2005 No.48
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王毅大使、現在の中日関係について語る

中国の王毅駐日大使は11月24日、日本の外国人記者クラブで記者会見を行い、主に中日関係について話した。各国の駐在報道機関や日本の大手マスコミなどの代表約200人が会見に出席した。王大使と記者との一問一答は次の通り。

――現在、中日関係は多くの問題に直面しているが、中国はこれをどう見るか。

中国は善隣友好の対日政策を実行している。中国の指導者は、「中日共同声明」など3つの政治文書を前提に「平和共存、代々の友好、互恵協力、共同発展」を実現したいという希望を明確に表明している。だが遺憾なのは、靖国神社参拝をはじめとする歴史認識問題が、両国関係の健全な発展をなお妨げていることだ。

靖国神社問題の核心は、A級戦犯を祭っていることにある。A級戦犯は、当時日本が対外侵略戦争を発動し、指揮したことの象徴であり、国際法廷が認めた戦争犯罪者だ。そしてA級戦犯を祭っている靖国神社は、今でもまだ東京裁判の合法性に挑戦し、A級戦犯は無罪だと公言し、大東亜戦争は自衛によるもので、太平洋戦争は米国などに追い込まれた結果だと公言している。このことから、A級戦犯の問題にいかに対応し、処理するかは、すでに完全に日本の内政ではなくなっており、中日国交回復の政治的基礎や、日本の戦後再建の出発点、そして第2次大戦後に形成された国際秩序などに関わってきている。同時に、この問題は日本と中国の間の問題あるだけでなく、日本とアジアの全ての被害国との間の問題、さらに日本と国際社会の間の問題でもある。

中華民族は寛大だ。第1次大戦後、われわれは拘束した戦犯を釈放し、日本への賠償請求を放棄し、日本の一般市民が神社で自身の親族を祭ることにも異議を唱えなかった。だが、日本の指導者がA級戦犯を祭った神社で「敬意」を示せば、それは中国の国民の感情を深刻に傷つけ、中日国交回復の政治的基礎を損なうことになり、中国側が受け入れがたいことなのは明らかだ。

中国の立場は一貫している。A級戦犯が同神社に祭られていることが明らかになってから、われわれはずっと日本の指導者が参拝することに反対してきた。1986年、日本の内閣官房長官が日本政府を代表して談話を発表し、日本は必ず国際関係を重視し、周辺国の国民の感情に配慮すると強調。総合的な考慮により内閣総理大臣による靖国神社参拝を放棄すると表明した。当時から現在まで約20年が過ぎたが、日本は歴史問題において引き続き前進しなくてはならず、後退してはならない。だが現在の現実を見て問わずにいられないことは、当時の日本政府の立場はまだ有効なのか、ということだ。あるいは、日本はなぜ既存の立場を覆すのか、ということだ。国同士のつきあいで最も重要なことは、やはり約束を守るということだ。

――中日間にあれこれ問題が存在しているが、両国の指導者は他国のように相互訪問や会談を行うことができるのか。

中日両国は隣国同士だ。われわれはこれまで、両国の指導者の相互訪問や会談の実現を望んできた。だが、このような接触は対面のための対面ではなく、また外部に見せるためだけであってはならない。両国の政治関係が正常と言えない現状の中で、会談は、問題解決の促進に役立ち、両国関係における政治的障害の克服に役立ち、双方の相互理解増進に役立ち、両国の国民の支持と歓迎を得るのに役立つものでなくてはならない。

――中日間の国民感情が悪化している原因は、「反日教育」にあるのではないか。

中国は他の国のように愛国主義教育はあるが、ある特定の国に反対するような教育は決してない。今は情報化社会であり、中国の民衆は日本の歴史を知っているだけでなく、それ以上に現在のことも知っている。中国の民衆が日本の戦後の平和発展を知らないという言い方は、事実ではない。現在の問題は、日本の戦後の平和発展を知れば知るほど、現在日本で起こっていることが理解しにくくなることだ。

――中日両国は論争を留保し、東中国海を共同開発することができるか。

中日双方はともに、東中国海が平和の海、協力の海となることを望んでいる。このために中国は、東中国海の境界画定作業をできるだけ早く開始することを提案し、画定完了までは東中国海の資源を日本と共同開発したいと考える。両国は現在、東中国海問題に関する交渉で、この方向に向かって努力している。

私がはっきりさせたいのは、いわゆる「中間線」が日本の一方的な主張にすぎず、双方が交渉した結果ではなく、ましてや実際の海上国境ではないということだ。中国側の関連企業が現在行っている石油・天然ガス田開発については、双方の論争のない海域で行っているものであり、しかも日本が一方的に主張する「中間線」の外側だ。

――東アジアフォーラムが間もなく開かれるが、中日両国は東アジア協力をともに推進することができるのか。

地域協力については、中日両国はそれぞれ長所を持ち、完全に各自の優位性を発揮することができ、東アジア協力ひいてはアジア一体化プロセスをともに推進することができる。この問題について、私は、中日間に競争や対立が存在するという説には同意しない。われわれは常に、日本がアジアの発展と繁栄により積極的な役割を果たすことを歓迎する。もし中日関係が健全な発展の道に戻ることができれば、両国の地域問題での協調と協力にさらに幅広い将来性が生まれる。これは双方の利益に合致するだけでなく、東アジアと国際社会からも歓迎されるだろう。

――中国は朝鮮やアジア隣国との関係をどう処理するか。

中国はすべての隣国に対し「隣と善をなして隣を伴となす(隣国との善隣関係やパートナーシップを重視する)」という善隣友好政策を遂行している。朝鮮も当然その中に含まれる。中国はかねてより他国の内政に干渉したことはなく、朝鮮に対しても同様だ。中国は一貫して伝統的友好国との関係を重視しており、困難に面した時には援助の手を差し伸べてきた。中朝間でもそのような協力を進めている。

――米国が意図的にアジア各国を煽り中国を標的とする包囲網を形成させ、中国を抑え込んでいるとして、中米間に「新たな冷戦」が出現する可能性を指摘する論評が、少なからずある。これをどう見るか。

中米関係は決してそのような悲観的なものではない。事実、両国に共同する利益はたゆまず増え続けており、米国が最も重視するテロ対策・不拡散・経済成長維持の3分野で、両国は効果的な協力を進めている。これも中国の利益に合致するからだ。中米関係に最も影響を及ぼす可能性のある台湾関連問題においても、両国は「台湾独立」に反対し、台湾海峡の安定の維持を望むという共通点を見出している。

米国政府が中国の抑制と包囲を公言していると聞いたことはない。反対に、米国の指導者は「より自信を持ち、平和で繁栄する中国を見たい」と何度も公言している。中国も当然、抑制されたり包囲されるような国ではない。こうした論法に共鳴するアジアの国もないと信じる。

両国はアジア問題においても対話と協力を展開している。米国高官は最近、アジアにおける中国の利益を尊重すると公に表明した。中国もまた、本地域における米国の伝統的影響力と現実的利益を尊重する考えだ。両国は相互尊重を基礎として、本地域の平和と安定の維持に努力していくだろう。

――在日米軍の再編問題についてはどう見るか。

それは日米間の問題だ。同時に隣国として、われわれも自然と関心を寄せている。日米軍事同盟がその矛先を他国に向けるのなら、当然問題を引き起こすだろう。

「人民網日本語版」2005年11月25日