2005 No.32
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北京市、交通発展綱要を制定

安子

北京市は6月8日、交通網を発展させる指針となる「交通発展綱要(2004〜2020年)」を公布した。世界的に有名な大都市として北京は、今後15年間に、交通をいかに発展させてどのような街にするのか、どれだけの道路や鉄道を建設するのか、などに関して「綱要」は明確な将来図を描いている。

北京は国内で一、二を争う大都市。2004年末に常住人口は約1490万人に達した。

北京市交通管理機関のデータによると、今年に入り自動車は1日平均1000台ずつ増加しており、保有台数はすでに241万台に上った。うち乗用車は110万台。

北京市では自動車の保有台数が100万台まで増えるのに48年(1949〜1997年)かかったが、その後のわずか6年半で(1997年2月〜2003年8月)200万台に達した。このように速いスピードで自動車が増加したことで、道路交通はより大きな問題に直面すると共に今、一層の改善が求められている。

尋常ではない発展現状

北京に来て、質朴な都市の姿や文化の深さに肌で触れると同時に、慌しく、混雑した交通状況を目にし、その将来を心配する人もいるかも知れない。

「北京市が過去数十年に投じた交通関連資金は、その80%が中心部のインフラ整備と新規建設に充てられた」。市交通委員会の劉小明副主任はこう説明する。1993〜2003年の資金総額は約1400億元と、同期の国内総生産(GDP)の5.3%を占めた。世界銀行が世界100数カ国を対象に行った統計では、交通整備費がGDPに占める割合は一般的に2%だ。

しかし、絶えず道路や地下鉄を建設し、次々に完成させて供用しても依然、北京は交通渋滞から脱け出せていない。同時に都市が拡大したことから、以前は多くの人が乗っていた自転車は交通手段としてすでに現実的ではなくなった。関係機関の統計によると、2003年と1986年を比較した場合、自動車の利用率は36%から61%に上昇しており、うち、マイカーは6%から23%に増えたものの、公共交通が占める割合は35%から26%に低下している。自動車利用の急増が北京市を「渋滞―道路建設―自動車の増加―更なる渋滞」という尋常ではない状態に陥らせている。

古都の城壁を解体し2環路(第2環状線)を建設してから現在まで、市内には2・3・4・5・6環路と5本の環状線が完成した。その総延長は440キロ超(うち2環路:32.7キロ・1992年開通、3環路:48キロ・1994年開通、4環路:65.3キロ・2001年開通、5環路:98.6キロ・2003年開通、6環路:200キロ・2005年開通)。全線に立体交差橋を設けた環状交通システムでは制限速度は80〜90キロに設定されているが、高密度にある都市環境では、数多くのインターチェンジを設けなければならない。こうしたインターでは車が急激にスピードを落とすため、事故が起きやすく、また常に渋滞を招いてきた。環状線との間を結ぶ連絡道路も整備されていないため、車の流れは依然としてスムーズではない。

新交通システムを整備

深刻な交通渋滞問題を受けて制定されたのが、「交通発展綱要(2004〜2020年)」だ。

この「綱要」では、自動車による渋滞が原因で選択した、自動車を要に据え、自転車や歩行者の交通面での利益を犠牲にした従来の考え方を改め、公共輸送を主体にした総合輸送戦略システムの構築に努めるとしている。市企画委員会の談緒祥・総企画エンジニアは「北京の交通渋滞を解決するために、短期的には、現有施設を利用し、管理能力を高めれば潜在力を最大限引き出すことができるだろう。長期的には、構造調整を通して、公共交通を利用するよう指導していく」と説明する。「綱要」は2003年を基準にして作成されており、短期目標は2010年、長期目標は2020年以後に設定している。

◆公共交通を優先

「綱要」では、公共交通の優先政策、具体的に施設用地の優先、資金配分計画の優先、車道区分の優先、税財政支援の優先が明確に定められている。2010年までに、中心部の幹線道路や条件の整った高速自動車道の50%に公共バス・トロリーバスの専用道または優先車道を設置し、総延長を現在の114キロから300〜350キロまで延ばす。公共交通が交通整備資金に占める割合を18%から50%以上に高める。

同時に、公共交通の乗車や乗り換えの利便性を向上させる。2010年までに、中心部の90%の地区で、停留所までの時間を8分以内にする共に、乗り換えに要する距離を平均300メートル以下にする。また公共交通の優先原則をさらに明確に提示するため、交差点の信号制御システムを改善するほか、段階的かつ地域ごとに公共バスの優先通行を実現していく。

◆軌道交通網を整備

公共交通の重要な手段である軌道交通網については2008年までに、現在建設中の地下鉄5号線、10号線、オリンピック支線、地下鉄4号線の一期工事を完成させると共に、地下鉄1号線と2号線については新型エアコン車両に全面更新する。

このほか、人口の密集した通州に地下鉄6号線、順義に空港を結ぶ都市交通システムと15号線、亦荘に都市交通システム2号線と地下鉄12号線を建設する計画が盛り込まれている。

2010年までに、軌道交通網の運行総延長を250〜300キロにする。2020年には最終的に19路線、570キロの交通網を確立する。

◆自転車・歩行者専用道路を整備

「綱要」では、自転車・歩行者専用道路の拡充が交通の重要手段として専門に提起されている。旧市街地の胡同(横町)や裏通りを自転車道路として活用するなど、自転車用道路を拡充し、地域別、段階的に自転車専用道路網を整備する。新設住宅地区でも自転車・歩行者専用道路を整備していく。

同時に、市指定の商店街や中央ビジネス地区(CBD)、オリンピック公園、中関村科学技術団地など都市機能集積型地区や郊外の新市街地に、都市景観や自然環境と調和の取れたバリアフリー施設を普及させる。

◆幹線道路の走行時速をアップ

2010年までに、幹線道路のピーク時の平均走行時速を現在の15キロから5キロアップさせて20キロにする。5環路以内で、出退勤に要する時間を現在の58分から8分短縮させて50分以内にする。

このほか、周辺部から市中心部に出るまでにかかる時間を1時間以内に抑えると共に、最も遠い郊外からでも2時間以内で行けるようにする。市内と周辺地区の主要都市間の輸送時間を3時間以内に抑える。

◆マイカー対策を実施

2010年までに、周辺部に住むマイカー族が最寄りの駅で手軽に公共交通に乗り換えられるようにするため、第5環路の周辺地区に軌道鉄道と高速公共交通を組み合わせた新路線を建設する。

マイカーが走行する区域や時間帯、駐車サービスの面で特別の調整・管理を実施するほか、特定の区域や時間帯では必要な制限を行う。同時に、区域ごとに異なる駐車場建設基準と料金体制を制定すると共に、時間帯ごとに弾力的な駐車料金徴収制度を実施する。

乗用車保有者1人ひとりに駐車場を確保させる。新規建設する住宅地や各種の公共施設はいずれも関連施設基準に基づき同時に専用駐車場を建設する。旧住宅地は期間に分けて建設するか、または公共の駐車場を賃貸(購入)する。同時に、公共駐車場の駐車台数を乗用車総数の10%以上に高める。

2010年までの短期目標を実現するため、北京市が投じる資金総額は2000億〜2500億元に達する。

市民はどう見ているか

唐元昌さん(男)――軌道交通は時間が正確で快適だ

現在の北京の渋滞を解決するには、地下鉄が最も効果のある方法だと思う。外国では出勤する場合、ホワイトカラーもブルーカラーも地下鉄を利用しており、時間が正確でしかも快適だ。外国に比べると、北京は地下鉄の距離が短く、公共バスが通っていないところも多いため、車を購入せざるを得ない。その結果、さらに渋滞はひどくなり、便利などころか、かえって不便さを感じてしまう。地下鉄と周辺の団地との間に、できるだけ公共バスや駐輪場が設けられるべきだ。郊外の乗換駅にもバスターミナルを建設すべきだ。郊外の住民は一般に分散して住んでいるため、車や自転車を利用しなければ、地下鉄の駅まで行けないからだ。

楊楽さん(男)――綱要で出勤の負担が軽くなれば

この2年ほど、歩いて出勤したいというのが最大の願望だ。渋滞の時は家に戻りたくないな、と本当に思う。家から職場まで10キロぐらいしかないのに、毎日通るのは渋滞のひどい北4環路だから、タクシーだって1時間もかかってしまう。バスだったらとんでもない。残業がある日は、帰りも渋滞に遭うのがいやなので、よく職場で夜を明かしている。綱要で出勤族の負担を軽くしてもらいたいですね。

馬麗君さん(女)――公共交通優先は大多数が賛成

以前は車で通勤していたけれど、今は出勤も退勤も本当に便利。早く行きたいと思う時は、地下鉄に乗るし、途中で買い物をしたいなと思う時は、公共バスを利用しています。私が通っている道路にはバス専用車道があるので、脇の車道を走る車より速い時もあるほど。北京は巨大化しつつあり、大勢の人が公共交通を利用しているので、政府が提唱する公共交通の優先は大多数の人が賛成するはず。