2006 No.01
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2005年の十大経済ニュース

外国金融機関に人民元債券の発行を認可

財政部は第1・四半期から、世界銀行が所管する国際金融公社(IFC)、アジア開発銀行(ADB)と日本の国際協力銀行3行の国際金融機関に対し、国内での総額40億元にのぼる人民元債券の発行を認可した。

外国金融機関に人民元債券を発行する権限を与えたのは今回が初めて。政府の資本市場の安定的開放に向けた積極姿勢を示すものだ。

外国金融機関による人民元債券発行の認可は、中国の資本市場にプラスの影響を及ぼすだろう。国際資本市場での中国の信用と影響力は拡大し、投資家の中国経済の発展への自信が増強されると同時に、資本市場の構造を改善し、債券発行の先進的なノウハウを導入するとともに、債券市場の国際化を加速できる。

これに伴い、今後は資本流出規制の緩和が金融当局の課題となる。

人民元、緩やかな切り上げ

中国人民銀行は7月21日、緩やかな形で人民元の為替レートを変動させることを認可した。人民元為替レートの形成メカニズムは、米ドルへの単一ペッグ制から通貨バスケット制へと移行するとともに変動幅も拡大され、弾力性に富んだメカニズムとなった。これは中国全体の開放の拡大を意味しており、同時に国際為替レートの変動は改革を進める中国の金融業に影響を及ぼすことになるだろう。

これを受けて人民元の対ドル為替レートは上昇し、11月24日には基準値8.0805ドルの新高値を記録。人民元の切り上げで輸出全体に大きな影響はなく、世界の国際収支不均衡という不安定な現状もいくらか緩和された。

建設銀、香港証取所に上場

中国建設銀行は10月27日午前、香港証券取引所に上場した。国務院が国有単独出資商業銀行を対象にした株式制の実施を決定して2年来、株式を公開発行する上場を果たしたのは建設銀が初めて。また、初の公募(IPO)で79億8000万ドルにのぼる資金調達額はこの4年間で世界最大規模となる。国有商業銀行の海外市場への上場は、諸説紛々あった世論や憶測が現実化したものであり、上場準備中のその他の国有銀行が参考するうえでプラスとなる。

郭樹清・建設銀行々長が語るように、建設銀の上場は銀行体制改革の第一歩にすぎない。金融業を世界に開放し、国外の戦略投資家を引き付けることで、現在の銀行業の構造調整や、メカニズムや内部監査、融資、リスク評価に関する技術や考え方が変化するだけでなく、銀行業の枠組みも変わり、効果ある金融市場競争がもたらされることになる。

多難だった繊維製品の輸出

2005年は繊維製品の輸出にとって多難な1年だった。世界的に繊維製品の割当額が撤廃された1年目、欧米などの貿易相手国が中国製品に対し頻繁に緊急輸入制限(セーフガード)を発動したため、繊維製品大国である中国がその本領を余すことなく発揮できる好機とはならず、さまざまな貿易紛争や障壁の中、輸出は重荷を背負う格好となった。

6月に、欧州連合(EU)と上海で繊維製品問題に関する覚書に調印。11月には米国とロンドンで交渉を開始し、合意に達した。中国の繊維製品にはまだ一定の割当額制限が設けられているが、欧米との摩擦が解消されたことで、2006年の輸出に向けて予見可能な安定した展望が開けたと言える。

農業税免除で農民の負担軽減

人口の70%以上を占めながら収入の少ない農民にとって、2005年は良き1年となった。年初に公布された中央政府の「1号文件」で「農業税の免除範囲を一段と拡大し、農業税の徴収軽減に尽力する」ことが提起され、この政策は2005年に全面的に実施された。年末時点で、農業税が明らかに免除された省は28、恩恵を受けた農民は8億人に達し、農民の生活上の負担は確実に軽減された。

国家統計データによると、農業税の免除や農業税率の引き下げによって、農民の負担軽減率は30%以上に達した。改革以前の年間農業税収は約600億元。

南・北部で短期的な石油不足に

7月下旬、南部は石油不足に陥った。先ず深センから始まり、南部の大半の地区へと急速に拡散。広州や深センなどのガソリンスタンドではガソリンが販売できなくなり、販売する数少ないガソリンスタンドでも給油量が制限された。1カ月後、石油不足は北部にも波及したが、8月末になってようやく緩和した。

石油不足によって原油価格が高騰したことから、一部企業に損失が出た。専門家は「中国は次第に石油高時代に入りつつある」と指摘。今回の短期的な石油不足は、中国のエネルギー安全への警戒心を再び促すことにもなった。しかも2大国有石油企業である中国石油天然ガス集団公司(ペトロチャイナ)と中国石油化学工集団公司(シノペック)、国家発展改革委員会との間で石油製品の小売価格決定権をめぐる矛盾も顕在化。石油価格メカニズムの改革が今後の主要な焦点の1つとなった。

中国企業、海外で買収を提案

国内第3の石油企業である中国海洋石油株式有限公司(CNOOC)は6月、米ユノカル社の買収を提案し、世界の話題となった。買収金額は185億ドル。ユノカル社は数年連続で赤字が続き、破産申請をした米国第9位の石油企業。CNOOCは同社の優れた管理職や社員を完全に引き継ぐことを承諾しており、米国の石油・天然ガス市場にどんなマイナスの影響も与えることのない取引だった。

成功していれば、中国企業にとって有史以来最大の金額となり、最も重要な海外企業の買収、金額でこの6年近くで世界第2の買収となるはずだった。だが、最終的に政治的原因から失敗。結局、テキサコがCNOOCを下回る価格で買収した。

とはいえ、この買収劇は国際社会の中国企業への関心を再び呼び起こすことになった。これより前、聯想集団公司(レノボ)がIBMのパソコン事業を買収。経済のグローバル化が急速に進展する中、中国企業の海外での買収は大型化しつつある。

個人所得税法、3度目の改正

個人所得税の課税対象額が現行の800元から1600元に引き上げられることになった。今回の3度目の改正ではこの点が大きな関心を集めた。

温家宝総理は7月、国務院常務会議を招集し『中華人民共和国個人所得税法改正案(草案)』を討議し、原則採択した。当初、草案の課税対象額は1500元だった。全国人民代表大会(全人代)の法律委員会と財政経済委員会、全人代常務委員会の法制工作委員会は9月27日、立法に向け草案の課税対象額について公聴会を開催。各方面から意見を聴いた後、1600元に引き上げることを決定した。

貧富の格差拡大が今、中国が直面している難問の1つだ。科学的で合理的な個人所得税制度を確立して、貧富の格差を縮小するとともに、社会の公平を促進して調和のとれた社会を構築することを、政府は主張している。このため今回、課税対象額の引き上げが焦点となっただけでなく、納税者の意見に耳を傾けることがより重要視された。

第11次5カ年計画を採択

中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議は10月、「国民経済と社会発展の第11次5カ年計画を策定することに関する中国共産党中央の提言」を審議し、採択した。2006〜2010年までの経済・社会の発展を推進するための綱領文書で、今後5年間の発展方向を示すものだ。

この文書に基づき、中国は今後5年間、人を本とすることを堅持し、全面的かつ調和のとれた持続可能な発展観を確立するとともに、物質的な富の増大への偏重から、人類の発展をより重視する方向へと転じ、単にGDPの増加に着目することから、人類の全面的な発展を核とする方向へと変化していくことになる。提言は計画期間中、低所得層の収入増に尽力して、段階的に中所得層の比率を拡大し、超高所得層の収入を効果的に調節するとともに、個人所得の配分秩序を適正化することで、地区や一部の層の間で所得配分格差が拡大しつつある傾向を緩和することに努めると明文化した。

今後5年間の経済・社会発展の主要な目標は、(1)効率の向上と浪費の低減を土台に、2010年までに1人平均GDPを2000年の倍にする(2)資源の利用効率を大幅に向上させて、GDP単位のエネルギー消費を2005年比で20%前後減少させる(3)先進的な製造業、サービス業、エネルギー、インフラ整備業を優先的に発展させる――ことなど。

青海・チベット鉄道が全線完成

10月12日、青海・チベット鉄道は全線完成し、2006年7月1日に試運転が行われる予定。これによりチベットの無鉄道の歴史に終止符が打たれることになる。

青海・チベット鉄道は全長1142キロメートル。世界で標高が最高、総延長で最長、凍土区間が最長の高原鉄道だ。標高4000メートル区間は960キロ。最高地点は5072メートル。沿線の地質は複雑で、凍土区間は550キロ以上にのぼる。また世界クラスの生態環境に配慮した鉄道でもある。環境への投資額は20億元超と、工事総額の約8%を占める。

建設に着手したのは1958年9月。1978年に西寧・ゴルムド区間の815キロが完成。ゴルムドからラサに至る区間は2001年6月29日に着工した。

鉄道が完成する以前、チベットの経済建設に必要な物資や農業生産手段はほとんどが内陸部からの供給に依存していたが、遠距離のため輸送コストが高かった。ラサ市場では、1トン当たりの石炭・セメント価格は800元前後。トラックで運ばれているため、輸送コストだけで1トン600元にのぼる。鉄道完成後は貨物の75%が鉄道輸送されると見られることから、コストは大幅にダウンし、各民族は直接的な恩恵を受けると期待される。