2006 No.47
(1113 -1119)
 

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>> 中日交流

王毅大使、中国文化節と中日文化
交流について取材に答えた

中国文化部と在日本中国大使館の共催による「中国文化祭2006」が東京で開幕した。開幕後、王毅駐日大使が文化祭と中日文化交流について取材に答えた。以下はその一問一答である。

問 両国の文化交流をどう評価するか。

答 中日両国のつきあいはすでに2000年以上の長きにわたるが、そのうち連綿として絶えなかったものが文化交流だ。隋・唐代の300年近くの間、日本は大勢の遣隋使・遣唐使を中国に派遣した。日本が中国文化を学び、参考にしたピークは、その頃だ。たとえば高僧の空海は、遣唐使の留学僧の1人で、後に日本の真言宗の開祖となった。わたしはかつて、日本の西部にある小島、長崎県の福江島を訪れたことがある。空海大師が学問を成就して帰国し、再び日本の土を踏んだ場所だ。後人が空海のために建立した寺には、空海大師自らの手による石碑があり、「虚往実帰」(きょおうじっき)の4文字が刻まれていた。この4文字は空海大師の本当の心境を物語るだけでなく、当時の中日交流の生き生きとした描写でもある。

近代以降、日本は率先して門戸を開いた。中国も日本という場の助けを借りて、当時の世界先進の科学技術および文学芸術を学び、吸収した。中日国交正常化後、両国の文化交流はたゆまず発展を続けてきた。その範囲は広く、規模は大きく、数量は多い。中国と他国の交流のなかでも、めずらしいものだ。

問 この時期に日本で「中国文化祭」を開催することは、中日関係にどのような意義があるか。

答 今回の文化祭の準備には1年近くを費やした。開幕式には、温家宝総理と安倍首相が祝辞を寄せたほか、日本の皇室の高円宮妃殿下がわざわざ参列され、衆参両院議長が式典に臨み、70人以上の衆参両院議員が万障繰り合わせて足を運んだ。

今日の盛況は得難いものだ。準備期間の大部分の間も、中日関係は政治的に困難な状況下にあったからだ。だが、われわれは、中日関係の改善は両国人民の共通の願いであり、中日文化交流は両国人民の共通の求めであると、終始かたく信じてきた。文化祭の開催は日本国民に向けたものであり、その目的は、彼らに中国の文明と文化、近年中国に起きている巨大な変化と進歩を紹介し、中国国民の友好のよしみを伝えることにある。したがって、どんな困難に遭遇しようとも、放棄することはできない。実施するだけでなく、成功させなければならない。

問 今回の「中国文化祭」のプログラムの特徴は。

 今回の文化祭は、豊富で多彩な大型文化交流活動であり、3つの主な特徴がある。第1は、日本の人々に中国の最高水準の芸術をお見せすること。第2は、中日双方の文化的要素を融合すること。たとえば、中国の京劇や昆劇と、日本の能や狂言の同時公演がある。それぞれの表現形式は異なるが、同じ東洋文化であり、根は相通じるものがある。観客は双方の伝統劇と高尚な芸術を鑑賞して、両国の芸術の共通性を体感し、また、一衣帯水の深い内包を感じ取ることができる。第3は、日本の一般市民の参加度だ。今回の文化フェスティバルには2カ所の大型巡回活動がある。1カ所は日本の繁華街で、もう1カ所は有名な横浜中華街だ。日本の太極拳愛好家、現地の華人社会団体の獅子舞、龍舞などが実演に参加するほか、国内の専門団体も来て興を添える。非常に肩の力を抜いた、活発なものになることだろう。

問 中日関係への文化交流の影響と役割について、詳しくお聞かせいただきたい。

答 中日双方の共同努力のもと、安倍首相の訪中によって、両国は両国関係に影響を与える政治的障害の克服について合意するとともに、両国関係の今後の発展の方向について重要な共通認識を形成した。すなわち、中日共同声明など3件の政治文書の原則を恪守し、「歴史を鑑(かがみ)として、未来に向かう」精神を堅持し、共通の戦略的利益に基づく互恵関係を構築することだ。この目標の実現には当然、政治と経済の両輪を同時に力強く回転させることが必要だが、この両輪を推し進めるのは両国の人民なのだ。また、文化交流は両国人民の感情を1つにつなぎ、両国人民の力を1カ所に凝集する助けとなる。言い換えれば、中日関係の健全な発展のためには、広義の文化交流を通じて両国人民の相互理解を増進し、政治と経済の両輪に新鮮な動力をたゆまず提供し続けることも必要なのだ。これはおそらく、国と国との関係に対する文化交流の独特の役割だろう。

わたしは日本に着任したばかりの頃、「韓流」の力を耳にした。ドラマの「冬のソナタ」が、なんと韓国に対する日本の人々の認識を変えたのだ。実際、文化分野について言えば、中日両国間の交流には、ほかのどの国よりも堅固な基盤、有利な条件、持続的な需要、幅広い参与が必要なのだ。

問 現代中国にとって、われわれの参考に値する日本文化には、どのようなものがあるとお考えか。

 いかなる国家、民族、あるいは文明の間でも、互いに参考にし、長所を取り入れ短所を補うことができる。中国文化は、かつて日本に重大な影響をもたらした。中国文化の新たな発展も、引き続き日本に影響をもたらすことだろう。同時に、日本文化にも独特の内容があり、われわれの参考に値する。

わたしは日本の仏教の名山、和歌山県の高野山を参観したことがある。現地の老僧が、高野山の名高い寺院に案内してくれた。一見なじみがあるようだが、現在の中国の寺院と全く同じというわけでもない。老僧によると、高野山には数百の寺院があるが、そのいずれもが1200年前に空海大師が中国の唐朝から持ち帰った宗教文化を、忠実に守っているのだという。建築様式や内部設備から、仏教儀礼、僧侶の作法に至るまで、千年前の規範に、今も厳格に従っているのだ。高野山を歩いていると、まるで中国の唐朝に戻ったかのようだった。日本民族は導入した文化を大切にし、文化の保存を重視する。文化の価値は、その歴史の長さと、変わらぬ生命力にある。時代の流行を追えば、それで良いということは決してない。われわれの文化には、改革、更新、時代に応じた進歩が必要だが、それは歴史の精華と伝統を保つという基礎の上でなければならない。

「人民網日本語版」