2005 No.51
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斬新な結婚式が若者に人気

――結婚式は中国人の生活の中でずっと重要な存在を占めてきた。古代中国では、婚礼の儀式は民族文化の色彩が濃厚で、式次第もかなり厳格だった。だが、今日では若い人にとって、結婚式では様々な演出を凝らした斬新さを選択するのが時流となっている。

呂?

北京の日系IT企業に勤めるAさん。9月に結婚式を挙げた。彼女への愛の深さを表そうと、28羽のチョウチョウを予約。会場で彼女が箱を開けると、美しいチョウが舞い上がった。新婦の指先に止まるチョウ、新婦の周りを飛び続けるチョウ……。新婦や出席者から感嘆の声が上がり、雰囲気は最高潮に達した。

Aさん言う。「こうした演出をしたのは、チョウチョウは“一夫一婦制”を最後まで維持し、吉祥で美しさの象徴。深い愛情と幸せで円満な結婚生活を意味しているからだ」

漢族の伝統的な結婚式を大別すると3つ部分からなる。まず「迎親」。新郎は新婦を家まで迎えに行く。次に「拝堂」。新婦は家を出た後、天と地の神、新郎の祖先や舅と姑、夫に拝礼する。そして「閙房」。新婚夫婦は結婚式当日の夜、新居で祝いに来る親戚や友人を迎える。地域によって、さらに独自の風俗がある。

北京亜太華茂文化交流有限公司の董安剛社長はブライダル産業市場に参入して以来、中国の婚礼風俗について数多くの調査・研究を行ってきた。董社長によると、1950、60年代に提唱されたのは、倹約質素な「革命的結婚式」。非常に簡単で、儀式というものは何もない。70年代に入ると、家で式を挙げるようになる。新郎は中山服(詰襟式の洋服)、新婦は赤色のセーターを着て、祝いに来る親戚や友人を迎える。80、90年代になると、ホテルやレストランが会場に。式は司会者によって進められ、出席者は会食し、新郎は車を借りて新婦を迎に行く。結婚式前に、様々な婚礼衣装に身を包んで写真を撮ってアルバムを作製したり、新婚旅行に出かけたりするのは、経済的に恵まれたカップルだった。同時かなり流行していた。90年代から現在に至り、生活水準の向上や精神的なものへの追求から、結婚式は「百花斉放の時代」を迎える。

個性とロマンへのこだわり

現在の若者が求めるのは、従来型の結婚式ではなく、個性とロマンだ。他人とは異なる、独自の結婚式を演出する若者が増えている。水上結婚式や熱気球結婚式、教会でのロウソク結婚式、海底潜水結婚式などだ。

瀋陽建築大学教員のBさん。10月30日に上空1万メートルを飛行中の旅客機の中で結婚式を挙げた。応募した150組のカップルの中から幸運にも選ばれたという。スチュワーデスは唐代の民族衣装に身を包み、式は司会者が伝統的な式次第に沿って進められた。乗り合わせた乗客が二人の空中結婚式の“証人”だ。

董社長は、新郎新婦を主役に見立てて、恋愛の過程を再現したビデオを作製し、結婚式場で放映するサービスを始めた。これを利用して結婚式を挙げたあるカップルの話は感動的だ。新郎のCさんは民族大学の大学院生。新婦のDさんは清華大学の卒業生。山間部での教育支援活動に参加していた時に知り合ったという。当時はSARSが蔓延し、二人がいた村が感染地区として封鎖された時に突然、Cさんが高熱で倒れた。誰もが危険と隣り合わせにあった。Dさんは感染を恐れず、毅然として完治するまでCさんを看病した。愛し合うようになったのは、これがきっかけだ。こうした感動的な場面が、二人が主役になってスクリーンに再現されると、出席者の誰もが涙を流した。董社長は式後、新郎新婦の父母や家族、友人から「素晴らしい思い出となる結婚式となった」「両家の距離が近くなった」「友人として理解が深まった」と感謝されたという。

その一方、集団結婚式も人気だ。民間に伝わる梁山伯と祝英台の悲恋物語で知られる浙江省寧波市。同市は1999年からこの物語にちなんだ集団結婚式を開催してきた。貧しい家の書生、梁山伯は豪族の娘の祝英台と知り合い、二人は愛を深めていく。だが、祝家の家長は梁山伯の貧しい境遇を忌み嫌い、娘を富豪の息子に嫁がせようとする。これを知った梁山伯は、鬱々たる日々を送るうちに亡くなる。嫁ぐその日、祝英台は乗った籠が梁山伯の墓の傍を通ると、籠から下りて梁山伯を慕って号泣した。すると突然、墓が裂け、祝英台は墓のなかに身を投げた。その後、墓から金と真っ白な2羽の蝶々が飛び出し、一緒に舞い上がった。この蝶々は二人の化身だと伝えられている。

第1回「梁祝結婚風俗祭」には全国から約百組の新婚カップル、数百組の既婚カップルが招待されて参加。華麗に彩られた大型の山車が繰り出すなど、20万人近くが同市の過去最大規模の婚礼行事を楽しんだ。

こうした集団結婚式は国内では少なくない。黒竜江省ハルビン市では、国際氷雪フェスティバルの一環として氷上集団結婚式が行われてきた。この20数年来、様式の斬新さと独特の魅力に引かれて各地から新婚カップルが参加。純潔の氷と雪が愛情の神聖さとロマンの証になるのかも知れない。

もちろん、婚礼は若者だけの専有物ではない。当時、経済的にゆとりがなく貧弱な結婚式しか挙げられなかったために、改めて結婚式を挙げたり、結婚アルバムを作製したりする年配者も多い。

伝統的結婚式への回帰

結婚式の様式の選択肢は増えたものの、伝統的な中国式結婚式が完全に忘れ去られたわけではない。伝統的な文化が次第に再評価されるにつれ、一部都市では中国式結婚式に再び人気が出てきた。馬に乗って新婦を迎える、籠に乗って新郎の家に行く、天地の神に拝礼する、互いに腕を交わして祝いの酒を飲む……。今では映画やテレビの中でしか見られないこうした中国式の古典的な婚礼の情景は、東洋の文化的な香りに溢れ、祝賀の雰囲気と趣のある様式が一体化されている。そこに多くの若者が引かれるのでは。

瀋陽市のEさんは8月28日、中国伝統の結婚式を挙げた。古代の衣装をまとって「迎親」。馬に乗ったEさんの前後には獅子舞いとドラを鳴らす人たちが。クラシックなスタイルと行き交うバスに、高層ビルが織り成すコントラストに多く市民が目を奪われた。

ブライダル会社によると現在、新婚カップルのうち3割が中国式結婚式を選択するという。ある若者は「友人の結婚式を見て、派手だが、特色に欠けているように感じた。やはり伝統的なほうが、賑やかだし、祝いの雰囲気があって盛り上がる。親しみのある雰囲気の中で、二人が永遠に心を同じくする気持ちになれるし、民族の文化や伝統を本当に表現できると思う」と話す。