2005 No.35
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中国の性別平等と婦人発展の状況

中華人民共和国国務院報道弁公室

2005年8月・北京

前書き

中国は世界で人口が最も多い発展途上国であり、女性は13億総人口の半分を占めている。性別平等と婦人の全面的発展を促進することは、中国の発展にとって重要な意義があるばかりでなく、人類の進歩に特殊な影響を及ぼすものである。

男女平等を促進することは中国の基本的国策である。1949年の新中国成立以来、特に1970年代末に改革・開放政策を実行して以来、中国経済の持続的成長と社会の全面的進歩に伴い、婦人の男子と平等な権利と機会がたえず保障され、婦人の発展はかつてない機会に恵まれている。

ここ数年来、中国政府は性別平等を含む公平と正義を社会主義の調和のとれた社会を構築する重要な内容とし、経済、法律、行政、世論などさまざまな措置を講じて、婦人が政治、経済、文化、社会、家庭生活などの面で男子と平等な権利を享有するのを保障し、婦人の全面的発展をたえず促進するように努めている。

1995年、北京で開かれた国連第4回世界婦人大会は「北京宣言」と「行動綱領」を採択したが、この宣言と綱領は性別平等と各国婦人の発展を促進することに重要な影響を及ぼしている。この世界婦人大会の開催10周年を記念するに当たり、ここで10年来の中国の性別平等と婦人発展の状況について重点的に紹介したい。

一、性別平等と婦人発展を促進する国家メカニズム

中国はたえず婦人の権益を守る法体系を整備し、婦人発展綱要を制定、実施し、活動機構をいちだんと健全にし、資金の投入を増やし、社会動員を強化して、性別平等と婦人発展を促進するように努めている。

国はたえず婦人の権益を守る法律・法規の制定・改正・実施を強化し、婦人の合法的権益を確実に擁護する。全国人民代表大会とその常務委員会は中国の最高国家権力機関と立法機関として、婦人権益擁護と性別平等促進を重要な任務とし、婦人と関係ある法律の制定を重視し、婦人の合法的権益を守る議案を真剣に処理し、関係法律の執行と実施を積極的に督促、検査する。中国政府とその関係職能部門は、法律を実施し、関係行政法規と規則を制定、実施することによって、婦人の権益を保障し、性別平等を促進する。現在、中国では「中華人民共和国憲法」を基礎とし、「中華人民共和国婦人権益保障法」を主体とし、各種の単行法律・法規、地方的法規、政府各部門の行政規則を含む婦人の権益を保障し、性別平等を促進するまとまった法体系がすでに形成されている。国家司法機関はたえず法律執行を強化し、法によって婦人の権益を侵犯する各種の犯罪行為を制裁する。

国は婦人発展綱要を制定、実施し、婦人の発展を経済社会発展総体企画に組み入れている。中国婦人発展綱要は北京「行動綱領」を実施し、性別平等と婦人発展を全面的に推し進める国家行動計画である。「中国婦人発展綱要(1995―2000年)」の目標の基本的実現を踏まえて、国の経済と社会の協調的発展の必要および国連の「千年発展目標」の要求に適応するため、中国はまた2001年に「中国婦人発展綱要(200l―2010年)」を公布した。この綱要には、婦人と経済、婦人の政策決定と管理への参与、婦人と教育、婦人と健康、婦人と法律、婦人と環境の六大分野の34項目の主要目標と100項目の策略・措置が含まれている。国務院の関係部門と地方の各クラス政府は自部門の綱要実施案と自地区の婦人発展企画を制定した。

全国の婦人・児童工作を担当する中国政府の協調議事機構──国務院婦人児童工作委員会は、政府の関係部門が婦人と児童の権益を擁護する活動をりっぱに行うよう協調、推進し、婦人・児童発展綱要を制定、実施し、婦人・児童工作の展開と婦人・児童事業の発展に必要な人力、資金、物資を提供し、各省(自治区、直轄市)政府の婦人・児童工作委員会の活動を指導、督促、検査するなどの面で重要な役割を果たしている。今期の国務院婦人児童工作委員会の主任は国務院副総理の一人が担任し、委員会は国の33の部門によって構成され、委員は各参加部門の副部長クラス指導者の一人が担任する。現在、全国のすべての省(自治区、直轄市)、地区(市、州、盟)、県(市、区、旗)の人民政府に婦人児童活動機構が設置され、同クラス政府の責任者が指導している。各クラスの婦人児童工作委員会は効率的な活動制度をちくじ確立し、各職能部門が確実に職責を履行するよう督促、協調し、活動経費を同クラス政府の財政予算に組み入れている。

中国政府は婦人の発展と関係ある非政府組織(NGO)の役割の発揮を重視する。中華全国婦人連合会、中華全国総工会、中国共産主義青年団中央委員会、中国身体障害者連合会、中国科学技術協会などはいずれもその宗旨に基づいて効果的に性別平等活動を展開している。中華全国婦人連合会は中国最大の性別平等と婦人発展を促進するNGOであり、その組織システムは各クラスの地方婦人連合会と団体会員を含み、広範な代表性、大衆性、社会性をもっている。中華全国婦人連合会と地方の各クラス婦人連合会は、広範な婦人と団結し、彼女たちが経済建設と社会発展に参与するように動員し、婦人を代表して国家と社会の事務の民主的管理、民主的監督に参与し、婦人の権益を代表、擁護するなどの面で重要な役割を果たしている。ここ数年来、政府部門および婦人連合会などのNGOは協力して多種の活動を展開して、社会の資源を効果的に利用するようにし、これらの活動を通じて性別平等と婦人発展を力強く促進している。

中央と地方の財政は年ごとに婦人発展綱要実施への経費投入を増やし、婦人発展の資源的配置を最適化させている。2000年以来、中央と地方の財政は婦人発展綱要の重点的指標と難点のある指標の実現にかなりの資金を投じるとともに、西部と貧困地区への傾斜に気を配っている。1990年、国の婦女子保健と伝染病予防治療への投入はそれぞれ3億500万元と12億300万元であったが、1999年は10億4600万元と33億8800万元に増え、2003年は一歩進んで15億7900万元と90億5400万元に増えた。国は婦人状況に関するデータ収集と分析研究を重視し、綱要実施監督評価機構を設立し、綱要監督統計指標システムと評価案を制定し、各省(自治区、直轄市)は婦人状況監督統計ネットワークと活動制度をつくった。国の関係部門はたえず統計制度を改善し、性別に分けて統計する指標を増やし、性別統計制度を日増しに完全なものにしている。ここ10年来、国家統計部門は多種の性別統計資料を編集、出版した。

中国政府は国連および関係国際機構との協力を重視し、各国政府および婦人組織との交流と協力を積極的に強化している。中国は国際条約を真剣に履行し、2000年5月は「中華人民共和国の1995年第4回世界婦人大会の〈北京宣言〉、〈行動綱領〉実行の成果に関する報告」を、2004年2月は「〈婦人に対するあらゆる形式の差別を取り除く条約〉の実施状況に関する第5回、第6回定期報告」を、2005年3月は「中華人民共和国の〈北京行動綱領〉(1995年)および第23回国連総会特別会議の成果文書(2000年)の実施状況に関する報告」をそれぞれ国連に提出した。

二、婦人と経済

国は婦人が男子と平等な就業の機会を獲得し、経済資源と社会発展の成果をともに享有するのを保障することを性別平等と婦人発展推進の最も重要な目標と優先領域とし、一連の政策と措置を制定、実施して、婦人の経済発展への平等な参与、経済資源と有効サービスの平等な獲得を確保し、婦人の自己発展能力を増強し、婦人の社会的経済的地位を高めている。

婦人の創業と再就業の実現を促進する。就業は民生の元であり、婦人がそれに頼って生存、発展する基本的な経済資源でもある。ここ数年来、中国政府は婦人の自主的創業を扶助する政策を制定、実行し、職業訓練補助金、小口担保貸付供与、税金・費用減免などの面で優遇を与えて、婦人の自主的創業に有利な条件を提供している。同時に、各クラス政府は公益的ポストの開発、就業サービス窓口の特設、特別雇用会の開催、専門訓練の実行、就業の性別差別に対する監督など婦人を援助する措置をとって、婦人特にリストラで失業した婦人の就業と再就業を援助している。政府の支持の下で、各クラスの婦人連合会や労働組合などのNGOは創造的に婦人の創業と再就業活動を行っている。1998年から2003年にかけて、各クラスの婦人連合会は積極的に小口貸付金を獲得して、250万人の婦人の再就業を直接援助し、実現させた。10年来、婦人の就業人数と比率はずっとわりに高いレベルを保ち、2004年末の全国の都市部と農村の女性の就業人数は3億3700人で、就業人員総数の44.8%を占め、都市部の機構の女性の就業人員は4227万人で、都市部の機構の就業人員総数の38.1%を占めた。

婦人の就業構造を改善する。ここ数年来、第三次産業は女性労働力のを就業させる主なルートになり、ますます多くの女性はコンピューター、通信、金融、保険などのハイテク業種に進出し、これら業種の発展の重要な力になっている。現在、中小企業家を主とする女性企業家は中国企業家総数の20%前後を占め、そのうちの60%はここ10年創業に成功した人たちである。国家機関と企業・事業体は、専門技術者の募集、育成訓練、職務・職名・昇進の面で男女平等の原則を貫徹し、優秀な女性人材が頭角を現すのを促している。2004年末現在、国有企業・事業体の専門技術者に占める女性の比率は43.6%に達し、1995年の37.3%より6.3%上昇したが、そのうち、高級と中級の職務についている女性の比率はそれぞれ20.1%、33.4%から30.5%、42%に上昇した。

都市部婦人の社会保障レベルを高める。ここ数年来、中国政府は養老保険、失業保険、医療保険、労働災害保険、出産保険などを主な内容とする社会保障制度の整備を絶えず速めると同時に、都市部の社会救済制度に対し重要な改革を行い、都市部住民の最低生活保障、一時帰休者の基本的生活保障、失業保障という三つの保障措置をちくじ制定、整備した。1994年、国は「企業従業員出産保険試行規則」を公布し、いままでは企業が責任をもって実施した出産保険を社会統一プールに改めた。2004年末現在、全国で28の省(自治区、直轄市)が出産保険の社会統一プールを実行し、保険に加入した従業員は都市部の企業従業員総数の60%を占める4384万人に達した。1999年10月、国は「都市部住民最低生活保障条例」を実施し始め、2004年末現在、婦人を含む2205万人の都市部住民は最低生活保障金を受け取り、保障すべき人はすべて保障する目標にほぼ達した。

農村経済の中で婦人に重要な役割を果たさせる。中国は農業大国であり、農業労働力の60%以上を占める婦人は農村の生産活動の主力である。2003年から実施した「中華人民共和国農村土地請負法」は、婦人は男子と平等に農村の土地請負権を享有し、いかなる組織と個人も婦人の土地請負経営権を剥奪、侵害してはならないと規定している。ここ数年来、中国政府は積極的な政策と措置をとって、農業、農村、農民の問題を解決し、農業への投入を増やし、農村の税金・費用の改革を推し進め、科学技術による農業振興戦略を実施している。各クラス政府の関係部門と婦人連合会は協力して、知識と科学技術を学び、発展と貢献を比べるように農村の婦人を導き、農村経済を振興し、発展させる面で農村の婦人に重要な役割を果たさせている。

都市へ行って働く農村婦人の合法的権益を守る。ここ数年来、中国政府は農民が都市へ行って就業するのを制限する規定をちくじ減らし、取り消し、賃金遅配、職業安全、同一労働同一報酬、社会保障などの問題の解決に力を入れ、都市へ行って働く農民の戸籍管理、子女入学などの面の困難を減らし、都市へ行って働く農村婦人の合法的権益を積極的に守っている。同時に、国は育成訓練学校と権利保護ワークステーションを設立し、典型的な権利侵犯の実例を宣伝するなどの方法で、都市へ行って働く農村婦人の権利保護意識を高め、法によって権利を保護する能力を強めるのを奨励、支持している。

労働就業領域における社会性別主流化を積極的に促進し、婦人の就業と創業の能力を高めるため、ここ数年来、中国政府の関係部門は国連開発計画(UNDP)、国際労働機関 (ILO)などの国際機構と協力を行って、積極的な成果をあげた。現在、中国政府は国情から出発して、国連の「就業と職業差別条約」を批准するプロセスを加速している。

三、婦人と貧困除去

貧困を軽減し、除去することは中国政府の確固不動の目標である。中国政府は成果に富む大規模な貧困脱却扶助特別開発計画の実施を通じて、婦人が多数を占める農村の貧困人口を1994年の8000万から2004年の2610万へと5390万人減らした。

婦人の貧困除去に利する政策を制定する。中国婦人発展綱要は、婦人の貧困を軽減し、貧困婦人を減少する主要な目標をかかげ、西部大開発戦略を実施する中で貧困婦人の扶助を強化し、貧困婦人を貧困脱却扶助資源の獲得者と貧困脱却扶助成果の直接受益者にならせるよう要求している。国の貧困脱却扶助難関突破計画は、貧困地区の婦人をいちだんと動員して家庭副業をやらせ、家庭菜園経済を発展させること、婦人の特徴に適合する労働集約型の貧困脱却扶助プロジェクトを実施すること、婦人に実用技術を学ばせ、彼女たちの貧困から脱却して裕福になる能力を高めることを明確に提出している。2004年、上海で開かれた世界貧困脱却扶助大会で、中国政府は貧困軽減・除去の政策声明を発表し、同等優先の原則にのっとって、貧困婦人の貧困脱却扶助プロジェクト実施への参与を積極的に支持し、婦人の参与人数が参与総人数に占める比率が40%を下回らないようにすると強調した。

効果的措置をとって農村婦人の貧困をちくじ取り除く。2001年から、中国政府は性別の指標を農村の貧困調査の内容として、貧困脱却扶助活動を行う時性別平等に気を配ることを強調している。ここ数年来、国は貧困脱却扶助資金の投入を増加し、2004年の中央財政の投入した貧困脱却扶助資金は122億元に達し、地方政府も貧困脱却扶助資金を相応に増加した。同時に、各クラスの政府は各地区の具体的状況に照らし、小口貸付、労務輸出、対応扶助などのルートと方式を通じて貧困地区の発展を扶助し、農村婦人の貧困脱却を援助している。2001年から2004年までの国の貧困脱却扶助の低利貸付のうち、農民の小口貸付に使った総額は135億2000万元に達し、利用者のうち半分以上が婦人であった。2001年から、中国政府は参与式の貧困脱却扶助を「村全体で推し進める」活動の主な方法として、全国の14万8000の貧困村で広く推し進めている。

NGOの婦人の貧困脱却、裕福実現活動を援助することを支持、提唱する。ここ数年来、中国政府の支持と提唱の下で、各クラスの婦人連合会は現地の実情と結びつけて、小口貸付、合同的貧困脱却、労務輸出、相互提携、東部地区と西部地区の互助などを主な内容とする「婦人貧困脱却行動」を積極的に行っている。中国人口福祉基金会は、貧困母親救助を目的とする「幸福プロジェクト」を実施し、資金を募って貧困の母親が経済と社会の発展に参与し、健康と知識レベルを高めるのを援助している。中国婦人発展基金会は、「大地の愛・母なる水だまり」プロジェクトを始動させ、西北部のかんばつ地区のために資金を募って、雨水をためる水だまりを9万カ所つくり、小型の集中給水プロジェクトを1100カ所建設し、受益の貧困人口は百万人近くに達した。そのほか、婦人連合会などのNGOはいろいろの手をつくして国際資金と物資援助を獲得し、積極的に貧困脱却扶助プロジェクトを実施し、貧困地区の婦人の発展を援助している。

四、婦人の政策決定と管理への参与

婦人が国家と社会事務の管理に参与する能力はたえず強まり、参政レベルはたえず向上している。中国憲法は男女の政治的権利が平等であるという基本的原則を明確に規定しており、婦人権益保障法は婦人の政策決定と管理への参与を実現させる保障措置に対し一歩進んで規定を行い、婦人発展綱要は婦人参政の具体的目標をはっきりかかげている。これらは婦人の参政レベルを高めるために法律的政策的基礎を築いた。

人民代表大会制度は中国の根本的な政治制度であり、国は婦人が各クラス人民代表大会で重要な役割を果たすのを重視している。1995年に公布された「中華人民共和国全国人民代表大会と地方各クラス人民代表大会選挙法」は、全国人民代表大会と地方各クラス人民代表大会の代表の中で、婦人が適切な人数を占めるべきであり、その比率を逐次高めると規定している。10年来、広範な婦人は各クラス人民代表の選挙に積極的に参加し、自らの民主的権利を行使し、女性が地方人民代表選挙に参与する比率は73.4%に達した。全国人民代表大会の女性代表の比率はずっと20%以上に保たれている。第10期全国人民代表大会では、女性代表は代表総数の20.2%を占め、女性常務委員は常務委員総数の13.2%を占め、前期より0.5%増え、副委員長の中に女性が3人いる。

中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度は中国の基本的な政治制度である。中国共産党は執政党であり、民主諸党派は参政党で、中国共産党と密接に協力する友党である。中国共産党党員の中に女性が一定の比率を占めており、2004年の中国共産党の女性党員数は1295万6000人で,党員総数の18.6%を占め,1995年より3%増えた。中国共産党第16回全国代表大会代表のうち女性代表は18%を占め、前回の代表大会より1.2%増えた。第16期中央委員会では女性は委員と委員の7.6%を占め、前期より0.3%増えた。中国の八つの民主党派では、女性はわりに高い比率を占め、そのうちの七つの党派の女性党員の比率は30%を越えている。中国人民政治協商会議は中国共産党の指導する多党協力と政治協商の重要な機構である。現在、全国政治協商会議副主席の中に女性が4人おり、第10期全国政治協商会議第1回会議の委員と常務委員の中に女性がそれぞれ16.7%と11.7%を占め、第9期全国政治協商会議第1回会議より1.2%と1.7%増えた。

国は女性幹部の育成、選抜の目標を明確にうち出し、女性幹部の育成、選抜をたえず強化し、婦人を国家と社会事務の管理に広く参与させ、多くの素晴らしい女性が各クラスの指導部門に就任した。2004年末現在、各級党委員会、人民代表大会、政府、政協、裁判所、検察院、民主党派、人民団体の県(処)クラス、地区(庁)クラスの幹部は、女性がそれぞれ同クラス幹部総数の16.9%と12.6%を占め,1995年より4.3%と4.5%増えた。女性市長、副市長(専員、州長)は合計368人おり、省(部)クラス以上の女性幹部は同クラス幹部総数の9.9%を占め、1995年より2.8%増えた。現在、中国の国務院副総理と国務委員の中に女性が一人ずつおり、最高人民法院、最高人民検察院および国務院の構成部門の中に部長と副部長クラスの女性幹部が25人いる。2003年に全国で新たに採用した公務員のうち、女性の比率は27.8%で、中央国家機関のそれは37.7%に達した。そのほか、中国はまた少数民族の女性幹部の育成を重視し、少数民族婦人の参政能力の向上を重視している。

末端組織の婦人の参政能力は絶えず向上している。都市と農村の婦人は積極的に住民委員会と村民委員会の選挙に参加している。2004年、住民委員会と村民委員会の女性委員はそれぞれ23万7000人と44万3000人に達し、それぞれ住民委員会と村民委員会の委員総数の55.8%と15.1%を占めた。女性の住民委員会主任と村民委員会主任が頭角を現している。

婦人連合会の民主への参与と民主監督の役割が強化され、婦人の民主に参与するルートが絶えず広くなっている。各クラスの婦人連合会は広範な婦人を代表して、婦人の権益にかかわる法律と法規の制定と改正に参与するとともに、その実施に対する監督にも参与している。政府の関係部門は婦人連合会の意見を真剣に聴取し、政策と企画に婦人連合会の提案を取り入れるように気を配っている。

五、婦人と教育

中国では、女性は男子と平等な教育を受ける権利と機会を享有する。中国の教育法、義務教育法、職業教育法などの法律は女性の教育を受ける権利と機会について明確な規定を行っている。国は確実な措置と行動をとって、女児の9年制義務教育を受ける権利を保障し、女性が中等教育と高等教育を受ける機会を増やし、青壮年に重点を置いて女性が字を読めるようにし、婦人の終身教育レベルと教育を受ける平均年限を高めている。

中国政府は義務教育段階の性別差別の除去に力を入れ、女児の教育を受ける環境をたえず改善している。2004年の男児と女児の入学率はそれぞれ98.97%と98.93%で、男女の差は1995年の0.7%から0.04%に下がった。政府は農村の義務教育への投入をたえず増やし、農村地区の義務教育環境を改善し、女児が男児と平等に義務教育を受けるように保障している。2004年の農村義務教育に投入した政府の財政的教育経費は1995年の2倍に相当する1393億6200万元に達した。ここ数年来、国は多くのルートを通じて資金を集めて小中学校助学金を設立し、政府が資金を支出して教科書を無料で配り、雑費を免除し、寄宿生の生活費を補助する政策を実行し、中部と西部の農村地区の貧しい家庭の生徒の就学を重点的に扶助している。各クラス政府は貧困地区、民族地区の女児教育のために特別な政策と措置を制定し、農村地区の女児の義務教育普及レベルを高めるように努めている。そのほか、国はまた専門の政策を制定して、女児を含む農村の流動児童の義務教育を受ける権利を保障している。長年らい、各クラス政府はNGOが寄付して学習を扶助する活動を積極的に推し進め、女児の教育を受ける状況を改善するように努めている。中国青少年発展基金会と中国児童少年基金会の「希望プロジェクト」と「春の蕾計画」は、多くの中途退学した女児が再び学校に通えるように資金面から援助している。

国は女性が平等に中等教育と高等教育を受ける機会を保障し、各級各種学校の女性の比率を著しく向上するように努めている。2004年、中学校と高校の在校女子生徒の比率はそれぞれ47.4%と45.8%、中等職業学校の在校女子生徒の比率は51.5%に達した。全国の普通大学の在校女子学生は609万人で、在校生総数の45.7%を占め、1995年より10.3%増えた。女性の修士と博士の比率はそれぞれ44.2%と31.4%に達し、1995年よりそれぞれ13.6%と15.9%上昇した。ここ数年来、中国政府は全国の普通大学で国家助学貸付金制度を実行し、国家助学金と奨学金を設け、女子学生を含む貧しい大学生に利息控除貸付金および奨学金と助学金を提供し、その学業を完成するのを助けている。同時に企業や民間機構と個人が助学のために寄付し、貧しい家庭の女子学生が各クラスの教育を受けられるように支持するのを奨励している。国は女性教師を育成、訓練し、女性教育を促進する面で役割を果たさせることを重視している。2004年、中学校と高校の教師に占める女性の比率はそれぞれ45.9%と41.7%に達し、中等職業学校と普通大学の専任教師に占める女性の比率はそれぞれ46.5%と42.5%に達した。

長年来、中国政府は字を読めない女性をなくし、字を読めない女性が新たに生まれるのを抑制し、字を読めるようになった女性が再び字を読めなくなるのを防止することを重視するとともに、貧困地区と少数民族地区で字を読めるように婦人を教育することを重点的に推し進めている。政府の関係部門と全国婦人連合会は女性を対象とする「字を読めない女性をなくす行動」を展開し、2004年、全国の都市部の15歳とそれ以上の女性の字を読めない率は8.2%で1995年より5.7%下がり、農村地区のそれは16.9%で1995年より10.5%下がり、全国の青壮年の婦人の字を読めない率は4.2%で1995年より5.2%下がり、字を読めない人全体の減少率を上回った。

国は職業教育、成人教育、技術トレーニングを大いに発展させて、婦人の終身教育のレベルが高くなり、性別の差別がさらに小さくなった。第五回国勢調査のデータが明らかに示しているように、中国婦人の教育を受ける平均年限は7年で、1990年より1.5年増え、10年間に男女の格差は0.5年小さくなった。2004年、通信大学、夜間大学などの成人大学教育を受けた女性は209万人に達し、学生総数の50%を占めた。ここ数年来、国は婦人の職業技能訓練を強化し、さまざまな訓練方式を通じて都市部婦人の職業競争力を高め、農村婦人が収入を増やして裕福になるように促進し、流動婦人を含む広範な出稼ぎ労働者の就業能力を高めた。

六、婦人と健康

中国政府は婦人の健康を性別平等と婦人発展を促進する優先的領域としている。10年来、国は「中華人民共和国母子保健法」、「中華人民共和国人口と計画出産法」などの法律を公布、実施し、婦人発展綱要の中で婦人の健康目標をかかげている。国は婦女子保健への資金投入をたえず増加し、婦人保健サービスネットワークをちくじ整備している。2004年末現在、都市と農村をカバーする婦女子保健機構は2997あり、全国の産婦人科のベッドは24万3000床ある。

生命周期各段階の婦人健康サービスの必要を満たし、婦人の寿命を延ばすことを重視する。長年来、各クラス衛生部門は婦人科疾患の検査と治療を婦人保健の日常活動とし、全国では毎年三分の一以上の65歳未満の既婚女性は婦人科検査を受けることができ、2004年の検査率は37.3%であった。政府は青少年の健康と高齢婦人の健康を重視し、各種の学校とコミュニティーで性知識とエイズ予防知識について宣伝と教育を大いに行い、若い女性の性健康知識レベルを高め、彼女たちの自己保護能力を増強し、多種の方法で科学的な保健方式を宣伝し、外来診察を通じて高齢婦人に保健相談とサービスをより多く提供し、高齢婦人の生活の質をわりに大きく高めている。2003年の婦人の平均寿命は74歳であった。

妊産婦の死亡率を下げ、母親の安全を確保する。2000年から2001年にかけて、国は2億元を支出して378の国家クラス貧困県で「妊産婦の死亡率を下げ、新生児の破傷風をなくす」プロジェクトを実施した。2002年から2005年にかけて、中央財政とプロジェクト実施地区は4億元を支出して引き続き同プロジェクトを実施するとともに3億余の人口を抱える1000の県に拡大した。数年来、数十万の貧しい妊産婦はプロジェクトの支持の下で安全な助産サービスを受けた。そのほか、中国政府はまた郷(鎮)保健所の助産条件を積極的に改善し、妊産婦救急のグリーン通路を切り開くとか貧しい妊産婦を救助するなどの措置をとって、農村妊産婦の入院分娩率を高め、母親の安全状況を改善している。10年来、中国の妊産婦の死亡率は1995年の十万分の六十一・九から2004年の十万分の四十八・三へとちくじ低下した。

人を本とする計画出産優良サービスを積極的に展開し、婦人が計画出産権を享有するのを保障する。1995年、中国政府は婦人の生殖健康権を重視する立場から出発し、人を本とする計画出産優良サービス・プロジェクトを始動させ、出産適齢期の女性の必要を中心に、状況に応じて避妊方法を選択し、男性の生殖健康活動への参与を奨励するなどの活動を行い、また思春期の少女に生殖健康の相談サービスを提供した。10年来、同プロジェクトの経験は全国の800余りの県(市、区)で推し広められて、広範な婦人の計画出産サービスの必要がいちだんと満たされ、婦人の計画出産権が保護された。

流動婦人に衛生保健サービスを提供し、彼女たちの健康福祉を保護する。都市と農村の流動人口のたえまない増加に伴い、国は公平に対処し、合理的に導き、管理を完全にし、優良なサービスを提供する原則にのっとって、戸籍のある人と同等の計画出産優遇政策と技術サービスを流動婦人に提供するように努めている。婦人発展綱要は、流動妊産婦の保健を流入地の妊産婦保健範囲に組み入れることを強調している。各クラス政府の関係部門はコミュニティーが流動婦人に衛生保健サービスを提供する形式を積極的に模索し、多種のルートを通じて性と生殖健康教育と相談サービスを提供し、流動婦人に対し健康検査を行い、無料で避妊具を配り、貧しい流動妊産婦に無料サービスを提供し、流動婦人の健康レベルを高めている。

エイズの予防と治療を強化し、婦人のエイズ感染者に関心を寄せる。ここ数年来、国はエイズの予防と治療を非常に重視し、国務院にエイズ予防治療工作委員会を設立し、資金の投入を増やして、エイズの予防と治療の面で確実に成果をあげている。婦人のHIV/AIDS感染がちくじ増加する状況を前にして、国はエイズの母子間伝染予防を婦女子保健の重要な内容とし、エイズの母子間伝染を遮断する専門家グループを設立して、エイズを予防し、無料で母子間の伝染を遮断し、陽性の妊婦とその生んだ嬰児に関心を寄せ、検査する活動を試行し、中国の国情にかなった関与の方式と経験を模索している。政府の関係部門はエイズ予防知識の宣伝とサービス活動を真剣に行い、コンドームの使用を普及させ、男性の参与度を高め、婦人のエイズ感染率を下げるようにしている。2004年の世界エイズの日に、全国で「婦人に関心を寄せ、エイズと闘おう」をテーマとする宣伝活動を行った。

NGOが各種の婦人保健プロジェクトを実施し、国際協力を幅広く展開するのを支持する。全国婦人連合会は「母親健康保護カー」などのプロジェクトを実施し、51のエイズ総合予防・治療モデル区で「エイズを予防し、一家の者の健康を守る」をテーマとする婦人向けの「面と向って」の宣伝教育活動を行っている。中国計画出産協会は全国の大学と中学校・高校および流動青少年の中で同伴教育を主とする性病・エイズ予防プロジェクトを広く展開し、農村では婦人の収入増加と婦女子保健・計画出産を結び付けて、婦人の健康レベルの向上を効果的に促進している。ここ数年来、中国政府は国連人口基金(UNFPA)、国連児童基金(ユニセフ)、国連婦人発展基金、世界銀行、世界保健機関(WHO)、国連エイズ企画署などの国際機構と、婦女子保健、生殖健康と計画出産、エイズの予防・治療などの分野で幅広く協力を行い、著しい効果をあげている。商務部が管理、協調する外国の対中国援助資金のうち、三分の一以上が婦女子保健事業に用いられている。

七、婦人と婚姻家庭

早くも1950年代に、「中華人民共和国婚姻法」は新中国の成立後最初に公布した法律として、婚姻家庭における婦人の平等な地位について明確な規定を行っている。2001年に公布した婚姻法改正案は男女平等の基本的原則を再確認し、夫婦の地位の平等、婚姻と家庭における権利・義務などの平等を強調し、家庭内暴力禁止、重婚禁止など婦人の権利保護に利する条項を補充した。現在、婦人の婚姻自主度が著しく向上し、家庭で果たす役割が著しく大きくなり、人身と財産の権利がいちだんと保障されている。

計画出産の基本的国策の実行を堅持し、遅い結婚と遅い出産を提唱する。10年来、婦人の早婚率が下がり、平均の初婚年齢が高くなり、総合的出産率はわりに低いレベルを保ち、2004年は1.8であった。計画出産活動では、国は社会の性別意識を強調し、婦人の出産権利を尊重し、計画出産と性別平等促進を結び付けている。2002年から実施を始めた人口と計画出産法は、夫婦双方が共に計画出産の責任を負うことをいちだんと明確に規定し、家庭生活における性別平等の実現に有利な条件を提供している。

社会福祉事業を大いに発展させ、コミュニティーで家庭生活に直接影響のある公共サービスを優先的に発展させ、家事労働の社会化を実現し、婦人の自由になる時間を増やすように努める。家事労働サービスが速やかに発展し、労務費支出の家庭消費に占める比率がちくじ上昇し、家用電器が日ましに普及し、託児事業がたえず発展すれば、男性が家事を分担する比率はいくらか上昇し、婦人の家事労働負担は軽くなり、男女の家事労働時間の時間差がいちだんと小さくなる。

法によって女の嬰児と子供の生存発展権を保障し、生まれる嬰児の性別比がいくらか高くなる現象を抑制する。人口と計画出産法は、超音波およびその他の技術手段で胎児の性別を医学的に見て必要のない鑑定を行うことを禁止し、医学的に見て必要のない性別選択のための人工による妊娠中止を許していない。ここ数年来、政府の関係部門は全国で「結婚と出産の新風を多くの家庭に吹き込ませる」活動を行って、男女平等、男の子を生んでも女の子を生んでも同じという新しい結婚出産観念を突っ込んで宣伝している。2003年は「女児に関心を寄せ愛顧する活動」を始動させ、「性別差別をなくすことは妊娠の時からやらなければならず、男女平等の提唱は子供の時からやらなければならない」と呼びかけ、幅広く突っ込んだ宣伝教育を通じて、女児とその家庭の発展に利する利益誘導メカニズムをちくじ構築し、男女不平等の出産の好みを改め、女児の合法的権益を守り、家庭における女児の地位を高めるように努めた。

高齢婦人の合法的権益を保護し、婚姻と家庭におけるその地位を高めるのを重視する。10年来、国は「中華人民共和国老人権益保障法」を中心とする一連の法律と政策を制定し、女性が多数を占める高齢者の合法的権益を守るために法律と制度の保障を提供している。中国政府は高齢婦人の特殊な問題に関心を寄せ、その基本的生活と合法的権益を保障し、高齢者事業と産業を積極的に発展させ、高齢者奉仕の社会化を逐次実現させ、高齢婦人の心身の健康を保障し、その精神文化生活を豊富にしている。

婦人を尊重し、男女が平等である家庭環境づくりに努める。2001年9月、国は「公民道徳建設実施綱要」を公布した。同綱要は、家庭生活で男女平等を実現し、婦人の合法的権益を尊重、保護し、婦人に対する差別、迫害に反対すること、恋愛の自由と婚姻の自主を実行すること、「老人を尊び子供を愛し、男女が平等で、夫婦が睦まじく、勤倹を旨として家事を切り盛りし、隣近所と団結する」新しい文明を樹立することを提出している。政府の強力な推進の下で、家庭で性別平等を推進する良好な環境が形成されつつある。

家庭レベルの国際交流と協力を積極的に繰り広げる。中国政府は一貫して国連の家庭問題に関する取り決め、協議と活動に積極的に参加している。2001年、中国は世界家庭組織に加盟した。2004年、中国は国連国際家庭大会に参加し、「ドーハ宣言」の提唱する婚姻の双方が忠誠、平等であることに賛成し、家庭内暴力を非難した。同年に、中国は世界家庭サミットを催し、性別平等は家庭からやり始め、調和のとれた家庭パートナーシップを構築することを提唱した。

八、婦人と環境

中国政府は婦人の生存と発展の環境をたえず最適化させ、婦人に環境を保護、改善する役割を積極的に果たさせ、婦人のために好ましい生存の環境と発展の空間をつくり出すように努めている。

婦人の持続可能な発展への参与を促進する戦略目標を制定する。中国の21世紀の議事日程と婦人発展綱要の目標の要求に基づいて、各クラス政府は環境の科学研究、評価、企画、設計、監督、管理への婦人の参与を積極的に促進している。現在、中国では各クラスの環境保全部門で勤める女性が少なからずおり、主要な指導的職務を担任している女性もおり、全国の環境監察法律執行要員のうち、女性が約30%を占めている。国は広範な婦人が民間の環境保全活動に積極的に参与するのを奨励し、政府の支持の下で、全国婦女連合会は「三・八グリーン・プロジェクト」などの社会動員と宣伝教育活動を展開し、毎年1億人余りの婦人が義務植樹、防護林建設および小流域の治水に参加している。このため、全国婦女連合会は1999年に国連環境計画(UNEP)の「世界ベスト500」の称号を獲得した。そのほか、一部の婦人が発起に参与した民間環境保全機構は、企業が社会的責任を負うように働きかけ、グリーン生産と生活様式を推し広め、大衆を環境保全に参与するように訓練、動員する面で積極的役割を果たしている。

婦人がそれに頼って生存、発展する自然と居住環境を保護、改善する。10年来、都市・農村住民の居住条件に著しい改善が見られ、一人当たりの住宅面積が大幅に増え、緑地占有率は大幅に上昇した。多くの文化・スポーツ・娯楽施設が建設され、一般大衆に開放したため、婦人の利用できる公共の空間が大きくなり、婦人の生活の質を高めるために有利な条件がつくられた。ここ数年来、政府は水道と便所の改造を大いに行って、農村の水道と清潔な便所の普及率を高めた。2001年から2004年にかけて、中央政府は前後して97億元の国債資金を支出して、農村人口の飲料水不足の問題を解決し、年平均690余万の農村婦人に信頼できる安全な飲用水を提供した。2004年、農村の清潔な便所の普及率は53.1%に達し、農村の便所の糞便無害化処理率は、1998年の28.5%から2004年の57.5%へと速やかに上昇した。水道と便所の改造は農村婦人の水汲みの重労働を軽減し、彼女たちと家族の健康のリスクを減らし、婦人の生存と発展の条件を効果的に改善した。

性別平等と婦人発展に利する社会環境を積極的に作り出し、婦人に対する社会の偏見、差別、抑圧をちくじなくす。国は男女平等という基本的国策の宣伝を強化し、政府の関係部門の責任者および各省(自治区、直轄市)の責任者はそれぞれ国と地方のマスコミに文章を発表し、社会の発展に対する性別平等の意義をはっきり述べ、経済と社会の各分野における婦人の役割と貢献を肯定している。新聞、テレビ局、放送局などのマスコミは性別平等を提唱し、婦人の権益を守り、婦人の風采を展示する番組と報道を制作、放送(映)している。そのほか、政府は婦人組織がマスコミと協力して番組を制作し、経済と社会の発展における婦人の役割を展示し、婦人が情報資源を使用、掌握するように奨励するのを支持している。インターネット技術が中国で幅広く応用されるに従い、多くの婦人組織は自らのウェブサイトをつくり、性別平等の意識を伝播し、婦人の発展を促進する重要な方途となっている。

九、婦人権益の法的保障

国が婦人の合法的権益を保障する法体系はたえず健全になっている。10年来、中国は相次いで婚姻法、人口と計画出産法、農村土地請負法、婦人権益保障法などの法律を制定、改正し、母子保健法実施規則など婦人の権益保障と関係ある法規と規則を100余件公布、実施した。

婦人の権益を保障する社会化権利保護メカニズムをちくじ構築する。国は19の部門からなる全国婦人児童権益保護協調グループを設立した。一部の裁判所は、もっぱら婦人権益保護にかかわる民事案件を審理する婦人権益保護法廷を設置した。婦人権益案件を審理する時、裁判所は婦人連合会など部門の人民陪審員を招いて関係案件の審理に直接参与させる。国は執法要員と司法要員に対し性別意識訓練を積極的に行い、司法要員に婦人の権利を保障する役割を発揮させている。国はまた女性司法要員の人数を増やし、比率を高めるのを重視している。2004年、中国の女性裁判官と女性検察官はそれぞれ裁判官総数と検察官総数の22.7%と21.7%を占め、それぞれ1995年より5.9%と5%増えた。

婦人の合法的権益を保障する法律援助と法制宣伝活動を繰り広げる。婦人の合法的権益を確実に保障するため、中国政府の関係部門は特別通達を出して、婦人の権益が侵害された事件の告発、上訴、摘発に対し、法律援助機構、弁護士事務所、公証機構、末端の法律サービス機構は互いに押し付け合ったりわけもなく遅らせたりしてはならず、貧しい婦人当事者に対し法律サービス費用を適当に減免すると強調した。2003年から実施を始めた「法律援助条例」は、法律援助は政府の責任であり、貧しい公民は無料で法律援助を獲得することができると明確に規定しており、そのため、貧しい婦人の権益が確実に保障されている。2004年末現在、中国各地に3023の政府所属法律援助機構が設置されている。そのほか、中国政府はまたNGOが婦人権利保護ホットラインを設け、法律相談センターを設立し、婦人に法律援助と法律サービスを積極的に提供するのを支持している。中国で行われている第4回法律普及宣伝5カ年活動では、婦人権益保障法、労働法、婚姻法、人口と計画出産法、農村土地請負法など婦人の権益と密接な関係のある法律は宣伝の重点的内容になっている。

婦人に対する暴力に反対するとともに、確実な措置をとってそれを解決する。中国の刑法、刑事訴訟法、民法通則、婚姻法、婦人権益保障法などの法律は、いかなる人がいかなる方式で婦人に対し暴力を振るうことをも禁止している。家庭内で暴力を振るう者に対しては、法律と司法の実施の中で、暴力による侵害の程度に基づいて、相応な民事、刑事責任を追及し、被害者に司法救助を積極的に与えることを強調している。ここ数年来、一部の地方は家庭内暴力反対の地方的法規を制定した。2004年末現在、全国で22の省(自治区、直轄市)は関係条例、意見または規則を制定した。そのほか、中国政府はまたNGOと積極的に協力して、関与プロジェクトを実施し、宣伝、教育、訓練を大いに行い、警察通報センター、負傷鑑定センター、婦人救助ステーションを設立し、家庭内暴力反対ホットラインを開通して、被害婦人に相談、保護、医療、心理援助など多種のサービスを提供している。

婦人を誘拐して売り飛ばす犯罪行為を厳しく取り締まる。1997年に中国刑法を改正した時、婦人を誘拐して売り飛ばし、その婦人を買い取る罪名を特に改正、増設し、犯罪の量刑基準を高めた。最高人民法院は司法解釈を制定し、関係法律条項をいっそう執行しやすいようにした。ここ数年来、全国の公安機関は婦人と子供を誘拐して売り飛ばす犯罪を取り締まる特別行動を連続して行い、救出された婦人と子供のために護送・育成訓練・リハビリセンターを設立し、著しい効果をあげている。同時に、公安機関と司法機関は婦人と子供を誘拐して売り飛ばす犯罪の取締りを国際協力の重要な領域に確定し、関係国と二国間警察協力取り決めと刑事司法協力条約を締結し、「婦人と子供を誘拐し売り飛ばす犯罪を防止し、取り締まる」プロジェクトを共同で実施している。

法によって女性の犯人と犯罪容疑者の権利を保護する。国は男性と女性の犯人を別々に拘禁、管理し、女性犯人を女性人民警察が直接管理する制度を厳格に実行し、女性犯人が病気になった時は女性医者が診療し、女性犯人が未成年子女とともに祝日を過ごすのを許し、女性犯人に対し、その生理と心理の特徴に適する法制教育、教養教育、職業技術教育を行い、豊富多彩な文化スポーツ活動を展開している。

結びの言葉

これまでの10年間に、中国は性別平等と婦人発展を促進する分野で重要な進展をとげ、成績は衆目の認めるものである。

同時に、中国政府は、経済・社会発展レベルなどの要素の制約と制限を受け、特に経済構造を調整し、社会主義市場経済体制を確立し、完全なものにする過程で、性別平等と婦人発展を促進する面で多くの新しい状況と新しい問題に直面している。これらの新しい状況と新しい問題は、女性群集の社会階層の区分が日ましに複雑になり、婦人の生存、発展、権益保障の必要が多様性を呈していること、異なる地区、階層、群集の婦人の発展にアンバランスの現象がわりに目立っていること、歴史と文化の中に残った男女不平等の古いきまりやしきたりがまだ完全に取り除かれておらず、婦人の権益を侵犯する現象が一部の地区で程度の差こそあれ依然として存在していることである。中国では、性別平等と婦人発展の全面的促進は任重くして道遠しである。

いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する新しい歴史的時期に、中国政府は国情と社会主義の調和のとれた社会を建設するという戦略的高度から出発し、人を本とし、全面的に協調する持続可能な科学的発展観を樹立し、男女平等の基本的国策を一歩進んで貫徹し、法によって婦人の権益を保障し、婦人発展綱要の目標と要求を実行に移し、婦人が政治、経済、文化、社会、家庭生活などの面で男子と平等な権利を享有するように促進することに努める。中国政府は引き続き社会各界が共に性別平等と婦人発展の促進に参与するのを支持するとともに、国連などの関係国際機構および各国政府との交流と協力を強化し、世界範囲内の平等、発展、平和を推進することに積極的な貢献をするであろう。