2006 No.42
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アナン国連事務総長に書面インタビュー

――国連で45年にわたり仕事をしてきたアナン事務総長は年末に退任する。この「世界第一の外交官」はこのほど本誌の書面インタビューに応じ、国連がこの数年間に各分野の活動で収めた成果を振り返るとともに、国連の将来の発展方向を示した。同時に「中国がその活力あふれる経済でアジア、アフリカとの貿易の増大や投推し進めることは、発展途上国の長期的な利益に合致する」との考えを示した。

一問一答は以下の通り。

本誌:アナン事務総長、あなたの2期目の任期は今年末に期限を迎え、その時には、国連関係での仕事の時間は概ね45年となります。国連というこの重要な国際組織での仕事は決して容易なことではなく、事務総長にとっては特にそうだったのではないかと信じています。自ら職業としての生涯を国連にささげ、このように長くここで仕事をしてきたのは、どんな理由からなのでしょう。

総長:国連の関係者はみな、我たちの仕事は終わりにははるかに遠いことを知っています。しかし、挑戦がいかに厳しくとも、私は国連の理想については今も固く信じて止みません。今日、世界は過去のいかなる時よりも共同の問題に対応し、共同の解決の道を模索するための有効なメカニズムを必要としています。このメカニズムこそが国連なのです。国連はまさにこのために創設されました。国連の一関係者として、私は非常に光栄に感じています。

現在、集団安全システムを強化し、真の世界規模で発展するパートナーシップを育成し、国民の間の寛容と理解を増進するという要求は過去のいかなる時よりも差し迫ったものとなっています。国際的な団結を増強し、たとえばダルフールの問題といった人道主義の危機に対応するという要求は過去のいかなる時よりも強まっています。これは国際社会が直面する厳しい課題です。国連がなければより有効な手段が探せる、と考えてはいけません。現在の世界にあって、国連は重要な現実的意義を有しているだけでなく、より非常に必要とされているのです。

本誌:退任後も引き続き国連関連の仕事を行うのでしょうか。

総長:退任後は、子どもの教育問題やアフリカの発展の問題など、心の痛む問題の解決に精力を集中していきたいと思っています。

本誌:報道によると、事務総長に就任して以来、一貫して改革を通じて国連の地位向上に努めてきました。これは1997年の就任時に示した初めての主要な提案でした。この数年来の国連改革の進展状況をどう評価していますか? 改革の過程で最も困難な時はいつだったのでしょう。

総長:国連は改革が必要だ、ということは誰しもが賛同しているようです。ですが、各加盟国の政治的意志を凝集して改革を推し進める場合には、挑戦的なものが伴うこともあるのです。

それでも近年、多くの重要な措置が打ち出されました。各加盟国は戦乱から和平というこの困難な移行過程をより効果的に管理するため、新たな平和構築委員会を創設しました。さらに中央緊急支援基金を設立して、人道的危機の被害者を救済しています。各体制を強化し、国民が民主的権利を行使できるようにするため、民主基金をスタートさせました。国連総会はまた人権評議会を創設しましたが、この歴史的な措置によって、私たちは国連の人権という重要な分野での信用を回復することができました。私自身について言えば、各加盟国に対して国連関係の管理の改善に関する一連の新た提案を示しました。私の目標は、前回の改革を基礎にして、国連をより透明で、より責任を負う、より有効な手段にすることで、全人類に尽くすということです。

本誌:安保理の拡大についてはどう考えていますか。

総長:私は今も、安保理は改革する必要があると固く信じており、安保理の改革がなければ、国連の改革は終わらない、と何度も表明してきました。私は、各加盟国は安保理の改革を放棄すべきではなく、改革を継続していくべきだと考えていますが、それは改革の欠如が、国連が現在緊張した状況にある一部の原因となっているからなのです。1945年から現在に至るまで、世界は変化しており、国連もそれに適応しなければなりません。多くの加盟国が私たちの管理機構はすでに時代遅れだと感じており、権力基盤はわずか加盟5カ国によって支配されていると考えられているため、私たちはこうした状況をこれ以上引き伸ばすことはできません。

本誌:事務総長に就任する前、事務総長代理と副事務総長を務め、長年にわたって平和維持活動の責任を担ってきました。現在の国連の世界各地での平和維持活動をどう評価していますか? こうした活動は所期の役割を発揮しているのでしょうか。

総長:現在、7万3000人の兵士と1万3000人以上の民間人が全世界15の地区で平和事業のために仕事をしています。彼らは停戦を維持し、国境を監視し、和解を促進し、人道支援を協力して実行し、難民の帰還を援助するとともに、民主選挙や法治、再建、経済復興に向けた条件の整備に当たっているところです。

現在でも、国連の平和維持活動に対する要求は弱まっていません。実際、私たちが派遣している様々な平和維持部隊の数は歴史上最も多いのです。国連の平和維持要員は、日常の仕事をもって、『国連憲章』にある「後世が再び悲惨極まりない戦禍の遭遇を免れることを欲する」とする宣言の意義を具体的に示しているのです。

本誌:国連の将来の役割についてどう考えていますか? あなたの後継者が国連を強化する面で直面する最も厳しい課題は何だと思いますか?

総長:現在の世界はグローバル化へと向かいつつありますが、これは、変化は永遠なものであることを意味しています。国連も例外ではありません。各加盟国の国連および事務局、各機構、基金、プロジェクトに対する要求は大いに高まっています。人々は国連が過去よりより多くの地域、より多くの人により多くの貢献をしてくれるよう期待しています。国連の現在の構造とシステムについて言えば、こうした要求と期待に応えるのは大変に難しいのです。

今日でも、『国連憲章』の各原則の現実的意義は1946年と違いはありません。しかし、我たちがこうした目標を実現するには時代とともに進むことが必要です。私は就任以来、改革を一貫して重要な仕事とし、より有効な平和維持活動から民間社会と民間企業とのより緊密なパートナーシップの確立、管理構造とシステムの改善から最前線で仕事をする人の安全の確保など、様々な面に携わってきました。

私の後継者に対しては、より効果的に人類に尽くすために、彼あるいは彼女が加盟国の支持を得て、国連が必要とする様々な改革を展開してくれるよう願っています。

本誌:中国が国連で発揮している役割、特にあなたが事務総長に就任していた期間についてはどう評価しますか?

総長:中国が何をするか、発展状況はどうかは、私たちが全世界はいかに21世紀の挑戦にいかに対応すべきかを決定する上で役立つことでしょう。中国が今進めている転換、絶えず増強されている建設的で国際的な主導的役割、それに国連とのダイナミックな融合があるからこそ、私たちは真に楽観できるのです。

中国の進歩は経済と社会の発展という分野に限定されたものではありません。中国はまた多くの国際的な衛生問題の前線に置かれており、今年初めに中国が開いたトリインフルエンザ防止のための国際大会はその例として挙げることができるでしょう。

中国も多ルートを通じて国際平和や集団安全の問を解決するプロセスに日増しに積極的に参与するようになりました。たとえば、朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の議長国として、中国はこの関心のある問題できわめて重要な役割を発揮しました。

今年初めには、私は中国が初の人権評議会のメンバーになったことに祝賀の意を表しました。現在、中国とその他の人権評議会のメンバーは、様々な方策を講じて世界各国の人々の人権が保護されるよう保証しており、それはまさに時代にかなったものです。

今後、国連というビッグファミリーは中国とより緊密なパートナーシップを確立したいと願っています。私たちは中国がその秘められた巨大な潜在力を実現するのを援助していくつもりです。国際分野では、中国は絶えず海外に目を向けており、私たちもそのための重要な場を提供できるでしょう。

本誌:経済の発展に伴い、中国は日増しに国際社会に溶け込むようになりました。しかしまだ、一部には中国の発展を脅威と見なす人がいます。中国の発展についてはどう評価しますか?

総長:中国のこの10年近くの目覚ましい経済成長によって、数億にのぼる中国人は貧困から脱け出すことができ、これ自体は大きな成果であり、同時に世界範囲で千年来の発展目標を実現する上で重大な貢献となるものです。中国経済の活力は今、アジアの大部分の地区の貿易の増大と投資を推し進めており、アフリカについて言えば、ますますその傾向にあります。私たちはだからこそ、こうした推進の方法は広範な発展途上国の長期的な利益に合致する、と期待しているのです。同時に、すべての国は外国の投資家と契約した協定は公正で、公平なものであるよう保証し、時間的な経験を経る必要があり、また貴重な資源の開発がその国の人々に利益を与えるよう保証する必要があります。