2005 No.23
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相互に促進する中国経済と世界経済

呉綜之

「フォーチュン」世界フォーラムが5月中旬、北京で開催された。同フォーラムが創設10年間に中国で開催されたのは、これが3回目。世界ベスト500社のうち約90社と米大手企業500社が出席し、過去最大規模となった。

中国が世界の資本に注目されてきた原因は、経済のグローバル化の中で経済の急成長を維持する中国が、世界と密接な相互促進の経済関係を確立したこと、国際経済システムにおいていっそう重要な役割を果たすと見られていることにある、と評されている。

世界と共通の利益を

中国は前向きな姿勢をもってグローバル化のチャレンジを迎え入れ、その中から利益を獲得しようとしている。

中国のGDPは1979年の1400余億ドルから2004年には1兆6000余億ドルに増え、一人平均GDPは181ドルから1200ドルに増えた。貿易額も同200億ドルから1兆1000億ドルに増え、現在、GDPは世界第6位にランクしている。昨年の貿易額、外貨準備高、外資利用額はいずれも世界第3、第2、第1位と、史上最高を記録し、国民経済は9%以上の伸び率を維持した。

外国投資家の台頭は1990年代以来の中国経済において最大の変化の一つである。今年4月末現在、設立を認可された外国企業は53万余社に達し、外資利用額は契約ベースで1兆1500億ドル近く、実際利用ベースで合計5795億ドルに達した。統計によると、世界ベスト500社のうち400社が中国に企業を設立し、世界上位にランクしている自動車やIT産業の大手企業100社がほとんど進出するなど、中国は多国籍企業の国際産業チェーンにおいて重要な一環と見なされている。

外資は中国の現代化建設に強大な原動力を与え、就業や資本形成、財政収入、国際収支のバランスなどに軽視できない積極的な影響を与えている。現在、外資系企業の工業生産高は全国の3分の1、税収は同5分の1、輸出は同60%近く、就業者数は同10%近くを占めている。

北京師範大学の沈越教授は「20年余りにわたる対外開放は、中国の社会主義市場経済体制の構築と充実に重要な役割を果たした。中国は先進国の市場体制の経験を参考にして、自ら模索してきた取り引きコストを大々的に節約した一方で、数多くの重要な体制改革においてもグローバル化の力を借りて速やかに実施することができた。WTO加盟後の3年余りの間に、法律や法規、部門の規則など3000件余りを整理・改正して、渉外経済システム関連の立法を絶えず充実させてきた。また、WTOへの公約を履行するため、今年1月1日から大多数の非関税障壁を撤廃し、関税の総体的水準を9.9%まで引き下げた。さらに銀行や保険、証券、小売などサービス貿易分野においても開放のテンポを加速させている。

その一方、数多くの国内企業が世界に進出するようになった。海爾(ハイアール)グループなどの中国企業の広告看板が欧米の一部都市でも目立つようになってきた。昨年末現在、全国の対外直接投資は370億ドル近くに達している。

中国の対外開放について、薄煕来商務部部長は「中国の対外開放は現在すでに政策的開放から法律を枠組みとする制度的開放に変わっており、全方位かつ多層的で幅広い分野の新たな枠組みが形成されつつある。中国の発展は世界にも実益をもたらした」と強調している。

さらに薄部長は「総体的に見れば、中国のGDPはまだ世界の4%にもなっていないが、世界の経済成長への貢献度は10%以上。貿易額は世界の6%になっていないが、世界の貿易増大への貢献度は12%前後にも達している。需要全体から見れば、WTO加盟後の3年間に1兆2000億の商品を輸入しており、昨年からは毎年6000億ドル以上の商品を輸入してきた。ここ数年の輸入の伸び率は過去平均20%以上、また30%以上に達した年もあり、その他の国の生産と就業の拡大に寄与した。供給から見れば、中国の高品質で低価格の製品によって輸入国の支出は減少し、消費水準は向上し、消費者に大きな利益をもたらした」と指摘。

その上で薄部長は「中国は経済のグローバル化の過程において、国際産業チェーンでは下位にあるため、客観的に見るとその他の国のより高い技術力とより高い付加価値を持つ産業のグレードアップを促している」と強調している。

外国投資家にとって、中国の発展に参与する過程は実際、利潤を分かち合う過程でもある。

20年前に中国に進出したノキアは、中国に投下した資金は合計21億8000万ドル以上にも達し、一貫して中国移動通信分野における最大の輸出企業であり、過去5年間の輸出額は合計140億ドルを超えている。

貿易摩擦に理性的に対処

商務部は5月20日、6月1日から繊維製品74品目の輸出税率を大幅に引き上げると発表した。商務部の崇泉スポークスマンは「これは中国政府が繊維製品貿易の一体化された後、国際貿易環境の公平さと自由が損なわれることを防止するために主体的に講じた措置であり、繊維製品貿易の安定した発展を維持する上での誠意と責任を十分に示すものだ」と説明している。

31年間実施されてきた繊維製品の割当制度が今年1月1日に撤廃されて、自由貿易システムはさらに前に向かって大きな一歩を踏み出した。だが、このシステムが実施されて3カ月余りたった時、米国と欧州連盟(EU)は中国の繊維製品の輸入急増とそれによってもたらされる可能性のある失業に対処するため、相次いで特別セーフガードを発動した。

これについて、薄部長は5月5日にEU貿易委員会のマンドルソン委員と会談した際、「一部先進国は自国の競争力のある産業に対しては自由貿易を推進するが、発展途上国の数少ない強みのある産業に対しては制限措置を講じようとする。こうした二重基準は自由貿易の精神を損なうことになる」と指摘した。

中国国際問題研究所の姜躍春研究員は「経済のグローバル化につれ、世界各国の経済面での相互依存度がたえず増大すると同時に、経済摩擦も激化しつつある。協力を堅持し、互いに妥協し、対立を避けることが経済貿易摩擦を解決する重要な手段である。対立する方法で摩擦を解決しようとすれば、双方がともに傷つく結果しかもたらされない」との考えを示している。

中国政府が近年頻繁に起こった国際貿易紛争の処理に当たって示した理性的かつ成熟した姿勢は、専門家や国民から高い評価を得ている。

2カ月前、中国侵略の歴史を歪曲した日本の歴史教科書問題は、中国市民の激しい怒りを買い、日本製品不買の声が一時高まった。だが、政府や多くの専門家はこれを支持しなかった。その後、関係問題の議論が深まるにつれ、人々は、グローバル化の時代において、各方面の利益は互いに交錯するものであり、ボイコットは双方に害をもたらすものであることを認識するようになった。

期待に値する将来

米ウォルマートは5月18日、北京2号店の開業式典を行った。第1号店は9年前に開設されており、現在は全国で46店舗展開している。

年初、同社は利益獲得の軸足をさらに中国にシフトすることを打ち出し、7億元かけて深センにアジア本部を開設。同本部は中国での買付業務を担うほか、世界で年間1900億ドルにおよぶ買付業務ネットワークの管理にも当たる。

現在のところ、日本企業を含むほとんどの多国籍企業は、中国の良好な発展傾向はより多くのビジネスチャンスだとみなし、中国での一層の発展に強い期待を示している。

統計によると、昨年の中国の消費財小売総額は初めて5兆億元を突破。消費構造のグレードアップも加速しており、住宅、マイカー、電気通信、観光、教育などが新たな成長分野となっている。中等レベルの購買力を備える世帯数は2010年までに1億に達すると見られている。