2006 No.14
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現段階で新農村建設を提起したのは

「新農村」とは決して新しい概念ではない。政府は1956年に新農村を建設するとの目標を提起し、その後の農村改革でも建設について言及しているが、政府の事業日程には盛り込まれなかった。今年の政府1号文書でようやく、社会主義の新農村建設が政府の主要事業の1つとなった。

では、政府が現段階で新農村の建設を事業日程に盛り込んだのはなぜか。中央財政経済指導小グループ弁公室副主任で、中央農村事業指導小ブループ弁公室の陳錫文主任に聞いた。

陳主任は主に以下の5点を理由に挙げた。

第1は、現在の農業基盤は比較的脆弱であるため、経済発展と人民の生活水準の向上の必要性に適さないことだ。とくに穀物を見ると、生産量はこの数年間に明らかに回復し、昨年は4億8400万トンと、2003年に比べ約5000トン増えるなど、増加幅は比較的顕著だ。だが、それでも史上最高を記録した1998年より2800万トンも少なく、同時に4億8000万トンの生産量では国内需要を満たすことができず、引き続き輸入を増やす必要がある。昨年の穀物総需要量は約4995億トンで、生産量とは200億トン余の差があり、輸入で補充するしかない。農業が経済社会の発展の必要性に応えられるようにするには先ず、さらに農業を強化し、農村のインフラ整備を円滑に進めるとともに、農業科学技術の進歩を促進し、農業の成長方式を転換することで、徐々に現代的な農業を推進していく、これが1つの重要な側面だ。

第2は、都市部と農村部の格差が拡大し続けていることだ。全民族の現代的な社会を建設し、社会主義の調和の取れた社会を構築するうえで、これはマイナスの要因であり、格差の問題に真剣に対処し、格差を縮小する努力をしなければならない。

格差は多くの面に表れているが、2つの面で最も際だっている。1つは、収入の格差だ。昨年の農民1人平均収入は3235元だが、都市部住民の1人平均可処分所得は1万493元で、格差は1対3.22。とくに重要なのは、この格差を改革初期と比べると、拡大こそすれ縮小していないことだ。改革の初期、都市部住民の1人平均収入水準はかなり低かった。1978年時点で、農民は134元、都市部では343元で、格差は1対2.57。現在、都市部と農村部の収入格差の拡大が社会各界から高い関心を集めている。社会主義の新農村建設を推進するに当たっては、重要なのはこの格差を徐々に縮小していくことだ。

経済収入の格差以外にも、教育や衛生、文化など、政府が提供する公共施設の利用でも、農民と都市部住民との間の格差は非常に大きい。このため、教育や衛生などの事業を早急に発展させることも非常に重要である。

第3は、総体的に中国は「工業が農業を促進し、都市が農村を連動する」発展段階にあり、農業と農村の発展に向けての支援を拡大する財政能力もすでにほぼ備えている。昨年の1人平均国内総生産(GDP)は1989年の473%増、財政収入も3兆元を超えた。だが同時に、農業がGDPに占める割合は25.6%から12.4%、農村居住人口が総人口に占める割合も73.79%から58.2%に低下。このため、社会主義の新農村建設を全面的に推進し、都市部と農村部の協調の取れた発展に努力することが、現段階の経済と社会発展にとって客観的な必要性、急務となっている。

第4は、内需の拡大が必要なことだ。この数年の経済成長から見ると、投資と消費に貿易、この3点については、投資と貿易はGDPの増大に相対的に大きな役割を果たしたが、一方で内需は相対的にそれほど大きな役割は果たしていない。こうした局面になったのは重要な原因は、大多数の人が生活する農村部、その市場の占めるシェアが比較的低いことであり、カギを握るのは農民の収入水準の低さだ。この市場を真に開拓するには、人口の大多数を占める農民をより速く豊かにすることであり、農民が十分な購買力を持つようになれば、中国市場は真に開拓され、内需拡大の方針も真に着実に実行される。これは中国の長期的な発展にとって非常に重要な意義がある。

第5は、社会主義の新農村建設を推進する宗旨は、都市部と農村部の格差を徐々に縮小し、農民に都市部住民と同じように経済発展と社会発展の成果を公平に享受させることである。こうすれば、公平で公正かつ調和の取れた社会を建設することができる。