2006 No.29
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中国の環境保全
(1996〜2005)

中華人民共和国国務院報道弁公室
2006年6月・北京

前書き

中国は世界の人口の最も多い発展途上国である。20世紀70年代末期以来、中国経済の持続的な急速発展に伴い、先進国では100年もの工業化の過程にいくつかの段階に分けて現れた環境問題が中国に集中的に現れ、環境と発展の矛盾が日ましに突出している。資源が相対的に乏しい、生態環境が脆弱である、環境容量が足りないことは、中国の発展過程において徐々に重大な問題となっている。

中国政府は環境保全を高度に重視し、環境保全は国の現代化建設の全局と長期の発展にかかわっており、当代に幸福をもたらし、後代に恩恵を及ぼす事業であると考えている。長年来、中国政府は環境保全を基本的国策として確立し、持続可能な発展を重要な戦略とし、あくまで新しいタイプの工業化の道を歩み、経済発展を推し進めると同時に、一連の措置をとって、環境保全を強化している。とくにここ数年来、中国政府はあくまで科学的発展観で環境保全事業を統率し、予防を主とし、総合的に整備し、全面的に推進し、重点的に突破する対策を堅持し、公衆の健康に危害をもたらす際立った環境問題を力を入れて確実に解決し、革新体制メカニズムを堅持し、科学技術の進歩に頼り、環境法治を強化し、社会各方面の積極性を発揮している。努力を経て、資源消耗と汚染物排出量が大幅に増加する状況の下で、環境汚染と生態破壊激化のすう勢が緩くなり、一部流域の汚染除去が初めて成果をあげ、一部の都市と地区の環境の質にいくらか改善が見られ、工業製品の汚染物排出量がやや減少し、社会全体の環境保全意識がいちだんと強くなった。

世界環境デーを迎えるにあたり、世人に中国の環境保全状況をより全面的に理解させるため、ここに過去10年間に中国が環境保全のためたゆまずに努力を傾けた状況について系統的に紹介する。

一、環境保全の法制と体制

中国憲法は「国は生活環境と生態環境を保護、改善し、汚染とその他の公害を防除する」とはっきり規定している。1949年の新中国成立以来、全国人民代表大会とその常務委員会は環境保全の法律9部、天然資源保護の法律15部を制定した。1996年以来、国は水汚染の防除、海洋の環境保全、大気汚染の防除、環境騒音による汚染の防除、固体廃棄物による環境汚染の防除、環境アセスメント、放射線汚染防除などを含む環境保全法律および水、クリーン生産、再生可能なエネルギー、農業、草原、牧畜など環境保全と密接な関係のある法律を制定したかまたは改正した。国務院は「建設プロジェクト環境保全管理条例」「水汚染防除法実施細則」「危険化学品安全管理条例」「汚染物排出費徴収使用管理条例」「危険廃棄物経営許可証管理規則」「野生植物保護条例」「農業遺伝子組み替え生物安全管理条例」など50余部の行政法規を制定したかまたは改正し、「科学的発展観を実行に移し、環境保全を強化することに関する決定」「循環経済の加速的発展に関する若干の意見」「資源節約型社会建設の最近期間の活動をりっぱに行うことに関する通達」などの法規的文書を公布した。国務院の関係部門、地方人民代表大会と地方人民政府は職権に基づき、国の環境保全の法律と行政法規を実施するため、規則と地方法規660余部を制定、公布した。

中国では国と地方の環境保全基準体系がすでに確立されている。国家環境保全基準は、国家環境品質基準、国家汚染物排出(抑制)基準、国家環境基準見本基準およびその他の国家環境保全基準を含み、地方環境保全基準は、地方環境品質基準と地方汚染物排出基準を含んでいる。2005年末現在、国は国家環境保全基準を800余項公布し、北京、上海、山東、河南などの省市は環境保全の地方基準を累計30余部制定した。

中国は環境法律執行状況の検査と行政部門の法律執行を絶えず強化している。ここ数年来、国は連続して環境保全、大気汚染防除、水汚染防除、固体廃棄物による環境汚染防除などの法律の執行状況を検査し、重点地区の汚染防除を推し進めている。中国の刑法には環境資源破壊罪についての専門の規定もある。国は「環境保全法律・規律違反行為処分に関する暫定規定」を公布し、環境保全の行政部門法律執行責任制度を確立し、3年連続して法律に違反して汚染物を排出する企業を整理し、公民の健康を保障する環境保全の特別行動を展開し、法によって7万5000余件の環境違法事件を取り調べ、処理し、法律に違反して汚染物を排出した企業1万6000社を取り締まり、閉鎖し、また1万余りの環境汚染問題を指名して汚染除去を督促した。国はまた鉱山生態環境保全、海洋環境保全の法律執行に対し特別検査を行い、法によって多くの違法行為を処理した。

中国は各クラス政府が地元の環境の質に対し責任を負い、環境保全を担当する行政主管部門が統一的に監督、管理し、関係各部門が法律の規定に基づいて監督、管理する環境管理体制を実行している。1998年、中国政府は元の国家環境保護局を国家環境保護総局(日本の省に相当する部クラス)に昇格し、それを国務院の環境保全活動を主管する直轄機構として、中国の環境保全活動に対し、責任をもって統一的に監督、管理させている。部門と地区間の協調と協力を強化するため、国は全国環境保全部門合同会議制度を設立するとともに、区域環境監督・検査派出機構を設置した。各省(自治区、直轄市)、市、県クラスの政府は環境保全議事協調機構を設立した。現在、全国に各クラスの環境保全行政主管部門が3226あり、環境行政管理、モニタリング、科学研究、宣伝教育などの活動に従事する総人数は16万7000人に達している。各クラスの環境監察法律執行機構は3854あり、人員総数は5万余人に達している。各クラス政府の総合部門と資源管理部門および多くの大中型企業も自部門と企業の環境保全活動を担当する環境保全機構を設けており、現在それに従事する要員は30万人を超えている。

二、工業汚染防除

工業汚染防除は中国の環境保全活動の重点である。以前と比べて、中国の工業汚染防除戦略はいま大きな変化が生じつつあり、末端での防除から汚染発生源と全過程での抑制へ、濃度抑制から総量抑制と濃度抑制の結合へ、発生源での汚染防除から流域と区域の総合的除去へ、企業による簡単な防除から産業構造調整、クリーン生産、循環経済発展へとちくじ転換している。1995年と比べて、2004年の全国の国内総生産(GDP)単位あたりの工業廃液、工業化学の酸素必要量、工業の二酸化硫黄、煙塵、粉塵の排出量はそれぞれ58%、72%、42%、55%、39%減少した。1990年と比べて、2004年の全国のGDP1万元あたりのエネルギー消耗は45%減少し、累計標準炭7億トン相当のエネルギーを節約し、少なく使用し、火力発電の石炭消耗、粗鋼製造トンあたりの比較可能なエネルギー消耗、セメントの総合的エネルギー消耗はそれぞれ11.2%、29.6%、21.9%減少した。

―技術が立ち遅れ、汚染がひどく、資源を浪費する一部の企業を淘汰、閉鎖した。第9次五ヵ年計画(1996〜2000年)期に、国は資源をひどく浪費し、環境を汚染する小企業を8万4000社閉鎖した。2001年から2004年にかけて、立ち遅れた生産能力、技術、製品を淘汰する目録を3回連続して公表し、資源を浪費し、ひどく汚染する企業を3万余社淘汰するとともに、資源を大量消耗し、環境をひどく汚染する鉄鋼、セメント、電解アルミ、鉄合金、電気石、コークス、サポニン、クロム塩など8つの重度汚染業種に対し集中整頓を行い、1900余件のプロジェクトの建設を中止し、延期させた。2005年には、汚染がひどく、産業政策に合致しない鉄鋼、セメント、鉄合金、コークス、製紙、紡織・捺染などの企業を2600余社閉鎖するとともに、セメント、電力、鉄鋼、製紙、化学工業など重度汚染をもたらす業種に対し総合的整備と技術改造を積極的に展開し、これらの業種に生産量が年毎に増加する状況の下で主要汚染物の排出量を持続的に減少する状態を保たせている。

―循環経済の実践を展開する。第一はクリーン生産を行い、企業生産の最初の部分と全過程で資源を十分に利用し、廃棄物を最小化、資源化、無害化させ、生産者の責任延伸制度をちくじ確立し、製品の生態設計を促進する。現在、化学工業、軽工業、電力、石炭、機械、建材など業種の5000余社の企業はクリーン生産の審査にパスし、全国で1万2000余社の企業はISO14000環境管理体系認証を獲得し、800余社の企業、1万8000余種の規格の製品は環境標識認証を獲得し、年産額は約600億元である。第二は工業集中地区で生態工業を積極的に発展させ、上流企業の廃物を下流企業の原料にし、生産チェーンを延ばし、廃棄物の産出量を最小限に減らし、「ゼロ排出」を実現するとともに、生態工業区を建設し、区域または企業群の資源の最も効果的な利用を実現する。現在、中国は類型の異なる生態工業ゾーンを17ヵ所建設した。第三は工業と農業、生産と消費、都市と農村の発展を統一的に計画し、資源を循環利用する産業を大いに発展させ、持続可能な生産と消費を実行する。国は重点業種、重点分野、産業ゾーンと関係省市で82社を選んで最初の循環経済の試行を展開している。北京、上海など24の都市で再生資源回収体系建設を試行し始めた。海南、吉林、黒竜江などの9省は生態省建設を積極的に展開し、全国の150の県市で生態県(市)作りを展開している。

―突発的な環境事件を積極的に防備する。2005年、中国政府は「国家突発環境事件応急対策」を制定し、突発的な環境事件の情報受信、報告、処理、統計分析および警報情報モニタリング、情報公開などに対し、明確な要求を提出した。国は重点流域の敏感な水域にかかわる水環境応急対策、大気環境応急対策、危険化学品(廃棄化学品)応急対策、核と放射の応急対策など環境と関係ある9つの応急対策および「黄河流域敏感区間水環境応急対策」「化学テロ事件処理応急対策」「核と放射テロ事件の処理応急対策」「農業環境汚染突発事件応急対策」「農業の重大な有害生物および外来生物の侵入による突発事件応急対策」などの突発的な環境事件の応急対策を制定、整備した。ここ数年来、中国は全国の川岸、湖岸、海岸、人口集中区、自然環境保全区などの環境敏感区付近に分布している127件の重点的な化学工業と石油化学工業類のプロジェクトに対し、環境リスク状況の調査と排除を行い、5万社近くの重点企業に対ししらみつぶし式の全面的な検査を行った。

―工業の危険廃棄物に対し、全過程管理制度を実行する。国は2003年から「全国危険廃棄物と医療廃棄物処理施設建設企画」を実施し始め、工業の危険廃棄物移転伝票、経営許可証などの諸制度を強化した。2005年の工業の危険廃棄物処理量は1998年の131万トンから339万トンに増えた。全国の31の省、自治区、直轄市は固体廃棄物管理センターを開設した。

―厳格な核と放射の環境安全管理を実施する。中国に稼動中の原子力発電所が5ヵ所(原子力発電ユニット9基)、研究用原子炉が1基あり、建設中の原子力発電所が2ヵ所(原子力発電ユニット4基)、研究用原子炉が1基あるが、重大な原子力安全問題が現れたことがなく、「従業員、公衆、環境が国の規定した限界値を超えた放射照射と汚染を受けないように保護する」目標を達成した。中国は国際原子力機関(IAEA)の公布した「放射源の安全と保安行為準則」を厳守し、許可証制度を実施し、放射源の輸出入は法によって審査・認可などの関係手続きを履行しなければならないと規定している。

三、重点地域の汚染除去

ここ数年来、中国政府は「三河」(淮河、遼河、海河)、「三湖」(太湖、オ癇r、巣湖)、国の重点工事(「三峡ダム」工事、南部の水を北部に引く「南水北調」工事)、「二つの抑制区」(二酸化硫黄抑制区と酸性雨抑制区)、「一市」(北京市)、「一海」(渤海)を全国汚染防除の重点地区とし、著しい成果をあげている。

―重点流域の水汚染防除。「三河」「三湖」の流域面積は81万平方キロに達し、全国の14の省(市)にまたがり、居住人口は3億6000万人である。国は重点流域の第9次五ヵ年計画と第10次五ヵ年計画(1996〜2005年)の水汚染防除計画を制定、実施し、汚染物総量抑制制度を実行し、総量削減指標を汚染物排出企業に割り当てて実行させ、汚染物排出許可証管理方式をちくじ完全にするとともに、一部の重点整備プロジェクトを建設した。2005年末現在、重点流域水汚染防除の第10次五ヵ年計画に組み込まれた2130件のプロジェクトのうち、その65%を占める1378件がすでに完成した。「三河」「三湖」流域に建設されたかまたは建設中の汚水処理場は416ヵ所あり、1日あたりの処理能力は2093万トンである。流域内にある5000余社の重点的汚染企業のうち、80%以上が排出基準に達した。現在、その流域の水汚染物が大幅に減少し、水環境の悪化傾向が基本的に抑えられ、一部の河川の区間と湖の水質が著しく改善された。国は181億6700万元を投入し、三峡ダムサイトとその上流にあるいくつかの都市と町に汚水とゴミの処理施設を建設し、ダム底の固体廃棄物を除去し、ダムの水質の安全を確保している。

―「二つの抑制区」の汚染除去。1998年、中国政府の認可を経て画定された酸性雨抑制区と二酸化硫黄抑制区は27の省・自治区・直轄市の175の都市と地区にあり、総面積は約109万平方キロである。国はこの「二つの抑制区」内でエネルギー構造調整を行い、クリーン燃料と硫黄含有量の低い石炭の使用を推し広め、大中都市では民間の未加工石炭使用を禁止している。1998年と比べて、2005年の二酸化硫黄抑制区内の二酸化硫黄の年平均濃度が基準に達した都市の比率は32.8%から45.2%に上昇した。2005年の酸性雨抑制区内の二酸化硫黄の年平均濃度が国の3級基準を超えた都市の比率は15.7%から4.5%に低下した。

―北京市の大気汚染除去。1998年以来、北京市は連続して大気汚染抑制措置を実施している。天然ガス、電熱暖房、地熱ポンプ、建築の省エネなどのクリーンエネルギーの利用技術と省エネ技術がいちだんと推し広められ、2005年の北京市の天然ガス使用量は32億立方メートルに達し、都市の熱供給ネットが熱を集中的に供給する面積は1億平方メートルを超えた。自動車の排気ガスを厳しく管理し、使用中の自動車に対し環境保全標識管理を実施し、黄標車(排気ガスが排出基準を超過する黄色いラベルが貼ってある車)に対し制限措置をとり、旧い自動車を30余万台淘汰し、天然ガスを利用するバスを2800台使用している。2005年に国の第3段階の排出基準(ヨーロッパの三号基準に相当)を繰り上げて実施し、工事現場の環境保全基準を改正、整備し、建築現場管理、道路の機械による清掃、洗い流し、噴水による粉塵抑制作業に対する監督・検査を強化するとともに、市街区の100余社の汚染企業に対し閉鎖、操業停止、移転を実施し、全市のセメント立て窯の生産ラインにすべて操業を停止させた。積極的整備を経て、北京市の大気環境の質が2級と2級以上に達する日数は1998年の100日から2005年の234日に増え、各種大気汚染物の濃度が普遍的に低くなり、空気の質が著しく改善された。

―渤海の汚染除去。2001年、中国政府は「渤海碧海行動計画」を認可した。2005年末現在、各種の渤海汚染除去・環境保全プロジェクトが166件建設され、建設中のものは70件で、投資額は175億元に達した。そのうち、新たに建設された都市汚水処理場が44ヵ所あり、1日の汚水処理能力は355万3000トンに達した。新たに建設された都市ゴミ処理場が18ヵ所あり、1日のゴミ処理能力は7000トンを超える。新たに建設された生態農業、生態養殖プロジェクトは89件ある。船用埠頭と石油流出反応プロジェクトは新たに9件建設され、渤海海域の環境が引き続き悪化するすう勢は初歩的に抑制された。

四、都市の環境保全

中国の都市化率は1995年の29.04%から2004年の41.76%に上昇した。都市化の急速な発展の中に現れた環境問題に対し、中国政府は一連の総合的措置をとって、都市の環境をちくじ改善し、一部都市の環境の質を著しく改善した。1996年と比べて、2005年の空気の質が国の2級基準に達した都市の比率は31ポイント上昇し、空気の質が国の3級基準以下の都市の比率は39ポイント低下した。

都市の環境容量と資源保障能力から、中国の多くの都市は都市の総体的企画と都市の環境の質が機能区ごとに基準に全面的に達する企画を制定、実施し、大気と水の環境容量を測定、計算し、都市の規模と発展の方向を合理的に確定し、都市の産業構造と空間配置を調整し、都市の区を機能に基づいて分ける作業をちくじ最適化させている。多くの大中都市は市街区を発展させる中で、第二次産業から手を引いて第三次産業に進出する「退二進三」の策略を実行し、一部の汚染のひどい企業を閉鎖し、地価のテコを利用して一部の汚染企業を郊外に移転させ、「工業ゾーンに入って、汚染を集中的に除去する」という原則にのっとって技術改造と汚染の集中抑制を実施している。一部の都市は旧市街地改造と都市配置調整を結びつけて、旧市街地の汚い、乱れている、秩序が悪い問題を解決し、住民の生活環境を改善している。また石炭燃焼による汚染を少なくするため、都市のエネルギー構造調整に力を入れ、クリーンエネルギーと集中暖房を積極的に推し広めている。都市の建設工事現場の粉塵汚染を減少するため、都市の建設工事では、前もって練り混ぜたコンクリートの使用を推し広め、直轄市、省直轄市および一部の大中都市、観光都市では、市内の工事現場でコンクリートを練り混ぜるのを禁止している。

中国の各クラス政府は都市環境のインフラ建設を財政投資の重点として、都市の汚水・ゴミ処理施設建設を促している。2004年末現在、都市の汚水処理率は46%、生活ゴミ無害化処理率は52%、市街区のクリーンエネルギー使用率は40%に達している。ここ数年来、自動車の排気ガス基準は国の第1段階基準から第2段階基準に引き上げられるとともに、第3段階基準が制定された。一部の都市はクリーン自動車行動を展開し、低汚染の天然ガス、液化石油ガスなどのクリーン燃料利用を積極的に推し進めている。2000年7月から、全国で有鉛ガソリンの販売と使用を中止し、そうすることによって毎年鉛の排出量を1500トン減らすことができる。

全国の500余りの都市は、都市環境の総合的整備の定量審査を展開し、都市の環境の質、汚染防除活動と都市環境のインフラ建設に対し量的基準を規定し、都市政府の環境保全活動を総合的に評価している。1997年から、経済発展、社会進歩、施設整備、環境改善の要求に基づいて、環境保全モデル都市作りの活動を展開している。現在、全国に環境保全モデル都市を作っている都市(区)は100余りあり、そのうちの56の都市と直轄市の5つの区がそれに成功した。国家環境保全モデル都市の空気の質が2級またはそれ以上の日数はいずれも80%以上、都市の生活汚水処理率は70%以上、生活ゴミ無害化処理率は80%以上、都市の緑化カバー率は35%以上で、いずれも全国の平均水準より高く、「青空、碧水、緑地、閑静、調和」はすでに環境保全モデル都市の環境の重要な標識となっている。

ここ数年来、国は都市の園林緑化に力を入れ、国家園林都市を建設し、居住環境を改善している。2004年末現在、全国の都市緑化カバー率は31.66%、緑地率は27.72%、1人あたりの公共緑地面積は7.39平方メートルで、2000年と比べて、それぞれ3.51%、4.05%上昇し、3.7平方メートル増えた。そのうち、1人あたりの公共緑地面積は倍増した。現在、全国に国家園林都市に命名された都市が83、園林区が4、園林県都が10あり、12の都市が「中国居住環境モデル賞」を受賞した。

五、農村の環境保全

中国は農業大国であり、農村人口は圧倒的多数を占めている。農業の環境汚染防除、農村の環境改善は中国の環境保全の重要な任務である。

―農村環境の総合的整備。ここ数年来、中国政府は広大な農村地区で環境の美しい町、生態文明村を作る活動を展開し、農村環境の総合的整備を推進している。現在、全国で178の町が「全国環境優美の町」の称号を授与された。国は「三湖」地域と長江デルタ、珠江デルタ、黄河デルタ地域に重点を置いて、家畜、家禽、魚類の養殖による汚染、面源汚染の総合的防除の手本作り活動を展開している。一部の省市は村の環境整備にいちだんと力を入れ、農村のインフラを整備し、農村の生活汚水、ゴミ処理と農業の面源汚染の除去の面で、ある程度の進展をとげた。ここ数年来、国は各種の農村飲用水プロジェクトを80余万ヵ所建設し、6700余万人の農村人口の飲用水の困難と不安全の問題を解決した。全国で土壌汚染調査を行い、汚染防除の手本を作り、農産物の安全検査測定と監督・管理体系を確立している。農薬と化学肥料の環境安全管理を強化し、高効率、低毒、低残留の化学農薬を推し広め、野菜、果物、食糧、茶と漢方薬草などの生産に高毒、高残留の農薬の使用を禁止している。化学肥料、農薬、農用薄膜の不合理な使用と汚水灌漑による面源汚染を防止し、農産物の安全を確保している。新型の安全、良質、高効率の飼料を開発し、飼料の吸収利用率を高め、養殖生産物の薬物残留と有害物質排出を減少している。家畜・家禽の糞便の総合的利用と処理技術を推し広め、養殖業と栽培業を密接に結びつける生態農業プロジェクトの建設を奨励している。

―生態農業と生態モデル区の建設。中国政府は生態農業の建設を農村経済と生態環境の全面的協調的発展を促進する重要な措置としている。現在、全国に生態農業を建設する県は400余県あり、モデル区の建設を展開している県市は500を超えており、そのうち、国家クラスの生態農業県が102県、国家クラスの生態モデル区が233ある。ここ数年来、有機食品と関係ある管理・発展メカニズムがたえず整備し、「有機食品認証管理規則」「有機食品国家基準」が制定され、良好農業規範国家基準と認証実施規則が制定され、発生源の整備が展開されている。国家有機食品生産基地の創設作業が展開され、国家クラス有機食品生産基地に命名された生産基地は43ヵ所に達し、有機食品の産業化発展を推進している。全国の有機食品認証面積は300万ヘクタールを超えている。

―乾燥農地の節水農業を発展させる。国は2005年までに7億余元を投入し、水資源の乏しい乾燥地区、半乾燥地区で460余りの節水農業モデル基地を建設し、農芸、バイオと工事措置および乾燥農地の農業技術を総合的に運用し、天然降水をフルに利用して、水資源の利用効果と農業生産能力を高め、水土流失を食い止めている。国は保護的耕作を積極的に推し広め、脱穀後のわらで農地を覆う、耕さないで播種する、土を十分にほぐす、草をとる技術を主な内容とする保護的耕作プロジェクトを始動させ、北京・天津周辺地区と西北地区の風砂の発生地帯に重点を置いて2つの保護的耕作帯を建設した。2005年末までにモデル県を累計100県建設した。

―農村の新型エネルギー建設。農村の新型エネルギーを開発し、推し広めることは、農村の生態環境を保護、改善する重要な手段である。第10次五ヵ年計画期に、国は前後して35億元を投入して、メタンガス建設をきずなとするエネルギー生態のパターンを重点的に推し広めた。2005年末現在、全国のメタンガスを使用する所帯は1700万戸以上、メタンガスの年産量は65億立方メートルに達した。国は家畜・家禽養殖廃棄物のメタンガス化プロジェクトを大いに発展させ、すでに2200余ヵ所を建設し、年間6000余万トンの家畜と家禽の糞便を処理している。生活汚水浄化によるメタンガス池を13万7000ヵ所、脱穀後のわらや茎のガス化によるガス集中供給プロジェクトを500余ヵ所建設し、薪を節約するかまどを1億8900万戸の農家に推し広め、太陽熱による給湯器のカバー面積は2850万平方メートルに達した。それと同時に、太陽熱かまど、風力エネルギー、地熱などの再生可能エネルギーの使用を積極的に推し広めている。

六、生態保護と建設

長期にわたるたゆまぬ努力を経て、中国の一部地区の生態環境は改善を見せ始めた。

―造林・緑化。中国政府は生態建設を主とする林業発展の指導方針を確立し、大規模な造林を展開し、森林資源管理を強化し、森林生態効益補償制度を始動させ、造林面積は2002年以来4年連続して667万ヘクタールを超えた。ここ数年来、森林面積と森林蓄積量は急速に増加し、森林の樹齢構造、配置構造も合理化し、森林の質が向上して、持続的低下からちくじ上昇への歴史的転換を実現した。現在、全国の森林面積は1億7500万ヘクタールに達し、森林被覆率は18.21%、森林蓄積量は124億5600万立方メートルに達している。国は林業生態工事建設を重視し、1998年から天然林資源保護プロジェクト、耕地を林地に戻すプロジェクト、「三北」(東北、華北、西北)および長江流域などの防護林体系建設プロジェクト、北京・天津風砂発生地整備プロジェクト、野生動植物保護と自然保護区建設プロジェクトおよび重点地区の速生豊作用材林基地建設プロジェクトなどを展開している。第10次五ヵ年計画期に、天然林資源保護プロジェクトが営造した生態公益林の面積は800万ヘクタールに達し、9333万ヘクタールの森林資源は休養生息を得た。耕地を林地に戻すプロジェクトの造林面積は2133万ヘクタールで、そのうち、生態を考慮して耕作をやめた土地は538万ヘクタール、荒山、荒地での造林は1200万ヘクタール、伐採を禁止して造林を育成する面積は133万ヘクタールである。北京・天津風砂発生地整備プロジェクトは各種の整備任務を667万ヘクタール完成し、「三北」(東北、華北、西北)および長江流域などの重点防護林プロジェクトは341万ヘクタール造林し、新たに伐採を禁止して造林を育成する面積は346万ヘクタールである。

―草原保護。草原の生態建設と企画管理を強化するため、草原活動の戦略的重点は経済目標を主とすることから「生態、経済、社会の目標を同等に重視し、生態を優先させる」に向かっての転換を実現し、草原の植生を効果的に回復させ、草原の生態環境をちくじ好転させることである。国の草原保護建設への投資は持続的に増加し、2000年から2005年にかけて、中央財政は90余億元の資金を投入して、天然草原の植生の復活と建設、草原囲い柵、牧草種子基地、放牧地の草原への還元、北京・天津風砂発生地整備、草原生態建設などのプロジェクトを実行し、良好な生態・経済・社会効果をあげた。2005年末現在、全国の草栽培保留面積は累計1300万ヘクタール、草原改良面積は1400万ヘクタール、草原を囲った面積は3300万ヘクタールに達し、20%の利用可能な草原では、放牧禁止、放牧停止といくつかの区に分けて順番に放牧することを実施した。

―土地の保護、開発、整備。中国政府は耕地保護を基本的国策とし、厳格な耕地保護政策を実行している。国は基本農地保護区を画定して、食糧安全の確保に重要な基礎を提供している。同時に土地用途管制制度を確立し、建設用地総量と構造を厳しくコントロールし、むやみに耕地を占用する現象を抑制している。2004年の各種の建設が占用した耕地は前年と比べて37%減少し、総体的に占用量と補給量の均衡を実現した。国はまた土地の開発・整理にいちだんと力を入れ、土地開発整理プロジェクト管理制度を確立し、国の投資による土地開発整理プロジェクトを実施し、耕地総量の動態的均衡を維持し、生態環境を改善している。第10次五ヵ年計画期に、農村と都市部の土地、災害によって破壊された土地、工業・鉱山地区の廃棄した土地などに対し、科学的な土地開発、整理・再開墾を行い、再開墾された土地は7万6000ヘクタールに達し、配置が整い、生態環境が良好な新農村が多く建設され、一部の資源枯渇型都市と重点鉱山地区の生態環境がいちだんと整備され、回復した。

―水土保持。国は北京・天津の風砂発生地整備、首都の水資源の持続可能な利用のための水土保持、黄土高原地区の水土保持のための土手作り、東北地区の黒土地帯と珠江上流の南盤江と北盤江の石灰岩地区の水土流失の総合的防除など多くの特別プロジェクトを実施し、水土流失の重点的防除範囲は長江と黄河の上中流から東北地区の黒土地帯、珠江上流と北京・天津周辺地区などの地区に拡大された。国が展開しているモデル区とモデルプロジェクト建設のうち、完成面積が200平方キロ以上の水土保持プロジェクトは300余件、水土保持生態建設のモデル県は190県、モデル小流域は1398ヵ所ある。第一陣として面積が300平方キロを下回らない62のモデル区と50余りの水土保持科学技術モデルゾーンの建設が始まった。全国の188の県で水土保持生態修復試行工事を展開しており、国の水土保持重点工事区で封育保護(荒地を金網で囲い、人や家畜の進入を禁止して植生を回復させる)を全面的に実施し、その面積は12万6000平方キロに達し、さらに「三江源区」(長江、黄河、瀾滄江の水源地)で水土保持の予防・保護プロジェクトを実行している。現在、25の省(自治区、直轄市)の980の県は全域または一部の地区で山での放牧を禁止し、禁止の範囲は60余万平方キロに及び、禁止区内の植生がわりに早く回復した。第10次五ヵ年計画期に、全国で水土流失を総合的に防除した面積は24万200平方キロに達し、小流域を1万1500ヵ所以上総合的に整備し、基本的農地を406万ヘクタール建設し、水土保持林、経済・果樹林、水源涵養林を1533万ヘクタール営造し、砂止め土手、傾斜地水系などの小型水土保持プロジェクトを350余万ヵ所、土手を7000ヵ所建設した。

―防砂と砂漠改造。中国政府は土地の荒漠化、砂漠化の防止を生態環境を改善し、生存と発展の空間を開拓し、経済社会の協調と持続可能な発展を促進する戦略的措置とし、「防砂治砂法」を公布、実施し、「全国防砂治砂企画(2005〜2010年)」を認可し、「防砂治砂活動のいちだん強化に関する決定」を公布し、一部の防砂治砂の重点プロジェクトを実施し、荒漠化と砂漠化の面積を同時に減少するようにしている。2004年末現在、全国の荒漠化土地は263万6200平方キロ、砂漠化土地は173万9700平方キロで、1999年と比べて、5年間で全国の荒漠化土地面積は3万7924平方キロ、砂漠化土地面積は6416平方キロ減少した。土地の荒漠化と砂漠化がやや軽くなり、重度、極重度の荒漠化面積は24万5900平方キロ減少した。荒漠化と砂漠化が全面的に拡大するすう勢は初歩的に抑制された。

―海洋の環境保全。中国はすでに海洋環境保全の法体系や行政部門の法律執行体系を基本的に形成し、海洋環境モニタリングネットワークを作り、海洋機能区画、近海海域環境機能区画を制定、実施し、海洋資源を合理的に開発、保護し、海洋汚染と生態破壊を防止し、海洋経済の持続可能な発展を促進している。中国政府は海に流入する主要河川の汚染防除計画と重点海域の環境保全計画を積極的に実施し、渤海に次いで2005年に長江河口と隣接海域、珠江河口と隣接海域の汚染除去活動を始動させ、長江河口、珠江河口とその隣接海域で、川と海を統一的に計画し、陸地と海上を同時に考慮する陸域と海域が同時に行う環境モニタリングと調査活動を展開した。中国政府は海洋プロジェクトと海上廃棄物排出の審査認可制度を厳格に実行し、排出活動に対し法律執行監視を強化し、海洋環境モニタリングを強化した。国は「赤潮災害応急対策」と「海洋石油探査開発の石油流出のための応急計画」を認可して、国家災害緊急管理体系に組み入れ、海洋災害応急メカニズムを初歩的に構築した。船舶の汚染防除と危険品輸送管理を強化し、海上船舶石油流出応急体系の建設を積極的に推し進めている。2004年末現在、中国はすでに各クラスの海洋自然保全区を120ヵ所設立し、多くの海洋の希有種を保護し、さんご礁、マングローブ、海草床など重要な生態環境を保護している。漁業の漁獲強度を抑制し、漁船の数を減らし、休漁制度を整備し、漁業資源保全区を設立し、海洋漁獲量の「ゼロ増加」を実施するなどの措置をとって、海洋の漁業資源を保護、回復している。

―自然保全区、生態機能保護区、風景名所区の建設。中国政府は自然保全区の設立を生態環境保全の重要な措置としている。2005年末現在、全国で各クラスと各種の自然保全区が2349ヵ所設立され、面積は150万平方キロに達し、陸地国土面積のほぼ15%を占めている。類型がわりにそろい、配置がわりに合理的な全国自然保全区ネットワークが初歩的に形成されている。全国の85%の陸地生態系統類型、85%の野生動物種類、65%の天然植物群落類型はいずれも保護されている。国は河川の水源地、重要な水源蓄積区、河川洪水調節蓄積区、防風砂漠固定区およびその他の重要な生態機能を備える区域で生態機能保護区の建設を展開し、東江源、洞庭湖、秦嶺山地など18ヵ所の典型的な区域で国家クラスの生態機能保護区設立の試行を始めた。内蒙古、黒竜江、江西、湖北、湖南、甘粛、青海などの省(自治区)で地方クラスの生態機能保護区建設を展開している。現在、中国政府の審査を経て命名された風景名所区は677ヵ所あり、その中に国家重点風景名所区は187ヵ所ある。泰山、黄山、峨眉山―楽山、武夷山、廬山、武陵源、九寨溝、黄竜、青城山―都江堰、三江並流などの国家重点風景名所区と一部の自然保全区は、それぞれユネスコの「世界遺産目録」または「国際人と生物圏保全区ネットワーク」、「国際重要湿地目録」に入っている。全国に各種の森林公園が1900余ヵ所も建設され、その中に国家森林公園は627ヵ所ある。全国に国家地質公園が85ヵ所あり、そのうち、安徽省の黄山、江西省の廬山、河南省の雲台山、雲南省の石林、広東省の丹霞山、湖南省の張家界、黒竜江省の五大連池、河南省の嵩山など8つの地質公園は最初に世界地質公園ネットワーク目録に入れられた。

―生物多様性の保護。中国は生物の種類が非常に豊富な国であり、国は「中国生物多様性保護行動計画」を制定し、「中国生物多様性国情研究レポート」を編纂し、「生物種資源保護利用企画」を編成した。現在、全国に野生動物救助繁殖基地が250ヵ所、野生植物種資源保育センターまたは遺伝子保存センターが400余ヵ所設立されており、これらの部門は200余種の絶滅に瀕している希有野生動物と千種もの野生植物の安定した人工種群を創出した。同時に、国が重点的に保護している野生植物資源の調査と緊急救助式の収集を展開し、農業野生植物原生地保全区を67ヵ所設立した。全国で外来侵入種の調査を行い、危害がわりに大きい主な外来侵入生物に対し「十省百県」の害毒を取り除く行動を展開し、公衆の外来侵入生物防止の意識と能力を高めた。全国野生植物資源調査の189種の野生植物のうち、安定して生存、発展する基準に達する野外種が71%を占めている。全国野生動物調査の252種の野生動物のうち、安定しながら増えている種が55.7%を占め、ヨウスコウワニ、トキなど絶滅に瀕している希有野生動物種は数倍に増加し、野生ジャイアントパンダの頭数は1596頭、人工飼育頭数は183頭に達している。一部の種の分布区はちくじ拡大され、黒嘴カモメ、クロツラヘラサギなど種の新記録、新しい繁殖地または越冬地がたえず発見されている。100余年間にあとかた知れず、国際自然保護連盟に世界の極端に危篤な種と発表されたニオイヒバは新たに発見された。

―湿地保護。中国政府は「中国湿地保護行動計画」を公布し、「全国湿地保護プロジェクト企画(2002〜2030年)」「全国湿地保護プロジェクト実施企画(2005〜2010年)」を編成、実施した。現在、全国に湿地自然保全区が473ヵ所あり、総面積は4346万ヘクタールに達している。自然保護区に組み入れられ、効果的に保護されている自然湿地は45%近くに達し、洞庭湖、ロカ陽湖、扎竜など30ヵ所の湿地は国際重要湿地目録に入れられ、面積は346万ヘクタールに達している。一部の重要な湿地の面積は安定して拡大され、生態機能が回復、改善され、湿地面積が急速に減少する現象は効果的に抑制されている。都市部の湿地資源保護は重視、強化され、国は都市湿地公園を10ヵ所認可した。

七、環境経済政策と投入

ここ10年は中国の環境保全投入の増幅が最も大きい時期であり、努力を経て、政府を主導とする多元環境保全投資融資体制が初歩的に確立された。

―環境保全への財政投入を増加する。第10次五ヵ年計画期に、中央財政は環境保全資金を1119億元支出し、そのうち、国債資金は1083億元で、主に北京・天津地区の風砂発生源除去、天然林保護プロジェクト、農地を林(草)地に戻すプロジェクト、三峡ダムサイトとその上流地区の水汚染除去、「三河三湖」の汚染除去、汚水とゴミの産業化と再生水リサイクルプロジェクトなどに使用した。1998年以来、国は環境インフラ建設を国債投資の重点とし、大量の社会資金を環境保全に投入するように促進している。1996年から2004年にかけて、中国の環境汚染除去への投入は同期のGDPの1%を占める9522億7000万元に達した。2006年、環境保全の支出科目は正式に国の財政予算に組み入れられた。

―環境費用徴収政策を整備する。汚染物排出費の徴収と管理を強化し、汚染物排出費の徴収と使用は収支別々管理を厳格に実行し、排出費の収入は環境汚染防除に使用する。二酸化硫黄排出費の徴収範囲を拡大して、すべての二酸化硫黄を排出する企業、事業体、個人経営業者から二酸化硫黄排出費を徴収し、また排出費を高くし、キロあたり0.2元から0.63元に引き上げた。都市部の汚水、ゴミ、危険廃棄物処理費の徴収政策を実行し、社会資金を多種の方式で環境保全施設の建設と運営に投入するように導き、汚染除去の市場化、産業化のプロセスを積極的に推し進める。都市部の汚水・ゴミ処理特許経営制度を制定、推進する。一部の地方は汚水処理場とゴミ処理場など政府の建設した施設を入札を通じ、契約の方式で企業に運営させ、政府の監督と管理を強化し、環境保全資金投入の効果と利益を高めている。

―環境保全に有利な価格・税収政策を制定する。再生可能なエネルギー費用の分担メカニズムを構築する。再生可能なエネルギーを使用する発電機が電力網に送る電気の価格が地元の脱硫石炭燃焼ユニットの電力網に送る電気の価格より高い部分、国の投資または補助によって建設された公共の再生可能なエネルギーの独立電力系統の運営維持費用が地元の省クラスの電力網の平均電力販売価格より高い部分、および再生可能なエネルギーを使用する発電所の電力網連接費用などは、電力ユーザーから特別料金を徴収することによって解決される。鉄鋼、電解アルミ、鉄合金など製品の輸出税払い戻し額を何回かに分けて減らし、または取り消す。自動車産業のグレードアップに有利で、自動車の汚染を軽減する税収政策を制定し、期限前に低汚染の排出基準に達した自動車生産企業に対し、消費税を30%減少する。再生資源を回収し、資源を総合的に利用し、環境保全の産業設備を生産する企業、廃水、廃ガス、固体廃棄物を主な原料とする生産企業に対し、税減免の優遇政策を実行する。耕地占用税政策を厳格に実行し、土地資源を合理的に利用し、土地管理を強化し、農業用の耕地を保護する。石炭、原油、天然ガスなど鉱産物の資源税の税額基準を陸続と高め、鉱産資源をいちだんと保護し、資源の合理的開発・利用を促進する。

八、環境アセスメント制度

環境アセスメント制度は発生源で環境汚染と生態破壊を抑制する法律手段である。1998年、中国政府は「建設プロジェクト環境保全管理条例」を公布、実施し、環境アセスメント制度および建設プロジェクトの環境保全施設を同時に設計し、施工し、生産、使用するという「三同時」制度を明確に提出した。2003年から実施した「中華人民共和国環境アセスメント法」は、環境アセスメント制度を建設プロジェクトから各種の開発建設企画に拡大している。国は環境アセスメント技師職業資格制度を実行し、プロの技術者からなるアセスメント陣を作った。

全国では146万余件の建設プロジェクトが環境アセスメント制度を実行し、63万余件の新しいプロジェクトが「三同時」制度を実行し、環境アセスメントと「三同時」の実行率はそれぞれ99.3%と96.4%、「三同時」の合格率は95.7%に達した。1996年以来、全国の建設プロジェクトの投資総額は26兆9980億元、環境保全の投資総額は1兆2306億元に達し、しかも年々増加する傾向を呈している。環境アセスメント制度の実行を通じて、工業類のプロジェクトは「増産しても汚染を増やさない」または「増産するとともに汚染を減少する」ことを実現し、環境の重要なデリケートの問題にかかわる生態類プロジェクトは、場所、路線、プロジェクト計画を調整することによって、新しい生態破壊を効果的に避けている。2005年、総投資額が1179億4000万元に達する30件の違法建設プロジェクトの建設を停止させた。2006年2月、投資額約290億元、「三同時」制度に違反する10件の建設プロジェクトを取り調べ、処理した。

国の環境保全部門は内蒙古自治区、新疆ウイグル自治区、広西チワン族自治区と大連市、武漢市など5つの行政区の鉄道と石油化学工業および寧夏寧東石炭化学工業基地企画、上海市の都市軌道交通網企画に対し最初の企画環境アセスメントを試行し、「全国森林製紙一体化プロジェクト建設特別企画」の環境アセスメント作業を完成し、タリム川流域、瀾滄江中下流、四川の大渡河、雅゚江上流、聿水流域などの流域開発利用企画に対する環境アセスメントを展開した。そのうち、怒江流域の水力発電開発企画の環境アセスメントは異なる階段式開発案の開発配置、規模、方式、開発時期など各方面の環境影響程度を比較して、該当企画の実施に環境影響を予防、減少する措置を提出した。大渡河流域の水力発電の階段式開発企画に対する環境アセスメントは環境と発展の協調性を十分に考慮し、流域資源開発の環境保全の総体的計画を提出し、階段状の水浸しを39キロ減少し、水浸しの耕地を1867ヘクタール減少し、水浸しの県都を2つ減少し、移民を8万5000人減少した。国は水力発電建設の秩序だった発展を積極的に推進し、エネルギー発展戦略と電力発展方針を水力発電の積極的開発から生態保護を踏まえての水力発電の秩序だった開発に調整した。

九、環境保全の科学技術、産業および公衆の参与

中国は環境保全に対する科学技術の支持能力を重視し、たえず高め、環境保全の産業化プロセスを積極的に推し進めるとともに、各種の措置をとって、公衆の環境保全への参与を促進している。

―環境保全の科学的研究。第10次五ヵ年計画期に、国の重要な科学技術特定プロジェクト「水汚染抑制技術と処理プロジェクト」を実施し、湖沼汚染除去と生態修復、都市の水環境の質の改善、飲用水の安全保障、新型の廃水処理など水汚染抑制技術の研究・開発を行い、手本を示し、中国の水汚染防除に確実で実行可能な技術案と関連技術体系を提供している。環境モニタリング技術と設備を開発し、多種の技術と設備の業務化応用を実現した。また自動車の排気浄化、石炭燃焼ボイラーの煙と水蒸気の硫黄脱却、固体廃棄物処理、重点的業種のクリーン生産などのキーポイントの技術開発を展開し、プロジェクトのモデルを示し、自主的知的所有権をもつニューハイテクおよび設備を多く開発した。国の科学技術難関攻略計画の中に「重大な環境問題の対策とキーポイントの支持技術の研究」項目を設け、環境保全戦略と技術政策、循環経済理論と生態工業技術、化学品抑制技術、汚染場所修復技術などの面で研究を行い、中国グリーンGDP計算体系の枠組みを初歩的に形成した。西部生態系統の総合的評価、生態機能区画、脆弱な生態区の回復と再建などの研究を行い、多種の西部生態脆弱区整備の技術パターンを形成し、規模化の手本を推し広めた。全国の外来侵入種の調査を完成し、中国生物多様性データベースを設立した。「国家環境と健康行動計画」を制定し、一部の重点地区で環境健康調査を展開した。グローバルな環境変化の研究を積極的に展開し、「気候変化国家評価レポート」を編纂し、国がグロバールな環境変化に対応する政策を制定し、関係国際条約交渉への参加に科学的根拠を提供した。

―環境保全産業。長年の実践を経て、中国はすでに産業部門が基本的にそろって、ある程度の経済規模をもつ環境保全産業体系を形成した。環境保全製品の生産分野とサービス業はわりに大きな進展をみせ、資源の総合的利用とクリーン技術製品の分野は急速に発展している。2004年末現在、環境保全産業の販売(経営)年収が200万元以上の企業は1万1623社あり、従業員は159万5000人、全業種の年収は4572億1000万元、利潤は393億9000万元に達した。

―公衆の参与。中国政府は努めて条件を作り出し、公衆の環境保全活動への参与を奨励している。環境アセスメントは公衆の参与について制度的規定を行い、悪い影響を及ぼす可能性のある企画または建設プロジェクトに対し、論証会、公聴会またはその他の形式を通じて、関係部門、専門家、公衆の環境アセスメントレポートに対する意見を求めるべきであると要求している。2006年2月、国の環境保全部門は「環境アセスメントへの公衆参与暫定規則」を公布し、公衆が環境アセスメントに参与する範囲、プロセス、組織形式などの内容を詳しく規定した。民間組織と環境保全ボランティアは環境保全への公衆参与の重要な力であり、現在、中国に政府以外の環境保全団体は1000以上ある。

―宣伝教育。環境保全の宣伝教育を強化するため、国は「全国環境宣伝教育行動要綱(1996〜2010年)」と「2001〜2005年全国環境宣伝教育活動要綱」を制定した。2001年から実施を始めた第4次五ヵ年法律普及企画は、環境保全法律法規の宣伝教育を全国民法制宣伝教育の重要な内容とするとともに、環境保全法律法規を年度法制教育計画に組み入れた。年に一度の6月5日の世界環境デーに全国的な環境宣伝教育活動を展開している。グリーンコミュニティ、グリーン学校、グリーン家庭の創建活動を展開し、現在、全国で2348のコミュニティがグリーンコミュニティの創建活動に参加し、2万5000余校の小学校、中学校、中等職業学校、幼稚園がグリーン学校の創建活動に参加し、100のグリーン家庭が表彰された。「母なる川保護」「グリーン承諾」「毎日の環境保全」「生態モニタリング」などの実践活動を通じて、広範な青少年に対し生態環境道徳教育を行い、彼らの環境保全意識を増強し、グリーン中国フォーラム、中国環境文化祭などの活動を展開して、環境知識の普及を行い、公衆が環境問題の討論に参与するように導き、社会の「誰もが参与し、ともにグリーンホームを作る」雰囲気を醸し出している。

―環境情報を公開する。2005年末現在、全国のすべての地区クラス以上の都市は都市の空気の質の自動モニタリングを実現するとともに、毎日空気の質を発表している。重点流域の水質モニタリングを展開し、毎月の十大流域水質報告と毎週の水質自動モニタリング報告を発表し、「南水北調」東線の水質モニタリングを定期的に行っている。113の環境保全重点都市は飲用水水源地に対し水質モニタリングを集中的に行い、月例報告を発表している。環境の質の四半期分析制度を確立し、環境の質についての情報をすかさず公布するようにしている。各クラスの政府と環境保全部門は定期的にまたは不定期に記者会見を行って、環境状況、重要な政策と措置、突発的な環境事件、法律法規違反事件などをすかさず通報し、社会各界の環境保全を知る権利を保障し、公衆の環境保全への参与を促進している。

―公衆の環境権益を守る。2005年末現在、全国の4つの直轄市、312の地区クラス市、374の県クラス市、677の県で69.4%の県クラス以上の行政区をカバーする環境保全通報・陳情ホットラインが開通した。2003年以来、全国の各クラスの環境保全部門は環境保全ホットラインを通じて環境汚染の陳情を114万8000件受け付け、処理率は97%前後で、主要都市の環境陳情満足率は80%前後であった。公衆の環境意識と環境の質に対する要求がたえず高まるにつれて、環境権益侵害を反映する投書や来訪の数が年ごとに増えている。2001年から2005年にかけて、各クラス政府の環境保全部門が大衆の投書253万余通、来訪43万余回、延べ59万7000余人、全国人民代表大会代表の提案673件、全国政治協商会議委員の提案521件を受け付けた。

十、環境保全の国際協力

中国は環境保全分野での国際協力を重視し、国連などの国際組織の展開する環境事務に積極的に参与している。長年来、中国は高級代表団を派遣して、国連持続可能発展委員会(UNCSD)の各回会議、持続可能発展世界首脳会議およびその一連の準備活動に参与してきた。中国は砂漠化防除、生物多様性保護、オゾン層保護、クリーン生産、循環経済、環境教育とトレーニング、長江中上流の洪水防除、区域海行動計画、陸地で発生する汚染を防止して海洋を保護する世界行動計画などの分野で、国連環境計画(UNEP)とすこぶる効果のある協力を行っている。中国は国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アジア開発銀行などの国際組織と効果的な協力パターンを作り上げている。中国はアジア太平洋経済協力会議(APEC)の枠組内の各種環境保全と持続可能な発展活動に積極的に参与し、各回のアジア太平洋経済協力会議環境担当相会議に出席している。中国の環境保全分野での努力は国際社会に認められ、賞賛されている。国連環境計画、世界銀行、世界環境基金は相次いで「国連環境計画笹川環境賞」「グリーン環境特別賞」「世界環境指導賞」を中国の環境保全部門の責任者に授け、国連環境計画はさらに「地球防衛者賞」を中華青年連合会の責任者に授けた。2005年末現在、中国では22の機構と6人の個人が国連環境計画から「世界ベスト500」の称号を授けられた。

中国は「国連気候変動枠組条約」とその「京都議定書」「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」「国際貿易における有害化学物質および農薬の事前通報手続きに関するロッテルダム条約」「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」「生物多様性条約」「生物多様性条約<バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書>」および「国連砂漠化対処条約」など環境保全と関係ある50部以上の国際条約に加入するとともに、これら条約の定めた義務を積極的に履行している。

中国政府は「中華人民共和国持続可能な発展国家レポート」を編纂し、「中国21世紀持続可能な発展行動要綱」を制定し、21世紀初めの中国の持続可能な発展の重点分野と行動計画を確定した。中国政府は「中国のオゾン層を消耗する物質のちくじ淘汰に関する国家計画」を認可し、相次いで100余項のオゾン層保全に関する政策と措置を公布し、オゾン層を消耗する物質の代用品と環境保全と関係あるその他の製品の開発・生産基地を設立し、「モントリオール議定書」の定めた段階的削減指標を順調に完成した。世界銀行の推定によると、中国のオゾン層を消耗する物質の淘汰量は発展途上国全体の淘汰総量の50%を占めている。中国政府は北京で「オゾン層保護ウィーン条約」締約国大会第5回会議と「モントリオール議定書」締約国大会第11回会議を開催し、「北京宣言」と「北京改正案」を採択した。

中国は周辺諸国または関連地区との協力を増強、推進し、区域協力メカニズム化建設に積極的に参与している。中日韓三国環境担当相会議メカニズムを構築し、政策交流を定期的に行い、ともに関心をもつ環境問題を討論している。大メコン川亜区域環境協力メカニズムが始動するとともに、2005年に第1回大メコン川亜区域環境担当相会議を成功裏に開催し、亜区域生物多様性保護回廊計画などの協力プロジェクトを提出した。東南アジア諸国連合(アセアン)と中国(10+1)、アセアンと中日韓(10+3)のメカニズムの下で環境協力が始動した。中国政府の提唱で、2002年に第1回アジア・ヨーロッパ環境担当相会議が開かれ、「アジア・ヨーロッパ環境担当相会議議長声明」を採択し、アジア・ヨーロッパ環境協力の基礎、潜在力および協力原則などの面で基本的に意見の一致を見、アジア・ヨーロッパ環境協力のキーポイントの分野と重点を確定した。ここ数年来、中国・ヨーロッパ環境政策担当相クラス対話メカニズムと中国・ヨーロッパ環境連絡員会議メカニズムが構築されるとともに、2006年2月に中国―アラブ諸国第1回環境協力会議が開かれた。

中国は環境保全分野の二国間協力を積極的に展開し、前後してアメリカ、日本、カナダ、ロシアなど42ヵ国と二国間環境保全協力取り決めまたは了解覚書に調印し、11ヵ国と核安全協力二国間協定または了解覚書に調印した。環境政策法規、汚染防除、生物多様性保護、気候変化、持続可能な生産と消費、能力建設、モデルプロジェクト、環境技術と環境保全産業などの面では幅広い交流と協力を行い、一連の重要な成果をあげた。中国はまた欧州連合(EU)、日本、ドイツ、カナダなど13の国、国際機構と双方が無償援助する状況の下で環境保全分野で多くの協力を繰り広げている。中国は発展途上国との環境協力と交流を積極的に行っている。中国・アフリカ協力フォーラムの後続行動に呼応するため、中国は「アフリカ向けの中国環境保全」をテーマとする活動を行い、環境保全分野での中国とアフリカの交流と協力を推し進めている。2005年、中国と国連環境計画は中国・アフリカ環境保全協力会議を共催した。中国政府はまた「アフリカ諸国水汚染と水資源管理研修クラス」を開設し、アフリカ諸国の環境トレーニング展開を援助した。

結びの言葉

中国政府と中国人民は環境保全のために大きな努力を傾けた。しかし、中国が工業化と都市化が加速的に発展する段階にあり、また経済成長と環境保全の矛盾が非常に突出する時期にあるため、環境情勢が依然として非常に厳しいことを、中国政府ははっきり見てとっている。一部地域の環境汚染と生態悪化はまだかなり厳しく、主要汚染物の排出量は環境の受け入れ能力を超え、水、土地、土壌などの汚染がひどく、固体廃棄物、自動車の排気ガス、持久的有機物などの汚染が増えている。新世紀の最初の20年内に、中国の人口が引き続き増え、経済総量が2000年の4倍に増え、経済社会発展の資源に対する需要が絶えず増大するため、環境保全の直面する圧力は大きくなるであろう。

資源環境の圧力が日増しに大きくなるという突出した問題に対し、中国政府は科学的発展観で経済社会発展の全局を統率し、資源節約型、環境友好型の社会の建設を速め、人と自然の調和のとれた発展を促進することを明確に提出した。発展目標を制定するとき、中国政府はエネルギー節約と環境保全を重要な戦略的位置に置いている。中国の国民経済と社会発展第11次五ヵ年計画は、今後5年間の環境保全の主要な目標を次のようにはっきり提出している。つまり2010年までに、国民経済の安定してわりに速い成長を保つと同時に、重点地区と都市の環境の質を改善し、生態環境悪化のすう勢を基本的に抑制する。国内総生産(GDP)単位あたりのエネルギー消耗は第10次五ヵ年計画期の末期より20%前後下げ、主要汚染物の排出総量を10%減少し、森林被覆率を18.2%から20%に高める。

この目標を実現するために、中国政府は水汚染と大気汚染の防除任務を確実に実行し、都市・農村の環境と生態環境の保全を強化し、核と放射環境の安全を確保し、国家環境保全プロジェクトなどの重点的任務を実施し、環境保全活動を全面的に推し進める。中国政府は力を集中して人民大衆の健康をひどく損なう汚染問題を解決し、人民大衆の飲用水の安全保障を汚染防除の最も重要な任務とし、最も厳格な措置をとって飲用水の水源に危害を加える目の見えない汚染を効果的に取り除く。

この目標を実現するため、中国政府は「三つの変化」の実現を積極的に速める。第一は、経済成長を重視し環境保全を軽視することから環境と経済成長をともに重視することに転換し、第二は、環境保全が経済発展に立ち遅れることから環境保全と経済発展の歩調が同時に進むことに転換し、第三は、主に行政の方法で環境を保全することから法律、経済、技術と必要な行政方法を総合的に運用して環境問題を解決することに転換する。経済が安定して成長し、環境資源の代価が最も小さく、環境意識がわりに高い経済社会文化体系を確定し、空間分布の面では、経済発展と環境の受け入れ能力を統一させ、それぞれ特色をもつ発展枠組みを形成する。開発最適化、重点的開発、開発制限、開発禁止の異なる要求に基づいて、異なる区域の機能を明確にし、異なる発展方向と環境保全の目標を制定する。中国政府は発展の中で環境保全を実行し、環境保全の中で発展を促進し、節約発展、安全発展、クリーン発展を堅持し、持続可能な発展を実現する。

この目標を実現するため、中国政府は重点的突破の方針の全面的推進を堅持し、予防を主とし、総合的に整備する原則を堅持し、環境保全の政策法規を引き続き整備し、その執行を厳格に監督し、法によって環境管理を強化し、地方政府の環境の質に対する法的責任を強化する。企業の環境保全施設の審査を厳格にし、企画と重要な政策決定の環境アセスメントを強化し、発生源から環境汚染と生態破壊を防除する。重点流域、水域、沿海都市の海域の特別整備を拡大し、環境の質を確実に改善する。政府、企業、社会多元化の環境保全投融資メカニズムを整備し、環境保全への投入を増加する。公衆の環境保全への参与を推進し、社会監督を強化する。先進的な環境モニタリングの警報体系と完備した環境法律執行監督体系を確定し、突発的な環境事件の警報能力を確実に増強し、環境監視管理能力を全面的に高める。

世界の環境を守ることは、すでに人類社会の共通の認識となっている。責任を負う発展途上大国として、環境問題をきちんと解決することは、中国の発展目標に合致し、13億中国人民の福祉にかかわることであり、人類の共通の利益の重要な体現でもある。中国政府と人民は世界各国政府と人民と一緒に、美しい地球の家を守るであろう。