2005 No.41
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>> 経済

ガソリン高騰でマイカー利用に変化

安子

近間なら、マイカーを運転せず、地下鉄周辺に行く時は地下鉄で、ピクニックに出かけるなら、仲間同士は車一台で、用事がなければ、マイカーは使わない……。このところ続くガソリンの値上がりで経済的に負担が重くなったのか、マイカー利用に変化が見られるようになってきた。

割のいい手段を選択

数年前からマイカーを持っている黄亜莉さんは簡単に計算してみた。93#ガソリンは一昨年の今ごろは1リットル当たり3.02元だったが、現在は4.26元に値上がり。1カ月当たりのガソリン代は400元から600元へと、33%も増えた。そのため、週末の買い物は、マイカーでなく、タクシーを拾って行くようになった。「駐車するところを探すのも大変だし、駐車料金も高いし、それにガソリンの値上がりで、タクシーの方が割りに合う」と黄さんは話す。

今後もガソリンの値上げが続く可能性が大きいため、マイカー族は距離の遠近や交通状況を問わず、マイカーを利用するというこれまでの習慣を意識的に変え、可能な限りマイカーを使わないようにしている。

358人が参加したあるインターネット調査によると、ガソリンの値上がりで、今後は交通手段を適度に調整すると答えた人が351人に達した。そのうち、運転する距離を短くするが59人、利用回数を減らすが56人、エアコンの使用を少なくするが40人、公共交通をもっと利用するが26人、これまで通りはわずか7人だった。

ピクニックは車一台

陳暁東さんは友人4人と8月のある週末、北京郊外へピクニックに行った。これまでと違うのは、5人が一台の車に同乗したことだ。陳さんは「旅はストレス解消のためだが、費用も考慮しなければ」と話す。友人たちはみなマイカー族。以前はそれぞれが自分の愛車を運転し、列を成して颯爽と進み気分は最高。だが、現在はガソリンが急騰。みんなで相談し、今後は順番に仲間の車に乗ることを決めた。こうすれば、ガソリン代が節約できるだけでなく、車の中で愉快に過ごすこともできる。相乗効果は大きい」と言う。

ガソリン高騰の影響で、王俊さんは地下鉄をよく利用するようになった。「家と勤め先は地下鉄沿線にあり、以前はマイカーを利用し、長安街が渋滞してもマイカーを運転していた。ガソリンが高騰したので、地下鉄に乗ってみたら、その速さや利便性に気づいたが、それ以上にメリットは出費が少なくてすむことだ」と感慨深げだ。

早くもガソリンの高値に耐えられなくなった馮明さん。同じ団地に住む同僚と相談し、一カ月交代でそれぞれの車を運転することにした。

北京のマイカー利用は非合理的

北京市公安交通管理局の?忠民高級技師は「北京市の自動車台数は東京の720万台をはるかに下回る240万台だが、交通渋滞は東京より深刻だ。車の利用頻度が高いのが根本的な原因で、北京では自家用車の利用頻度は東京の4倍だ。これで推算すれば、北京の自動車は960万台にも達していることになる。現在の交通渋滞も不思議ではない」と指摘する。

さらに、?忠民技師は「自動車が非常に普及した欧米の先進諸国では通勤、とくに市内の出退勤ではほとんど公共交通機関が利用されている。マイカーが普及し始めたばかりの北京では、車を通勤手段にしている人が多い」と指摘。

交通問題専門家は「ガソリンの高値時代が訪れれば、マイカー族の経済的負担はますます大きくなるだろう。だが、交通渋滞について言えば、ガソリン価格の高騰で、マイカー利用は次第に減少して合理的になり、北京市の交通渋滞緩和に積極的な役割を果たす」と分析する。

小型車か、それとも買い控えか

重慶市鵝嶺奇瑞自動車のショールーム。色鮮やかでキュートなQQに、ある若い夫婦は目を奪われた。「フォード社のモンデオを買うつもりだったが、QQにすることにした。中級車と比べ、排気量の小さい車は百キロ当たり4リットル節約できて、ずっと経済的で安上がりだ」と話す。   

今、このように考える人が増えている。鵝嶺奇瑞自動車市場部の責任者は「この数カ月間の月間販売台数は60〜80台と、10〜15%伸びている。消費者は燃費を念頭に置いているため、排気量の小さいQQは良く売れている」と説明。

重慶市の別の自動車販売会社の責任者は「排気量1400cc以下の小型自動車の人気が高い。ガソリン価格の高騰で、売れ行きが好調だ」と話すが、「様子見にショールームに訪れる人は多いが、販売台数はそれほど増えていない。買い控える人が増えているからではないか」とも指摘する。

国家機関に勤めている張華さんは車の購入を遅らせることにした。「ガソリンの高値が続きそうなので、車を買うより、タクシーを利用するほうが安上がり」と言う。

雑誌『自動車観察』が行ったアンケート調査では、「車購入計画がガソリンの高騰で影響を受けた」と回答した人は80%、うち「購入を遅らせる」考えを示した人は36.6%に達している。

ガソリンから天然ガスに

ガソリンの値上げで、重慶市ではマイカー族が天然ガスに目を向けるようになった。このところ、こうした傾向が強まっている。

重慶恩潔威工程技術有限責任公司責任者の廖宏さんは相好を崩す。「この2カ月間乗用車やワゴン車、ジープと、天然ガスに切り替えに来る車は昨年同期の2倍だった」

重慶乗用車修理工場の責任者は「仕事は7月から1割弱増え、マイカーが中心だった」と話す。

重慶市自動車研究所の統計によると、8月に燃料を天然ガスに切り替えたマイカーは全市で千台を数える。

試算では、小型自動車の場合、天然ガス1立方メートルの走行距離はガソリン1〜1.1リットルに相当。仮に1日に50キロ走るとすれば、天然ガスの場合は、4立方メートルで約8元が必要だが、ガソリンの場合は4リットル必要となる。現在の重慶市の93#ガソリン価格(1リットル当たり4.38元)で計算すれば、18元かかることになる。天然ガスの方がはるかに安いことは明らかだ。