2006 No.34
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2008年五輪へカウントダウン――
2年を切り、北京の準備状況は

2008年のオリンピックはすでに計画から実施段階へと入った。北京はまさに高速列車のように今、計画どおりの「定刻到着」を目指し、「オリンピックシティー」に向け着実に疾走しているところだ。

唐元カイ

ほぼ毎年のように撮影に忙しい映画監督の張芸謀氏。今後も2年間は映画の仕事に携わることになる。もっと正確に言えば、「大型映画」の撮影を開始しようとしているところだ。上映時間はすでに決定ずみ。2年後の2008年8月8日の夜8時。

張氏は北京オリンピック組織委員会(「組織委員会」と略称)から第29回五輪の開幕式、閉幕式の総監督に抜擢された。張氏は2004年アテネ五輪の閉幕式で、長さ8分の「中国の部分」を監督。だが、中国人はそれを大きな名誉とは感じなかった。中国オリンピック委員会(COC)名誉主席の何振梁氏は香港鳳凰テレビ局のインタビューで、「ギリシア人による開・閉幕式に比べると、我々の『8分』は非常に見劣りし、差は頗る大きく、彼らには底の深さが見られるが、我々には厚みがなかった。中国の文化と文明、現代的な精神をもって表現すべきだが、これはそういうものではない」と直截に語った。何氏は1984年以来、夏季五輪は6回、冬季五輪は7回も開幕式に出席。何氏は、中国数千年の文明と文化的な奥深さを十二分にかつ独創的に表現するとともに、中国人のスポーツやオリンピック精神に対する理解をはっきりと体現すると同時に、濃密で強烈な現代的息吹を発しなければならないと考えており、そうするのはかなり難しいのは確かだが、そこに成功のカギがあるとして、「一般的に、大きな紅い提灯や京劇の隈取りといった“符号”で見栄を切ったとしても、それで解決できるものではない」と指摘している。

精彩に富んだ開幕式はオリンピックが半分成功したのに等しい、と言われるが、これは開幕式がオリンピックで象徴的かつ重要な一部であることを示すものだ。北京五輪のカウントダウンが始まった今、多くの中国人が何氏と同じような心配をしているが、大半はやはり期待のほうが大きい。中国共産党北京市委員会書記で、組織委員会主席の劉淇氏は「十数億の国内のテレビ視聴者、数十億の国外の視聴者を前に、開幕式は中国人が観て、紋切り型だと感じるものであってはならず、外国人が観て、中国の優れた文化が反映されていると感じるものでなければならない。我々の開幕式が、多くの人々が想像もしなかった創意工夫とクライマックスに富んだ、全世界の人々に永遠に記憶に残る瞬間を残すものになるのは間違いない」と強調している。

今年4月、95歳になる中国の国学者の季羨林氏、米国の映画監督のスティーヴン・スピルバーグ氏など、著名な専門家が組織委員会の顧問に招聘された。開・閉幕式の創意溢れる実施プランの募集は昨年の年初から始まった。応募件数は409件に達し、その中から特色のある優秀なプラン13件をすでに選定。現在、作業チームは昼夜兼行で採用プランの最終決定を急いでおり、開幕式については、年末までに完ぺきな実施・技術プランが決まる見通しだ。

北京は一貫して「特色のある、ハイレベル」なオリンピック開催を目標として明確に掲げてきた。開幕式はその重要な一部だ。劉主席によると、中国らしさ、名所旧跡、時代性、市民参加の4点で「特色」を発揮。競技・関連施設、開幕式・文化イベント、メディアサービス・世論の評価、セキュリティー対策、ボランティアサービス、交通・生活関連サービス、都市のイメージ、競技成績の8点で「ハイレベル」を目指すという。

競技施設の建設

「準備作業については、各政府が高度に重視し、全国民や社会各界からも大きな支持を得ている」。組織委員会の副主席兼秘書長の王偉介氏はこう話す。北京市政府は建設工事や環境整備に責任を負う指揮部や、競技進行方法を検討する調整グループを相次いで設立。広範な市民や社会各界もオリンピック関連市場の開発やエンブレム、スローガン、公式マスコット、公式テーマソングの募集などの準備作業に積極的に参与してきた。「社会全体に準備作業に参与する、という情熱のある秩序だった雰囲気が醸成された」と王氏は強調した。

取材でハード面の準備作業について聞いたところ、専門家の多くが「安心している」と答えている。何氏は「2001年7月13日の招致の成功から2008年8月8日の開幕式まで、この7年間の過程は一定の順序に従って、着実に作業を進めていく過程である。準備作業に当たっては心配させないことが肝要であり、作業は計画どおり順調に進んでいる」と指摘。

国際オリンピック委員会(IOC)2008年五輪評価委員会委員長のハイン・フェルブルッゲン氏は今年5月に北京で、「競技場や関連施設の建設の速さは、信じられないほどだ。北京は少しの時間も浪費していない」と評価している。

北京の南北を貫く中軸線上には、天安門広場や故宮、天壇など古跡や有名な建築物が多い。この中軸線は2008年にはさらに延びて、その最北端に敷地面積約1100ヘクタールのオリンピック公園が建設される。14の競技施設とオリンピック村が並び、開幕式が行われる国立スタジアムはその中心位置に屹立する。現在、急ピッチで建設が進められているところだ。

「公園の緑化面積は40〜50%に達する」。招致に成功して間もなく、当時市長だった劉淇氏は会議「21世紀フォーラム――緑と環境保全」で世界各国の環境専門家にこう強調した。北京市は山間部に1万400平方キロ、平原部に長さ千キロ、市街地に百平方キロのグリーンベルトや緑地を建設する計画を作成。すでに緑化率は50.2%に達しており、2年前倒しで計画目標は達成された。

北京五輪では37の競技施設と76のトレーニング施設が使用される計画。建設に当たっては、BOT(民間企業が設計・建設・運営を請け負った後に政府に引き渡す)、いわゆる民間資金による社会資本整備方式を採用した。全競技・関連施設は来年末までに完成する予定だ。

このほか、21の指定医療機関とドーピング検査センターを確定。また宿泊施設では、組織委員会と契約した星クラスの各ホテルが来年上半期から団体客の予約受付を開始する。5つ星の場合、宿泊料金はスタンダードルームで2800元(約350ドル)になる見込み。

競技種目数・資金源

北京五輪で行われる試合は28競技、302種目。すでに競技スケジュールはIOCから原則承認を得ており、28競技の主任についても各国際連盟の確認を取り付けている。

このほか、ヨット競技が行われる青島や、サッカー予選リーグを開催する天津と上海、瀋陽、秦皇島でも準備組織が発足して今、準備作業が全面的に進められている。

中国が招致申請時に示した五輪開催予算は、収入が16億2500万ドル、支出が16億900万ドル。だが、米国の「9.11」や2003年の新型肺炎(SARS)の影響から、組織委員会は後にセキュリティーや衛生・医療面の支出を追加した。執行副主席の蒋効愚氏は「支出は申請時をやや上回ったが、実効性の重視と節約の原則に従うことにしており、運営コストがアテネ五輪(19億6700万ユーロ・約24億ドル)の水準を超えることはない」と説明。

オリンピック開催の資金源は、IOCが組織委員会に交付するテレビ放映権料の約8億3000万ドル、IOCの市場開発収入のうち組織委員会分の約3億3400万ドル、組織委員会の市場開発による収入など。蒋氏は「市場の開発は非常に成功しており、問題なく円滑に開催できる」と強調している。オリンピック関連市場の開発は2003年9月1日に正式にスタートした。現在、資金とサービス面でサポートするIOC協力パートナーは11社、スポンサー企業は9社。組織委員会と契約を結んだ特許商品単独供給メーカーは5社、特許商品販売ショップは248店。

現在、全作業は順調に進展している。今後、予期せぬ問題に直面する可能性もあるが、王岐市長は「オリンピックの旗を受け取るまでの間、生じるかも知れない問題に対処する準備はすでにできている」と強調した。

※参考資料

招致成功から今日までの動き

◆2001年12月13日:第29回オリンピック組織委員会(組織委員会)が正式に発足した。

◆2002年2月4日:国務院は『オリンピックマーク保護条例』を公布し、2002年4月1日から施行された。

◆2002年7月12日:北京市政府と組織委員会は、主要な準備作業を明確にした『北京五輪行動計画』を共同で制定、公布した。

◆2003年6月11日:組織委員会ヨット委員会が青島で正式に発足した。

◆2003年8月3日:「中国の印・舞い動く北京」と銘打ったがエンブレム天壇の祈念殿で発表された。

◆2003年8月31日:北京オリンピック放送有限公司(BOB)に関する覚書が調印され、テレビ放映作業が正式にスタートした。

◆2003年9月1日:市場開発計画が正式にスタートした。

◆2003年12月24日:国立スタジアムと国立水泳センターの起工式が行われ、競技施設の建設が全面的に始まった。

◆2004年3月26日:聯想集団が中国企業として初めてIOC世界協力パートナー計画(TOP)に加入した。

◆2004年7月13日:「天・地・人」と銘打った2008年パラリンピックのエンブレムが発表された。

◆2005年5月31日:BOBが設立され、全面的な運営を正式に開始した。

◆2005年6月5日:ボランティア募集活動が始まり、シンボルマークも公表された。ボランティアに従事する人数はオリンピックで約7万人、パラリンピックで約3万人に達すると予想される。

◆2005年6月26日:スローガン「一つの世界 一つの夢」が発表された。

◆2005年7月8日:IOCは馬術競技が香港で行われると発表した。

◆2005年10月5日:組織委員会香港馬術委員会が正式に発足した。

◆2005年11月11日:公式マスコットの5つの「福娃」(フーワ・幸福の乳児)が発表された。魚を形象化した「貝貝」、パンダの「晶晶」、聖火の「歓歓」、チベットカモシカの「迎迎」、ツバメの「」。同一発音から「北京歓迎」(北京はあなたを歓迎する)を意味する。

◆2006年4月16日:開・閉幕式創作チームのリストが発表された。