2006 No.14
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>> 経済

世界へ羽ばたく金城オートバイ

現在、アジアや中南米の一部の国で、現地の人がオートバイを購入する際、こんな言葉が交わされている。「金城を買いに行こう」。一部の発展途上国で、「金城」はオートバイの“代名詞”になっているのだ。

南京にある金城集団は主に航空関連部品やオートバイ、エンジニアリング液圧製品の研究開発と販売に従事。中南米や米国、欧州、中東、アフリカ、日本、東南アジアなど40数カ国・地域に輸出している。一部製品はE-MARK認証や米国のDOT認証を取得。商標は国家工商行政管理局から「中国著名商標」に認定され、オートバイは商務部が重点的に育成・発展させる2005-2006年度の輸出ブランドに指定された。

中国製オートバイで輸出第一のブランドを持つ金城集団は、知識財産権を有する技術やオートバイを輸出することで、発展途上国が民族工業を発展させ、自国ブランドを確立できるよう支援するなど、現地の経済に発展へのチャンスと利益をもたらしている。また、相互利益という経済貿易関係も金城オートバイの海外での一段の発展に寄与しているのだ。

通関統計によると、2005年の輸出台数は50万台を突破、輸出額は1億5000万ドルに達した。輸出台数と輸出額で9年連続して全国のトップ。

本誌記者は3月初め、金城集団輸出入有限公司の艾徳捷総経理にインタビューした。

知財で発展途上国を支援

「発展途上国の民族工業の発展を支援する上でカギを握るのは、技術面のサポートだ。我々はいつでも適時、重要な技術と最新の技術を輸出している」。艾総経理はこう強調した。

同集団は「国家863ハイテク発展計画」で自動化分野のプロジェクトを担当。製品の研究開発から営業、販売に至るまでの現代的な計画管理と調整に関する5件のシステムを開発している。自社の国家クラスの技術センターでは、航空関連の先端技術を利用したオートバイ開発を展開すると共に、知財を有する革新技術を取得。開発した新製品は約100品目。特許技術は50数件に上り、50数カ国ですでに登録済みだ。現在、知財を有する製品の販売台数は総売上高の90%以上を占める。

金城集団はパキスタンを支援し、同国で初めて機械電気製品の導入で国産化を実現した。2000年から事業を開始し、5年かけてエンジン部品や熱処理、組み立てや検査などの工程で国産化率は80%に達した。パキスタン側メーカーは引き続き技術サポートを受け、初の民族ブランド「SOHRAB」を確立。同ブランドの年産能力は10万台、年間販売台数は4万台で、同国で第3のシェアを占める。

金城集団は技術と同時に、管理や人材面でも協力を展開している。現在、コロンビアで同国最大のプロジェクトを進めており、同集団が持ち株会社となり、経営権を掌握。現地人を育成して総経理や工場長に抜擢すると共に、最も優秀なエンジニアや管理者を派遣し技術サービスを提供しているほか、現地人による管理も支援している。こうした現地化された管理モデルの下、コロンビアのメーカーは表面処理や溶接など主要工程で短期間の内に国産化を実現。金城オートバイと同質の部品を生産できるまでになり、同国の民族工業に成長した。

艾総経理は「我々はコロンビアでは、ハードウエアからソフトウエア、生産から管理、販売からアフターサービスに至るまで“カギを渡す”プロジェクトを実現した。現在、ウガンダでもこうした協力モデルを採用しているが、将来性はより高い」との見通しを示した。

現地の文化と融合

金城集団は発展途上国の民族工業の発展を支援する中、現地に大量の就業の機会を提供してきた。同社のオートバイは現地で定評があり、これが金城の文化と現地の文化との融合を促しているとも言える。

「我々は、例えば、学校の設備や音楽会、文化公益活動など、現地の教育や文化事業を積極的に支援してきた。現地の人が支持してくれることに、我々も感激している」と艾総経理。

アフリカの一部の国では、現地の人々が金城オートバイをテーマにした「OKADA(オートバイの歌)」を作曲、踊りの振り付けもした。ナイジェリアの首都ラゴスには「金城オートバイ愛好家協会」が設立されたという。

知財の有効保護を呼び掛け

ある時、艾総経理はアフリカ市場で偽の金城オートバイを発見。現地の人に聞くと、偽物は中国国内から大量に流入しているという。この事件に深く触発された金城集団は、その源を徹底調査し、知的財産権を運用して自社を発展・保護していくことを決断した。

艾総経理は「海外市場にはこれまで何度も、権利を侵害した品質の劣悪な偽の金城オートバイが出回っていた。これでは金城ブランドのイメージは損なわれ、海外の消費者の利益も根本から損なわれてしまう。取り締まりを強化して、消費者が本物の価格の安い金城オートバイを購入できるようにしなければ」と強調した。

同集団は知財の管理を研究開発から生産、経営までの全過程に導入。同時に、税関に知財保護を申請し、税関と連係して権利侵害オートバイの摘発を進めているほか、政府の関連機関やメディアと共同で国内にある製造拠点の調査に取り組んでいるところだ。

艾総経理は多くの中国企業に対し、知財保護意識を強化すると共に、その社会的責任を着実に果たし、権利を侵害している企業には直ちに製品の生産を停止するよう呼び掛けた。