2005 No.35
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合唱組曲『悪魔の飽食』、北京コンサート成功

8月26日の夜、北京音楽ホール。森村誠一、池辺晋一郎氏をはじめ約200名の日本の民間ボランティアが北京で合唱組曲『悪魔の飽食』のコンサートを開いた。

8月26日、北京音楽ホールで開かれた混声合唱組曲『悪魔の飽食』のコンサートであいさつする著名な作家森村誠一氏

「ハルビンの郊外20キロ、果てしない荒野に平屋が立ち並ぶ地に、6平キロにわたりこの世の地獄があった。731部隊、おまえたちは一体、何をしたのか?……」

鎮痛な哀悼の歌声が響くなか、『悪魔の飽食』の幕が開いた。その旋律に入り混じった言葉では形容しがたい緊張感が観客を引きつけていく……。

混声合唱組曲『悪魔の飽食』は、著名な作家である森村誠一氏が同氏の同名長編ドキュメントをもとに作詞し、著名な作曲家の池辺晋一郎氏が作曲。中国を侵略した日本軍731細菌部隊が、1930〜40年代にかけて中国で生きた人間を使って細菌兵器の実験をした甚大な犯罪行為を暴露した作品だ。

公演中、会場内では数十回にわたり大きな拍手が沸き起こった。

同組曲は「序曲・731の重い鎖」「生きた者を天に送る」「反乱」「赤い中国の布靴」「37年後の通夜」「友人よ、白い花を手向けてください」「若者よ、歴史を正視しよう」の7部で構成。内容は簡明で分かりやすいが、むしろ多角的に731部隊の罪悪を暴露しており、戦争犯罪人の醜い行為と被害者の苦痛を鋭い観察力で描いている。例えば、「生きた者を天に送る」。ここでは風刺の手法が用いられ、最後に嘲笑的にこう語る。「大志を抱いて何かしたい医師たちが731に入るのを歓迎する」と。731部隊の犯罪は軍人だけが手を下したのではなく、もともと技術者である医師もいたことを明確に指摘するものだ。「反乱」は、被実験者の反逆を記録にもとづいて描いた。血なまぐさい鎮圧に遭うが、反逆を「生命をもって死に向かうのは、人間の尊厳を擁護するためだ」と称賛している。「赤い中国の布靴」で描かれたのは、中国の被害者が死を前にして幼い娘に寄せる憐憫の情であり、「37年後の通夜」で描写されたのは、日本の加害者の37年後の懺悔の気持ち……。

合唱団監督の持永伯子氏は「日本人が『悪魔の飽食』を歌うのは当然のことですし、一種の日本人としての使命感がそうするよう促したのだと思います。これがベートーベンの第九交響曲のように日本で流行ればいいのですが」と話した。

大分県から参加したある若者は「中国人の前でこの歌を歌う日本人は勇気のある人です」と語った。

合唱団の団長は「自らの侵略の歴史を正視できなければ、どうして世界の人びとに『平和を願う』呼びかけを発することができるでしょう」と強調。

作曲家の池辺晋一郎氏はこう語った。「中国で『悪魔の飽食』を奏でることは、私たち日本人にとって、極めて緊張を感じる行いだと言えるでしょう。まさにドイツのオーケストラがイスラエルでコンサートを開いたように。ただ、私たちはみんなの前に立って、私たちの先輩と「同罪」の気持ちを抱いて、歌声で私たちの隣人に私たちの願いを伝えたのです」

中国人の抗日戦争勝利60周年にあたり、『悪魔の飽食』合唱団は中国を訪れ、贖罪の姿勢をもって、日本を再び侵略者にさせないとの決心を抱いて、合唱という方式で中国人に「日本国民のなかには歴史を正視し、平和を熱愛する多くの人がいる」と訴えた。

コンサート終了後、合唱団は北京に住む実験の被害者やその家族に花束を捧げ、互いに舞台に上がったり下りたりして交流を深めた。多くの観客がしばらく席を立たなかった。

コンサートには張克輝・全国政治協商会議副議長、陳昊蘇・中国人民対外友好協会会長はじめ約800人が訪れた。