2006 No.44
(1023 -1029)
 

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2006年 中国の宇宙航空事業

中華人民共和国国務院報道弁公室
2006年10月・北京

前 書 き

21世紀に入ってから、世界の宇宙航空活動はめざましく発展する新しい局面を呈している。宇宙航空活動を展開する主な国々は宇宙航空の発展戦略、発展計画、発展目標を相次いで制定または調整し、宇宙航空事業は国全体の発展戦略の面でますます際立った役割を果たし、宇宙航空活動は人類の文明と社会の進歩にいっそう大きな影響を及ぼしている。

中国の宇宙航空事業は1956年から始動し、今までまる50年の輝かしい道のりをたどってきた。半世紀以来、中国は宇宙航空事業を独立自主的に発展させ、若干の重要な技術分野では世界の先進国に仲間入りし、世界の注目を集める成果をあげた。中国は確固として変わることなく平和的発展の道を歩み、宇宙空間は全人類の共同の富であると一貫して主張し、宇宙空間を平和的に利用するさまざまな活動を支持し、宇宙空間を積極的に探究、利用し、人類の宇宙航空事業の発展にたえず新しい貢献をしている。

中国は、今世紀の最初の20年間に小康(いくらかゆとりのある)社会を全面的に建設し、革新型国家に仲間入りするという戦略的目標を打ち立て、そのため、中国の宇宙航空事業の発展は新しいチャンスとより高い要求に直面している。新たな発展段階において、中国は科学的発展観を導きとし、国の戦略的目標をめぐって、自主的イノベーションを強化し、宇宙航空事業をより速く、よりよく発展させるように努力する。

2000年に中国政府が「中国の宇宙航空事業」白書を発表して以来、中国の宇宙航空事業はまたも長足の進展をとげた。過去5年間および今後一時期の中国の宇宙航空事業に対する世人の理解を深めるため、ここに関係状況を紹介、説明する。

一、発展の宗旨と原則

中国の宇宙航空事業を発展させる宗旨は、宇宙空間を探究し、地球と宇宙に対する認識を深めること、宇宙空間を平和的に利用し、人類文明と社会進歩を促し、全人類に幸福をもたらすこと、経済建設、科学技術発展、国の安全、社会進歩などの面の必要を満たし、国民全体の科学的資質を高め、国の権益を守り、総合的国力を強めることである。

中国の宇宙航空事業発展は、自主的イノベーション、重点的飛躍、発展支持、未来指向という国の科学技術事業発展の指導方針を貫徹する。新たな発展段階における中国の宇宙航空事業の発展原則は次の通り。

―国全体の発展戦略に従い、それに奉仕し、国の必要を満たし、国の意志を体現することを堅持する。中国は、宇宙航空事業の発展を、国の経済実力、科学技術実力、国防実力、民族結集力を増強するという国を強大にし、興隆させる戦略的措置とし、国全体の発展戦略の重要な構成部分として、宇宙航空事業の長期にわたって安定した発展を保つ。

―独立自主、自主的イノベーションを堅持し、飛躍的発展を実現する。中国の宇宙航空事業は自力更生に頼って始動し、自主的イノベーションの中でたえず発展し、自主的イノベーションの能力を高めることは宇宙航空事業発展の戦略的基点である。国情と必要に応じて、力を入れるべきことに取り組み、限られた目標を選び、力を集中して重点を突破し、飛躍的発展を実現する。

―全面的に協調する持続可能な発展を堅持し、宇宙航空科学技術に国の科学技術と経済・社会発展を促進、支持する役割を果たさせる。戦略的計画を強化し、宇宙技術、宇宙応用、宇宙科学の発展を統一的に計画する。宇宙航空科学技術の進歩を先導として、ハイテクと産業の発展を導き、在来産業の改造とグレードアップを促す。宇宙環境を保全し、宇宙資源を合理的に開発、利用する。

―対外開放を堅持し、宇宙分野における国際交流と協力を積極的に展開する。中国は宇宙空間の平和利用に関するさまざまな活動を支持し、平等互恵、平和利用、共同発展の原則にのっとって、宇宙分野における世界各国との交流と協力を強める。

二、過去5年間の進展

2001年から2005年にかけて、中国の宇宙航空事業は急速な発展をとげ、次に述べる一連の新たな成果をあげた。 世界先進レベルの開発・実験基地を建設し、研究・設計・生産・実験システムをいちだんと整備し、宇宙航空科学技術の基礎能力を著しく高めた。宇宙技術が全体として著しくエスカレートし、多くのカギとなる重大な技術難関を突破し、有人宇宙飛行が歴史的突破をとげ、月面探査プロジェクトが全面的に始動した。 宇宙応用システムを初歩的に形成し、応用分野をいちだんと広げ、応用の効果を著しく高めた。宇宙科学の実験と研究が重要な成果をあげた。

宇宙技術

1、人工衛星。過去の5年間に、類型の異なる人工衛星を22個自主的に開発し、打ち上げ、全体の水準を著しく高めた。初歩的に形成された4つの衛星シリーズを基礎として、帰還式遠隔探査衛星シリーズ、「東方紅」通信放送衛星シリーズ、「風雲」気象衛星シリーズ、「実践」科学探査・技術実験衛星シリーズ、「資源」地球資源探査衛星シリーズ、「北斗」航空誘導位置測定衛星シリーズという6つの衛星シリーズが発展し、形成された。このほか、海洋衛星シリーズがまもなく形成され、「環境・災害モニタリング予報小型衛星星座」計画の実施が急がれている。多くの新型高性能衛星の有効搭載量の開発に成功した。各種応用衛星の運行業務が初歩的に開始し、そのうち「風雲一号」と「風雲二号」気象衛星が世界気象機関(WMO)によって国際業務気象衛星シリーズに組み入れられた。地球静止軌道に乗る大型衛星公共プラットホームのカギとなる各種技術は重要な突破をとげた。大容量通信放送衛星の開発は段階的な成果をあげ、微小衛星の開発と応用は重要な進展をとげた。

2、運搬ロケット。過去の5年間に、自主的に開発した「長征」シリーズ運搬ロケットによる衛星打ち上げは24回連続して成功し、運搬ロケットの主な技術性能と信頼性が著しく高くなった。1996年10月から2005年末にかけて、「長征」シリーズ運搬ロケットの打ち上げは46回連続して成功した。新しい世代の運搬ロケットの多くのカギとなる技術は重要な突破をとげ、推力120トン級の液体酸素・石油エンジンと推力50トン級の酸水素エンジンの開発は順調に進んでいる。

3、宇宙航空器発射場。酒泉、西昌、太原の3つの宇宙航空器発射場の建設は新しい進展をとげ、総合的な実験・打ち上げ能力を高め、各種の運搬ロケット、人工衛星、実験用無人宇宙船、有人宇宙船の打ち上げ任務をたびたび完成した。

4、宇宙航空の観測・制御。宇宙航空観測・制御ネットの全体的機能はいちだんと増強され、広げられ、各種の軌道に乗る人工衛星、実験用無人宇宙船、有人宇宙船の打ち上げ・軌道運行・帰還着陸を観測・制御の面から支持した。

5、有人宇宙飛行。1999年11月20日と21日、中国は最初の実験用無人宇宙船「神舟」号の打ち上げに成功した。その後はまた3機の実験用無人宇宙船「神舟」号の打ち上げと回収に成功した。2003年10月15日と16日、有人宇宙船「神舟5号」を打ち上げ、回収し、中国初の有人宇宙飛行に成功し、有人宇宙飛行の基本的技術を突破し、世界3番目の有人宇宙飛行を独自に行う国となった。2005年10月12日から17日にかけて、有人宇宙船「神舟6号」は「2人5日」の有人宇宙飛行を実現し、初めて人による宇宙科学実験を行い、有人宇宙飛行の分野でいま一つの重要な成果をあげた。

6、宇宙の深層探測。月面探査プロジェクトに関する事前研究を行い、プロジェクトを実施し、重要な進展をとげた。

宇宙応用

1、衛星による遠隔探査。衛星による遠隔探査の応用分野と規模をたえず拡大し、多くのカギとなる応用技術の難関を突破し、基礎施設を強化し、応用システムの技術レベルと業務化運行能力を著しく高め、全国衛星遠隔探査応用システムを初歩的に形成した。国家遠隔探査センター、国家衛星気象センター、中国資源衛星応用センター、国家衛星海洋応用センター、中国遠隔探査衛星地上ステーションおよび国の関係部門と多くの省・市の衛星遠隔探査応用・論証機構を設立、整備した。光学遠隔探査衛星輻射校正場の建設を完成し、それを使用している。国内外の遠隔探査衛星を利用して、カバー範囲が広く、時間の序列が長いマルチバンド衛星の地球観測データ資源を形成し、多種の遠隔探査製品とサービスを提供している。一部の重要な分野では、衛星遠隔探査応用システムはすでに業務化運行を始め、特に気象、地質調査・鉱物探査、測量・製図、農業、林業、土地、水利、海洋、環境保全、防災、交通、区域と都市計画などの面で広く応用され、国土資源の大規模調査、生態建設、環境保全および「西気東輸」(西部の天然ガスを東部に送る)、「南水北調」(南部の水を北部に引く)、長江三峡プロジェクトなど重要なプロジェクトの建設で重要な役割を果たしている。

2、衛星による通信・放送。衛星による通信・放送技術が急速に発展し、ますます広く応用され、応用産業が初歩的に形成された。2005年末現在、中国は国際・国内通信放送地球局80余カ所、衛星放送テレビアップラン局34カ所を擁し、国内の数十部門と若干の大手企業が100余りの衛星専用通信ネット、5万余りの各種VSAT(ブイサット、超小型衛星通信局)を設置した。衛星放送テレビ事業の展開と応用は、全国の放送とテレビ、特に広大な農村地区の放送とテレビの効果的なカバーの範囲を広げ、その質を高めた。衛星による通信・放送技術は「どの村でも放送が聞けテレビが見られる」プロジェクトと「どの村でも電話がかけられる」プロジェクトでかけがえのない役割を果たした。衛星による遠隔教育ブロードバンドと衛星による遠隔医療ネットは一応の規模を持つようになった。中国は国際海事衛星機構(IMSO)の加盟国として、すでに世界をカバーする海事衛星通信ネットをつくって、国際移動衛星通信応用分野の先進国に仲間入りした。

3、衛星による航行誘導と位置測定。「衛星による航行誘導応用産業化」など重要プロジェクトの実施を通じ、内外の航行誘導・位置測定衛星を利用して、衛星による航行誘導と位置測定技術の開発・応用・サービスの面で長足の進歩をとげた。衛星による航行誘導と位置測定の応用範囲と業種はたえず拡大され、全国の衛星による航行誘導応用の市場規模は2年ごとに倍増する速さで急速に伸びている。衛星による航行誘導と位置測定技術はすでに交通運輸、基礎測量・製図、プロジェクト探査・測量、資源調査、地震モニタリング、気象観測、海洋探査・観測などの分野に広く応用されている。

宇宙科学

1、太陽地球間の宇宙探測。欧州宇宙機関(ESA)と協力して、地球宇宙空間双星探測計画を実施し、欧州宇宙機関の宇宙空間探測衛星4基と共同で、世界でも初めての地球と宇宙空間の6カ所に対し同時合同探測を行い、重要な探測データを獲得した。月面と太陽系探査の事前研究を行った。

2、微小重力科学実験と宇宙天文観測。「神舟」号宇宙船と帰還式衛星を利用して、宇宙生命科学、宇宙材料科学、微小重力科学などの分野で多くの実験と研究を展開し、農作物の宇宙異変誘起育種に関する研究と高エネルギー宇宙の天文観測を行い、重要な成果をあげた。

3、宇宙環境研究。宇宙環境モニタリング・予報研究を行い、宇宙デブリに対する観測とその減少、予報の面で重要な進展をとげ、宇宙環境を実験的に予報する能力を初歩的に備えた。

三、今後5年の発展目標と主な任務

2006年、中国政府の制定した「国民経済・社会発展第11次五カ年企画要綱」と「国家中長期科学技術発展企画要綱(2006−2020年)」は、宇宙航空事業の発展を重要な地位に置いている。上述の2つの企画要綱に基づき、中国政府は新しい宇宙航空事業の発展計画を制定し、今後5年およびそれより少し長い期間の発展目標と主な任務を明確にした。国はこの発展計画に基づいて、有人宇宙飛行、月面探査、高解像率の地球観測システム、新しい運搬ロケットなど重要な宇宙航空科学技術プロジェクトおよび多くの重点分野の優先プロジェクトを実施、継続実施し、基礎研究を強化し、宇宙航空分野の多くの先端技術をあらかじめ配置し、発展させ、宇宙航空科学技術の進歩とイノベーションを速める。

発展の目標

運搬ロケットが宇宙空間に入る能力と信頼性のレベルを著しく高める。長期にわたり安定して運行する衛星の地球観測システムと協調してセット化した全国衛星遠隔探査応用システムを確立する。わりに整備した衛星による通信・放送システムを確立し、衛星による通信・放送産業の規模と効果を著しく高める。段階に分けて応用の必要を満たす衛星による航行誘導と位置測定システムを確立し、衛星による航行誘導と位置測定応用産業をいちおう形成する。応用衛星と衛星応用が実験応用型から業務奉仕型への転換をいちおう実現させる。

宇宙飛行士の船外活動と宇宙飛行器の会合・ドッキングを実現させる。月面探査を実現させる。宇宙科学研究で重要かつ独創的な成果をあげる。

主な任務

―新しい無毒、無汚染、高性能、低コスト、大推力の運搬ロケットを開発し、最終的には近地球軌道の運搬能力が25トンに達し、地球同期移動軌道の運搬能力が14トンに達するようにする。推力120トン級の液体酸素・石油エンジンと推力50トン級の酸水素エンジンの開発を全面的に完成する。現有の「長征」シリーズ運搬ロケットの信頼性と打ち上げ適応性を高める。

―高解像率の地球観測システムプロジェクトを実施する。新しいタイプの極軌道と静止軌道の気象衛星、海洋衛星、地球資源衛星、環境と災害モニタリング予報小型衛星を開発し、打ち上げる。立体測量・製図衛星など新型の遠隔探査衛星のカギとなる技術の研究を推し進める。安定して運行する全天候、全時機、マルチスペクトル、異なる解像率の地球観測システムを初歩的に形成し、陸地、大気、海洋に対する立体観測と動態モニタリングを実現させる。

―衛星遠隔探査地上システムと業務応用システムを統一的に発展させる。現有の遠隔探査衛星の地上システムを整合し、完全にし、国レベルの遠隔探査衛星データセンターを設立し、完全にし、遠隔探査衛星の輻射校正場などの定量化応用を支える施設を建設し、整備し、社会公益奉仕分野の遠隔探査データの共同享有を初歩的に実現させる。衛星環境応用機構と衛星防災応用機構を設立し、若干の重要な業務応用システムを形成する。衛星遠隔探査の主な応用分野で突破的な進展をとげる。

―寿命が長く、信頼性が高く、容量の大きな地球静止軌道通信衛星とテレビ生中継衛星を開発し、打ち上げる。衛星実況放映、ブロードバンド・マルチメディア、衛星応急通信、公益的通信・放送などの技術を発展させる。衛星による通信・放送の一般的なサービス機能を引き続き発展させ、完全にし、衛星通信分野の付加価値サービス業務を増加する。衛星による通信・放送の商業化進展を積極的に推し進め、通信・放送衛星とその応用の産業規模を拡大する。

―「北斗」航行誘導実験衛星システムを完全にし、「北斗」衛星による航行誘導システム計画を実施する。衛星による航行誘導、位置測定、時間告知の自主的応用技術と製品を発展させ、衛星による航行誘導・位置測定と関係ある位置サービスを支える規範的なシステム、大衆化応用シリーズ端末を確立し、応用分野と市場を拡大する。

―新しい技術を実験する衛星を開発し、打ち上げ、新技術、新素材、新部品、新設備の宇宙飛行検証を強め、自主的開発のレベルおよび製品の質と信頼性を高める。

―「育種」衛星を開発し、打ち上げ、宇宙技術と農業育種技術の結合を推し進め、農業科学技術研究分野での宇宙技術応用を拡大する。

―宇宙望遠鏡、新型帰還式衛星などの科学衛星を開発する。宇宙天文、宇宙物理、微小重力科学、宇宙生命科学の基礎研究を展開し、重要かつ独創的な成果を獲得する。宇宙環境と宇宙デブリに対するモニタリング能力を強め、宇宙環境モニタリング警報システムを初歩的に確立する。

―有人宇宙飛行は宇宙飛行士の船外活動を実現させ、宇宙飛行器の会合・ドッキング実験を行う。応用の規模が一定の程度に達し、短期間に人が面倒を見、長期間軌道で自主的に飛行する宇宙試験室の開発を行い、有人宇宙飛行プロジェクトの後続作業を展開する。

―月面探査を実現させ、月面探査の基本的技術を突破し、中国最初の月面探査衛星「嫦娥一号」を開発し、打ち上げ、主に月面に対する科学的探査、月面の資源に対する探査と研究を行う。月面探査プロジェクトの後期作業を展開する。

―宇宙航空発射場の総合的実験能力と効果を高め、宇宙航空発射場の配置をいちだんと最適化させ、宇宙航空発射場の施設、設備の信頼性と自動化レベルを高める。

―宇宙航空観測・制御ネットの技術水準と能力および観測・制御のカバー率をいちだんと高め、宇宙探測の必要を初歩的に満たす観測・制御能力を備える。

四、発展の政策と措置

中国政府は科学的発展観の導きで、宇宙技術、宇宙応用、宇宙科学の3分野を統一的に計画し、宇宙航空科学技術の自主的イノベーションを推し進め、宇宙航空活動がより大きな経済・社会効果を発揮するように促進し、宇宙航空活動が秩序正しく、規範的かつ健全に発展するように保証し、既定の発展目標を実現させる。

当面と今後一時期の中国の宇宙航空事業発展の主な政策と措置は次の通り。

―各種の宇宙航空活動を統一的に計画し、合理的に配置する。応用衛星と衛星応用の発展を優先的に手配し、有人宇宙飛行と宇宙の深層探測を適度に発展させ、宇宙科学の探究を積極的に支持する。

―力を集中して重要な宇宙航空の科学技術プロジェクトを実施し、基礎研究を強化し、先端技術の採用を先行準備する。優勢な力を集中し、核心技術の突破と資源の集成を通じて、宇宙航空科学技術の重点的な突破を実現する。宇宙航空分野の基礎研究と若干の先端技術の先行研究を強化することを通じて、宇宙航空科学技術の持続的イノベーション能力を高める。

―宇宙応用を強化し、宇宙航空の産業化の進展を推し進める。宇宙応用技術の開発を強化し、資源の共同享有を推し進め、業務応用を拡大する。通信衛星と衛星通信、衛星による遠隔探査、衛星による航行誘導、運搬ロケットを重点として、衛星製造、打ち上げサービス、地上設備製造、運営サービスの宇宙航空産業チェーンを積極的に構築する。宇宙技術の普及・転化と二次開発を強化し、在来産業を改造し、グレードアップさせる。

―宇宙航空科学技術工業の基礎能力建設を重視する。宇宙航空器、運搬ロケットを開発、生産、実験する基礎施設の建設を強化する。宇宙航空科学技術重点実験室とプロジェクト研究センターの建設を支持し、情報化、知的所有権、宇宙航空基準化など各種の作業を強化する。

―宇宙航空技術イノベーションシステム建設を推し進める。宇宙航空科学技術工業の改革・調整と転換・グレードアップを導き、国際一流の大手宇宙航空企業の形成を加速する。宇宙航空科学技術企業と国家科学研究機関を主とする産業・大学・研究機関が結合する宇宙航空技術イノベーションシステムを積極的に構築する。

―宇宙航空活動の科学的管理を強化する。社会主義市場経済の発展に適応し、科学的管理の体制とメカニズムを積極的に革新し、品質と効果の意識を強化し、システム・エンジニアリングなどの現代化した管理手段を用いて科学的管理を強化し、システムの質を高め、システムのリスクを減らし、総合的効果を高める。

―政策・法規建設を強化する。宇宙航空活動管理の法律・法規と宇宙航空産業政策を研究、制定して、各種の宇宙航空活動を指導し、規範化させ、法による行政レベルを高め、宇宙航空事業の発展に有利な政策・法規環境をつくり出す。

―宇宙航空活動への経費投入を保障する。中国政府は引き続き宇宙航空への投入を増加し、同時に多元化、多ルートの宇宙航空投資システム確立を奨励し、宇宙航空事業が持続的に安定して発展するのを保つ。

―社会各界の宇宙航空活動への参与を奨励する。工業企業、科学研究機関、商業企業、大学、社会団体が国の宇宙航空政策の指導下でそれぞれの強みを生かして、積極的に宇宙航空活動に参与し、宇宙分野の国際交流と協力に参与するよう奨励する。衛星経営企業と応用部門が優先的に国産の衛星と衛星応用製品を使用するよう奨励する。

―宇宙航空の人材陣建設を強化する。教育事業を大いに発展させ、イノベーションの実践の中で人材を養成することを重視し、特に若い科学技術人材の養成を重視し、構造が合理的で、資質の優れた宇宙航空人材陣を形成する。宇宙航空知識を普及させ、宇宙航空文化を宣伝し、より多くの優秀な人材を引き付けて宇宙航空事業に身を投じさせる。

中国政府はたえず宇宙航空活動に対する管理とマクロ指導を強化している。中国国家宇宙航空局は、中華人民共和国の民用宇宙航空管理および国際宇宙協力を主管する政府機関であり、政府の相応の管理職責を履行している。

五、国際交流と協力

中国政府は、宇宙空間は全人類の共同の富であり、世界各国はいずれも宇宙空間とその天体を自由に探究、開発、利用する平等な権利があり、世界各国の行う宇宙活動は各国の経済発展と社会進歩、人類の安全・生存・発展、各国人民の友好的協力に役立つべきであると考えている。

宇宙をめぐる国際協力は、国連の「宇宙空間を探究、利用する国際協力を展開して、すべての国の福祉と利益を促進、特に発展途上国の必要を考慮しなければならないことに関する宣言」(「国際宇宙協力宣言」)の中で打ち出された基本的原則に従うべきである。中国は、平等互恵、平和利用、共同発展の原則をふまえて、宇宙空間分野の国際交流と協力を強化すべきだと主張する。

基本的政策

中国政府は国際宇宙交流と協力を展開するにあたって、次のような基本的政策をとっている。

―独立自主の方針を堅持し、国の現代化建設の必要に応じて、内外という2つの市場と2種類の資源を合理的に利用し、積極的かつ実務的な国際協力を展開することを統一的に考慮する。

―国連系統内で宇宙空間の平和利用についての各種活動を展開するのを支持する。政府間または非政府間の宇宙機構が宇宙技術、宇宙応用、宇宙科学の発展を促進するために展開する各種の活動を支持する。

―アジア太平洋地域の地域的宇宙協力を重視し、世界のその他の地域的宇宙協力を支持する。

―発展途上国との宇宙協力を強化し、先進国との宇宙協力を重視する。

―国内の科学研究機関、工業企業、大学、社会団体が国の関係政策と法規の指導のもとで、多段階、多形式の国際宇宙交流と協力を展開することを奨励、支持する。

主な活動

過去5年間に、中国は多くの国と二国間の国際宇宙協力を行い、前後して13の国、宇宙機関、国際機構と16件の国際宇宙協力協定または了解覚書に調印し、アジア太平洋地域の宇宙技術とその応用分野の多国間協力と当該地域の宇宙協力組織化の進展を促進した。国連およびそれと関係ある国際機構の展開する関係活動に参与し、国際宇宙商業活動を支持し、積極的な成果をあげた。

1、二国間の協力。過去の5年間に、中国はそれぞれアルゼンチン、ブラジル、カナダ、フランス、マレーシア、パキスタン、ロシア、ウクライナなどの国および欧州宇宙機関、欧州委員会と宇宙空間平和利用に関する協力協定、宇宙空間プロジェクトの協力取り決めに調印し、そのうち、ブラジル、フランス、ロシア、ウクライナなどの国と宇宙航空協力の小委員会または合同委員会の協力体制を構築し、インド、イギリスなどの国の宇宙航空機関と宇宙協力了解覚書に調印し、アルジェリア、チリ、ドイツ、イタリア、日本、ペルー、アメリカなどの国の宇宙航空機関と交流を行った。

中国は引き続きブラジルと地球資源探査衛星協力を行っている。2003年10月、中国とブラジルが地球資源を探査する02衛星を成功裏に打ち上げたあと、中国とブラジルの両国政府はさらに地球資源探査衛星02B衛星、03衛星、04衛星の共同開発製作およびデータ応用システム協力などの補充議定書に調印し、中国とブラジルの地球資源探査衛星のデータの連続性を継続保持するとともに、同衛星のデータの地域と世界範囲における応用を拡大した。

中国とフランスは宇宙空間分野で広範な交流と協力を行っている。中仏宇宙航空合同委員会の協力メカニズムのもとで、双方は宇宙科学、地球科学、生命科学、衛星応用、衛星による観測・制御などの分野における交流と協力の面で重要な進展をとげた。

中国とロシアは宇宙空間分野で効果に富む協力を行っている。両国総理定期会見委員会宇宙航空協力小委員会の枠組みのもとで長期協力計画が確立された。このほか、宇宙飛行士の養成などの有人宇宙飛行の面でも交流と協力を展開している。

中国とウクライナは宇宙空間分野で交流と協力を行っており、中国・ウクライナ宇宙航空合同委員会の協力メカニズムのもとで、双方は協力計画を確定した。

中国と欧州宇宙機関は中国とヨーロッパが協力する「地球宇宙空間双星探測計画」を実施している。中国の関係部門は欧州宇宙機関と地球観測分野の「ドラゴン計画」協力を行っており、農業、林業、水利、気象、海洋、災害などの分野で、16件の遠隔探査応用プロジェクトの協力を展開している。

2、多国間協力。2005年10月、中国、バングラデシュ、インドネシア、イラン、モンゴル、パキスタン、ペルー、タイの8カ国政府の代表が北京で「アジア太平洋宇宙協力機関(APSCO)公約」に調印し、さらに2006年6月、トルコ政府の代表も同公約に調印した。同機関本部は北京に設置される。これはアジア太平洋宇宙協力機関が正式成立に向かって重要な一歩を踏み出したことを示している。

中国は「アジア太平洋地域の多国間協力の多用途小型衛星」プロジェクトを引き続き推し進めている。中国がバングラデシュ、イラン、韓国、モンゴル、パキスタン、タイなどの国と共同で多用途小型衛星を開発、製作、応用しており、同衛星は2007年に打ち上げる予定である。

中国は国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)およびその傘下の科学技術小委員会と法律小委員会の各種活動に積極的に参加し、国連の制定した「宇宙条約」「宇宙救助返還協定」「宇宙損害責任条約」と「宇宙物体登録条約」に加入し、関係責任と義務を厳格に履行している。

中国は国連宇宙空間平和利用委員会が第3回国連宇宙会議(UNISPACEIII)の各件の提案を実行に移す関係活動に積極的に参与し、特に中国がカナダ、フランスとともに共同議長国として、国連宇宙空間平和利用委員会の40の加盟国と15の国際機関の参加した「宇宙システムを利用して防災と災害管理行動グループ(第7行動グループ)」の活動を推進するとともに、国連宇宙空間平和利用委員会の「防災と災害管理協調メカニズムの実行可能性を研究する特設専門家グループ」の活動にも積極的に参加している。

中国はすでに多くの国の宇宙空間機関からなる「重大な自然災害または技術災害の中で宇宙施設を協調して利用する協力憲章」の防災メカニズムに加入した。中国は国連と協力して、中国で「国連・欧州宇宙機関・中国基礎宇宙科学講習会」と「国連・中国・アジア太平洋地域の遠隔医療発展講習会」を開き、また何回もアジア太平洋地域宇宙空間多角的協力秘書処、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)などと協力して、中国で宇宙技術応用に関する研修会とシンポジウムを開き、中国は資金を出してこれらの活動を支持した。中国は国連アジア太平洋経済社会委員会の実施したアジアおよび太平洋地域の宇宙応用と持続可能な発展計画にも参与した。

中国は国際機関間宇宙デブリ調整委員会(IADC)のさまざまな活動に積極的に参加し、中国「宇宙デブリ行動計画」を始動させ、宇宙デブリ研究分野の国際交流と協力を強化している。また、国際地球観測衛星委員会(CEOS)の関係活動に参与するとともに、2004年11月、主催国として、北京で「国際地球観測衛星委員会第18回総会および20周年祝典」を開催した。2005年5月、中国は国際地球観測グループ(GEO)の正式な加盟国となり、その執行委員会に入った。2006年7月、北京で「第36回世界宇宙科学大会」「第8回国際月面探査利用会議」が開催された。中国はまた国際電信連盟(ITU)、世界気象機関(WMO)、国際宇宙航空連合会、国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)などの宇宙機関の関連活動に参与した。

3、商業活動。2005年4月、「アジア太平洋6号」通信衛星の打ち上げに成功した。2004年12月、中国はナイジェリアと通信衛星商業契約を結び、ユーザーに衛星の軌道上引き渡しサービスを提供した。2005年11月、中国はベネズエラと通信衛星商業契約を結び、ユーザーに衛星の軌道上引き渡しサービスおよびそれにマッチする地上応用施設を提供した。

優先する分野

中国政府は、宇宙技術、宇宙応用、宇宙科学などの分野で国際交流と協力を行うことを引き続き支持し、今後5年内に、以下の諸分野で国際協力を優先的に展開する。

―宇宙天文、宇宙物理、微小重力科学、宇宙生命科学、月面探査と惑星探査など分野の科学研究。

―地球観測衛星データの共同享有とサービス。資源調査、環境モニタリング、災害の防止と減少、地球変化のモニタリングと予報など方面での応用と研究。

―宇宙航空観測・制御ネットの資源の共同享有、宇宙航空観測・制御の支持の相互提供など。

―通信衛星と地球観測衛星の設計と製作。

―衛星による通信、衛星による遠隔探査、衛星による航行誘導と位置測定の地上設備およびカギとなる部品の製造。

―衛星による通信・放送の遠隔教育、遠隔医療などの面の応用および衛星による放送、テレビの応用範囲の拡大、衛星による航行誘導と位置測定の関連サービス。

―衛星の商業的打ち上げサービス、衛星とその部品の輸出、衛星の地面観測・制御と応用施設の建設およびそのサービス。

―宇宙航空活動各分野の人員交流と養成。