2006 No.09
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政策が不動産業に及ぼした影響は

蘭辛珍

中国の不動産市場は株式市場と同じ様な疾病を患っているかのようであり、それには「政策」という劇薬で治療しなければならない。ただ異なるのは、株式市場は活性化させるために、最良の政策で刺激を与える必要があるのに対し、不動産市場は過熱した投資と高過ぎる住宅価格を引き下げるために、厳しい政策で抑制する必要があることだ。

不動産市場で奮闘した企業トップにとって、2005年は恐らく最も頭の痛い年だったのではないか。この1年、不動産市場を抑制する一連の政策が相次いで打ち出され、まず上海市で高騰していた住宅価格が下落したのに続き、全国的に不動産投資の伸び幅も縮小し始めるなど、多少なりとも効果が上がったからだ。

経済発展の現状と住民の所得レベルに比べ、不動産投資と分譲マンション価格は依然として高水準にある。特にマンション価格は全国的に下落するどころか、むしろ上昇しつつある。

国家統計局によると、2005年1〜11月の全国の不動産投資額は前年同期比23.6%増の1兆4825億9000万元に達し、固定資産投資総額の23.4%を占めた。2005年11月のマンション価格は年初より700元余り高騰し、しかもこの期間は連続して前月比で上昇し続けた。

2005年は不動産市場の政策調整により投資の伸び幅が多少縮小したのは明らかだが、増加傾向に変化はなかった。こうした状況から、今年は2005年のように「政策」によって市場を抑制できるのだろうか。

すでに実施された政策

昨年制定した不動産過熱を抑制する政策は一部が今年1月1日から実施された。その当日、政策の影響はすぐに現れたが、今年はその影響はさらに増大するだろう。主要な政策は以下の通り。

●土地付加価値税を事前徴収

2006年1月1日以降、不動産開発業者が販売、予約販売する分譲マンションについては、土地付加価値税が事前に徴収されることになった。一戸の平均建築面積が140平メートルを超える場合は一律、0.5%の土地付加価値税を徴収する。140平メートルまたはそれ以下の場合、土地付加価値税は免除する。

●新住宅ローン金利を適用

2006年1月1日から、新しい住宅ローン金利が適用された。2005年3月17日以前に実施したローンについては、2006年1月1日から、以下の基準を適用する。2005年12月25日20時の時点で、滞納していない顧客に対しては、ローン金利は、2006年1月1日に中国人民銀行が公布した同時期、同等級の商業貸出基準金利を10%引き下げた金利を適用する。2005年12月25日20時の時点で、元利を滞納している顧客に対しては、ローン金利は、2006年1月1日当日に中国人民銀行が公布した同時期、同等級の商業貸出基準金利を適用する。

●省エネ基準を厳格に実施

建設部が公布した「民間建築物の省エネ管理に関する規定」が2006年1月1日に施行された。新築する民間建築物については、省エネ基準を厳格に実施し、現有建築物を増改築する場合は、省エネ設備を導入する。

●遊休地を公示

国土資源部は、過去に認可されながら規定の期限内に使用されていない土地を公示する。一部の用途が制限された土地については、投資額や建築物の高さが政府の規定を上回る場合は、中止させる。税政策で遊休地の活用を促進し、集約的かつ節減的な土地の利用を確保する。

今後打ち出される政策

2005年の不動産投資額が2004年の実績を上回ったことから今後、調整政策が緩和されることはないだろう。

まず、中古住宅の取引に対して、20%の個人所得税が課せられることだ。昨年はこれを巡って論争が続いた。

課税するとなれば、税率は20%になるだろう。そうなれば、不動産投機で利益を得ようとする者は直接的な被害を受ける。実際、この2年来、住宅価格が吊りあがったのは投機が主因だからだ。利益が得られないと分かれば、投機に走ることはない。不動産業者が彼らの“支え”を失えば、不動産価格は正常な水準に戻るだろう。

次に、不動産税が徴収される可能性のあることだ。主に土地や家屋などの不動産に対して、借受人または所有者は毎年一定の税金を納付する。不動産税改革の基本的な枠組みは、現行の家屋不動産税、都市土地不動産税、土地付加価値税および土地譲渡金などを一本化して、不動産を所有する段階で統一的に徴収するものになるだろう。

基幹産業の地位は不変

中国不動産業協会の楊慎会長は「今後の一定期間、不動産業の中国経済を発展させる基幹産業としての地位が変わることはないだろう。政府の打ち出す政策はいずれもマクロの視点から考慮して、不動産業の安定かつ健全な発展を維持するというものだからだ」と強調。

実際、昨年の11月30日、北京で開かれた中央経済会議では、「不動産業は現段階で重要な基幹産業、消費分野であり、発展の中で遭遇する突出した問題をしっかりと解決すると共に、その安定した発展をしっかりと促進していかなければならない」ことが再確認された。

不動産業が中国全体の投資に及ぼす影響は大きい。現在、不動産投資は固定資本投資総額に占める割合で製造業に次いで第2位。業界の専門家は、今後5年で、不動産業の成長率は20%に達すると分析する。

国有資産監督管理委員会政策研究センターの趙暁氏は「これまで経済成長をけん引してきた輸出は今年、落ち込むと予測される。こうした状況の中、投資の一定の伸び幅を維持するなど、不動産業の地位を維持することは、マクロ調整にとって非常に重要だ。そのため、消費が経済成長をけん引するようにするには、住宅や自動車の消費から着手する必要がある」と指摘する。