2005 No.45
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第11次5カ年計画、「人を本とする」
理念を深化

10月中旬、北京で閉幕した中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議は「いくらかゆとりのある社会」を全面的に建設するカギとなる時期を迎えて開かれた重要な会議となった。会議は「国民経済と社会発展の第11次5カ年計画の制定に関する中国共産党中央の提言」(以下「提言」と略称)を審議して採択。「提言」は今後5年間の中国の発展に関する青写真を描いている。オブザーバーは「今後の一時期における経済と社会の発展を促す綱領的な文書として『提言』は、将来の発展に大きな影響を及ぼすだろう」と評価している。

一大転換

「提言」は「人を本とする」理念をさらに深化させ、庶民の切実な利益にかかわる改革にさらに関心を寄せ、就業制度や収入分配制度、社会保障制度、医療衛生と教育制度の改革を大々的に進め、改革と発展が全ての人びとに恩恵をもたらすよう強調している。

「人を本とすることを堅持し、全面的かつ調和の取れた持続可能な発展観を樹立し、経済社会と人類の全面的な発展を促進する」方針は、2003年10月に開かれた中国共産党第16期中央委員会第3回全体会議で中国共産党が提唱した科学的発展観を高度な見地から総括したものだ。

国家発展改革委員会の馬凱主任は「科学的発展観はいかに発展するかという問題を解決し、『人を本とする』は誰のために発展するかという問題を明確にしたものだ」と説明する。

さらに馬凱主任は「発展とは成長だけにとどまらず、そこには経済構造の最適化、科学技術レベルの向上、人びとの生活の改善、社会の進歩も含まれており、結局のところ人類の全面的な発展のためである。国内総生産(GDP)は経済成長を反映する重要な指標だが、発展が内包するものを全面的に反映することはできない。指導的な考え方として、経済成長自体を最終目的とすれば、GDPとその成長率が過大に重視されて、おのずと就業の拡大や農民の収入増、公共サービスの健全化、資源環境の保護といった人類の全面的な発展、社会の持続可能な発展に緊密に関連する問題は軽視されることになる。仕事を進める上で実情にそぐわない高い指標を定める、これが一部産業の盲目的な投資や不合理な重複建設といった問題をもたらしている重大な原因だ」と指摘。

その上で馬凱主任は「正しい発展観を樹立するには、発展が内包するものを全面的に把握することが必要だ。発展を促進する政策としては、住民の収入増や就業の拡大、庶民の切実な利益に関連する問題の解決を最優先にしなければならない。構造を調整する政策としては、産業や製品構造の調整を推進するだけでなく、就業構造の調整も促進すべきだ。収入を分配する政策としては、経済の急成長の促進にプラスになるだけではなく、幅広い庶民に経済の急成長の成果を共有させることが肝要だ」と強調する。

経済倫理学者の姚軒鴿氏は「『人を本とする』新たな発展観の最終目的は、人と人のつながり、人と社会のつながり、人と自然のつながり、人と価値のつながりを再構築するものだ」と述べると同時に、「『人を本とする』は人類の特徴や実情に立って、全ての制度の策定と政策的措置に人間性を体現させると共に、人の情を考慮し、人権を尊重し、人類の自由と全面的な発展を最終的な帰結とするものだ」と指摘している。

5年前の中国共産党第15期中央委員会第5回全体会議では、「都市と農村部住民の物質的、文化的生活レベルを絶えず高めることが、経済を発展させる出発点と帰結である」との考え方が提起された。それから5年後の第16期中央委員会第5回全体会議では、「人を本とする」理念が強調され、政治と経済、文化、社会発展の面で様々な新しい構想が打ち出された。第11次5カ年計画策定の出発点は、物質的な成長を重視する姿勢から人類の発展をより重視する方向へと転換した。

科学的発展観の核心

2003年4月15日、胡錦涛総書記は広東省を視察した際、「全面的な発展観を堅持しなければならない」と強調した。その年の7月28日には、全国新型肺炎予防・治療会議で「調和の取れた発展と全面的な発展、持続可能な発展という発展観をよりしっかりと堅持していかなければならない」と指摘。中国共産党の最高指導者が科学的な発展観という概念を明確に提起したのは初めてだ。

同年10月中旬の中国共産党第16期中央委員会第3回全体会議では、「人を本とし、全面的かつ調和の取れた持続可能な発展観を堅持し、経済社会と人類の全面的な発展を促進する」方針が明確に打ち出された。同時に「統一された都市・農村部の発展、経済社会の発展、人類と自然の調和の取れた発展、国内の発展と対外開放の要求に基づいて改革と発展を推進する」ことが強調された。

3年前の第16回中国共産党大会で打ち出された「人類の全面的な発展を促進する」と、第16期中央委員会第3回全体会議で提起された「人を本とする」重要な考え方から、中国共産党が幅広い庶民の根本的利益を実現し、擁護し、発展させることを全ての政策決定と措置の中心に置いていることが見て取れる。

専門家は「『人を本とする』は、科学的発展観の本質と核心であり、経済社会が各方面で発展していく上で重要な意義を持っている。『人を本とする』理念は、各地方政府の政治面での業績観、利益観、地位観に深い影響を及ぼすだけではなく、社会の様々な面で幅広い変化を引き起こすだろう」と予測している。

調和の取れた社会を

中国は現在、経済と社会の転換期にあるため、様々な社会問題に直面するのは避けられないことだ。収入の格差拡大が関心を集めるようになり、人びとの利益の侵害も頻発して珍しくことではなくなった。「提言」は社会主義の調和の取れた社会の構築を第11次5カ年計画期間中の経済社会発展の重要な目標の1つに定めており、庶民の最も関心のある問題や切実な利益に関する問題についても具体的な解決方法を打ち出した。

「提言」はまた、低所得者の収入水準を引き上げ、中所得者の比重を徐々に高め、過度に多い収入を有効的に調整し、個人所得の分配秩序を適正化することで地域間、また一部住民の間の収入格差の拡大傾向に歯止めかけることに努めると明確に定めた。

農業部農村経済研究センターの宋洪遠副主任は「中国は現在、世界でも収入の格差が最も大きい国であり、特に都市と農村部の格差、つまり工業と農業の格差、次に各階層間の格差、さらに地域間、業種間でも目立っている」と指摘する。

「提言」は社会主義の調和の取れた社会の建設について、「社会建設の強化と共に、社会管理システムも改善しなければならない。同時に、就業を拡大し、社会保障システムを完備し、分配関係を整備し、社会事業の発展を重視することも必要だ。また庶民が最も関心を持ち、最も直接的かつ最も現実的な利益に関わる問題を真しに解決しなければならない」と指摘している。

中国共産党第16期中央委員会と第4回、第5回党大会で社会主義の調和の取れた社会を建設する要求や任務、一連の構想と措置が打ち出されたことから、こうした考え方は絶えず深まっており、徐々に運営と実践という新たな段階を迎えつつある。

先ごろ新華社は「第5回党大会は民主法治、公平と正義、誠実と友愛、溢れる活気、安定した秩序、人と自然との調和の取れた共存という6つの側面から、調和の取れた社会建設に関して全面的な計画を策定した。これは中国共産党が科学的発展観を指導に、国情や民情を深く洞察して策定した重要な事業計画である。中国の特色ある社会主義事業が経済と政治、文化という三位一体から、経済と政治、文化、社会という四位一体へと発展するに伴い、共産党政権の規律と社会主義建設の規則、人類社会発展の規則に対する中国共産党の認識も新たな段階に達しつつある」との論評を発表している。