2006 No.33
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世界に真の中国を理解してもらうために

本誌記者はこのほど、読者が関心を持つ中国政府の記者会見・報道官制度の進展状況について、国務院新聞弁公室の蔡武主任にインタビューした。一問一答は以下の通り。

唐元カイ

記者 ご多忙中、取材を受け入れてくださり、非常に感謝します。昨年末、蔡主任は国務院新聞弁公室(「弁公室」と略称)の新年の会見で内外メディアに対し、世界に真の中国を理解してもらう、との考えを表明しました。真実の、客観的な中国の出来事をより円滑に語るために、記者会見を主管する政府の1つの部門として、弁公室はこの数年来、一貫して国家機関及び省政府の記者会見・報道官制度の整備を進めてきましたが、全体的な進展状況については満足していますか。

蔡主任 総体的には順調に進展していると言えるだろう。それは主に、次の点に見られる。第1に、制度の整備が急速に進んだことだ。これまでに、部・委員会(省庁に相当)や直属の国家局など70近い部門で報道官は約80人に達した。31ある省・自治区・直轄市でもほぼ制度が確立された。外交部のほかにも、一部の部・委員会が今年から定期的に記者会見を開いている。国家統計局や国家安全生産監督管理総局などは毎年4回、定期的に弁公室で記者会見を行っている。第2に、会見が質的に向上し、回数も増えたことだ。暫定統計によると、去年だけでも、各地の各部門が開いた記者会見は合わせて千回以上に達した。内容は政治や経済、文化、教育、経済、貿易など多岐にわたる。第3に、会見の主体性、計画性が著しく高まったことだ。以前は“壇を設けて演じる”ことが多かったが、現在は各部門の要求に基づいて会見場所を提供するようにしている。統一的に指導し、協調性を図り、監督する役割を発揮して、組織の仕事を厳密に分離することで、記者会見はこれまで以上に制度化され、規範に合うようになってきた。第4に、報道官の訓練が進んだことだ。弁公室は03年9月に全国の報道官を対象に初めて訓練班を設置したが、それ以来すでに第4期を数える。同時に、弁公室と国務院の各部・委員会、省政府、この3機関に所属する報道官の訓練も第60期に達しており、会見制度は当初の目標どおり着実に進展している。

記者会見制度の整備が順調に進んでいるのは、各方面がともに努力した結果だ。それは先ず、各地方の指導者が記者会見を高度に重視し、それを全体的な仕事の中で重要な位置に据えるようになったことに表れている。次に、記者会見そのものが党と政府の仕事の中で非常に重要な役割を発揮しつつあることだ。会見などを通じて適時、権威ある情報を公表して、市民に様々な情報を理解してもらうことで、社会全体が関心を寄せるいろいろな問題に答えたり、また党や政府の方針、政策をすぐさま社会全体に伝えたりすることが、政務や党務を公開し、市民の知る権利に応え、政府の仕事と政務に関する情報の透明度を高める上で重要なことだ。さらに、政府の記者会見を通じて、党の方針や政策、政府の主体的な措置など、各種の重要な情報を直ちに公表する、国際社会にわが国の経済発展の状況について時宜を逸することなく紹介する、各国のメディアの中国の情報に対する要望を効果的に満たすことができるか、国際社会の党と政府の各政策に対する関心に応えると同時に、反中国的な世論の攻撃に適切に対応し、反駁できるかなども重要である。

記者会見制度の整備にはまだ長い時間がかかる、と見るべきだろう。例えば、政府の会見制度をさらに強化する必要がある。現在までに、国務院の半数以上の部・委員会、直属部門が記者会見や公表活動を行っているが、まだ体系化かつ制度化されていない。一部の部門では報道官が決まっていても、実際にはこの方面の仕事をしていない。会見の回数も内容も、内外メディアの政務情報に対する要望を満たしてはいない。例えば、政府のある部門には、責任者に会見の場に出させるのが難しいとか、幹部がメディアを恐れ、メディアとの交流を恐れたり、とくに間違った発言を恐れたりするために出たくないなどといった状況がある。また、ニュースの時間性に対する意識も弱い。とくに重大な突発的な事件では、権威ある情報がすぐに提供されておらず、対応も鈍く、その結果、憶測が広がることになる。

社会主義民主政治が確立されるに伴い、より開放された姿勢で世界に向かうようになれば、政府や党が政務、党務の公開をさらに重視し、世界の中国の情報に対する要望に応えることをさらに重視するようになると確信している。弁公室はこれを契機に、引き続き弁公室と各部・委員会、省政府の記者会見制度の整備と完備を進めて、国情にかなった、国際慣例とリンクされた会見制度を早急に確立していくつもりだ。

記者 私や同僚は弁公室主催のほぼ全ての記者会見に参加していますが、最も強い印象を受けたのは、いま話されたように、回数だけでなく、質的にも向上していることでした。これについてはどう評価していますか?

蔡主任 回数を見ると、03年から現在までに、弁公室主催の記者会見は3年連続して大幅に増えている。03年は41回、04年は60回、昨年は68回だった。国務院の各部門と各省政府が開いた分を含めると、去年は1088回に達しており、前年より17%増えている。この13年近く、とくにこの3年の間に模索と努力を続けたことで、記者会見は幅広い影響を持つ“有望な製品”となった。

質的に見ると、弁公室が発表する情報は、権威性と量の膨大さが特徴だと言えるだろう。統一的な協調を図り、真しに準備作業をすることで、対応性と時間性、ニュース性が増強され、同時に、発表する方法も規範に合うようになりつつあり、記者会見は質的に確かに向上し続けている。現在、弁公室主催の記者会見は政務に関する情報を発表する重要なルートとなっており、その影響力は絶えず拡大し、国際社会が中国政府に関する情報を理解する需要な窓口となっている。それは次の4点に見られるだろう。

第1は、重大な事件や社会的に関心の高い問題、突発的な社会的事件について記者会見を開いていることだ。米国や欧州連合(EU)との繊維製品をめぐる貿易交渉や、有人宇宙飛行の2回目の成功、鳥インフルエンザと蔓延防止対策など、重大事件について弁公室は時宜を逸することなく、関係部門の責任者を招請して内外メディアと接触し、状況を説明するとともに、その立場を表明してきた。

第2は、政務と党務の公開を進める面で、積極的かつ推進的な役割を発揮していることだ。去年は、中央財政経済指導グループや、中国共産党中央対外連絡部、中国共産党中央台湾工作弁公室などの指導者が弁公室主催の記者会見に出席した。さらに、中国共産党中央組織部の指導者も我々の会見ホールに姿を見せて、広く関心のある微妙な問題について記者の質問に答えている。こうしたニュース・情報の発表は内外メディアから歓迎され、高く評価されている。

第3は、重要な活動の実施、重要な会議の招集、重要な白書の発表の際に記者会見を開いていることだ。例えば、去年北京で行った第4回世界女性大会開催10周年に関する活動では、全国人民代表大会(全人代)常務委員会副委員長や、全国婦女連合会の主席と副主席を招請して、内外の記者に大会開催10年来の中国の女性の発展状況について説明した。

第4は、内外記者のマクロ経済の発展に関する情報に対する要望に応える記者会見を開いていることだ。また国の各事業の発展状況に照らして適時、関係部門を招請しては、経済や政治、文化教育など各方面の最新の状況も説明している。

記者 政府の記者会見が充実するに伴い、報道官という、この特殊な人たちにますます多くの市民の目が向けられるようになりました。なかには「メディアのスター」とも言える報道官もいます。同時に、会見制度がまだ規範に合っていない部門、地区も少なくありません。また報道官による情報の発表にはまだ、「話したくない」とか「敢えて話さない」「話せない」といったところが見られますが、こうした状況をどう見ていますか?

蔡主任 記者会見の機能と役割は大体、状況を紹介する、政策を説明する、疑問に答えて惑いを失くす、風説に反駁する、事実を明らかにする、世論を導くに概括できるだろう。会見が対象にするのは国内、国際社会と市民であるため、報道官には高い質的条件が求められ、正しい視点を持つとともに正しい立場にあるだけでなく、伝達し、意思疎通を図り、文化的な交流を行う技術も持っていなければならない。全国的に見れば、大部分の報道官は適任者だと言える。ただ、客観的に見ると、会見制度がまだ規範に合っていない部門や地区も一部にある。「話したくない」という状況は、報道官の職が設けられていながら、明確かつ具体的な権限と責任がないことを示すものだ。「敢えて話さない」というのは、報道官が政府の施政状況、政策決定過程や全局的な仕事に対して熟知していないことを物語っている。「話せない」という状況は、この2年でずいぶん改善されたものの、まだ改善すべき余地はあり、報道官の情報発表能力もさらに向上が待たれている。

「特殊な身分」としての報道官は常にメディアの前に姿を現しているため、内外の関心を呼ぶものだが、それ以上にその苦楽は自ら知っているのだ。こうした仕事は個人として総合的に高い資質が求められており、それは様々な面に具体的に表れてくる。そのため、弁公室は三級の報道官を対象に訓練を行い、省ごとに訓練班を設けている。

記者 各政府の報道官はどうやって選出されるのでしょうか。また、訓練にはどんな内容が含まれているのでしょう。講師には外国の有名な記者や元報道官もいる、と聞いていますが。

蔡主任 報道官は各部・委員会が自ら決めており、通常は総合部門の責任者だ。弁公庁の主任だったり、政策法規司の司長だったり、また研究室の主任もいる。また省や市政府の報道官は一般に政府の秘書長や副秘書長であったり、専業部門ではその部門の第一人者だったり、あるいは二番手が務めたりしている。どんな職務に就いていても、報道官として、彼らはいずれも所属する部門の専門知識あるいは政策を非常に熟知している必要があり、深く理解するとともに、情報も十分に把握していなければならない。

訓練は非常に開放された体系的なもので、関係方面の指導者が来て講義することもあり、また情報伝達学の専門家や教授もいる。報道官の視野を広げるために、CNNの記者や米国などの元報道官を招請して交流することも確かにある。

弁公室はこれまで大体、5000名近い各クラスの報道官を訓練してきた。各部・委員会、各地方の報道官は大半が訓練に参加している。現在の訓練はまだ初段階のものであり、さらに層的に向上させ、内容も高度化させていくつもりだ。

記者 部長として、あるいは仮に報道官であったとしたら、記者会見では、どのような問題に答えたいと思いますか? 杓子定規なもの、それとも挑戦的なものでしょうか。

蔡主任 挑戦的な問題がいいですね。往々してこの種の問題は市民が最も注視し、最も関心を寄せているか、あるいは最も猜疑の目で見ており、最も答える必要があるからだ。答えれば、スムーズに伝わるだろうし、回答が良ければ、伝達効果もより良くなるだろう。

私はかつてこう話したことがある。中国の発展についてこれまで世界によく説明してこなかったがために、海外にあれこれと誤解されることになったが、これは多くの官僚が長年にわたって相対的に閉鎖された環境の中で仕事をし、記者とくに海外の記者とあまり接触せず、いかにメディアに対応するかを知らなかったことと関係がある、と。グローバル化の急速な発展と絶えず拡大する全面的な対外開放を前にして、我々はメディアに対応し、記者に対応して状況を説明し、情報を交流することを早急に学ばなければならない。中国共産党中央対外連絡部の副部長を務めていた時、私は常にメディアと接触していたが、そのなかで最大の収穫は、互いに尊重し、誠意をもって対する大切さを体得したことだった。

国務院新聞弁公室の主任として、私は仕事上、これまで以上に内外のメディアと接触して、各国の記者たちのお役に立ち、市民とくに外国人に真の中国を理解、認識してもらわなければならない。

記者 中国と中国人民の真の姿とは、どんなものだと見ていますか。言い換えれば、本当の「中国のイメージ」とは、どの様なものでしょう。

蔡主任 中国のイメージとは、平和と発展、文明と進歩、民主と法治、改革と刷新、対外開放、協力と相互利益に概括できるだろう。ここに現代中国のイメージが集中的、かつ具体的に示されている。

ここで特に提起しておきたいのは、中国の良い国際イメージを対外的に示すには、中国は平和と発展の道を歩んでいる、というこのメインテーマから離れてはならないことだ。これは中国の国際社会に対する厳粛な政治的な確約であり、中国人が1840年のアヘン戦争以後の列強の侵略と略奪、圧迫を受けた後に打ち出した歴史的結論としての必然的な選択である。また中国の歴史、文化的伝統としての必然的な選択であり、中国が平和を希求し、発展を促進し、協力を模索する歴史的潮流に即した必然的な選択でもある。この道は即ち、国内的な改革だ。つまり、中国の特色ある社会主義の道を歩み、建設に一心に励み、発展を一意専心に求め、科学的な発展観をもって経済社会の発展の全体像を統率し、民主と法治、公平と正義、信頼と友愛のある、活力に満ちた、人と自然の調和の取れた社会の建設に尽力することである。対外的には、経済のグローバル化の発展傾向に即して、平和と発展、協力の旗を高く掲げて、各国とともに恒久的な平和と、ともに繁栄し調和の取れた世界の構築に尽力することである。この道の核心をなすのは、世界の平和というプラスとなる時代を利用して自らの発展を実現することであり、また、自らの発展をもって世界の平和と共同の発展を擁護、促進し、永遠に覇を唱えることをせず、永遠に世界の平和を擁護し、共同の発展を促進する確固たる力になることである。

ここで指摘しておきたいのは、中国は今、1つの長期にわたる作業を行っているのだということを、世界に客観的、全面的に認識してもらうことだ。中国は大国だが、各地によって発展の度合は非常に異なる。しかも、変化する時代にあり、日々新たな進展を遂げていることは、自動車やビルの増加だけでなく、中国人の考え方や意識の変化にも表れている。歴史的に見ても、中国は改革開放されてわずか20数年であり、世界と全面的に接触した期間はまだ短い。そのため、外国人は中国との交流の過程で、一部の中国人は外国人と円滑に意思疎通が図れても、そうできない中国人もいることに気づき、それがある程度障害になることがあるかも知れない。それでも対外開放が進み、対外交流が増えていけば、外国との意思疎通や理解はますます深まり、ますますスムーズになるだろう。

記者 現在、わが国が直面する国際社会や、環境に変化が起きていると思いますか?

蔡主任 国際情勢が変化し、わが国の経済と社会が発展するにつれて、わが国が直面する国際社会、環境は確かに重要な変化を遂げている。第1に、中国の国際的地位が高まり、国力が増強するに伴って、世界のわが国に対する関心が絶えず強まっていることだ。官であろうと、民であろうと、また政府であれ、メディアであれ、中国の状況をより理解したいと思っており、各国メディアの報道でも中国の比重は次第に高まってきている。第2に、中国に関しては積極的かつ客観的な報道が次第に増え、また中立的な内容も増えており、テレビ番組やAV(音響・映像)製品でも中国の状況を称賛、また客観的に反映したものが増えていることだ。第3に、中国に関する報道では、我々の権威ある部門や、貴誌のような対外ニュース関連部門が発表した情報や事例を引用することが増えていることだ。だが、中国と外国との差異、ひいてはイデオロギー面での違いについては、全体的に見て各国メディアが中国の状況を報道することはやはり少ない。また、西側メディアの中国の状況に関する報道では、真実ではない、全面的ではない、ひいてはマイナスな状況に重きを置く姿勢が依然として見られる。我々が直面する国際社会、環境は恐らく今後もかなり長い期間、厳しい挑戦にさらされ続けるだろうが、こうした状況を改めるには、長期にわたって弛まぬ努力をすることが肝要だ。