中国を理解できる生活用語は
安子
教育部と国家言語文字工作委員会(委員会)は5月22日、初めてとなる「中国の言語生活の状況に関する報告(2005)」を発表した。約1万語の単語を理解し、900余りの漢字を知っていれば、中国語の出版物の90%は読めるとしている。
漢字は通常、どのように使用されているのか。最も常用する単語はどれほどあるのか。どれほどの字を知っていれば本を読み、新聞を見ることができるのか。報告は初めて「グリーン白書」の形でまとめられ、言語をめぐる生活環境は総体的に健全で調和が取れている、と結論づけている。
中国語は難しくない
報告は、西側諸国の文字との違いは極めて大きいが、学ぶのは決して難しくないと強調。
教育部言語文字情報管理司の李宇明司長は「中国語は難しいと言われる。だが実際は、世界でも優れた言語の1つであり、比較的容易に学べる」と指摘する。使用頻度の高い漢字のうち、上位581字だけで日常用語の80%を占めており、900余りの漢字と約1万の熟語をマスターすれば、中国語の出版物の90%は理解できるからだ。また99%まで理解するにしても、2315字ですむという。
委員会では「1万余りの熟語は936の漢字から構成されている。これらの字はメディアでの使用頻度が非常に高い。だが、生活の場での話し言葉や文章用語は、雑誌や新聞にはあまり出てこない。そのため、900字余りを知っていれば、それで十分だとは言えない」と指摘する。
変化大きいメディア用語
李司長によると、今回の調査では、15の新聞と13のテレビ局、3つのウェブサイトを対象に、約86万の文章、延べ9億字余り(句読点やアルファベット、アラビア数字を含む)について調査を行った。うち漢字は7億3200万字。
その結果、使用頻度が最も高かったのは「的」で、延べ2400万回。1988年に策定された「現代漢語常用字表」(3500字)と比較すると、今回の調査で、使用頻度で上位を占めた2500字のうち、357字はその「一級常用字」(2500字)には見当たらない。上位3500字を見ると、398字は字表に盛り込まれていない。さらに「現代漢語通用字表」(7000字)と対照すると、7000字のうち615字がこの字表にはなかった。
逆に、調査では、通用字表にある244字が使用されていないことが分かった。これは、常用字表と通用字表に大きな違いのあることを示すものだ。
ネット用語が急速に拡大
報告は、清華大学や南京大学など7大学のBBSホームページに掲載された約6万件のテキスト(1億余りの文字・符号)での言語を分析。その結果、句読点や符合の使用頻度は55.07%と、漢字を上回っていることが明らかになった。
李司長はネット用語の特徴として、(1)上位127字の使用率は50%、同923字では90%に達しており、いずれも簡体字である(2)ネット用語は数年前に大量に出現したものの、近年の伸びは緩やかである――の2点を挙げている。
報告は、ネットで常用されている特殊用語の使用頻度についても調査。その結果は以下の通り。第1位は、「頂」。23%を占めた。次いで「555」が12.11%。第3位は「ding」で5.6%。
言語が調和のある生活を
今回の言語をめぐる生活状況の調査について、教育部副部長で、委員会の趙沁平主任は「言語は社会生活にとって重要だ。社会で使われている言語に関心を寄せ、言語をめぐる国情を把握することが重要な課題でもある。社会が急速に発展し、IT(情報技術)が飛躍的に進展する今日、社会の言語をリアルタイムで監視し、規範化する長期的かつ有効な体制を確立し、社会の重要な分野での言語や文字の使用状況を監視、分析・検討するとともに、言語をめぐる国の状況を適時かつ全面的に理解することが必要だ」と強調する。教育部と委員会は今後も毎年、報告をまとめることにしており、言語生活が健全で調和の取れた方向へと発展するよう指導するほか、国の言語・文字に関する政策の制定や調整、学術研究に役立ててもらう方針だ。
今回の調査では、海外向け中国教材2冊についても分析。その結果、使用文字は合計1847字で、うち31文字が常用字表に含まれていないものだった。句読点や符号についても調査したところ、変形した句読点が93種も見つかった。
教育部の李司長は「一般的に言って、言語生活は健全で調和が取れており、主体性と多様化の共存がその特徴だ。この数年、社会が関心を寄せる問題が増え続けている。中国語の国際的な普及、小中学校での中国語と英語の同時教育、地方の言語、ラジオ・テレビ・映画で使用される方言、ネット言語、地名・交通標識の英語の表記、人名・地名の使用期間の制限、消滅の危機にある言語などだ。これらは検討するに値する」と指摘。
さらに「応用言語学は立ち上がったばかりであり、言語生活に関する研究成果の蓄積は少なく、その対象範囲も幅広く複雑だ。そのため、今回の報告のデータは、必ずしも2005年の状況を全面的に反映しているとは言えないが、かなりの価値はある」とした上で、委員会とともに作業体制を絶えず完備し、報告の内容を充実させていく考えを強調した。
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