2006 No.44
(1023 -1029)
 

アドレス 
中国北京市
百万荘大街24号
北京週報日本語部
電 話 
(8610) 68326018 
(8610) 68886238

>> 重要文章

中国とアフリカの互恵友好関係

賀文萍
(中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所アフリカ室主任)

11月初めの金秋、北京はアフリカとの関係史で初の首脳サミットと第3回協力フォーラムを迎える。このサミットがアフリカとの関係、同時に中国の外交史にとって盛事となり、一里塚となる重大な意義を持つものになるのは間違いない。

06年は中国外交の「アフリカ年」と呼ばれる。協力フォーラム開催を前に、内外のメディアが中国とアフリカの関係に強い関心を持つ出来事が4件あった。第1は、李肇星外相が1月11日からガーボベルデ、セネガル、マリ、リベリア、ナイジェリア、リビアの6カ国を訪問したこと。第2は、中国政府が1月12日に初めて「中国の対アフリカ政策に関する文書」を発表したこと。第3は、胡錦濤国家主席が4月24日から29日にかけてモロッコ、ナイジェリアとケニアの3カ国を歴訪したこと。第4は、温家宝総理が6月17日から24にかけてエジプト、ガーナ、コンゴ、アンゴラ、南アフリカ、タンザニア、ウガンダの7カ国を歴訪したことだ。

こうしたたて続けの訪問は中国政府と指導者がアフリカとの関係を非常に重視していることを明確に示すだけでなく、アフリカとの関係が半世紀以上にわたる紆余曲折を経た後に、協力と共同の利益をめざして急速に発展する新たな時代にすでに入ったことを物語っている。

90年代初めの冷戦終結後、アフリカの従来の地政学上の戦略的地位が失われたことから、西側のアフリカへの関心は低下し続け、アフリカの西側大国の外交戦略における地位も辺際化の傾向にある。一方、中国はこれまで通りアフリカとの関係を発展させており、80年代から絶えず拡大する経済貿易面での協力を引き続き強化し、さらに政治や文化、教育などの面から多方式、多層的で全方位の関係の発展を重視している。

相互依存、協力・共同の利益をめざす新たな戦略的パートナーシップ

胡錦濤主席は4月、アフリカ諸国を訪問した際に新たな戦略的パートナーシップの確立を提起した。内容は主に政治、経済、文化交流、安全、国際問題における協力の5項目からなる。

政治面から見ると、双方は平等互恵、相互信頼と相互支持の戦略的パートナーである。我々はアフリカ諸国が自主的に選択した発展の道を尊重し、アフリカ諸国がともに自ら強くなることを支持し、国際社会のアフリカの平和と発展を促進する行動を推進するとともに積極的に参与する。一方、アフリカ諸国は1つの中国の原則を支持し、西側の「人権」の名を借りた中国の内政干渉に反対する。50〜60年代以来、中国政府と人民は道義と物質面からアフリカ民族の解放運動と反帝国主義、反植民地主義、反人種主義の闘争を大々的に支持するのみならず、近年は国連のアフリカにおける平和維持活動に積極的に参加してきた。一方、アフリカ諸国は70年代に中国の国連における合法的地位の回復のために重要な貢献をし、また90年から前後して11回、国連人権委員会において中国による西側の反中国提案の阻止を支援した。さらに14回にわたり、国連総会総務委員会においていわゆる「台湾の復帰あるいは国連問題への参与に関する提案」を国連総会の議事に盛り込むことに反対したほか、主権国家のみが参加できる国際組織に割り込もうとする台湾の画策を制止しようとする中国を何度も支持している。

経済面から見ると、中国とアフリカはその優位性をもって互いに補い合い、互恵と共同の利益をめざす協力パートナーである。アフリカは53カ国と8億5000万人の人口を擁しており、自然と人的資源は豊富で、市場は広大で、発展の潜在力は非常に大きい。だが、長期にわたる植民地主義者による略奪や局所的な紛争や動乱から、経済は依然として立ち遅れ、発展のための資金や技術、ノウハウが欠乏している。中国は20年余りにおよぶ改革開放を経て、経済規模と実力は著しく増大したが、資源不足や国内市場競争の激化など新たな問題にも直面している。そのため、中国政府は引き続きアフリカ諸国に力のおよぶ限り、またいかなる政治的条件も付けない援助を提供するとともに段階的に増大させていく(これまでに紡績工場や水力発電所、スタジアム、病院、学校の建設など約800件、総額444億元に上る)。同時に、中国企業の対アフリカ投資を奨励、支持し、貿易や農業、インフラ整備、鉱物資源の開発、観光業などの分野で多方式の互恵協力を展開していく。現在、双方の貿易は急速に発展しており、貿易額は50年代初めの1211万ドルから、02年に105億ドル、04年に294億ドル、05年は400億ドル近くまで増加した。

中国企業は対アフリカ投資のテンポを近年、大幅に加速している。現在、直接投資額は累計で12億5000万ドルに達しており、進出企業は約800社を数える。投資は貿易や生産・加工、資源開発、交通運輸、農業・農産品の総合開発など多分野にわたる。進出先の国の就業の機会と税収は増大し、実用的な技術がもたらされ、大量の人材が養成されたことで、アフリカ諸国の生産能力は向上した。

文化交流の面から見ると、双方は人類文明の繁栄と進歩をともに推進する平等のパートナーにならなければならない。中国とアフリカはともに人類文明の発祥の地であり、輝かしい文明と文化遺産を有している。また文化的源から言えば、アフリカの文化と伝統的価値観は、集団主義を重視し、個人の集団への服従を強調するなど、本質的には中国などの東洋文化に非常に近い。そのため、双方は文化交流をより大々的に強化すると同時に、世界の異なる文明を互いに包容する、平等に接する、長所を取って短所を補う、手を携えて調和のとれた世界を築くことを推進していかなければならない。実際、広義の文化的角度から言えば、文化交流とは単に留学生や教員、文芸団体の派遣や芸術展の開催を指すのではなく、死に瀕した人の救済や負傷者の手当てをする医療チーム、頻繁に行われているアフリカの人的資源の開発、発展の経験の相互参考なども文化交流の一部である。

安全の面においては、双方は交流と協議を強化し、国際社会の集団安全に対する意識の確立を推進し、相互信頼と互恵、平等、協同という新たな安全観を確立することで、共同の発展に役立つ国際環境を創造していかなければならない。中国は重大な感染症やトリインフルエンザ、国境を越えた犯罪など非伝統的な安全分野においてアフリカ諸国との協議と協力を強化し、共同でグローバル化した挑戦に対応していかなければならない。中国はさらに資金投入を拡大して、国連主導のアフリカにおける平和維持活動に積極的に参与し、アフリカ内部の衝突と紛争の解決のために建設的な役割を発揮していく。

国際問題においては、アフリカは重要な勢力であり、双方は重大な国際問題において幅広い共通の立場と良好な協力の伝統を有しており、協調と連携を強化することが双方の共同の利益に合致する。双方は多国間主義、国際関係の民主化および国連改革において協調と連携の強化を推し進め、平和で調和のとれた世界を建設するためにともに努力していかなければならない。

いかなる第3者にも対さない互恵のエネルギー協力

恐らくねたみからか、また根強い冷戦思考がまだ払拭されていないからなのか、中国とアフリカとの関係の急速な発展、とくにエネルギー面における協力はこのところ多くの西側メディアの「特別な関心」を呼んでいる。中国はアフリカの石油資源を「強奪」しようとしている、アフリカで「経済の新たな植民地主義」を行おうとしている、といった論調を大々的に宣伝しているのだ。ひいては国家の指導者がアフリカ訪問に出るたびに、訪問国の資源の有無にかかわらず、西側メディアは往々にして一律に友好的な互恵協力を強化することが目的の訪問に「エネルギーの旅」あるいは「石油の旅」といったレッテルを張る。

まさに、人口が多く資源が相対的に貧しい発展途上の大国として、中国は石油を輸入することで経済を急速に発展させていかなければならないのは確かだ。1993年に石油の純輸入国になって以降、中国はエネルギーの多元化のテンポを加速し、アフリカ諸国を含む世界の多くの国・地域と互恵と共同の利益をめざしたエネルギー協力関係を築いてきた。これについては、覆い隠したことはなく、根本的に覆い隠す必要もない。

実際、早期の西側植民地主義者が武器と戦争という血なまぐさい野蛮な略奪によってアフリカの資源を強奪したやり方と根本的に異なるのは、新たな時代の中国とアフリカのエネルギー協力はいかなる第三者にも対さない、完全に相互の必要性、協力と共同の利益を基礎にして確立されたものなのである。4月に胡錦濤主席がナイジェリアを訪問した際に合意した石油開発協定について言えば、ナイジェリアは中国石油グループに4つの油田の開発権を与えたが、2カ所は石油の豊富なナイジェリア川デルタに位置し、もう2カ所は自然条件が比較的劣悪で、まだ開発されていないチャド湖地帯に位置している。これらの地帯における石油開発は、欧米石油メジャーの同国での石油権益にとっていかなる脅威にもならず、しかも資金と技術を供与することで、ナイジェリアの未知の石油の処女地の探査と開発、投資源の多様化の実現を支援することができる。そればかりか、中国は同国のインフラ整備に40億ドルを投資するほか、マラリヤ抗生物質の購入、マラリヤやトリインフルエンザ防止のための人材育成の支援と技術協力に500万ドルを提供することを確約した。

現在、ナイジェリアのほとんど全ての石油生産は西側の5大メジャーにゆだねられている。同国の一部学者は、西側諸国は戦略的意義のある石油分野への投資以外、製造業には興味を示していないことを注視している。西側メジャーは石油開発の過程において、有効な環境保護措置を講じていないため、開発区での汚染は深刻で、生態バランスも破壊され、現地の人々の生活・居住条件は悪化した。

中国企業はエネルギー協力のほか、農業やインフラ整備、電力、通信などの分野においても全面的な協力を展開し、工場を建設し、技術を指導し、現地が必要とする製品を生産しているのである。

事実は雄弁より勝る。中国とアフリカの互恵と共同の利益をめざしたエネルギー協力によって、アフリカ諸国はエネルギー開発に緊急に必要な資金と技術を得ることができただけでなく、さらに重要なのは、協力によりアフリカ諸国は真に自国の資源の主人となり、自国の有する資源の開発過程において、より多くの自主的に選択する権利を有するようになったことである。