直面していた改革開放当初、日本政府の対中ODAは中国にとって重要なサポートの役割を果たし、両国国民の相互理解を深めると同時に、日本企業の中国市場への進出により多くのチャンスがもたらされるなど、双方の経済協力を促した。

中国社会科学院日本研究所の張季風副研究員は「経済貿易の相互補完性と互恵互利の関係が強いことが、中日間の経済貿易協力がこれまで大きな発展を遂げてきた最も重要な原因だと考えられる。中日間の経済協力は互恵な関係に基づくものであり、これを踏まえて市場化の軌道に乗り、貿易と投資が相互に促進するという良性な循環メカニズムが形成された。これこそが『政冷』の下で『経熱』が長く続いている理由の一つだ」と分析している。

日本商品不買運動は?

日本の文部科学省が先ごろ、歴史を歪曲し、侵略戦争を美化した教科書を検定に合格させたことが、中国人の怒りを呼び、4月に一部の都市で大規模な抗議デモが起きた。また、朝日ビールなど日本の大企業が歴史教科書の修正を援助したというニュースが伝わると、瀋陽などの都市では全ての商店が朝日ビールの販売を停止したほか、インターネット上では日本商品の不買運動などを呼びかけるメッセージが広まった。

これについて張季風氏は「世界経済が緊密化するグローバル化の中で、とくに中日両国間では経済依存度が強まっており、『相手の中に自分があり、自分の中に相手がいる』という密接不可分な局面が出てきている。多くの『日本製品』の中には、『中国製』と言えるものもかなりある。例えば、自動車や家電製品など、中日合弁企業で生産されたものには、日本側の技術もあれば、また中国人従業員の知恵と汗も含まれている。たとえ日本から輸入した純粋な『日本製品』だとしても、その原材料や部品は中国から輸入されたものかもしれない。さらに、『中国製品』や第三国からの輸入製品の中には日本の技術で生産されたものもかなり多い。そうした意味から言えば、純粋な『日本製品』はほとんど存在しない」と指摘している。

中国関係機関の推算によると、現在、日系企業による直接・間接的雇用者数は920万人を数える。2004年の日系企業の納税額は約490億元に上り、日本の投資家も中国の経済発展から相応のリターンを得ている。日本国際協力銀行(JBIC)金融研究所の調査リポートによれば、1993年から現在まで日本企業の中国製造拠点は年ごとに増加する傾向にあり、1993年の200社から2004年には1346社に達している。2004年10月末現在、日本の対中投資プロジェクトは3万件を超え、契約ベースで650億ドル、実際利用ベースで461億ドルに達した。同時に、中国企業の日本への直接投資も増え続けている。統計によると、2002年だけでも20件を数え、投資金額は1億ドルを超えた。海爾や聯想など代表的な中国企業はすでに日本市場に進出した。こうしたデータは経済面での密接な関係を反映していると言えよう。

中国社会科学院世界経済・政治研究所の沈驥如研究員は「日本の企業がすべて反中国的だとは言えず、日本商品排斥は罪のない多くの日本の企業や労働者にダメージを与えることになる。その一方で、日本の右翼が機に乗じて日本国民の反中国感情を扇ることで、中日関係の改善はより難しくなる、ということをはっきり認識する必要がある」と指摘した。

中日関係の行方

中日関係の「政冷経熱」の状態を長く維持するのは難しく、政治関係での不協和音が続けば、両国の経済貿易協力の発展を損なうのは間違いない、と数多くの専門家が指摘している。

事実、「政冷」が「経熱」に影響する現象がすでに見え始めている。日本は経済大国であり、中国は近年急速な経済発展を遂げ、巨大市場の潜在力が徐々に顕在化しつつあるのに、経済補完性が非常に強い近隣同士である両国間の経済貿易協力の歩みはこの数年来、鈍化しつつある。2003年までの11年間、日本はずっと中国にとって最大の貿易相手国であったが、昨年はEUと米国に取って代わられ、中欧と中米の貿易額はいずれも中日間を上回った。韓国の昨年の対中投資額も日本を超えている。

今年4月下旬、薄煕来商務部部長は記者会見で中日経済貿易関係の発展方向について「現在、日本商品の不買を訴えている者がいるが、これは日本の一部にある、侵略の歴史を否定するなど一連の誤った言動に対する不満を表すのが動機だと思う。しかし、日本商品の不買は両国の生産者と消費者の利益を損ない、中国の対外協力と発展にもマイナスとなるだろう。われわれは中日間の経済貿易関係が損われることを望んではいない。ここまで辿り着くのは容易ではなく、中日両国の多くの熱心な人々が心を込めて育ててきたからだ。われわれは経済貿易協力を非常に重視しているからこそ、日本政府が適切な措置を講じて、中国人民の強い関心に真剣に対応すると共に、中国人民の感情にかかわる原則的な問題に適切に対処して、経済貿易関係の発展に必要な条件と良好な雰囲気を生み出すよう日本政府に求めているのだ」と強調した。

経済貿易協力の発展は中日両国それぞれの経済発展にとって客観的な要求となっており、双方の根本的利益にも合致するものだ。胡錦涛国家主席は「近隣に善を行い、近隣をパートナーとする」と一貫して強調している。温家宝総理は先ごろ提言した中日関係の改善に向けた三原則の中で、「中日間の友好協力には大きな潜在力がある。とりわけ経済貿易面では、われわれの目標は両国の共同の発展を実現することにある」と指摘している。中国政府は中日間の経済貿易協力を強化することに積極的な姿勢を終始維持しており、日本に対する経済貿易政策に変化はない。小泉首相も言っているように、中国の経済発展は日本にとって脅威ではなく、チャンスである。これは両国政府がともに経済貿易協力の促進を願っていることを物語っている。

薄煕来部長はさらにこう強調した。「互利互恵の経済協力には相互に尊重する政治的基盤が必要である。日本が歴史を正視し、両国関係に存在する問題を適切に処理しさえすれば、中日間の経済貿易協力は望ましい発展を実現するものと確信している」と。