2005 No.42
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中国の民主政治建設

中華人民共和国国務院報道弁公室
2005年10月 北京

前書き

民主は人類の政治文明が発展してあげた成果であり、世界各国人民の普遍的な要求でもある。各国の民主は外部から押し付けられたものではなく、国内で生まれたものである。

中国の近代以来の歴史を振り返ってみると、中国人民は民主を獲得するため、たゆまずに闘争し、困難に満ちた模索を行ったが、中国共産党の指導下においてのみはじめて主人公になる権利を真に獲得したのである。中国人民は得るのに容易でなかったこの民主の成果を非常に大切にし、断固として守っている。

国情が異なっているため、各国人民の民主を獲得し、発展させる方法はまちまちである。中国共産党と中国人民は自国の国情に基づいて新民主主義革命を行い、新中国成立後、社会主義の初級段階の実際から出発して、自国の特色をもつ社会主義民主を実行している。数十年来の実践が立証しているように、中国人民は自らで選んだこの民主政治発展の道を歩み、主人公になる願いを実現させたばかりでなく、しかも中国を現代化した社会主義強国に建設するという共通の理想をちくじ実現させている。

中国の特色をもつ社会主義民主はたえず健全になり、完備し、発展している。1970年代末に改革・開放政策を実行して以来、中国は経済体制改革を深化させると同時に、確固として揺ぎなく政治体制改革を推し進めており、そのため中国の民主制度はたえず健全になり、民主の形式は日増しに豊富になり、人民は主人公になる権利を十分に行使している。中国の特色をもつ社会主義の民主政治建設は時代とともに前進し、あふれる生気と旺盛な活力をたえず現している。

一、国情にかなった選択

人類の数千年の政治文明史は、次の道理を繰り返し実証している。一つの国がどのような政治制度を実行し、どのような民主の道を歩むかは、その国の国情にかなう必要がある。中国の社会主義の民主政治は、中華民族が数千年来それに頼って生存、発展してきた広大な沃土に根を下ろし、中国共産党と中国人民が民族の独立、人民の解放、国家の富強を獲得するために行う偉大な実践の中で生まれたもので、中国の国情と社会進歩の要求にかなった選択である。

中国は五千年の文明史があり、古代エジプト、インド、バビロンの文明と並び称せられるさん然たる文明をもっており、人類の発展と進歩に重要な貢献をした。中華民族は勤勉、勇敢、聡明な民族であり、その歴史の古いことと文化形態の整っていることは、世界に公認されている。

中国は長い封建社会の時代を経てきた。1840年以後、西側の資本主義列強は次々と中国侵略戦争を起こしたが、封建支配階級が腐敗衰微のため、中国は次第に半植民地・半封建社会に陥ったのである。その後の110年近くの間に、中国は世界のほとんどすべての帝国主義国の略奪の対象になった。中華民族は重大な危難に陥り、外部では帝国主義に侵略され、国内では封建主義の抑圧を受け、人民には民主的権利がまったくなかった。国家と民族の運命を変えるため、中国人は一代また一代と奮起して反抗し、前の者に続いて勇敢な闘争を行った。 

国家を滅亡から救い生存をはかる運動の中で、中国の一部の先覚的な人は国家と人民を救う道を探し求めるため、目を西側に向け、中国でブルジョア民主主義革命を起こした。1911年、中国の民主主義革命先駆者孫文氏の指導する辛亥革命は、2000年余りにわたって中国を統治した君主専制制度をくつがえした。しかし、辛亥革命後に、議会制、多党制など西側の民主制度のパターンをまねて樹立したブルジョア共和国は、中国人民の独立、民主を要求する切実な願いを実現させず、まもなく内外の各種反動勢力の衝撃を受けて失敗に終わった。当時人びとは悲憤し、「無数の人が命をなくし、血を流したが、手に入れたのはにせの共和でしかなかった。哀れなもんだ」と感嘆した。中国人民は依然として抑圧され、奴隷のように酷使され、搾取される悲惨な境地に置かれていた。中国の活路はどこにあるのか。中国人民は暗黒の中でそれを考え、模索し、そのために奮闘した。

中国人民は困難で曲折した模索と闘争を通じて、ついに中国で西側の資本主義の政治制度をそのまま踏襲するのは通じない道であり、国家を滅亡から救い生存をはかり、帝国主義と封建主義に反対する歴史的任務を成し遂げるには、新しい思想と新しい理論で中国革命の新しい道を切り開き、真新しい政治制度を確立しなければならないことを認識した。中国人民を指導してこの新しい道を探し当て、新しい制度を確立することは、歴史的に中国共産党の重任になった。1921年、民主と科学的思想の洗礼を受けた先進的な知識人は、マルクス・レーニン主義を中国の労働運動と結びつけて、中国共産党を創立した。その時から、中国共産党の指導の下で、中国革命は帝国主義、封建主義、官僚資本主義に徹底的に反対する新民主主義の発展段階に入り、28年にわたる勇敢で堅忍不抜な奮戦を経て、最後に民族独立と人民解放を実現させた。

中国労働者階級の前衛隊であり、同時に中国人民と中華民族の前衛隊でもある中国共産党は創立した時から、人民民主の実現と発展を自らの任務としている。中国共産党が人民を指導して革命を行う目的は、少数の人ではなくて大多数の人の民主を実現させることにある。中国共産党は創造的にマルクス主義の普遍的真理を中国革命の具体的実際と結びつけ、前後して「労農民主」、「人民民主」、「新民主主義」などの民主の概念を打ち出し、マルクス主義の民主政治理論をたえず豊富にし、発展させるとともに、前後してストライキ労働者代表大会、農民協会、労農兵代表ソビエト、参議会、各界人民代表会議などの実践と組織形態で、中国の国情にかない、人民が主人公になるのを保障できる民主政治の実現形式をつくり上げた。これらは当時の国民党の支配制度と鮮明な対照をなし、人民の願いを表すとともに人民の支持を得た。

1949年9月、新中国成立直前に開かれた中国人民政治協商会議第1期全体会議は、中国共産党と各民主党派、人民団体、無党派民主人士が民主の原則にのっとって建国の大計を共同で協議する重要な会議であり、新中国の国家制度と政権の組織形態を確立した。会議で可決された暫定憲法の性格をもつ「中国人民政治協商会議共同綱領」は、「中華人民共和国は新民主主義つまり人民民主主義の国家であり、労働者階級が指導し、労農同盟を基礎とし、各民主階級と国内各民族と団結する人民民主主義独裁を実行する」、「中華人民共和国の国家政権は人民に属する。人民が国家権力を行使する機関は各クラス人民代表大会と各クラス人民政府である」とはっきり規定している。1949年10月1日の中華人民共和国成立は、中国人民が中国共産党の指導の下で新民主主義革命の偉大な勝利を収め、中国人民の政治的地位に根本的変化が生じたことを示している。その時から、中国人民は真に主人公になり、国家、社会、自らの運命を握るようになった。新中国の成立で、中国は2000余年続いた封建的専制政治および近代以来西側の民主政治のパターンをそのまま踏襲した失敗の試みから新しいタイプの人民民主政治への偉大な転換を実現させた。

新中国が成立してまもない1953年に全国の範囲内で中国史上初めての空前の規模の普通選挙が行われ、人民は自らの代表を選挙することを通じて主人公の権利を行使し、下から上へと各クラスの人民代表大会を開いた。1954年9月の第1期全国人民代表大会第1回会議の開催は、人民代表大会制度が全国の範囲内で正式に確立されたことを示している。それ以前に全国人民が広く討論し、同会議で可決された「中華人民共和国憲法」は、労働者階級が指導し、労農同盟を基礎とする人民民主主義独裁の国家制度と人民代表大会の政体制度を中華人民共和国の根本的政治制度として確立するとともに、中華人民共和国のすべての権力は人民に属する、人民が権力を行使する機関は全国人民代表大会と地方各クラスの人民代表大会である、全国人民代表大会、地方各クラスの人民代表大会およびその他の国家機関は、一律に民主集中制を実行すると明確に規定している。

人民代表大会制度の確立と「中華人民共和国憲法」の公布と実施は、中国人民の主人公の権利行使に信頼できる制度上の保障と憲法の拠り所を与えた。1956年に入ると、中国の圧倒的多数の地区で、生産手段私有制に対する社会主義的改造と新民主主義から社会主義への移行が基本的に完成し、社会主義の基本的制度が確立され、中国史上最も広く最も深い社会変革が実現した。しかし、新中国の民主政治建設は模索する中で回り道をしたこともあり、特に「文化大革命」(1966〜1976年)の重大な誤りは、中国の民主政治建設に重大な挫折を経験させ、沈痛な教訓を残した。

1970年代末に改革・開放政策を実行して以来、中国共産党はプラスとマイナス両面の歴史的経験を真剣に総括し、人民を指導して社会主義の民主政治建設の新しい時期に入った。この新しい時期では、民主がなければ、社会主義はなく、社会主義の現代化がない、社会主義法制を強化し、民主を制度化、法律化させなければならない、法によって国を治め、社会主義法治国家を建設する、社会主義の民主政治を発展させ、社会主義の政治文明を建設する、共産党の指導、人民の主人公化、法による国家管理の有機的統一を堅持する、人を本とし、人民のために執政し、社会主義の調和のとれた社会を構築するなどは中国共産党と全国各民族人民が社会主義の民主政治を完全なものにし、発展させる共通の認識と前進の指針になった。

二十数年来、中国の社会主義民主政治建設は実践の中で多くの大きな進展をとげた。人民代表大会制度、中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度、民族区域自治制度など国家の民主制度はたえず整備し、発展しており、都市と農村の末端部の民主はたえず拡大され、公民の基本的権利は尊重、保障され、中国共産党の民主執政能力はいちだんと向上し、政府の民主的行政能力は著しく強くなり、司法の民主体制建設はたえず進んでいる。国家の指導制度、立法制度、行政管理制度、政策決定制度、司法制度、人事制度、監督制約制度などの面の改革は著しい成果をあげた。法によって国を治め、社会主義法治国家を建設するという目標の導きの下で、社会主義民主の制度化、規範化、プロセス化の建設はたえず強化され、憲法を核心とする中国の特色をもつ社会主義法体系は初歩的に形成され、国家の政治・経済・文化・社会活動の主な方面は基本的によるべき法律をもつようになった。

中国の社会主義の民主政治建設は、終始マルクス主義の民主理論と中国の実情を結びつける基本的原則を導きとすることを堅持し、西側民主の有益な成果を含む人類の政治文明を参考にし、中国の伝統的文化と制度文明の民主的要素を吸収している。したがって、中国の社会主義民主政治は鮮明な中国の特色をもっている。

――中国の民主は中国共産党の指導する人民民主である。中国共産党がなければ新中国はなく、人民の民主もない。これは歴史によって立証された客観的事実である。中国人民が主人公になることは、中国共産党の指導下の堅忍不抜な闘争を経て実現したものである。中国の民主政治制度は、中国共産党が中国人民を指導して確立したものであり、その発展と充実は中国共産党の指導の下で実現したものである。中国共産党の指導は人民が主人公になることを根本から保証している。

――中国の民主は最も広範な人民が主人公になる民主である。人民が主人公になることは、中国の社会主義民主の本質である。中国では、公有制経済は社会主義制度の経済的土台である。社会主義の初級段階では、国は公有制を主体とし、多種の所有制経済がともに発展する基本的経済制度を堅持し、労働に応じた分配を主体とし、多種の分配方式が並存する分配制度を堅持している。これは経済的土台の面から中国の民主が資本に操られず、少数の人の民主ではなくて最も広範な人民の民主であることを決定付けている。中国では、民主の権利を享有する人民の範囲は、法律によって政治的権利を剥奪されていないすべての人を含んでいる。

――中国の民主は人民民主主義独裁を信頼できる保障とする民主である。人民民主主義独裁は、一方では人民の内部で最も広範な民主を実行し、人権を尊重、保障し、国家権力が人民に握られ、人民に奉仕することを保証するよう要求し、他方では広範な人民の根本的利益を保障するため、社会主義制度を破壊し、国家の安全と公共の安全に危害を加え、公民の人身の権利と民主の権利を侵犯し、横領、賄賂、?職などを働く各種の犯罪行為に対し、法により独裁の手段で制裁を加えて、最も広範な人民の根本的利益を保障するよう要求している。

――中国の民主は民主集中制を根本的組織原則、活動方式とする民主である。民主集中制は中国の国家政権の根本的な組織原則と指導原則である。民主集中制を実行することは、民主を十分に発揚し、集団で討論し、人民の願いと要求を十分に現し、反映し、それを踏まえて正しい意見を集中し、集団で決定を行って、人民の願いと要求を実行に移し、満足させることである。民主集中制の実行は、また「多数を尊重し、少数を保護し」、無政府主義の「大民主」に反対し、個人の意志を集団の上に凌駕することに反対することをも要求している。

二、中国共産党は人民を指導して国の主人公にさせる

中国共産党の指導的地位は、中国人民が民族の独立、国家の富強、生活の幸福を追求する長期にわたる闘争と実践の中でちくじ形成されたものであり、歴史の選択、人民の選択である。中国の革命、建設、改革の過程は、人民を指導して民族の独立と人民の解放を実現させる正しい道を探し当てたのは中国共産党であり、人民を指導して富強、民主、文明の現代化国家を建設する正しい道を探し当てたのは中国共産党であることを世人に明示している。そのため、中国共産党の指導的地位は「中華人民共和国憲法」にはっきり書き入れられたのである。

現代の中国では、中国共産党の指導と執政は、中国の発展と進歩の客観的要求である。

――中国共産党の指導と執政は、社会主義現代化建設を推し進め、中華民族の偉大な復興を実現させるために必要なことである。国を貧しく立ち遅れた状態から抜け出させ、現代化と民族の復興を実現させることは、中国人民の百年来の追求と夢想であった。中国共産党の指導の下で、新中国成立56年来の模索と奮闘を経て、中国は貧しく立ち遅れた様相を徹底的に改め、生産力を急速に発展させ、総合的国力を著しく増強し、人民の生活を目に見えて改善し、国際的地位をたえず高め、国際影響を日ましに拡大している。特に改革・開放実行20余年来、中国は国内総生産が年平均9.4%伸びるという経済奇跡をつくり出し、13億の中国人民の暮らしは全体としていくらかゆとりのあるレベルに達した。中国共産党の指導の下で、富強、民主、文明の社会主義現代化をめざして引き続き前進することは、中国人民の確固不動の選択である。

――中国共産党の指導と執政は、中国の国家の統一と社会の調和・安定を守るのに必要なことである。歴史が繰り返し立証しているように、中国では、国家の統一と社会の安定がなければ、国が繁栄し、富強になり、人民が居に安んじ楽しく仕事をすることができない。近代の中国は、外国の侵入、軍閥の混戦、政局の動揺の害をいやというほど受け、中国人民はこれを骨身に刻んで忘れない。中国の統一と安定は、中国人民の幸福であり、世界各国人民の共通の利益にも合致する。国家の統一と社会の安定を守ることは、従来から中国の各民族人民が最も関心をもつ最も重要な事である。中国共産党は中国各民族人民の根本的利益の忠実代表として、科学的理論を導きとし、全国にくまなく分布しているその350万近くの党組織と6960万人の党員に依拠し、その豊富な執政経験と全局を制御する能力に頼って、経済・社会など各方面の発展を全面的に案配し、社会主義の調和のとれた社会の構築に力を入れ、国家の統一と社会の調和・安定を守っている。

――中国共産党の指導と執政は、政権の安定を保証するのに必要なことである。中国は土地が広く、人口が多く、しかも都市と農村の間、地区と地区の間の発展がアンバランスで、差異がかなり大きいため、政権の安定を保つことは中国にとって一般のことではない。政権の安定を保ってのみはじめて精神を集中して建設をやり、一意専心に発展をはかることができ、国家現代化の発展戦略と奮闘目標を長期にわたり一貫して実行することができ、各種の不必要なまたはあるべきでない政治面の内部摩擦を減らし、あらゆる積極的要素を最大限に動員し、すべての資源、人力、知恵を集中して、国家経済と人民生活にかかわる重要な問題を解決し、経済と社会の持続可能な発展を保証することができるのである。

――中国共産党の指導と執政は、数億の人民を団結、凝集させ、共同ですばらしい未来を建設するのに必要なことである。四分五裂して砂のようにばらばらな状態は、近代の旧中国の社会に対する真実な描写である。中国人民はこれに対し身を切られるような痛さを感じている。中国のような人口が多く、状況が複雑な大国は、確固として強力な政治的核心がなく、全国各民族人民を凝集させて共同で奮闘する崇高な目標がなければ、国家は分裂、瓦解し、たえず発展、進歩することができない。実践が十分に立証しているように、中国では、広範な人民を団結させ、その積極性、主動性、創造性をたえず発揮させ、共通の利益、事業、理想および中国のよりすばらしい未来を実現させるため、心を一つにしてともに奮闘させているのは中国共産党である。

中国共産党の指導と執政の本質は、人民が主人公になるのを指導、支持、保証することにある。中華人民共和国のすべての権力は人民に属する。これは中国の民主政治建設の根本的準則であり、中国共産党の指導と執政に対する本質的な要求でもある。中国では、中国共産党が人民が主人公になるのを指導、支持、保証することは、制度と法律の面からこの根本的準則が国家と社会活動の中で十分かつ確実に貫徹、体現されるのを保障することである。中国共産党は人民を指導して憲法と法律を制定し、率先して憲法と法律を遵守、擁護し、憲法と法律に違反するすべての行為と断固として闘う。

中国共産党が人民が主人公になるのを指導、支持、保証する具体的な実現形式は次の通りである。一は人民を指導し、人民代表大会制度を通じて国家権力を握り、これをもって国の制定した法律、方針、政策が人民の共通の意志を体現し、人民の根本的利益を守り、人民が主人公になるのを保障する。二は人民を指導し、憲法と法律の規定に基づき、各種のルートと形式を通じて国家事務、経済・文化事業、社会事務を管理し、これをもって国の諸事業の発展が人民の願望、利益、要求に合致するように保証する。三は人民を指導して末端部の民主を実施し、大衆が法によって自らの事を処理し、民主的選挙、民主的決定、民主的管理、民主的監督を通じて、自己管理、自己教育、自己奉仕を実行する。四は人民を指導して、法律の前で公民が一律に平等である原則を厳格に貫徹し、公民に法律上と事実上の広範な自由と権利を享有し、人権を尊重、保護し、公平と正義を守らせる。人民はこれらの制度と法的保障を通じて、真に国の主人公になり、自分に属する公共の権力と公民の諸権利を運用して自らの利益を守り、実現させる。

三、人民代表大会制度

人民代表大会制度は中国人民が主人公になる根本的な政治制度である。人民は全国人民代表大会と地方の各クラス人民代表大会を通じて国家権力を行使する。

中国は自国の国情に基づいて西側諸国が実行している二院制ではなく、一院制を実行している。中国憲法は、中華人民共和国全国人民代表大会は最高国家権力機関であると規定している。中国では、国の行政機関、裁判機関、検察機関はいずれも人民代表大会によって選出され、人民代表大会に対し責任を負い、その監督を受ける。国の重要な事項は人民代表大会によって決定される。行政機関は責任をもって人民代表大会の可決した法律、決議、決定を実行する。法院(裁判所)、検察院は法によってそれぞれ独立して裁判権、検察権を行使し、行政機関、社会団体、個人の干渉を受けない。

全国人民代表大会と地方の各クラス人民代表大会はいずれも民主的選挙によって選出され、人民に対し責任を負い、人民の監督を受ける。中国憲法の規定によると、満18歳になった公民は、民族、種族、性別、職業、出身家庭、宗教信仰、教育程度、財産状況、居住期限を問わず、法によって政治的権利を剥奪された人を除き、みな選挙権と被選挙権がある。中国の県、郷2クラスの人民代表大会の代表は有権者によって直接選出され、長年来、選挙権と被選挙権を享有する人数は満18歳以上の公民数の99%以上を占め、選挙参加率は90%前後である。中国の実情に基づいて、現在県以上の各クラス人民代表大会代表は間接選挙によって選出されている、つまり一級下の人民代表大会が一級上の人民代表大会代表を選出するわけである。直接選挙と間接選挙を問わず、法によって差額選挙を実行する。有権者と選挙部門は法的手続きに従ってその選出した代表を罷免するか更迭する権限がある。現在、全国の各クラス人民代表大会代表は280余万人おり、彼らは各民族、各業種、各階層、各党派から来た人たちで、広い代表性を持っている。各クラス人民代表大会代表の中に労働者、農民の代表がかなりいる。第10期全国人民代表大会代表の中に、労働者、農民の代表が総数の18.4%を占めている。国家の権力が真に全人民の手に握られるのを保証するため、代表は職責を履行する時、必ず人民の利益と意思を反映、代表しなければならない。代表は法によって議案を提出し、各項の議案と報告を審議し、各項の議案に対し表決することができ、人民代表大会の各種の会議での発言と表決は法によって保護されている。

中国の憲法と法律は、全国人民代表大会、地方各クラスの人民代表大会の任期は一期5年であり、全国人民代表大会は毎年会議を一回開き、地方各クラスの人民代表大会は毎年会議を少なくとも一回開くと規定している。中国の選挙法はまた、全国人民代表大会の代表人数は3000人を超えないと規定している。全国人民代表大会の代表人数がわりに多く、つねに会議を開くのが不便であるため、全国人民代表大会は中国憲法の規定に基づいて、全国人民代表大会の閉会期間に最高国家権力機関の職能を行使する常務委員会を設置している。全国人民代表大会常務委員会は一般に2カ月ごとに会議を一回開くことになっている。全国人民代表大会常務委員会は委員長、副委員長若干名、秘書長、委員若干名によって構成される。第10期全国人民代表大会常務委員会の委員は175人で、その中に委員長1人、副委員長15人いる。中国の県クラス以上の地方各クラスの人民代表大会にも常務委員会が設置されており、全国人民代表大会常務委員会と県クラス以上の地方各クラス人民代表大会常務委員会の構成人員は代表大会で代表の中から差額選挙によって選出され、一期の任期は代表大会と同じである。

人民代表大会とその常務委員会は十分に民主を発揚し、有益な意見を広く吸収し、人民の意思と根本的利益を代表、反映する。人民代表大会とその常務委員会は各項の議案を表決する時、絶対的多数の原則を実行する。つまり構成人員の半数以上が賛成してはじめて可決できることである。全国人民代表大会の憲法改正は、代表全員の三分の二以上の賛成を得なければならない。

人民代表大会とその常務委員会が会議を開く時、関係部門の責任者が列席し、関係部門と個人が傍聴することができる。列席する人は発言権はあるが、表決権がない。傍聴する人は発言権がない。彼らは常務委員会が審議する議案に対し意見があれば、書面で常務委員会の事務機構に提出することができる。ここ数年来、一部の地方は常務委員会会議を開く時、公民の申し込み順に従って傍聴者を確定している。

人民代表大会の職権は主に立法、監督、人事任免、重要事項決定の四つである。これは中国人民が人民代表大会制度を通じて主人公の権利を行使する主な体現でもある。

――立法権。中国憲法の規定によれば、全国人民代表大会とその常務委員会は国家の立法権を行使し、主に憲法を改正し、刑事、民事、国家機構とその他の基本的法律を制定、改正する。省クラス人民代表大会とその常務委員会は所在する行政地区の具体的状況と実際の必要に応じて、憲法、法律、行政法規に抵触しない前提の下で、地方的法規を制定することができる。わりに大きな市の人民代表大会とその常務委員会は同市の具体的状況と実際の必要に応じて、憲法、法律、行政法規および同省、自治区の地方的法規に抵触しない前提の下で、地方的法規を制定し、省、自治区の人民代表大会常務委員会に報告し、批准されてから実施する。経済特別区所在地の省、市の人民代表大会とその常務委員会は、全国人民代表大会の授権と決定に基づいて、法規を制定して経済特別区の範囲内で実施することができる。民族自治地方の人民代表大会は、現地の民族の政治、経済、文化の特徴に基づいて、自治条例と単行条例を制定し、法律と行政法規の規定を変通させる権限がある。

1949年の中華人民共和国成立から1978年までの30年間に、全国人民代表大会は134件の法律を制定したが、そのうちの16件はいまなお有効である。改革・開放以来、中国の社会主義民主法制建設は斬新な時期に入った。全国人民代表大会は1982年に憲法を全面的に改正し、その後はまた四つの憲法修正案を可決した。全国人民代表大会とその常務委員会は現在実施している有効な法律と法律問題に関する決定をそれぞれ200余件制定し、地方人民代表大会とその常務委員会は現在実施している有効な地方的法規を7500余件制定し、民族自治地方の人民代表大会は自治条例と単行条例を600余件制定した。

ここ数年来、中国の立法民主はたえず前進している。法案の起草はほとんど専門家座談会、論証会などの形式で専門家の意見を聴取した。立法機関が直接社会研究部門に委託して起草させた法案も一部分ある。重要な社会関係の調整に関する立法項目については、地方人民代表大会常務委員会はつねに公聴会を開いて、利害関係を異にする各方面に意見を発表させている。中国の立法法は立法公聴会について規定を行っている。1982年以来、全国人民代表大会とその常務委員会は憲法改正案、婚姻法改正案、契約法案、物権法案を含む10件以上の人民の切実な利益にかかわる重要な法案を制定する過程で、その法案を全国民に公布して意見を聴取した。人民大衆が直接法律の制定に参与することは、立法の質を高め、法律に人民の願いと要求を十分に具現させるばかりでなく、全社会の法的意識を強め、可決後わりに順調に実施できるようにした。

――監督権。憲法と法律の実施を監督することは、全国人民代表大会とその常務委員会の監督権行使の主な内容である。この種の監督の基本的形式は、法律執行検査と法規登記審査がある。法律執行検査の面では、第9期全国人民代表大会常務委員会は前後して22回にわたり21件の法律の実施状況を監督、検査し、第10期全国人民代表大会常務委員会は2003年と2004年の二年間に10件の法律の実施状況を検査した。地方人民代表大会常務委員会もその行政管理区域の範囲内で法律と関係法規の実施状況を検査した。人民代表大会常務委員会は法律執行検査を通じて、法律と法規実施の真実な状況と存在する問題をいちだんと理解、掌握し、同じクラスの政府と法院、検察院に法律執行活動を改善するよう督促し、法律実施主管機関が法によって事を運び、公正に法律を執行するように促進した。法規登記審査の面では、現在までに全国人民代表大会常務委員会に送付して登記した地方的法規は7500余件、自治条例と単行条例は600余件、経済特別区の法規は300件近くある。第10期全国人民代表大会常務委員会は専門の審査機構を設けて、この活動をいっそう規範化させた。省クラス人民代表大会常務委員会、わりに大きな市の人民代表大会常務委員会も法によって地方政府の規則登記審査を行った。登記審査を通じて、憲法と法律に違反する法規、規則を取り消し、関係ある制定機関に不適当な条文を是正するよう督促することは、国家の法制統一を保障する上で重要な役割がある。ここ数年来、全国人民代表大会常務委員会は最高人民法院、最高人民検察院の司法解釈に対し登記審査を始めた。

同じクラスの政府と法院、検察院の活動を監督することは、人民代表大会とその常務委員会が監督権を行使するいま一つの重要な内容である。政府、法院、検察院の活動報告を聴取、審議することは、人民代表大会とその常務委員会が活動を監督する基本的形式である。人民代表大会が会議を開く時、同じクラスの人民政府、人民法院、人民検察院は大会に活動を報告し、人民政府は大会に予算案、国民経済と社会発展計画案を提出しなければならず、予算案は大会が審査、認可する必要がある。人民代表大会常務委員会は会議を開く時、つねに改革・発展・安定の全局にかかわる重要な問題および人民大衆の切実な利益と密接な関係のあるホットな問題と難しい問題について、特別報告や活動報告を聴取する。第9期全国人民代表大会常務委員会は5年間に40回も特別報告を聴取、審議し、第10期全国人民代表大会常務委員会は最初の2年間に22回特別報告を聴取、審議した。

――人事任免権。人民代表大会とその常務委員会は国家機関の構成員を選挙、決定、任免、更迭、罷免する権限がある。全国人民代表大会は国家主席、副主席、中央軍事委員会主席を選挙し、国家主席の指名に基づいて国務院総理の人選を決定し、国務院総理の指名に基づいて国務院副総理、国務委員、各部部長、各委員会主任、会計検査長、秘書長の人選を決定し、中央軍事委員会主席の指名に基づいて中央軍事委員会のその他の構成員の人選を決定し、最高人民法院院長と最高人民検察院検察長を選挙する。地方の各クラス人民代表大会は法によって地方の関係国家機関の構成員を真剣に選挙、決定、任免、更迭、罷免する。

――重要事項決定権。全国人民代表大会は憲法によって省、自治区、直轄市の設置を認可し、特別行政区の設置とその制度を決定し、戦争と平和の問題およびその他の重要な事項を決定する権限がある。長江三峡ダム工事など国の経済・社会発展の重要な問題は、全国人民代表大会が決議を行ってからはじめて実施することができる。ここ数年来、地方の人民代表大会およびその常務委員会は所在する地区の都市建設計画、環境保全などの重要な事項に対し決定権を行使した。

実践が十分に立証しているように、人民代表大会制度は中国の国情にかない、中国の社会主義国家の性質を具現し、中国人民が主人公になるのを保証できる根本的な政治制度である。同制度は人民大衆の中に根を下ろし、強い生命力を持っており、また広範な人民の共通の意志と根本的利益を代表し、全人民を主人公として国家建設に参加するように動員し、国家機関の調和のとれた高効率の運営を保証し、国家の統一と民族の団結を擁護している。中国の各民族人民は人民代表大会制度を通じて国家と民族の前途と運命を自らの手にしっかりと握っている。

四、中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度

どのような政党制度を実行するかは、その国の性質、国情、国家利益と社会発展の要求によって決定付けられている。中国の政党制度は西側諸国の二党あるいは多党競争制と異なっているし、一部の国の実行する一党制とも異なって、中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度である。この政党制度は中国共産党と民主諸党派が中国の革命、建設、改革の長期にわたる実践の中で確立し、発展させてきたものであり、中国共産党と民主諸党派が困難を共に切り抜け、団結、奮闘してあげた成果であり、現代における中国の基本的政治制度である。

現在、中国に九つの政党がある。中国共産党のほか、中国国民党革命委員会(1948年成立)、中国民主同盟(1941年成立)、中国民主建国会(1945年成立)、中国民主促進会(1945年成立)、中国農工民主党(1930年成立)、中国致公党(1925年成立)、九三学社(1945年成立)、台湾民主自治同盟(1947年成立)がある。これらの政党はほとんどが中国人民抗日戦争(1937-1945年)期と解放戦争(1946-1949年)期に、民族解放と人民民主を勝ち取る闘争の中で創立されたため、「民主党派」と称されている。今日の中国では、民主諸党派はこれらの党派がそれぞれ関係を保っている一部分の社会主義勤労者、社会主義事業建設者、社会主義を擁護する愛国者からなる政治連盟である。無党派人士も中国の政治活動に参加する重要な力である。無党派人士とは、いかなる党派にも参加せず、社会に積極的な貢献と一定の影響を与える人士を指し、その主体は知識人である。

中国の政党制度の著しい特徴は、中国共産党が指導し、多くの党派が協力し、中国共産党が執政し、多くの党派が参政することことである。民主諸党派は中国共産党と団結、協力する親密な友党と参政党であって、反対党や野党ではない。民主諸党派は国家政権に参加し、国の大政方針と指導者の人選に関する協商に参与し、国家事務の管理に参与し、国の方針・政策、法律・法規の制定と実施に参与する。

中国では、中国共産党と民主諸党派は共通の奮闘目標を持っている。中国憲法の規定によれば、「中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度は長期にわたり存在、発展する」。中国共産党と民主諸党派の協力の基本的方針は、「長期にわたって共存し、相互に監督し、肝胆相照らし、栄辱をともにする」ことである。中国の国情と国家の性質は、中国共産党の指導が多党協力の重要な前提と根本的保証であることを決定付けている。同時に、この種の指導は単なる一手引き受けではなくて政治的指導である、つまり政治的原則、政治的方向と重要な方針・政策に関する指導である。中国共産党と民主諸党派は憲法を根本的活動の準則とし、憲法の尊厳を守り、憲法の実施を保証する職責をもっている。

中国人民政治協商会議は中国人民愛国統一戦線の組織であり、中国共産党の指導する多党協力と政治協商の重要な機構であり、中国の政治活動で民主を発揚する重要な形式でもある。中国人民政治協商会議全国委員会は、中国共産党、民主諸党派、無党派人士、各人民団体、各少数民族、社会各界の代表、香港特別行政区同胞、澳門特別行政区同胞、台湾同胞、帰国華僑および特別招請人士などの人士によって組織されている。中国人民政治協商会議全国委員会では、主席、副主席若干人、秘書長が置かれ、一期の任期は5年で、全体会議は年に一回開かれる。各省、自治区・直轄市には中国人民政治協商会議の省・自治区、直轄市委員会が設置され、自治州、区を設置している市、県、自治県、区を設置していない市、市轄区などおよそ条件のあるところでは、いずれも中国人民政治協商会議の当該地方の地方委員会が設置され、任期は5年で、全体会議は少なくとも毎年一回開かれる。人民政治協商会議は団結と民主という二大テーマをめぐって活動を繰り広げ、政治協商、民主監督、参政議政の機能を履行する。中国人民政治協商会議は国の政治活動、社会活動、対外友好活動と現代化建設、国家の統一の団結の擁護の中で、重要な役割を果たしている。中国共産党と各クラスの政府は大政方針および政治・経済・文化・社会活動の重要な問題について、それを決定する前と執行する過程で人民政治協商会議で協議を行い、各方面の意見を広く聴取する。これは中国共産党と各クラスの政府が政策決定の科学化と民主化を実現させる重要な一環である。

国の政治と社会活動における中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度の重要性はたえず大きくなっているが、具体的には以下のいくつかの方面に表れている。

――中国共産党と民主諸党派、無党派人士の政治協商がちくじ制度化、規範化している。中国共産党中央は重要な政策を決定する前、一般には民主諸党派の主要な責任者および無党派の代表人士を招いて民主協商会、小範囲の懇談会、座談会を開いて、情況を通報し、意見を聴取し、国の大方針について協議するようにしている。会議での協議のほか、民主諸党派の中央は書面で中国共産党中央に提案を行うことができる。協議の主な内容は、中国共産党全国代表大会と中国共産党中央の重要な文書、憲法と重要な法律に対する改正提案、国家指導者の人選に対する提案、改革・開放推進に関する重要な決定、国民経済と社会発展に関する中・長期計画、国家の全局に関する若干の重要な問題、重要な文書と重要な情況の通報と意見聴取、および民主諸党派と協議する必要のあるその他の重要な問題が含まれている。2003年と2004年に中国共産党の指導者が自らまたは関係部門に依頼して開いた各種の協議会、座談会、通報会は36回に達し、そのうち、中国共産党中央委員会総書記の主宰したものが13回ある。

――民主諸党派のメンバー、無党派人士は人民代表大会で重要な役割を果たしている。民主諸党派のメンバーと無党派人士の代表は全国人民代表大会、全国人民代表大会常務委員会と専門委員会で、いずれも適当な比率を占めている。彼らは人民代表大会で民意を反映し、国家の重要な政策決定、法律制定、政府監督に参与する。2003年の任期満了に伴う改選のあと、彼らの中の17万6000人が全国各クラスの人民代表大会代表となり、その中に全国人民代表大会常務委員会副委員長が7人、全国人民代表大会常務委員が50人、省クラス人民代表大会常務委副主任が41人、省クラス人民代表大会常務委員が462人、市クラス人民代表大会常務委副主任が352人、市クラス人民代表大会常務委員が2084人いる。

――民主諸党派のメンバーと無党派人士は各クラスの政府と司法機関の責任者を担当している。2004年末現在、各クラスの政府と司法機関で県・処クラス以上の指導的職務を担当する民主諸党派のメンバーと無党派人士は3万2000人おり、そのうち、最高人民法院、最高人民検察院、中央国家機関の関係部・委員会の指導的職務を担当する人が19人、全国の31の省、自治区、直轄市の副省長、副主席、副市長を担当する人が27人、全国の397の市(自治州、盟、区)人民政府の副市(自治州、盟、区)長を担当する人が354人、省クラス法院副院長と検察院副検察長を担当する人が19人、地区クラス市の法院副院長と検察院副検察長を担当する人が87人いる。彼らは中国共産党の幹部と互いに支持しあい、国家機関で重要な役割を果たしている。

――民主諸党派と無党派人士は中国人民政治協商会議で重要な役割を果たしている。民主諸党派と各界の代表人士は人民政治協商会議で意見を述べ、提案を行うことによって参政議政している。民主諸党派のメンバーと無党派人士は各クラスの政治協商会議委員、常務委員と指導者の中でわりに大きな比率を占めており、2003年の任期満了に伴う改選のあと、全国各クラスの政治協商会議委員を担当する人が33万7000余人に達した。第10期全国政治協商会議の委員と常務委員の中で、民主諸党派と無党派人士はそれぞれ60.1%と65.2%を占め、24人の副主席の中で13人を占めている。

――民主諸党派と無党派人士は多ルート、多形式で執政党の活動に対し民主的監督を行っている。監督の主な内容は、憲法と法律・法規の実施状況、中国共産党と政府の重要な方針・政策の制定とその貫徹・実行状況、中国共産党の組織と党員指導幹部の職責履行、清廉施政などが含まれている。ここ数年来、政府部門と司法機関は、民主諸党派のメンバーと無党派人士を特約人員として招聘し、彼らを党風清廉建設活動に対する検査、その他の特別検査と執法監督活動に参加させ、民主監督のルートをいっそう広げ、監督活動をたえず強化している。

――民主諸党派と無党派人士は積極的に改革・開放と現代化建設事業に参与し、祖国統一の大業と社会の全面的進歩を推進するためにたえず提案、献策している。1989年以来、民主諸党派の中央は中国共産党と国の活動の大局および国民経済と人民生活にかかわる重要な問題をめぐって調査・研究を行い、特に経済建設、平和的統一の二大任務をめぐって、前後して中国共産党中央、国務院および関係部門に重要な提案を180件近く行い、地方組織に提案を8万件余り行ったが、その多くは受け入れられた。民主諸党派の各クラスの地方組織は4万余件のコンサルティング・サービスを提供し、各級各種学校を1000余校創立し、各級各種専門人材を延べ300万人育成、訓練した。

2005年2月、中国共産党は「中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度建設のいちだんの強化に関する中国共産党中央委員会の意見」を公布し、多党協力と政治協商の歴史的経験と成功を収めたやり方を総括する基礎の上に、多党協力と政治協商の原則、内容、方式、プロセスなどをいちだんと明らかにし、中国の特色をもつ社会主義政党制度を健全にし、整備する方向をはっきりと指し示した。

中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度の政治的強みは、広範な民主的参与を実現させ、民主諸党派、各人民団体と各界人士の知恵を集中して、執政党と各クラス政府の政策決定の科学化、民主化を促進することもできれば、集中統一を実現させ、各方面の大衆の利益と要求を統一的に考慮し、適当に按配することもでき、また一党執政に監督がないという弊害を避けることもできれば、多くの党が争い、互いにあつれきして政治混乱と社会の不安定と不団結をもたらすことを避けることもできることにある。

五、民族区域自治制度

中国は統一した多民族国家であり、今までに識別を通じて中央政府に確認された民族は56ある。そのうち漢族の人口が最も多く、他の55民族の人口がわりに少なく、習慣的に少数民族と称されている。2000年の第5回国勢調査によると、少数民族の人口は1億643万人で、全国総人口の8.41%を占めている。

世界の多民族国家は民族問題を処理する面でそれぞれ異なる制度とパターンがあり、中国でとっているのは民族区域自治である。民族区域自治は国の統一的指導の下で、各少数民族の集まり住む地方が自治機関を設立して自治権を行使し、区域自治を実行することを指す。中国が民族区域自治の方法で民族問題を解決することは、自国の歴史的発展、文化の特徴、民族関係、民族分布などの具体的情況に基づいて制度面で行った按配で、各民族人民の共通の利益と発展の要求に合致している。中国の憲法と民族区域自治法は、民族区域自治とその実施について明確な規定を行っている。民族区域自治制度は中国の基本的な政治制度である。

中国の民族自治地方は自治区、自治州、自治県の3クラスに分かれている。中華人民共和国成立前の1947年、中国共産党の指導の下で、すでに解放された蒙古族の集まり住む地区に中国最初の省クラスの民族自治地方――内蒙古自治区が設置された。新中国成立後、中国政府は少数民族が集まり住むところで民族区域自治を全面的に推し広め始めた。1955年10月には新彊ウイグル自治区が、1958年3月には広西チワン族自治区が、1958年10月には寧夏回族自治区が、1965年9月にはチベット自治区がそれぞれ設置された。現在、中国には合計155の民族自治地方があり、その内訳は自治区5、自治州30、自治県(旗)120である。55の少数民族のうち、自治地方を設置した少数民族は44あり、区域自治を実行する少数民族の人口は少数民族総人口の71%を占めている。同時に、中国はまた、民族自治地方の補充形式として、郷に当たる少数民族の集まり住むところに1173の少数民族郷を設置した。人口がわりに少なくしかも集まり住む区域がわりに小さいため区域自治を実行していない11の少数民族のうち、民族郷を設置した少数民族は九つある。

憲法と民族区域自治法の規定によれば、民族自治地方の自治機関は自治区、自治州、自治県の人民代表大会と人民政府であり、これらの自治機関は同じクラスの地方国家機関の職権を行使すると同時に、次のような自治権を擁している。一は自民族と所在地区の内部事務を自主的に管理する。中国の155の民族自治地方の人民代表大会常務委員会は、いずれも区域自治を実行する民族の公民が主任あるいは副主任を担任し、自治区主席、自治州州長、自治県県長はすべて区域自治を実行する民族の公民が担任する。民族自治地方の自治機関所属部門のその他の構成メンバーには、区域自治を実行する民族の幹部とその他の少数民族の幹部が法によって合理的に配属されている。現在、全国の少数民族の幹部総数は290余万人に達している。二は自治条例と単行条例を制定する権力を享有する。2004年末現在、民族自治地方は現在実施している有効な自治条例と単行条例をそれぞれ133件と418件制定している。民族自治地方が地元の実際に基づいて、婚姻法、相続法、選挙法、土地法、草原法などの法律に対し変通と補足の規定を行ったものが68件ある。三は自民族の言語と文字を使用し、発展させる。現在、中国では22の少数民族が28種の自民族文字を使用している。2003年、少数民族の文字で出版された図書は4787種、印刷部数は5034万冊、雑誌は205種、印刷部数は781万冊、新聞は88種、印刷部数は1億3130万部に達した。現在、蒙古、チベット、ウイグル、朝鮮、イなどの少数民族文字はコード文字セット、フォントとキーボードの国家基準があり、文字のソフトはすでにWindowsシステムでの運行とレーザー製版を実現した。四は少数民族の宗教信仰自由を尊重、保障する。2004年末現在、チベット自治区にチベット仏教の活動施設が1700余カ所あり、寺院に僧侶と尼僧が約4万6000人おり、新疆ウイグル自治区にモスクが2万3900カ所あり、神職者が約2万7000人いる。そのほか、民族自治地方は自民族の風俗習慣を維持するか改革し、所在する地方の経済建設事業を自主的に配置、管理し、発展させ、地方財政を自主的に管理し、教育、科学技術、文化、医療・衛生、スポーツなどの社会事業を自主的に発展させる権利がある。

国はさまざまな措置をとって民族自治地方の経済・社会事業の発展を支持、援助している。その主なものは、民族自治地方の発展加速をより際立った戦略的位置に置くこと、民族自治地方のインフラ建設プロジェクトを優先的かつ合理的に配置すること、民族自治地方に対する財政面の投入と金融面の支持を強化すること、民族自治地方の生態整備と環境保全を重視すること、特殊な措置をとって民族自治地方の教育と科学技術事業の発展を援助すること、少数民族の貧困地区に対する扶助を強化すること、民族自治地方の社会事業に対する投入を増加すること、民族自治地方の対外開放拡大を助成すること、発達地区と民族自治地方の対応支援を展開すること、少数民族の生産と生活面の特殊な必要を配慮することなどがある。中国政府は2000年から西部大開発戦略を実施し始め、2004年末現在、60件の重点プロジェクトが陸続と着工し、投資総額は8500億元余りに達し、その範囲は交通、エネルギー、教育、医療・衛生、環境保全など多くの方面にわたっている。全国の五つの自治区、27の自治州および120の自治県の中の83の自治県が西部大開発の範囲に組み入れられ、国の制定した「八・七貧困扶助難関突破計画」、「中国農村貧困扶助開発綱要」と実施した東部沿海の発達地区と西部地区の対応支援、「貧困地区義務教育プロジェクト」、「少数民族貧困地区衣食扶助基金」、「天然林保護プロジェクト」、「どの村もラジオを聴取し、テレビを視聴できるプロジェクト」などは、いずれも民族地区の発展加速援助を重要な内容としている。国はチベットの発展に対し特殊な按配を行っている。1994年から2001年にかけて、中央政府はチベットに39億元を直接投資して、30件のプロジェクトを建設した。第10次5カ年計画(2001−2005年)期に、中央政府はチベットに312億元を投資して、117件のプロジェクトを建設した。

国と発達地区の大きな援助と支持の下で、民族自治地方は自らの強みを十分に生かして、経済が発展し、政治が安定し、社会が進歩し、民族が和睦する好ましい局面を保っている。1994年から2003年までの民族自治地方のGDPの年平均成長率は全国平均水準より約1%高い9.87%に達した。1994年の民族自治地方の一人当たりGDPは全国の一人当たりGDPの63.5%であったが、2003年は66.3%に上昇した。2003年、民族自治地方の完成した地方財政収入は1994年比2.3倍増の674億元に達した。同年のチベットの一人当たりGDPは6871元で、全国の一人当たりGDPの75.5%に相当し、新疆の一人当たりGDPは9700元で、全国の一人当たりGDPの106.6%に相当するものであった。

民族区域自治制度を成功裏に実行することによって、中国の少数民族は法によって自民族の事務を自主的に管理し、国家と社会事務の管理に民主的に参与し、中国の各民族が大小を問わず平等な経済、政治、社会、文化の権利を享有するのを保証し、国家の統一と民族の団結を共同で守り、国家を分裂させ、民族団結を破壊する行為に反対して、各民族が互いに支持し、助け合い、共に団結して奮闘し、共に繁栄、発展する調和のとれた民族関係を形成している。

六、都市と農村の末端部の民主

末端部の民主を拡大することは、中国の特色をもつ社会主義民主政治を健全にし、発展させる必然の趨勢と基礎的活動である。中国の発展と進歩に伴い、全国各地の都市と農村の末端部の民主がたえず拡大され、公民の秩序だった政治活動に参与するルートが増え、民主の実現形式は日ましに豊富になっている。

現在、中国では農村の村民委員会、都市の住民委員会および企業の従業員代表大会を主な内容とする末端部の民主自治システムが確立されている。人民大衆が都市と農村の末端部の大衆的自治組織の中で、法によって民主的選挙、民主的決定、民主的管理、民主的監督の権利を直接行使し、所在する末端部の公共事務と公益事業に対し民主的自治を実行することは、現在中国で最も直接で最も広範な民主の実践となっている。

(一)農村末端部の民主政治建設

中国の13億人口のうち、8億余りが農村にいる。どのように農村末端部の民主を拡大し、発展させ、農民に所在する村で真に主人公になり、自らの民主的権利を十分に行使させるかは、中国の民主政治建設の重要な問題である。長年の模索と実践を経て、中国共産党は数億の農民を指導して中国の国情に合った、農村末端部の民主政治建設を推し進める方法を探し当てた。これはつまり村民自治を実行することである。

村民自治は、広範な農民が民主の権利を直接行使し、法によって自らの事を処理し、自己管理、自己教育、自己奉仕を実行する基本的制度である。それは1980年代初期から始まり、1980年代に発展し、1990年代に普遍的に実行され、現在中国の農村で末端部の民主を拡大し、農村の管理レベルを高める効果的方式となっている。

中国の憲法は、村民委員会が農村末端部の大衆的自治組織としての法的地位を規定している。中国の村民委員会組織法は、村民委員会の性質、機能、選出手順、任期などの関係問題について明確な規定を行って、農村末端部の民主自治を健全に発展する軌道に乗せた。現在、全国の31の省、自治区、直轄市は、村民委員会組織法の実施規則または村民委員会の選挙規則を制定するかまたは修正して、村民自治により具体的な法的保障を提供している。

民主的選挙、民主的決定、民主的管理、民主的監督は村民自治の主な内容である。

――民主的選挙。憲法、村民委員会組織法などの法律・法規によって、村民は村民委員会のメンバーを直接選出するかまたは罷免する。村民委員会は主任、副主任、委員3人ないし7人からなり、一期の任期は3年である。選挙する過程で、村民委員会メンバーの候補者は村民が直接指名し、投票に参加して選出し、その場で選挙の結果を公表し、活動を公正、公開、公平に行うようにしている。村民の選挙参加の熱情が盛り上がり、大まかな統計によると、全国の農村住民の平均選挙参加率は80%を上回り、90%以上に達したところもある。2004年末現在、中国の農村に64万4000の村民委員会がつくられた。全国のほとんどの省、自治区、直轄市では、村民委員会は普遍的に5回か6回の任期満了に伴う改選が行われた。

――民主的決定。およそ村民の利益にかかわる重要な事項は、すべて村民会議または村民代表会議で討論され、多数の人の意見に基づいて決定が行われる。中国の農村の情況が千差万別で、村の規模がさまざまであり、人数がわりに多く、居住が分散している村落では、村民会議を開催し、議決するのが難しいという実際の困難に直面している。そういうところでは、村民代表会議を発足させることによってこの問題がわりによく解決された。現在、中国の85%の農村では、民主的政策決定を行う村民会議または村民代表会議の制度が確立されている。

――民主的管理。国の法律・法規と関係政策に基づき、地元の実情と結び付けて、村民全体が村民自治規約または関係規約の制定または改正を討論する。村民委員会と村民は「小型憲法」と形象的に称される自治規約に基づいて、自己管理、自己教育、自己奉仕を実行する。現在、中国の80%以上の村では、村民自治規約と関係規約が制定され、民主的財務管理、財務監査、村務管理などの制度が確立されている。

――民主的監督。村民は、村務公開、村の幹部に対する民主的評議、村民委員会の活動報告の定期的提出、村の幹部の離任時の会計検査などの制度と形式を通じて、村民委員会の活動情況と村の幹部の行為を監督する。特に村務公開は村民から普遍的に歓迎されている。

村民自治の成功を収めた実践は、中国共産党が数億の農民を指導して中国の特色をもつ社会主義民主政治を発展させる偉大な試みである。農村末端部の民主を拡大し、村民自治を実行することは、広範な農民の主人公になる積極性、創造性、責任感を大いに引き出し、中国農村の民主政治建設の新しい一ページを開いた。

(二)都市コミュニティーの民主政治建設

都市の住民委員会は中国の都市住民が自己管理、自己教育、自己奉仕を行う末端部の大衆的自治組織であり、都市の末端部で直接民主を実現させる重要な形式である。

新中国の成立後、居住地の公共事務管理に対する都市住民の民主的自治を実現させるため、全国の各都市で普遍的に住民委員会が設立された。1982年、都市住民委員会制度が初めて中国憲法に書き入れられた。1989年、全国人民代表大会常務委員会は「都市住民委員会組織法」を制定し、都市住民委員会の発展に法的基礎と制度上の保障を提供した。1999年、国は全国の26の都市でコミュニティー建設の試行と実験を展開した。その後、全国でコミュニティー建設モデル活動が行われた。2004年末現在、全国の都市に新型コミュニティー建設の要求に合った7万1375の住民委員会が設立された。現在、都市住民の自治を完全なものにするため、都市コミュニティー建設は点から面へ、大都市から中小都市へ、東部地区から西部地区へと推し進められており、秩序だって管理され、優れたサービスを提供し、環境が美しく、文明で吉祥の新型コミュニティーを建設する活動が全国で繰り広げられている。

農村で実行している村民自治と同じように、都市コミュニティー住民の自治の主な内容も、民主的選挙、民主的決定、民主的管理、民主的監督である。民主的選挙の面では、選挙の形式は候補者の指名から自己推薦へ、同額選挙から差額選挙へ、間接選挙から直接選挙へのいくつかの段階を経歴し、地区と身分の制限を打ち破って、民主の度合いがたえず高くなっている。ここ数年来、都市コミュニティー住民の直接選挙が盛んに行われている。国の関係部門が26の試行都市に対する調査が示しているように、コミュニティーの住民はコミュニティー住民委員会の直接選挙に積極的で、投票率は90%を上回った。直接選挙によって成立したコミュニティー住民委員会は若年化、知識化、職業化の趨勢を呈している。民主的決定の面では、コミュニティーの住民は民主的決定の主体であり、コミュニティー住民会議、協商議事会、公聴会など効果的な形式とルートを通じて、コミュニティー内の公共事務について民主的決定を行っている。民主的管理の面では、住民委員会は法によって事を運び、コミュニティー住民自治規約と規約規範に従って活動し、住民の主人公意識を強め、「コミュニティーの事はみんなでやろう」を実現させている。民主的監督の面では、住民委員会の事務を公開し、およそ住民が関心をもつホットな問題、難点のある問題および住民全体の切実な利益にかかわる重要なことは、すべて適時に住民に公開するとともに、住民評議会を開いて住民の意見を聴取し、住民の監督を受けるようにしている。

(三)従業員代表大会制度の建設

従業員代表大会は、企業と事業体に対する従業員の民主的管理の実行を保証する基本的制度である。中国では、従業員は主に従業員代表大会制度を通じて、企業と事業体で主人公としての民主的権利を享有している。

新中国の成立後、公有制企業は従業員代表会議制度を実行し、1957年からこの制度は全国に普遍的に推し広められた。中国の憲法、全人民所有制工業企業法、労動法、労働組合法、全人民所有制工業企業従業員代表大会条例などの法律・法規は、いずれも従業員代表大会制度について相応の規定を行っている。関係法律によると、従業員代表大会は、企業の生産・経営、発展計画と方案に対する審議提案権、賃金、賞金、労働保護、賞罰など重要な規則・制度に対する審査可決権、従業員の生活福祉など重要な事項に対する審議決定権、企業の行政指導幹部に対する評議監督権、工場長に対する推薦・選挙権など五つの職権がある。

中国では、従業員代表大会は広範な大衆的基礎があり、代表は労働者のほか、科学技術要員、管理要員とその他の人もおり、全従業員を代表して民主的に企業を管理することができる。従業員代表大会の閉会後、企業の労働組合委員会が従業員代表大会の活動機構として、従業員代表大会の日常の仕事を処理する。1998年から、国有企業、集団企業とその持株企業が事務を公開し始めるとともに、それを非公有制企業にちくじ推し広めていった。2004年末現在、中国の労働組合を設けている企業と事業体は173万2000社に達し、そのうちの36万9000社に従業員代表大会制度が確立され、従業員数は7836万4000人に達し、事務を公開している企業と事業体は31万6000社で、従業員数は7061万2000人に達した。現在、労働組合を設けている公有制企業のうち、従業員代表大会制度を確立したものは52.8%を占め、従業員数は3502万6000人で、労働組合を設けている公有制企業の従業員数の72.9%を占めている。労働組合を設けている非公有制企業のうち、従業員代表大会制度を確立したものは32.6%を占め、従業員数は2787万人で、労働組合を設けている非公有制企業の従業員数の46.7%を占めている。

改革・開放以来、従業員代表大会およびその他の形式の企業・事業体の民主的管理制度は民主的管理を実行し、労働関係を調整し、従業員の合法的権益を保障、擁護し、企業・事業体の改革、発展、安定を推し進めるなどの面で取って代わることのできない役割を果たした。国は誠心誠意従業員に頼って企業を運営する方針を堅持し、改革・開放の深化に従って、各種所有制の企業・事業体が民主的管理制度を確立し、それを健全して、この方面に存在する際立った問題を確実に解決し、従業員の民主的権利と合法的権益を確保するように努めて推進する。

七、人権の尊重と保障

2004年3月、第10期全国人民代表大会第2回会議は憲法改正案を審議、可決し、「国家は人権を尊重、保障する」を憲法に書き入れ、中国の人権事業発展の新しい一ページを開いた。

人権を尊重、保障し、公民が法に依って広範な権利と自由を享有するのを保証することは社会主義民主を発展させる内在的要求である。社会主義民主とは、国のすべての権力は人民に属し、人民は憲法と法律の定めた公民の権利を確実に享有することである。中国の社会主義民主は公民の諸権利が保障され、たえず発展する基礎の上で実行される民主である。

中国共産党は中国人民の根本的利益の忠実な代表として、終始国家の主権と独立を守り、人民の諸権利を保障し、発展させることを根本的任務とするとともに、生存権、発展権を最も重要な人権としている。中国共産党は発展を最も重要な任務とし、人を本とする全面的、協調的、持続可能な科学的発展観を貫徹することを堅持し、経済発展と社会進歩を促進するように努め、人民の多方面の必要をたえず満たし、人の全面的な発展を実現させるようにしている。

中国憲法は公民の基本的権利と自由を全面的に規定している。憲法を根拠として、中国は一連の人権保障の法律を制定し、わりに整った人権保障の法律制度をつくり上げた。建国後50余年の経済・社会発展の成果を基礎に、中国人民はこれまでなかった全面的、真実で十分な人権を享有している。

――人民の生存権と発展権は保障されている。中国共産党は経済建設を中心とすることを堅持し、人民の生存権と発展権を解決する面で大きな努力を払っている。50余年にわたる奮闘を経て、人民生活は貧困から衣食足りる状態へ、さらに衣食足りる状態からいくらかゆとりのある生活へと二回の歴史的飛躍を基本的に実現させた。中国は世界の10%足らずの耕地で世界人口の22%を占める人口の衣食問題を成功裏に解決した。1979年から2004年にかけて、中国経済は連続して快速な成長をとげ、国内総生産(GDP)は1473億ドルから1兆6500億ドルに増加し、一人当たりは1200ドルを突破した。都市・農村住民の年平均所得は、都市部では4.5倍、農村は4.9倍実質的に増加した。一人当たりの住宅面積は、都市部では6.7平方メートルから25平方メートルに、農村では8.1平方メートルから28平方メートルに増えた。農村の貧困人口は2億5000万から2610万に減少した。中国人の健康レベルは全体として中等所得国の平均水準を上回り、発展途上国の上位にランクされている。平均寿命は新中国成立前の35歳から2004年の72歳前後に延び、妊産婦の死亡率は新中国成立前の10万分の1500から2004年の10万分の48.3に下がり、嬰児の死亡率は新中国成立前の20%から2004年の2.15%に下がった。ここ数年来、中国政府は「国家公共衛生観測情報システム建設企画」、「突発的公衆衛生事件の救助治療システム建設企画」など一連の法規と措置を公布、実施し、公民の健康権・生命権保護を強化した。

――公民の権利と政治的権利は保障されている。中国の憲法と法律は公民の宗教信仰自由、言論出版自由、結社自由などの権利を保護し、公民の財産権、名誉権、姓名権、栄誉権、人格尊厳権、人身住宅不可侵権などを確認、保護している。公民に事情了解権、監督権、公共事務管理参与権などの民主的権利を十分に享有させるため、中国は情報公開などの関係制度をたえず確立し、健全にしている。国は報道出版事業の発展を積極的に奨励しており、2004年に出版、発行した全国紙と省クラスの新聞は257億7000万部、各種の定期刊行物は26億9000万冊、図書は64億4000万冊(枚)に達した。ここ数年来、中国のインターネットは急速な発展をとげ、2005年6月30日現在、ネットのユーザー総数は1億を上回り、そのうち、ブロードバンドのユーザー数は5300万人に達している。国は公民の宗教信仰自由を尊重、保障し、法によって宗教を信仰する公民、宗教団体、宗教活動の場所の合法的権益を侵害されないように保障している。おおまかな統計によれば、現在中国に各種の宗教信者が1億人余り、各種の宗教神職者が約30万人おり、宗教活動の場所が10万カ所余りある。国は「社会団体登録管理条例」、「民間非企業機構登録管理暫定条例」と「基金会管理条例」を制定し、法によって公民の結社自由を保障している。2004年末現在、中国に各種の民間組織が28万9000あり、そのうち、社会団体は15万3000、企業以外の民間機構は13万5000、基金会は約900ある。

――経済、社会、文化の権利は保障されている。中国の憲法と法律・法規は公民の労働権、休息権、男女平等権、男女同一労働同一報酬権、知的所有権、社会保障権、物質的援助獲得権、教育獲得権、結婚・離婚自由権および科学研究、文学芸術とその他の文化活動に従事、参加する権利などに対し、全面的な規定を行っている。ここ数年来、国は各種の措置をとって就業と再就業問題の解決に力を入れ、社会保障制度の確立を急ぎ、教育、科学技術、文化、医療・衛生などの社会事業に対する支持を強化して、公民に経済、社会、文化の権利を実際に享有させるようにしている。2004年末現在、全国の都市部で、養老保険、失業保険、医療保険、労働災害保険の加入者数はそれぞれ1億6400万人、1億600万人、1億2400万人、6845万人に達し、それぞれ前年末より847万人、211万人、1502万人、2270万人増えた。農村の社会養老保険加入者数は5378万人に達し、わりに速い発展の態勢を呈している。全国では2205万人の都市部住民が政府の最低生活保障を受けている。中国は9年制義務教育の普及、青壮年の非識字者一掃を基本的に達成した。2004年、中央政府が農村の義務教育に用いた各種の特別資金は前年より70%増の100余億元に達し、全国の各種大学の在学生数は2000万人を上回り、大学の純入学率は19%に達した。2004年末現在、全国に放送局が282局あり、人口カバー率は94.1%に達し、テレビ局が314局あり、人口カバー率は95.3%に達した。国は農村就労者の合法的権益保護をたえず強化するとともに、建築分野の工事費滞納や都市へ行って就労する農民の賃金滞配問題を全面的に整理、解決するため、2004年に「建設分野の農村就労者の賃金給付管理暫定規則」を制定した。

――婦人、老人、未成年者など特殊な人たちおよび身障者など弱体の人たちの合法的権利は保障されている。中国は婦人権益保障法、老人権益保障法、未成年者保護法、身体障害者保障法を制定し、婦人、老人、未成年者など特殊な人たちおよび身障者など弱体の人たちの保護について特別な規定を行っている。中国では、婦人の国家事務に参与する権利は保障されている。1975年の第四期から2003年の第10期までの全国人民代表大会の代表に占める女性の比率はいずれも20%を上回っている。現在、婦人の就業人数、労働報酬、教育レベルは男性とほぼ同じである。中国はすでに高齢化社会に入っており、老人は政府と社会各方面の特殊な配慮を受けている。2004年、全国の企業が定年退職者に基本的養老年金を3031億元支給し、中央財政は522億元を補助した。中国は総人口の四分の一を上回る3億7600万の18歳以下の未成年者を抱えている。健康、教育、法的保護、環境などの方面から児童の発展を促進するため、中国政府は1992年と2001年に前後して「九〇年代中国児童発展計画綱要」と「中国児童発展綱要(2001−2010年)」を制定した。中国に身体障害者が6000万人おり、その人数は中等国の人数に相当する。2004年、身障者の就業率は80%に達し、330余万の身障者は程度の差こそあれリハビリを得ている。

――少数民族の権利は保障されている。中国では、各少数民族は漢族と同じように憲法と法律の定めたすべての公民の権利を平等に享有し、国家の大事と各クラスの地方事務の管理に平等に参与している。少数民族の権利は法律と関係政策の特殊な保障を受けている。憲法と選挙法によると、最高国家権力機関の全国人民代表大会には適当な人数の少数民族代表がおり、人口の特に少ない民族は少なくとも1人の代表がいる。第一期全国人民代表大会から、少数民族代表の比率はずっと14%前後を保ち、少数民族の人口が全国人口に占める8%前後の比率よりはるかに高いものである。地方の各クラス人民代表大会では、当地の集まってまたは分散して住む少数民族は、いずれも代表を選出してその地の人民代表大会に参加しており、しかもその少数民族代表の代表する人口数は当地の人民代表の代表する人口数より少なくてもよいことになっている。各少数民族の人は国家機関と政府部門で各種の職務を担任することができる。各民族は自民族の言語と文字を使用し、発展させる自由がある。国は少数民族の風俗習慣と宗教信仰自由を尊重、保護している。

中国政府は国際人権条約の人権促進面の積極的な役割を重視している。いままでに中国は21の国際人権条約に加入し、多種の措置をとって条約の義務を真剣に履行している。1997年10月、中国政府は「経済、社会、文化の権利に関する国際条約」に調印し、2001年2月、全国人民代表大会常務委員会は同条約を批准し、2003年、中国政府は期限どおりに国連に最初の条約履行報告を提出し、2005年4月、国連経済・社会・文化権利委員会の審議を受けた。1998年10月、中国政府は「公民権利と政治権利に関する国際条約」に調印した。現在、中国の関係部門は検討と準備を急いでおり、条件が成熟すれば、国務院は全国人民代表大会常務委員会に条約批准審議問題を提出する。

八、中国共産党の民主的執政

半世紀余りにわたる執政の実践で、中国共産党は民主的執政に関する一連の重要な思想を形成し、民主的執政の制度システムを確立するとともに、いま民主的執政の新しいルートと方法を積極的に模索している。中国共産党の広範な党員の民主についての意識はたえず強くなり、党の各クラス幹部の民主的作風は明らかに改善されている。

民主的執政とは、中国共産党があくまで人民のために執政し、人民に頼って執政し、人民が主人公になるのを保証し、人民民主主義独裁および党と国家の民主集中制を堅持し、完全なものにし、党内民主を発展させることによって人民民主を推進し、発展させることである。2004年9月、中国共産党第16期中央委員会第4回全体会議は「中国共産党中央委員会の党の執政能力建設強化に関する決定」を行い、民主的執政を科学的執政、法による執政とともに中国共産党の執政の基本的方式として確立し、中国共産党の民主的執政の能力を増強し、民主的執政のレベルを高める新しい段階を切り開いた。

(一)指導体制と活動メカニズムを改革し、完全なものにする

中国共産党の国家と社会に対する指導は、主に政治、思想、組織面の指導である。つまり党の基本理論、綱領、路線に基づき、重要な政策・方針の制定、立法面の建議提出、重要幹部の推薦、思想教育の展開を通じて、党組織と広範な党員に役割と影響力を発揮させ、党の指導を実現させることである。

実践の中で、中国共産党はあくまで科学的に、民主的に、法によって執政し、指導体制と活動メカニズムをたえず改革し、完全なものにし、執政党が全局を総攬し、各方面を協調させる原則にのっとって、党委員会と人民代表大会、政府、政治協商会議、人民団体との関係を規範化させている。一方では、党委員会は同じクラスの各種機構の中で指導的中核の役割を果たし、各方面が独立して責任を負い、歩調を合わせて活動を行うのを支持し、これら機構の党組織と党員幹部を通じて党の路線・方針・政策および党委員会の重要な決定と活動計画を貫徹し、他方では、人民代表大会が法によって国家権力機関の機能を果たすのを支持し、民主的討論と法的手続きを経て党の主張を国家の意志に変え、党組織の推薦する人を国の政権機関の指導者にならせるとともに彼らを監督し、政府が法律で定めた機能を果たし、法によって行政を行うのを支持し、裁判機関と検察機関が法により独立して公正に裁判権と検察権を行使するのを支持し、政治協商会議が団結と民主という二大テーマをめぐって政治協商、民主的監督、参政議政の機能を果たすのを支持し、民主諸党派との協力を強化し、中国の社会主義政党制度の特徴と強みを十分に生かし、労働組合、共産主義青年団、婦人連合会などの人民団体が法律および各自の規約に基づいて独立自主に活動を展開し、党が各方面の人民大衆とつながりを保つ架け橋、きずなの役割をよりよく果たすのを支持する。

(二)党内の民主を発展させる

党内の民主を発展させて人民民主の発展を推し進めることは、中国共産党の民主的執政の重要な内容である。ここ数年来、中国共産党は党内の民主を発展させる面でたえず新しい進展をとげた。

――党員の民主的権利を保障するメカニズムの構築と健全化に努める。2004年9月、中国共産党中央は改正した「中国共産党党員権利保障条例」を公布した。同条例は党規約の定めた党員の権利と義務を基礎とし、党内民主発展の新鮮な経験を総括して、党員の民主的権利行使のプロセスを完全にし、党員の民主的権利行使をいちだんと制度化、規範化させている。

――党の代表大会制度を健全にし、完全なものにする。中国共産党は県以上の各クラス党組織に党代表大会制度を設立している。党の全国代表大会、省(自治区、直轄市)、区を設置している市と自治州、県(旗)、自治県、区を設置していない市と市轄区の党代表大会は5年ごとに一回開かれる。党の各クラス代表大会に役割をいちだんと果たさせるため、1980年代末から、中国共産党は5省の12市・県・区で党代表大会常任制を試行し、著しい効果をあげた。中国共産党中央は党代表大会代表の提案制度の確立を決定し、市、県で党代表大会常任制を試行する範囲をいちだんと拡大し、党代表大会閉会中に代表に役割を果たさせる方途や形式を積極的に模索している。

――党委員会全体会議に役割を果たさせる。中国共産党は集団指導、民主集中、個別論議、会議決定の原則にのっとって、党委員会内部の議事と決定のメカニズムを健全にし、完全なものにするように努め、各クラス党委員会全体会議の役割をいちだんと強化している。中国共産党第16期中央委員会第3回、第4回、第5回全体会議で、中国共産党中央総書記は中央政治局常務委員会を代表して活動報告を行った。これは新しい中央指導グループが中央委員会全体会議にいちだんと役割を果たさせるための重要な措置である。各クラスの地方党委員会の指導グループも中央の要求にしたがって、同じクラスの党委員会全体会議に活動報告を行い、その監督を受けるようにしている。

――党内の選挙制度を改革し、完全なものにする。中国共産党は党内選挙の候補者指名方式をたえず健全にし、完全なものにし、民主的推薦を経て、組織による指名と党員による指名を結びつけている。差額選挙の比率を適当に高くし、党の末端組織の指導グループメンバーの直接選挙の範囲を逐次拡大している。

――党内監督メカニズムを構築し、健全にする。2003年12月、中国共産党中央は「中国共産党党内監督条例(試行)」を公布し、はじめて党内法規の形式で党内監督の重点、方途、方法など重要な問題について全面的な規定を行い、党内監督の重点的対象は各クラスの指導機関、指導幹部、特に各クラス指導グループの主要責任者であることを明確にした。2003年12月、中国共産党中央は改正した「中国共産党規律処分条例」を公布し、新しい情勢の下で党員の各種紀律違反行為の処理に対し全面的、具体的、明確な規定を行った。

(三)幹部人事活動の民主を拡大する

長年らい、中国共産党は幹部人事制度をたえず改革し、幹部人事活動の科学化、民主化、制度化の推進に努めている。

一は科学的な幹部選抜・登用と監督・管理メカニズムを構築し、健全にする。2002年、中国共産党中央は「党政府指導幹部選抜任用工作条例」を公布し、指導幹部選抜任用の各段階の活動に対し全面的規定を行って、同活動を完全なものにするようにしている。

二は公開に選抜し、競争によって職務につく制度を推進する。「党政府指導幹部選抜任用工作条例」および2004年に中国共産党中央委員会弁公庁の公布した「党政府指導幹部公開選抜工作暫定規定」、「党政府機関の競争による職務就任に関する暫定規定」は、公開選抜と競争による職務就任の適用範囲、選抜プロセス、試験・考察方法、規律と監督などについて明確な規定を行い、同活動の経常化、制度化を推し進めた。

三は党委員会の幹部選抜・任用に対する民主的決定メカニズムを完全なものにする。2004年、中国共産党中央は経験総括を踏まえて、「党の地方委員会全体会議の一級下の党委員会、政府の指導グループの正職の候補人選と推薦人選の表決規則」を公布した。同規則は、市(地区、自治州、盟)、県(市、区、旗)の党委員会、政府の指導グループの正職の候補人選と推薦人選は、一般には一級上の党委員会常務委員会が指名するとともに全体会議に提出し、無記名投票で表決すべきであるが、党委員会の閉会期間に任用する必要がある場合は、党委員会委員の意見を聴取すべきである。

四は国家公務員制度を推し広める。「国家公務員暫定条例」は1993年10月から実施を始め、多くの資質がよく、年齢が若く、学歴が高い優秀な人材は公開試験、優秀者優先採用の方法を通じて国家公務員になった。2005年4月、全国人民代表大会常務委員会は「中華人民共和国公務員法」を審議、可決し、2006年1月から正式に実施することを決めた。同法の公布、実施は、幹部人事工作の科学化、民主化、制度化を推し進める重要な措置であり、法による国家管理の政策を貫徹し、社会主義の民主政治建設を推し進める上で重要な意義がある。

(四)権力に対する制約と監督を強化する

中国共産党は構造が合理的で、配置が科学的であり、手続きが厳密で、制約が効果的な権力運行メカニズムを構築する目標に従って、権力に対する制約制度の確立を幹部に対する効果的監督と結びつけている。一は指導機関、指導幹部、とりわけ各クラス指導グループの主要責任者に対する監督を強化する。それには民主集中制および指導グループ議事規則の実行状況、指導幹部の重要な事項の報告、職務遂行と廉潔活動の報告、民主的評議、談話と勧告、組織の問い合わせ書簡への返書などの制度の実行状況に対する監督が含まれている。二は重点的な段階と部位の権力行使に対する監督を強化する。それには幹部の選抜・任用、財政資金の使用に対する監督および国有資産と金融に対する監督・管理などが含まれている。三は各監督主体に役割を十分に発揮させ、監督の全体的効能を高める。それには党内監督強化、人民代表大会の監督、政府専門機関の監督、司法監督、政治協商会議の民主的監督、世論監督に対する支持と保証などが含まれている。

長期にわたるたゆまぬ努力を経て、中国共産党は中国の国情にかなった、権力を制約、監督し、腐敗に反対し、廉潔を提唱する制度、メカニズム、方法を初歩的に探し当てた。2005年1月、中国共産党中央は「教育、制度、監督をともに重視する腐敗懲罰・予防システムの確立・整備に関する実施綱要」を公布し、根本的問題と枝葉の問題を同時に解決し、総合的に整備し、処罰と予防を同時に行い、予防を重視する方針に従って、教育、制度、監督をともに重視する腐敗懲罰・予防システムの確立・整備に対し全面的な配置を行った。

ここ数年来、中国共産党は民主集中制の原則にのっとって、党務公開を徐々に推し進め、党内情況通報、重要な決定についての意見聴取、指導幹部の重要な事項に関する報告と所得申告などの制度を確立し、完全なものにし、腐敗反対・廉潔提唱活動で制度に重要な役割を十分に発揮させている。中国共産党は腐敗反対の制度化・法制化建設をいちだんと強化し、腐敗反対の指導システムと運行メカニズムをたえず完全なものにし、腐敗反対・廉潔提唱の法規制度建設の総体的企画と中・長期計画を制定し、制度と法律によって権力の行使をよりよく規範化させる。国家立法機関の廉潔立法を加速し、腐敗反対の専門法律を検討、制定し、刑法、刑事訴訟法など関係法律の規定を改正、整備する。腐敗現象を生む土壌と条件を減らし、取り除くため、幹部人事制度、司法体制、行政審査認可制度の改革および財政金融体制、投資体制、国有資産に対する監督・管理などの改革を引き続き深化させる。

中国共産党は党員幹部の規律・法律違反事件を厳しく取り調べ、処分し、腐敗分子を断固として一掃し、処罰している。2003年12月から2004年11月にかけて、各クラスの規律検査・監察機関は合わせて16万2032件を立件し、16万602件の審査を終了し、16万4831人に党と行政の紀律処分を与えた。その中に県(処)クラスの幹部が5916人、庁(局)クラスの幹部が415人、省(部)クラスの幹部が15人ある。犯罪の容疑があるため司法機関に移送されたものは4775人で、党と行政の紀律処分を受けた人員総数の2.9%を占めた。

九、政府の民主

中国政府は人民の政府である。人民に奉仕し、人民に対し責任を負い、人民が主人公になる権利を行使するのを支持、保証することは、中国政府の全活動の根本的宗旨である。改革・開放以来、特にここ数年来、中国の各クラス政府は民主的執政の要求に基づき、「行為が規範化し、協調して運営される、公正透明で廉潔高効率の行政管理体制を形成する」目標をめぐって、行政能力の向上に力を入れている。2005年2月に改正、公布された「国務院活動規則」は、科学的、民主的に政策決定を行い、法によって政務を処理し、行政監督を強化する民主的精神を十分に具現している。

(一)法による行政を推進する

1999年11月、国務院は「法による行政の全面的推進に関する決定」を公布し、法による行政の任務と要求を明らかにした。2004年3月は「法による行政の全面的推進の実施綱要」を印刷、配布し、約10年の時間を使って法治政府を建設する目標を基本的に実現させることを提出した。2004年7月1日、「中華人民共和国行政許可法」が正式に実施された。同法は合理と合法、効率と便民、監督と責任の原則にのっとって、行政許可の一連の原則と制度を確立し、政府に法による行政を要求すると同時に、政府の権力行使の民主的内包を突出させた。

――政府の立法活動を強化する。1978年以来、中国国務院は法に基づいて全国人民代表大会常務委員会に数百件の法律議案を提出し、650件余りの現在実施している有効な行政法規を制定した。ここ数年来、中国政府は人を本とし、人民のために執政することを堅持し、人民大衆の切実な利益に直接かかわる立法を非常に重視し、経済・社会事業の全面的協調的発展を促進してきた。国務院は前後して安全生産法(案)、伝染病予防治療法(修正案)、公務員法(案)などの審議を全国人民代表大会常務委員会に要請し、失業保険条例、都市住民最低生活保障条例、労働保障監察条例、宗教事務条例、労働災害保険条例、都市部の生活のあてのない流浪者・乞食救助管理規則、婚姻登録条例、法律援助条例、道路交通安全法実施条例などの行政法規を公布したかまたは改正して公布した。法律を制定する時に社会の困難な大衆に対する配慮を十分に体現して、政府の行政により多くの人文的関心を体現させている。2005年、国務院は「投書陳情条例」を改めて改正して公布し、法によって公民の批判、提案、上申、告訴、摘発の権利を保障し、政府の投書陳情処理の責任を重くし、権力と責任を結びつけ、人民の便宜をはかるため公開に行い、公民の権利を保障する精神を際立たせた。

――行政執法を改善する。中国政府は厳格に法定の権限と手続きに従って職権を行使し、行政執法責任制を全面的に推し進め、執法過程における誤りの責任を厳格に追及し、執法要員の法による行政の意識をたえず強化し、執法の随意性を減少、杜絶することを強調し、行政のための執法の過程では法によって当事者および利害関係者の権益を保障するように気を配り、行政執法が大衆の利益を損ない、職権で私利をはかるなど各種の違法行為を断固として是正し、厳格な執法、公正な執法、文明な執法を確実にやるようにしている。ここ数年来、政府は都市部の家屋立ち退き、農村の土地の徴用と収用などの面に現れた大衆の権益を侵害する違法行政行為を断固として是正し、厳粛に処理した。

――行政監督制度を整備する。中国政府は人民代表大会、政治協商会議、司法、世論、大衆の監督を受け入れると同時に、一連の行政監督制度をも確立、整備している。一は行政の政策決定の責任を追及する制度を確立する。「政策決定者が責任を負う」原則にのっとって、権限を越え、手続きに違反して政策決定を行って重大な損失をもたらした場合、政策決定者の責任を厳粛に追及する。二は行政責任追及制を推し進め、政府官員の不法行政行為を追及する。三は行政再議制度および規則、規範的文書の登録審査制度を実行し、所属部門と下級政府の法に厳格に基づく行政を適時に効果的に監督する。四は会計検査、監査などの専門監督を強化する。国家会計検査署は中央財政予算の執行状況およびその他の財政収支情況に対し真剣な会計検査を行い、全国人民代表大会常務委員会と国務院に報告するとともに、財政・財務法規に違反した問題に対し会計検査処理決定を行う。2005年、中国は省(部)クラス指導幹部の経済責任に対し引き続き会計検査を行うと同時に、経済責任に対する会計検査の範囲を庁(局)クラスの指導幹部に拡大することを決定した。

(二)政府の機能転換を加速する

中国政府は民主的行政の要求に基づいて、政府の機構改革と機能転換を加速し、行政管理体制と制度の改革を大いに推し進め、行政効率の向上に力を入れ、廉潔、高効率、実務的政府の建設に努めている。

――法によって政府の管理機能を定める。およそ公民や法人またはその他の組織が自主的に解決でき、市場競争メカニズムが調節でき、業種組織または仲介機構が自律メカニズムで調整できることに対し、行政機関は行政管理を通じて解決してはならない原則にのっとって、政府と企業、政府と市場、政府と社会の関係をちくじ整理し、政府が管理すべきでないことをちくじ企業、市場と社会に任せるようにする。

――行政審査認可制度の改革を深化させる。行政審査認可が多すぎる問題を解決し、根本からの腐敗防止に努めるため、中国政府は行政審査認可制度の改革を大いに推し進め、行政審査認可事項を全面的に整理し、その情況に基づいてそれぞれ取り消しするかあるいは調整した。2002年から2004年にかけて、国務院は3回に分けて1806件の行政審査認可事項の取り消しと調整を発表した。2004年末現在、国務院所属部門の審査認可事項は50.1%減少した。同時に、地方政府も行政審査認可事項を大幅に減らし、行政審査認可行為を規範化させている。今後、中国政府は引き続き行政審査認可制度改革を深化させ、審査認可の方式を改善し、後続の監督・管理を強化し、科学的、合理的な行政管理・監督メカニズムを構築する。

――社会管理と公共サービスを強化する。中国政府は社会管理システムと管理枠組みの整備、社会秩序と社会安定の維持、社会公正の促進に努めている。各種の突発的事件に対応する能力をたえず高めるため、国務院は「突発的公衆衛生事件応急条例」、「地質災害防除条例」などの行政法規を公布し、「突発的公共事件に関する国の総体的応急対策」など106件の応急対策を制定した。公共サービス型政府を建設するため、中国政府は社会の要請に応えることをいっそう重視し、公共政策と公共サービスシステムをちくじ健全にし、整備し、教育、科学技術、文化、医療・衛生などの社会事業に対する財政支持を強化し、一部の公共製品とサービスの市場化を積極的かつ妥当に推し進めている。

(三)科学的、民主的政策決定を実行する

中国政府はたえず政策決定メカニズムを改革、整備し、政策決定の科学化、民主化の推進に努め、各種の形式を通じて政府の政策決定への公衆の効果的参与を支持、拡大している。

――政務公開制度を確立する。中国政府は各クラスの政府部門に対し、その処理する行政事項を公開できるものをすべて社会に公開して、政府活動の透明度を高め、政府活動に対する人民大衆の了解権、参与権、監督権を保障するよう要求している。中国政府は特に学校、病院および水道、電気、ガス、公共交通など人民大衆の利益と密接な関係のある公共部門と機構が事務公開制度を全面的に推進するよう要求している。ここ数年来、政府ポータルサイトを窓口とする電子政務の普及、政府スポークスマン制度と突発事件報道メカニズムの構築、健全化などを通じて、政府活動の透明度はたえず高くなっている。政務公開の規範化に制度の保障を提供するため、中国政府は目下政務管理透明度向上に関する法規を制定中である。

――政府の法律制定への公衆の参与を拡大する。中国政府はメディアを通じての法案発表、専門家の諮問と論証、座談会と公聴会の開催など多種の方式を通じて、政府の法律制定公開化を加速し、政府の法律制定への公衆の効果的参与を保証している。経験総括を踏まえて、「法による行政の全面的推進の実施綱要」は関係制度とメカニズムについて規定を行い、完全なものにし、政府の法律制定が真に衆知を集め、有益な意見を広く吸収して、民意を体現するのを保証するように努めている。

――専門家による諮問・論証・評価制度を確立する。中国の各クラス政府は重要な政策を制定する時、専門家の意見を真剣に聴取し、取り入れている。ここ数年来、政策決定に知力の支持を提供するため、国は専門家たちに、国の中長期科学技術発展企画、農業科学技術発展企画、中国の持続可能な水資源開発戦略、公衆衛生建設企画などを含む若干の重要な発展戦略の研究レポートを作成した。国務院も行政法規を制定または改正する過程で、専門家の意見を広く聴取、吸収して、実際に合致し、いっそう実施しやすいように努めている。

――社会公聴と公示制度を確立する。社会公聴と公示はちくじ各クラスの政府が政策決定を行う時よくとる方法となっている。立法法、価格法、行政許可法、有料道路管理条例などの法律・法規は公聴を経て明確な規定を行っており、一部の地方政府も行政決定の意見聴取について規則を制定した。2002年1月、政府の関係部門ははじめて全国的な行政決定公聴会を開き、「一部旅客列車の乗車券価格に対し政府指導を実行する案」について公聴を行い、社会の大きな関心を集めた。ここ数年来、各地で各種の公聴会が数千回も開かれ、公衆の政府の政策決定に参与する積極性は空前に高まっている。

十、司法の民主

中国の司法体制と制度は、社会主義民主政治制度の重要な構成部分である。長年来、中国はたえず司法体制と活動メカニズムを構築、整備し、司法民主建設を強化し、公正な司法を通じて公民と法人の合法的権益を保障し、社会の公平と正義を実現させるように努めている。

中国は人民代表大会の下に専門の裁判機関と検察機関を設立し、裁判機関と検察機関を分離する司法体制を実行している。この司法体制は人民が主人公になる社会主義制度の性質を体現し、同時に他国の司法体制建設の経験をも参考にしている。中国の司法機関は事実を根拠とし、法律を準縄として、厳格に法によって違法犯罪を処罰し、公民の合法的権益を保障している。

中国の憲法と法律は、人民法院、人民検察院は法によって独立して裁判権と検察権を行使し、人民代表大会に対し責任を負い、人民代表大会の監督を受けるが、行政機関、社会団体、個人の干渉を受けない、司法機関は法定の職権範囲内で独立して活動を行う、司法機関が法により独立して裁判権と検察権を行使することに干渉するいかなる行為も、憲法と法律に違反するものであると規定している。これに基づいて、中国は法院が法により独立して裁判権を行使し、民事・行政・刑事審判を行う制度、検察院が法により独立して検察権を行使し、逮捕許可、公訴提起、控訴、法律実施監督を行う制度を確立した。

人民法院は国の裁判機関として、司法の公正を裁判の宗旨とし、独立して裁判を行う原則にのっとって裁判制度を改革、整備し、裁判活動を通じて犯罪を懲罰し、人民を保護する。刑事裁判では弁護制度を採用し、証拠を重視し、自供を軽信せず、被告の権利を保護するように気を配る。民事裁判では、当事者の権利を保護するように気を配り、公民の民主的権利行使、当事者の民事権利実現のために司法保障を提供する。行政裁判では公民の合法的権利が行政機関の違法行為に侵害されないように保護する。2004年、全国の各クラス地方法院は法によって、刑事案件64万4248件、民事案件430万3744件、行政案件9万2192件の第一審の審理を行った。全国の法院は裁判に確かに誤りがある案件1万6967件の判決をくつがえしたが、年間の効力の発生した判決総数に占める比率は0.34%であった。ここ数年来、人民法院は訴訟プロセスをたえず整備し、公民と法人の合法的権益を保障し、執行が難しいという問題を着実に解決している。

中国の裁判機関は、最高人民法院、地方各クラス人民法院および軍事法院などの専門人民法院があり、2004年末現在の全国の各クラス人民法院と専門人民法院は3548あり、裁判官は19万627人に達している。

人民検察院は国の法律監督機関として、法によって刑事犯罪に打撃を与え、国家公務員の汚職、賄賂、?職などの職務犯罪を取り調べ、処分する職責を担うとともに、法によって訴訟活動に対する法律監督の職責を履行し、司法の公正と法制の統一を擁護している。刑事訴訟に対する法律監督では、立件監督、捜査監督、裁判監督、刑罰執行監督を全面的に実施し、あくまで犯罪懲罰と人権保障を同様に重視している。民事訴訟と行政訴訟に対する監督では、訴訟主体の合法的権益を平等に保護し、法的手続きにひどく違反し、法を曲げて賄賂を働き、実情のために不正を働いて不公平な裁判を招く案件を重点的に監督する。ここ数年来、検察機関は検察活動を全面的に公開し、訴訟参与者権利義務告知制度、事件不起訴、刑事告訴、民事・行政控訴案件の公開審査制度を確立し、弁護士が刑事訴訟で法によって職務を履行する活動メカニズムを構築して、司法の公正を確実に保障している。2004年、検察機関が法によって逮捕すべきでない容疑者に対し逮捕不許可の決定を行った人数は6万8676人、不起訴の決定を行った人数は2万6994人、捜査機関が立件すべきでないのに立件した案件を更正した件数は2699件、控訴を裁定した刑事判決は3063件、控訴を裁定した民事行政判決は1万3218件、再審を提案した件数は4333件、立件して再審する刑事控訴案件は5569件、元処理決定を変えた件数は786件であった。

中国の検察機関は最高人民検察院、地方各クラス人民検察院および軍事検察院などの専門人民検察院があり、2004年末現在の各クラス人民検察院は363あり、検察官は14万77人に達している。

中国の司法は制度と手続上、法律の前ですべての人が平等である、法によって罪を定めるなどの原則を堅持し、審理等級制度、回避制度、公開審理制度、人民陪審員制度、人民監督員制度、弁護士制度、法律援助制度、人民調停制度などの実行を通じて、司法の公正を擁護し、実現させ、人民の民主的権利と公民の合法的権益を保障している。

――公開裁判制度。中国の憲法と関係法律は人民法院の公開裁判制度を規定している。ここ数年来、最高人民法院は各クラスの法院が厳格に法によって公開裁判を行い、開廷、証拠提出、証拠調べ、判決を公開して行うように要求している。各クラスの法院は公開裁判制度をさらに強化し、公開審理すべきでないと法律の定めたものを除き、すべて公開審理を行っている。公開審理する案件は事前に公告し、普通の公民と新聞記者が審理を傍聴するのを認めている。人民法院はまた自ら進んで人民代表大会代表と政治協商会議委員を公開審理の傍聴に招き、人民代表大会代表の司法監督活動と政治協商委員の司法考察活動を保障している。

――人民陪審員制度。新中国の成立初期、国は関係法律の中で人民陪審員制度を規定している。その後、人民法院組織法などの法律は全面的に人民陪審員制度を規定している。2004年8月、全国人民代表大会常務委員会は「人民陪審員制度の整備に関する決定」を可決し、陪審員が裁判に参加する範囲、陪審員の資格、選出、権利と義務などについていちだんと明確な規定を行った。法律と関係規定に基づいて、人民法院は真剣に人民陪審員制度を実行し、司法活動に対する人民大衆の直接参与と監督を確保している。

――人民監督員制度。人民監督員制度を実行し、検察活動を人民大衆の効果的監督の下に置くことは、訴訟民主の要求を体現している。2003年10月から、中国の検察機関は全国の10省(自治区、直轄市)で人民監督員制度の試行を始めた。その後、この改革措置は全国の86%の検察院に拡大された。人民監督員は機関、団体、企業・事業体の推薦で選出され、その主な職責は、検察機関が直接立件して取り調べる案件の中の撤回、不起訴処理の案件および犯罪容疑者が逮捕決定に服しない案件に対し独立して評議し、監督意見を提出することである。同時に招きに応じて人民検察院が職務犯罪案件を取り調べる活動のその他の執法検査活動に参加することもでき、法律・法規違反問題を発見した場合、処理の提案と意見を提出することができる。2004年末現在、全国に人民監督員が1万8962人おり、彼らの監督の下で3341件の案件を結了した。

――弁護士制度。1996年に公布した弁護士法は中国の特色をもつ弁護士制度の基本的枠組みを確立し、司法、行政およびその他の社会活動の面における弁護士の権利と義務について規定を行っている。2004年末現在、中国に業務に従事している弁護士が11万8000人余りおり、弁護士事務所が1万1691ある。弁護士事務所も国有事務所だけの状態から共同経営事務所、国有事務所、合作事務所など多種類の弁護士事務所が同時に存在するまでに発展し、共同経営事務所が総数の68.6%を占めている。また17カ国の148の弁護士事務所の中国駐在事務所が中国国内の営業を認められ、香港特別区も大陸部に48の弁護士事務所を設けている。2004年、全国の弁護士は訴訟案件を150余万件、非訴訟法律事務を80余万件処理した。弁護士制度の確立と健全化により、弁護士は効果的に法律手段を運用して、当事者の合法的権益と法律の正しい実施を維持し、社会の公平と正義を擁護することができるようになった。

――法律援助制度。法律援助は困難のある人たちの合法的権益を保障し、司法の公正を実現させる重要な措置である。中国は1994年から中国の特色をもつ法律援助制度の確立を模索し始めた。刑事訴訟法、弁護士法などの法律に法律援助制度の地位についての規定がある。2003年9月から実施した「法律援助条例」は、法律援助制度の基本的な枠組みを明確にしている。2004年末現在、全国各地に政府の法律援助機構が3023設立され、そのうちの2628の機構が県・区クラスの地方にあり、縦向きは農村に至り、横向きは基本的に各種の困難のある人たちをカバーする法律援助機構ネットワークを初歩的に形成している。全国に法律援助専従者が1万458人おり、そのうちの4768人は職業弁護士である。各クラス政府の財政が法律援助に支出する経費は1999年の1869万元から2004年の2億1712万元へと逐年増加し、年伸び率は212%に達した。現在、中央と省クラス財政の貧困地区の法律援助に対する移転支払い制度が確立されつつある。10年来、全国各地の法律援助機構は弁護士、末端の法律活動関係者、ボランティアを組織して各種の法律援助案件を合わせて110余万件処理し、160余万人に法律援助を提供した。ここ数年来、多くの社会団体、民間組織、法科大学は法律援助活動に参与した。

――人民調停制度。人民調停とは、法によって設立した人民調停委員会の主宰の下で、トラブル当事者の自由意志を基礎とし、国の法律、法規、規則、政策と社会公徳を根拠とし、道理を十分に説き、辛抱強く導くことを通じて、わだかまりをなくし、当事者が紛争解決に合意するように助けることを指す。現在、全国に人民調停委員会が86万余り設立され、人民調停員が660万人にのぼり、年平均各種の民間紛争を約600万件調停し、調停の成功率は95%以上に達している。

法によって国を治め、社会主義の調和のとれた社会を構築する要求にいちだんと適応するため、中国はいま司法の公正をはかり、厳格に法律を執行する要求に基づいて、司法機関の機構設立、職権画分、管理制度を整備し、権利と責任が明確で、互いに協力、制約しあい、高効率に運営する司法システムをいちだんと健全にし、制度の面から裁判機関と検察機関が法により独立して公正に裁判権と検察権を行使するのを保障し、よりよく司法の権威を擁護し、人民大衆の民主的権利と合法的権益を保護し、社会の公平と正義を守っている。

結びの言葉

中国の社会主義民主政治は、世界人口の五分の一を占めるこの東方大国の人民に、自国と社会活動の主人公になり、広範な民主的権利を享有させているが、これは人類の政治文明の発展に対する重要な貢献である。

中国の社会主義民主政治は中国の国情にかない、人民の国家と社会の主人公として国家を建設、管理する積極性、主動性、創造性を十分に発揮して、中国の経済の発展と社会の全面的進歩をたえず推し進めるのを保証している。同時に、中国共産党と中国人民は、中国の社会主義民主政治建設が大きな成果をあげたとはいえ、民主制度がまだ健全ではなく、社会主義市場経済の条件下で主人公として国家と社会事務を管理し、経済と文化事業を管理する人民の権利がいくつかの面でまだ完全に実現されていない、法があってもそれによらず、法律執行が厳格でなく、違法行為を追及しない現象が依然として存在している、官僚主義の作風、腐敗現象が一部の部門と地方で発生し、蔓延している、権力の行使を制約、監督する効果的なメカニズムのいちだんの整備が待たれている、全社会の民主観念と法律意識のいちだんの向上が待たれている、公民の秩序だった政治参与がなお拡大する必要があるといった克服、解決する必要のある問題を多く抱えていることをもはっきりと見てとっている。中国の民主政治建設はまだ長い道を歩まなければならない。これはたえず充実し、発展する歴史的過程である。

人類の政治文明の発展の歴史と現実の情況が物語っているように、世界には唯一の、普遍的に適用する絶対的な民主のパターンが存在しない。ある種の政治制度が民主的であるかどうかを判断する場合、重要なのは、最も広範な人民の願望が十分に反映されているかどうか、その主人公の権利が十分に実現されているかどうか、その合法的権益が十分に保障されているかどうかを見なければならない。

百余年来、中国人民が民主の実現を勝ち取るために行った艱苦の模索と奮闘、特に中国の社会主義民主政治建設の実践の成功を経て、中国共産党と中国人民は、中国の民主政治建設は中国の実際から出発し、自らの実践的経験を総括し、自らの実践の成果を大切にし、同時に他国の政治文明の有益な経験と成果を参考にしなければならないが、決して西側の政治制度のパターンをそのまま模倣してはならないことを深く認識している。

中国の民主政治建設は次の原則に従う。

――中国共産党の指導、人民の主人公化、法による国家管理の有機的統一を堅持する。これは中国が社会主義民主政治を発展させる最も重要で最も根本的な原則である。中国共産党の指導は人民が主人公になり、法によって国を治める根本的保証であり、人民が主人公になることは社会主義民主政治の本質的要求であり、法によって国を治めることは中国共産党が人民を指導して国家を管理する基本的政策である。中国の民主政治建設の実践過程で、この三者の有機的統一を堅持してのみはじめて、中国の民主政治建設が正しい方向を堅持し、社会主義民主政治の制度化、規範化、プロセスを実現させるのを保証することができる。

――社会主義制度の特徴と強みを生かす。中国の社会主義制度の最大の特徴と強みは、中国共産党の指導の下で、各民族人民が主人公になり、社会主義国家を建設する積極性、主動性、創造性を十分に発揮して、社会主義現代化と中華民族の偉大な復興を実現させるために団結して共に奮闘することにある。この特徴と強みを堅持することは、中国人民が自らの運命を掌握し、より麗しい幸福な生活を創出し、富強、民主、文明の現代化国家を建設する根本的保証である。

――社会の安定、経済の発展、人民生活のたえまない向上に役立つ。社会の安定、経済の発展、人民生活のたえまない向上は、人民が主人公になる重要な目的であり、その必要な条件でもある。一国の政治の発展、経済の発展、文化の発展は互いに必要な条件となっている。社会が安定しなければ、経済は順調に発展することができない。発展の目的は、人民に発展の成果を共に享受させることにある。中国共産党と中国政府は動揺せずに経済建設という中心をしっかりつかみ、社会主義民主政治の実現の程度とレベルをたえず高めるためにいっそう豊富な物質的文化的基礎を築くように努力する。

――国家の主権、領土保全、尊厳を守るのに役立つ。中国人民の民主獲得は、初めから国家の主権、領土保全、尊厳を守ることとかたく結びついている。国家の主権を失い、国家の領土保全と尊厳という全人民の共通の利益と根本的利益を守れなければ、中国人民はすでに獲得した民主成果を失うであろう。 

――漸進的な秩序だった発展の客観的法則に合致する。中国の社会主義民主政治建設は人民が主人公になることを実現させる程度とレベルをたえず高める歴史的過程である。完全な民主の形態は簡単にできるものではない。中国共産党と中国人民は確固として変わることなく社会主義の物質文明、政治文明、精神文明と調和のとれた社会建設の全面的協調的発展を推し進め、民主政治建設の新しい情況、新しい問題をたえず検討し、人民が主人公になる新しいメカニズム、新しい方式を模索、創出し、社会主義民主政治発展の客観的法則にしたがって、中国共産党の指導の下で、段階的に、秩序だって社会主義民主を発展させている。

社会主義制度が中国で確立され発展し始めてから数十年しかなく、人類歴史のその他の社会制度と比べて、時間はまだ非常に短いものである。社会主義民主政治をたえず整備し、発展させ、人民に主人公になる権利を日ましに十分に享有、行使させることは、中国共産党と中国人民の確固不動の奮闘の目標である。当面と今後の一時期に、中国共産党と中国政府は政治体制改革を積極的かつ確実に推し進めることに通じて、社会主義民主制度を堅持、整備し、社会主義法制を強化し、健全にし、中国共産党の指導方式と執政方式および政府の政策決定メカニズムを改革し、完全なものにし、行政管理体制と司法体制の改革を推し進め、人事幹部制度の改革を深化させ、権力に対する制約と監督を強化し、社会の安定を擁護し、経済の発展と社会の全面的進歩を促進するように努力する。

中国の特色をもつ社会主義建設が大きな成果をあげて、中国共産党と中国人民は自ら選んだ政治発展の道に対し自信にあふれている。中国経済の発展と社会の進歩に従い、中国の社会主義民主政治はかならずますます完全なものになり、その大きな優越性と強い生命力はますます十分に現れるにちがいないとまったく信ずることができる。今後の歳月に、中国人民はますます多くの政治文明の成果を享有するであろう。