2005 No.30
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ポツダム宣言発表から60年

于軍
(国家行政学院政治学部教授)

――人びとに歴史の真実を理解してもらい、今日の現実を明示することが必要だ。

今年は中国にとって抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利60周年にあたる。中国は「歴史を鑑とし、未来へ目を向ける」ことで、歴史の再演を防止し、中日両国の世々代々の友好の実現に努めることを趣旨とする一連の記念活動を開催する。しかし、60年が過ぎたが、日本にはまだ、A級戦犯が祭られた靖国神社参拝を堅持し、中国の台湾問題に干渉し、日本の侵略という犯罪行為に対する東京裁判の歴史的定説を覆そうとする政治家が一部にいる。これは、日本が受け入れた「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」の関係条項を引き続き順守するかどうか、永遠に平和で発展の道を歩むかどうかに直接関わる重要な問題だ。そのためにも、人びとに歴史の真実を理解してもらい、今日の現実を明示することで、ポツダム宣言発表60周年を記念することが必要だ。

戦後日本の国際的行為の基準

カイロ宣言とポツダム宣言は、戦後の日本が厳格に守らなければならない国際法の基準により構成されている。1943年11月、中米英はカイロで首脳会議を開いた。中国は反ファシズム同盟4カ国の1員として、いかに対日作戦で協調を図るか、いかに戦後問題を処理するかについて協議した。カイロ会談終了後、ルーズベルト米大統領とチャーチル英首相はテヘランに赴き、スターリン旧ソ連首相と会談。同時に、スターリンにカイロ宣言に関して意見を求め、スターリンは「全内容に賛同する」と述べた。カイロ宣言は1943年12月1日、「3カ国の宗旨は、1914年の第1次世界戦争開始後に日本が太平洋上で奪取しまたは占領したすべての島嶼を剥奪するとともに、満洲や台湾、澎湖群島など、日本が中華民国で盗取した領土を返還させることにある」と厳かに発表した。

1945年5月8日、ナチスドイツが無条件で降伏。その後、同盟国は力を結集し対日作戦を開始した。同年7月26日、米英は対日作戦を終結させる条件、日本の戦後処理に対する方針について合意するとともに、中国の賛同を得たうえで、日本の無条件降伏を促すポツダム宣言を共同で発表した。日本は1945年8月14日、天皇がポツダム宣言を受け入れる詔書に署名し、1945年9月2日に日本政府が「降伏文書」に調印した。

1972年9月28日、中日両国は国交正常化に関する共同声明に調印した。日本側は共同声明の中でポツダム宣言を堅持するとの立場を表明。1978年には中日平和友好条約の中で、中日双方は共同声明を遵守することを再度確認した。これは、二国間条約という国際法の形で、日本が中国から盗取した台湾などを中国に返還する立場を再び確認したものである。

またポツダム宣言の第13条は「われらは日本政府に対し、直ちに全軍隊の無条件降伏を宣言し、かつこの行動の誠意に対しふさわしい保障を与えるよう通告する。これ以外の道を行くならば、日本は直ちに完全に壊滅するであろう」と日本帝国主義者に最後通牒を発している。第6条は「日本国民を欺きかつ誤って導いた目論みは、世界の権勢及び勢力を征服することにある」と規定。第10条は「われらの俘虜を虐待した者を含む戦争犯罪人に対しては、厳重な処罰を加える」と規定し、さらに「日本軍国主義、好戦主義を徹底的に排除し、戦犯の犯罪責任を追及しなければならない」と強調している。まさにこの規定に基づき、東京で開かれた極東軍事法廷は1946年1月19日から1948年11月22日にかけて、東條英機などA級戦犯に対し歴史的意義のある審判を行った。この審判は米国が関与したため徹底したものではなくなったが、それでも国際法の角度から日本の侵略という犯罪行為に対し結論が下された。

カギは台湾問題の適切な処理

カイロ宣言は国際法という文書の形で日本が中国領土を盗取したことを厳しく非難するとともに、台湾など占領された土地が中国固有の領土であることを承認し、日本は中国に返還しなければならないと規定。ポツダム宣言は計13条からなり、日本の戦後問題処理と戦後の中日関係にとってきわめて重要な意義がある。第8条は「カイロ宣言の内容は必ず履行する」と明確に規定している。

台湾問題は中国の核心的な利益に関わるものであり、20世紀前半に日本が台湾を植民地統治したことから、台湾問題に対しては台湾人民を含む全中国人民の神経を敏感にさせている。日本の右翼勢力は「台湾の地位未定論」を広く宣伝し、中国の台湾問題に干渉し、それを中日関係において最も重要な問題の一つにさせつつある。

1949年の中華人民共和国建国後、毛沢東と周恩来は中国政府の台湾問題における原則的立場をしばしば強調し、ケ小平と江沢民、胡錦涛3氏ら指導者もさまざまな場で一つの中国政策を堅持し、「台湾独立」に反対することが中日関係にとって重要であることをそれぞれ強調してきた。

胡錦涛国家主席は今年、ジャカルタで小泉純一郎首相と会談した際、台湾問題を当面適切に処理すべき「重大問題」の一つとする姿勢を明確に示した。

ほかでもなく、台湾問題を的確に処理することを核心とした中日国交回復に関する三原則に基づき、中日両国は1972年に国交正常化を実現した。「中日共同声明」と「中日平和友好条約」「中日共同宣言」の三つの重要な文書の中に記された「日本国政府は中華人民共和国が中国唯一の合法政府であることを承認する」「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」ことに関し、日本は「台湾とは今後も民間の、地域的性格を帯びた往来のみを維持する」との姿勢を示した。

日本の指導者もさまざまな場で一つの中国政策を堅持する、「台湾独立」の立場は支持しないと何度も表明してきた。村山富市元首相は1995年、日本は「一つの中国」を堅持するとの立場を示した。橋本龍太郎元首相は1997年、台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部であり、日本政府は中華人民共和国政府の立場を十分に理解するとともに尊重し、「台湾独立」を支持しないと重ねて言明。小淵恵三元首相は1999年、日中共同声明で定められた原則を堅持し、一つの中国しか存在しないとの立場を変えることはなく、決して「台湾独立」に参与せず支持しないと強調した。現職の小泉首相もまた、日本政府は一つの中国政策を遂行し、「台湾独立」を支持しないと何度も表明してきた。

しかし、日本政府は口先では台湾問題について確約してはいるものの、一部の行動は自らの確約に背くものであり、両国が合意した重要な共通認識に背くものでもある。それが、両国関係を緊迫化させた重要な原因の一つだ。中日関係が困難にある今日、日本政府が「行動をもって確約を履行する」ことができるかどうかが、中日関係を改善できるかどうかの一つのカギを握っている。中日関係を発展させるには、日本側が台湾問題を正しく処理しなければならない。

歴史の正視こそが聡明な行動

世界各国がさまざまな形で第2次世界大戦終結60周年を記念しようとしている時、歴史を追憶し、反省し、世界平和を希求しようとしている今日、この人類の大惨禍を引き起こした責任ある国の一つである日本はむしろ、政治家が再三にわたり「靖国神社参拝は日本の内政だ」と発言したり、文部科学省が歴史を歪曲し、侵略を否定する右翼の歴史教科書を検定に合格させたり、さらには一部の政治家が最近になって、日本の侵略の歴史と戦争犯罪人に対する判決を公然と翻そうとしたりするなど、時代の流れに逆らって動いているようだ。

第2次世界大戦終結後、日本は侵略の事実を認め、侵略の歴史を反省し、憲法において軍隊と交戦権の放棄を確約することを前提に、各国の理解を得たうえで国際社会に復帰した。多くの被害国が日本に対する戦争賠償を放棄したことで、日本は急速に世界第2の経済強国へと躍進していった。このところ日本は、国連常任理事国入りを目指して努力しており、国際的に認められた政治大国となって、国際的により多くの発言権を得ようとしている。しかし、日本の政治家が歴史を否定し、隣国を敵とする言動はむしろ、周辺諸国に日本の将来に対して懸念を抱かせるとともに、その常任理事国入りの目的と確約が国際社会において果たす役割に懐疑心をもたせている。

現代国際法に基づく国家関係処理の基本的原則は平和共存、相互不可侵、相互内政不干渉だが、国際社会に公認された人類普遍の道徳観が共に順守されるべきだ。日本の政治家が自国の狭隘ないわゆる「民族文化」や「価値理念」から、アジア各国の人びとに対して大罪を犯し、東京裁判が審判して犯罪が確定したA級戦犯を「国の民族英雄」とすることは、日本がもたらした重大な災難を被った隣国の人びとの感情を完全に無視するものであり、日本国と日本国民を国際道義に背いた泥沼へと陥らせるものでもある。

国交回復後、日本政府は中国侵略の歴史を認めるとともに深い反省とおわびの気持ちを表明してきた。1972年に発表した中日共同声明は「日本側は過去、日本が戦争で中国国民に重大な損害をもたらした責任を痛感し、深い反省を表明する」と記している。1995年8月15日、当時の村山富市首相は歴史的な「村山談話」を発表し、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争の道を歩み……植民地支配と侵略は多くの国々、とりわけアジアの人びとに多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます」と表明した。同年、中国を訪問した村山首相は、日本の首相として初めて廬溝橋抗日戦争記念館を参観している。

しかし、侵略戦争に対する反省とお詫び、歴史への正しい認識は口先や表面的なものであってはならず、実際的な行動で示すべきだ。現職の小泉首相は中国を訪問した際、盧溝橋を参観し、中国人民にお詫びの気持ちも表明した。しかし、アジア各国の人びとの反対を省みることなく、独断専行的に前後して4回もA級戦犯が祭られた靖国神社を参拝しており、最近では言行不一致とも受け取れる不適切な発言をするなど、戦争への反省とお詫びの誠意を疑わざるを得ない。

日本の政治家と右翼勢力のあらゆる行為は、日本の政治の将来、アジア・太平洋地域の平和と安定にマイナスな影響をもたらしている。日本が国際社会と周辺諸国から信頼され、より大きな国際的な役割を果たすには、歴史を正視し、戦争犯罪行為を徹底的に清算することが必要だ。日本にとって歴史の正視こそが聡明な行動となる。