2005 No.40
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国連創立60周年特別首脳会議での中国の主張

陳須隆
(中国国際問題研究所)

国連創立60周年特別首脳会議は世界各国の熱い視線を集めた。各国の指導者は会議で国連の60年にわたる発展や世界の平和と発展のために払ってきた多大な貢献を回顧し、国連の価値と役割を十分評価するとともに、国連改革の道を模索したほか、国際情勢と重大な国際問題に対する各国の立場と見解、外交の理念と政策を発表し、人類の平和と発展という崇高な事業を促進するための意見と提言をしめしたが、これらは非常に重視するに値する。

中国は国連の創始国、また安全保障理事会(以下「安保理」と略称)常任理事国として、今回の重要な歴史的意義を持つサミットを非常に重視した。胡錦涛国家主席率いる中国代表団はサミット開幕式や総会、円卓討論会、発展資金調達に関するハイレベル会議、安保理首脳会議などに参加するとともに、重要な二国間接触も展開した。会議期間中、胡主席は『国連憲章』の宗旨と原則への確約を重ねて表明し、開発援助の増大や21世紀の発展目標、国際開発協力の促進などに関して重大な決定を行うよう呼びかけた。同時に中国は、発展途上国との経済協力の促進のために重大な措置を講じることや、国連改革を積極的かつ妥当に推進する、様々な脅威や挑戦に対応する能力を増強する、多国主義を強化する、加盟国間との団結と協力を促進する、国際関係の健全かつ調和の取れた発展を推進することなどを表明した。

具体的に言えば、中国の以下の主張は関心を寄せるに値する。

1.多国主義を堅持し、国連の役割を強化する

衆知のように、中国は国連の世界平和と発展の擁護における役割を非常に重視しており、国連の国際問題における役割は不可欠だと考えている。普遍性と代表性、権威性を持つ国際機関としての国連は多国主義を実践する最適の場であり、様々な脅威と挑戦に対応する有効な場でもあり、今後も平和を擁護する使者、発展を推進する先駆者であり続けるべきだ。国連は多国主義を堅持し、共に世界の安全への脅威に対処し、共同の安全を実現していかなければならない。多国主義とくに国連の役割を強化し、安保理の権威を擁護してこそ、日増しに増大する世界的な脅威と挑戦に有効に対応し、真に普遍的な安全を実現することができる。

2.国連を核心に、新たな安全観を履行する

中国は、国連が新たな国際的な安全に関する共通認識を形成するとともに、それを基礎にした新たな総合的な集団安全メカニズムの構築に取り組むことを支持し、国連と安保理の集団安全メカニズムとしての核心的地位をあくまで擁護すると同時に、新たな安全観の確立は極めて重要なことだと考えている。国連は集団安全メカニズムの核心として、世界的な安全を保障する国際協力の中で代替できない役割を果たしている。安保理は国連が世界平和と安全を擁護する専門機関として、その世界平和と安全を擁護する権威は確実に擁護されなければならない。公平かつ有効的な集団安全メカニズムの構築には、冷戦思考を捨てて、相互信頼や互恵、平等、協力という新たな安全観を確立することが必要だ。

3.互恵と協力を堅持し、発展モデルの多様性を尊重する

中国は、経済のグローバル化は世界各国、とくに大多数の発展途上国に幅広く利益を受けさせなければならず、貧富をますます貧しくさせ、富者をますます豊かにさせる二極分化をもたらしてはならないと考えている。国際経済体制とルールは、改革の深化を経てより公平かつ合理なものにならなければならず、とくに大多数の発展途上国の関心を十分に反映させることで、経済のグローバル化をバランスの取れた、普遍的に恩恵を受ける、共に利益を得る方向へとその発展を促進していかなければならない。国連は適切な措置を講じて、21世紀における発展目標を実現し、とくに発展途上国の急速な発展を推進していく必要がある。国際社会は健全かつ開放された、公平で、差別のない多角的貿易体制の構築を推進し、国際金融体制を更に完備させ、世界経済の成長のために健全かつ秩序ある貿易環境と安定した高効率の金融環境を整備していかなければならない。また世界のエネルギー分野における対話と協力を強化し、エネルギーの安全とエネルギー市場の安定を共に擁護し、世界経済の成長のために充実した、安全で、経済的で、クリーンなエネルギー環境を整備していかなければならない。

中国は、自国の発展の実情にかなった発展モデルを自主的に選択することが、各国が発展を実現させるカギだと考えている。従って、各国は発展モデルの多様性を尊重し、発展経験の交流を推進し、相互尊重を基礎に互恵協力を実現していくことが肝要だ。

4.包容の精神で調和のある世界を構築する

文明の多様性は人類社会の基本的特徴であり、人類進歩の原動力でもある。歴史や文化、社会制度、発展モデルの差異を各国間の交流の障害にしてはならず、互いに対抗する理由にしてもならない。各国が社会制度と発展の道を自主選択する権利は尊重されるべきだ。異なる文明の間においては、対話と交流を強化し、競争の中で長所を取って短所を捨て、共通点を求めて相違点を残しながら共に発展し、相互の隔たりや懸念を解消して、人類を更に仲睦まじいものにし、世界を更に豊富多彩なものにすることが肝要だ。平等と開放の精神をもって、文明の多様性を擁護し、国際関係の民主化を促進し、対話と協力を強化して、様々な文明が共存し調和のある世界の構築に共に力を入れていく必要がある。

5.積極的で妥当な方針で国連改革を推進する

国連改革については、中国は、積極的かつ妥当な方針に基づいて、多分野において改革を全面的に推進すべきであり、できることから手をつけ、難しいことは後に回すなど、段階的に進めてもよく、改革ができるだけ多くの成果を上げるよう推進していくべきだと考えている。改革は、国連が開発分野への資金投入に力を入れることを重点にし、『国連憲章』の宗旨と原則を擁護することに尽力して、幅広い加盟国間の団結を増進していくことが必要だ。

安保理改革については、中国は、国連改革の重要な一環であり、優先的に発展途上国、とくにアフリカ諸国の地位を向上させ、今後もより多くの国、とくに中小国に対し、安保理の政策決定に参与する機会をより多く与えていくことが必要だと考えている。安保理改革は各国の利益に関連するため、各国は充分に協議し、広範な共通認識を基礎にして決定することが肝要だ。

6.発展途上国との経済協力促進に向け新行動に出る

中国はアフリカ諸国を非常に重視している。安保理はアフリカに対する確約を重視し、アフリカへの資金投入を更に増大し、アフリカ諸国の関心と主張に耳を傾け、アフリカ諸国の平和を必要とし、発展を促し、協力を求める強い意思を十分に考慮して、十数億のアフリカの人々が国際社会からの関心と援助を実感できるようにすることが必要だ。発展資金調達に関するハイレベル会議において、中国は先進国に対し適切な措置を講じてアフリカ諸国の発展を加速するよう呼びかけた。同時に、発展途上国とくにアフリカ諸国に対して関税、援助、融資、債務削減、人材育成の面で講じる新たな措置を発表した。

7.引き続き平和と発展の道を歩む

平和と発展、協力は阻むことのできない世界の潮流であり、新時代の主旋律でもあり、新時期における中国外交の鮮明な旗印でもある。中国は多国間の外交を積極的に展開し、国際協力の推進に努力し、国連と安保理の地位と役割をあくまで擁護し、国連改革は情熱をもって支持し、国連の権威を強化し、国連の効率を向上させて、国連の世界的な脅威と挑戦に有効に対応する能力を増強するなど、こうすることで今まで以上に各加盟国のために貢献して行きたいと考えている。