2006 No.51
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>>WTO加盟五周年

WTO加盟5年を迎えた現在の中国市場

WTO加盟から5年

「A+」は、WTO(世界貿易機関)のラミー事務局長が、9月に行われた「中国のWTOに加盟5周年−回顧と展望」の国際シンポジウムで、中国WTO加盟の全体の様子を最高点で表したものだ。ラミー事務局長は、「中国の加盟によって、世界の多角的貿易体制が強化された。そして中国は、2001年12月のWTO加盟時の約束事項を完全に履行し、ほかの国のいい手本になっている」と語った。
 12月11日は、中国にとってWTO保護期限の最後の年である。5年の実施によって中国は、世界の多角的貿易体制の受益者と推進者になった。中国政府のWTO加盟決定は、中国の改革と社会経済の発展を促進し、世界の国々に広大な市場をも提供した。そして世界経済の発展のための強い原動力にもなった。

開放の促進と体制の改革

中国のWTO加盟は、市場開放を促進し、政府機能の転換を加速して、体制の不正行為を克服する力となった。まず中国は関税を引き下げ、非関税障壁を減少して、中国市場をより開放した。その開放が拡大したことも、中国への輸入増加を加速させた。この5年間で中国は、世界各地から年平均28%増の2億4000万ドル近くの商品を輸入し、中国経済の成長がもたらした繁栄を、世界各国と享受している。

またWTO加盟の承諾によって、国家の法律体系や社会投資の環境が改善した。5年間で法規の約2000が訂正され、800あまりが廃止された。また知的財産権の保護では、WTOの要求に達し、WTOと貿易関係の知的財産権保護協定の保護基準を超えた。

対外貿易と経済発展の促進

1990年代、世界の製造業の移り変わりを機に、中国は製造業のグローバル化の重要な受益者になった。WTO加盟後の対外貿易環境の改善により,対外貿易が急速に増加し、外資の導入が大幅に増えた。2001年から2005年までのわずか4年で、貿易輸出入の総額は5096億ドルから1兆4221億ドルになり、世界の6位から3位になった。サービス貿易の輸出入の総額も719億ドルから1665億ドルに増え、11位から7位に上がった。今年の1月から8月までの貿易輸出入総額は23.9%の増加で、輸出は25.9%、輸入は21.6%増だった。

対外貿易の急速な増加も、国民経済の発展を推し進めた。WTOに加盟したこの5年、国民経済は速い成長の勢いを保ち、国内総生産(GDP)は2001年の1兆3248億ドルから、2005年には2兆2350億ドルになった。5年間の平均増加率は9.5%で、2005年、中国は世界4位に躍進した。1人当たりのGDPは、この5年間で1000ドルを超え、2005年は1702ドルになっている。

中国経済の促進のために

WTO加盟後、商品の品質基準は世界のルールに則り、サービス業も世界の方法に近づいている。企業は国民経済のミクロ的な基礎として、経営法も国際慣例と一致してきている。

特にWTO加盟後、サービス貿易分野は今までになく広く開放された。WTO規定で分類される約160のサービス貿易部門の中で、中国では104がすでに開放され、先進国の平均水準である108に近づいている。金融業など多くのサービス業でも、中国は加盟時の承諾を履行し、海外の銀行、証券、保険経営などに進出のチャンスを提供した。合弁、単独投資、支店や株持ち投資など、様々な形の金融業務が展開している。

商業流通業では2005年末までに、1341の外資商業企業が批准され、5657カ所の店舗が開業した。外資の大型スーパーは、中国の大型スーパー市場の4分の1を占めている。

9月にラミー事務局長と会見した温家宝総理は、中国はWTO加盟後、加盟時の約束事項を履行し、世界貿易機関の規則に基づいて、積極的に対外貿易政策を調整していると語った。わずか5年の間に平均関税は大幅に下がり、サービス貿易分野の開放は先進国のレベルに近づいている。WTO加盟後の中国は利益を得ただけではなく、世界経済貿易の発展にも貢献した。WTO加盟の過渡期が終わり、新しい挑戦を目の前に中国は、対外開放を引き続き行い、開放の中で発展し、開放の中で世界各国と共に利益を得ることを現実化する。

中国対外貿易の三大変化

貿易量の増加 長年対外貿易の分野で働いてきた、67歳の徐徳志さんに、ある一通の招請状が届けられた。この手紙の内容は、新しく設立された広東省の輸出入商会が、徐さんに会長になってもらいたいというものだった。除さんの子供たちは、安らかに晩年を楽しみ、家でのんびりしてほしいと願っていたが、「今の対外貿易の情勢は変化がとても大きく、対外貿易業に携わってきた者として、こんないいチャンスを逃すわけにはいきません」と、除さんは最終的にその会長に就任した。

広東省では、輸出入の経営権を持つ企業が、改革開放前の約10社から、4万5000社にまで増えた。WTO加盟後、より複雑で変化の多い国際貿易情勢の中で、この数年に現れた民間の輸出入企業は、経営を助け権益を守ってくれる正式な機関を必要としていると、徐徳志さんは言う。

WTOに加盟して5年、最も顕著な変化が貿易量の増加だ。2001年の加盟時の輸出入総額はわずか5000億ドルで、2005年には約1兆4000億ドル、今年は1兆5000億ドルを超える見込みだ。WTOに加盟した頃と比べると、3倍になったことになる。商務部対外経済協力研究院の柴海濤院長は、ここ数年の中国輸出入の状況を3つの変化に総括している。

貿易製品の変化 80年代から90年代の10年間、中国対外貿易の増加は、主に軽工業製品と服飾などの紡績業に支えられていた。90年代から2000年の10年間は機械設備と家電製品が主で、現在では輸出総額の55%を占めている。またIT産業を中心とした、ハイテク技術製品の輸出入が急速に増え、輸出総額の30%に及ぶ。

貿易スタイルの変化 中国の加工貿易は、この数年でその割合が増え、輸出総額の約55%を占めるようになっている。多くの加工貿易は、外資工場によるもので、外国企業は、コストが低く基礎設備がしっかりしている中国で、製造過程の加工部分を行っている。商務部産業局のデータでは、ノートパソコンと携帯電話が、輸出額の多い商品である。

貿易主体の変化 国営の対外貿易輸出入会社による、独占状態が打ち破られた現在、国有企業の輸出は5分の1にも及ばず、輸入は約4分の1にすぎない。外資企業は輸出入総額の58%以上を占め、2005年度の「中国対外貿易企業ベスト200」によると、その7割が外国企業で、2001年より50%近く増加した。以前わずかの割合しか占めていなかった民間企業は21%に増加し、国有企業を上回っている。

関税総署総合統計局の張麗川司長は、WTO加盟後、外資企業と個人企業は、国有企業や集団所有制の企業と比べ適応力があり、精力的に事業を行っていると言う。2005年、外資企業の輸出入額は、中国の対外貿易輸出入総額の58.5%で、2001年と比べると、7.7%上昇した。個人企業は、もっと速いスピードで発展し、2005年、輸出入額は1674億ドルで、2001年の18.2倍になった。中国の対外輸出入も、2001年の1.7%から11.8%まで増加した。

中国銀行業の節目

金融市場の開放 香港上海銀行、中国地区個人金融サービスのマネージャー、マイク?ヨン氏の事務室の壁には、異なった色で印をつけた地図が貼ってある。これは、個人向け財務管理業務について、同銀行の市場戦略を示したものだ。マイクマネージャーはこう語る。

「マスコミからのインタビューを受ける時に、いつもこの地図を説明するのですが、香港上海銀行の個人向け財務管理業務の発展方向は、すべてこの地図の上に表されています。赤いポイントの北京、上海、広州、深?は、個人財務業務を行う一番重要な都市です。そしてこれらの都市には、支店やハイエンドのファイナンシャルマネジメントサービスを行う『卓越理財(HSBC Premier)センター』を設置し、来年にはさらに多くの支店と同センターの開設を狙っています。黄色い印は、廈門(アモイ)、青島、大連、天津などの2006年重点発展都市で、年内に『卓越理財センター』を開く予定です。今年の年末には、外資系銀行の人民幣業務が全面的に開放され、私たちの業務範囲はさらに多様化していくでしょう」

今年の12月は中国の銀行業にとって、一つの節目として記録されることになるだろう。中国のWTO加盟の承諾により、中国金融市場が外資系銀行に全面的に開放され、制限も一斉に取り除かれる。そして外資系銀行は、中国の住民に全面的な金融サービスの提供を開始する。

外資系銀行の発展状況 外資系銀行が初めて中国の商業銀行の株を購入したのは、アジア開発銀行が光大銀行の株を購入した10年前の1996年。この短期間に外資系銀行は、最初の「探索的な財務投資者」から、次第に実際に経営参加する「戦略的な投資者」に変身した。そして外資系銀行は中国で利益を得ると同時に、中国銀行業のスタイルを変えてきた。

2005年10月末までに、中国のWTO加盟の承諾により、すでに40の国と地域の173の銀行が、中国23の都市で238カ所の代表事務所を開設している。また20の国と地域の71の銀行は、23の都市で238カ所の営業機関を設立した。外資系銀行の中国での資産総額は845米ドルで、中国銀行業金融機関資産総額の約2%を占めている。中国の金融業では、最も「戦略投資者」を引きつけるクレジットカード業務、住宅ローン抵当証券業務、また保険代理や財務代理、基金業務協力など、外資投資者が興味を持ち、力を入れる業務範囲がますます広がっている。

中国の銀行の発展 今年の10月27日、香港と大陸の資本市場に、中国建設銀行、中国銀行という二大国有商業銀行に次いで、資産1兆元を超える中国工商銀行が登場した。工商銀行の上場は世界の注目を浴び、今年以来、全世界で初めて発行された最大額だった。重要なのは、中国一の銀行がA株とH株を同時上場したことで、これは中国銀行業界の改革を示している。

ここ5年、中国の商業銀行は、積極的に外資や先進的な経営理念、世界一流のサービスを導入し、商業銀行のリスク制御能力や、新機軸を打ち出す能力を向上させる一方で、銀行内部の改革や規範ある会社の仕組み、株式制の改革に力を入れている。また農業銀行と農業発展銀行の改革を推し進め、農村金融システムの整備に努めてきた。

外資系銀行の中国進出によるプレッシャーはあるものの、支店の分布範囲の広さ、人民元の資金力、地元の顧客数の多さ、現地市場への理解などの面で、国内の商業銀行は優勢を保っている。そのため外資系銀行に人民幣業務を開放しても、中国資本銀行は引き続き国内市場での主導的地位を保つことができるだろう

ガソリン販売の競争

「モービルランプ」 一世紀前、モービルが上海に進出した時、販売史に残る計画を立てた。それは、ロウソクを使っていた中高所得者の家庭に、油の入ったオイルランプを一つずつ届けるというものだった。オイルランプの明かりに慣れた上海の人たちは、灯油がなくなった時、列をなして油を買いに行った。

1930年代になると、石油ランプは「モービルランプ」とも呼ばれた。今、中国の都市では、モービルの看板が掛かったガソリンスタンドを見ることができ、モービル製品も中国の人々の生活に入っている。

中国のWTO加盟の枠組み協定により、2004年12月11日から中国は、外資系企業に精製油(加工された石油)の小売市場を開放した。そしてBP、エクソンモービル、シェルなどが、合資企業という形で次々と中国に進出してきた。中国の小売市場に進出したばかりのシェルの役員は、「シェルが中国に進出し、サービスを始めたことを中国の消費者知ってもらいたいのです」と話す。

様々なサービス 現在、中国に一番多いガソリンスタンドが、2年前から、石油小売のトップを占める外資系会社BPだ。BPグループの中国総裁ドッカイレイ氏は、BPと中国の合資会社「中油BP」のガソリンスタンドを、中国にある従来のようなものではなく、ガソリンスタンドの利点を活かしてコンビニのようなものを作り、車の重量を測る計量台の設置や、ボトル入りの潤滑油の販売、店舗の貸し出し、宝くじの発売、ATMの設置、インターネットサービスなどができるように計画していると語る。BPはこの二年間で、もとの「給油型のスタンド」から、「石油業務のコンビニ」にモデルチェンジしていく。

BPが全面的にコンビニ化を進める一方で、かつての石油小売の大手、中国石油天然ガス集団公司の中石油、中国石油化工集団公司の中石化の二社も、欧米の経営法を学びながら、ガソリンスタンドで給油以外の様々なサービスを提供している。F1に協賛し、マグドナルドと提携してドライブスルーを作るなど、自社の宣伝や、販売でも力を尽くしている。

中石油は金融機関と協力して、「銀聯」マークのキャッシュカードを作り、中国全土にある約8000のガソリンスタンドで清算できるようにした。また中国工商銀行と協力して、中国では初めてのガソリンスタンドで使えるクレジットカード「牡丹中油連名カード」を出した。このクレジットカードは、普通の「牡丹カード」と同じように使え、中国全土にある1万7000カ所のスタンドでカードを提示すると、現金割引や特別優遇が受けられる。

中石化も、全国で「給油感謝カード」というサービスを始めた。これは中石化が始めて試みたサービスだ。このカードを利用すると、一リットルの給油ごとに一ポイントがつき、たまったポイントによって様々な景品と交換できる。この「給油感謝カード」の利用者はもうすぐ800万を超え、全国の約1万3000のガソリンスタンドで使われている。このような激しい競争を見守っている業界の人は、本当の構造改革への挑戦は、今年の暮れから始まると考えている。

ガソリンの販売競争 中国にはガソリンスタンドが9万カ所あり、中石油は1万7000カ所、中石化が3万カ所、あとの半数以上が民営だ。多国籍の大企業がガソリンの卸売りや、輸出入経営権を得た場合、低コストのガソリンと高い効率の物流システムは中国の民営スタンドを引きつけ、加盟店などの形で大量に外資系のスタンドが増える可能性は大きい。そして今、外資系企業が経営している数千のガソリンスタンドは、そのブランドとしての名を広め、ガソリン販売の競争が幕を切るだろう

小売業――外資系企業の全国展開

若者に人気のイケア 馬甸橋店のイケア(宜家)が移転したと、北京のマスコミで働く劉さんはご主人に言った。結婚したばかりの2人は、多くの「イケアファン」の若者と同じように、家具のほとんどをスウェーデンのメーカー?イケアで買った。その馬甸橋店は4月、30万人が住む望京に、元の3倍の売り場面積になってオープンした。

イケアが中国に進出 して約7年。アジア太平洋地域のイケア代表、イオン?ダッヒ氏は、「中国での成長率は年間30〜40%で、世界で一番、成長の速い地域です」と語る。イケアは中国の市場に大きな希望を託して、今後、数年のうちに中国の10の都市に進出し、6年以内には10店舗を開業する予定だという。

世界のスーパーが中国に進出 日本のヤオハン(八百伴)が、中国で初めて上海の浦東で開業して以来、十数年の間に、外資系の小売企業は、中国での市場を拡大している。中国の消費者がよく知っている、フランスのカルフール(家楽福)、米国のウォルマート(沃爾瑪)、フランスのオーシャン(欧尚)、ドイツのメトロ(麦徳龍)、タイのロータス(易初蓮花)などの外国小売企業は、中国で優れた販売成績を上げ、利益を得ている。

本社がパリにあるフランスの大手カルフールは、いち早く中国市場に進出してきた外国小売企業の一つだ。世界企業ランキング500社に入るカルフールは、ここ10年で着実に中国での市場を拡大し、すでに中国の32の都市で46店を開業し、2005年以降も150店舗の開設を予定している。

世界企業ランキング500社に何度も入った小売業界トップのウォルマートは、1996年に深?で初めてのショッピングプラザと会員制ショップを開業した。今では北京をはじめ、大連、済南、昆明などの17の都市で43店舗を持ち、数年後には、あわせて100店の開店を目指している。その他のオーシャン、ロータス、イケア、イギリスのホームセンターB&Q、メトロなども中国全土で展開している。

安定した成長が続く小売業 中国経済全体の順調な発展で、小売業も同じような発展を遂げている。中国百貨商業協会の、国内209社の大?中百貨企業についての統計資料によると、2004年の売上総額は2523億3000万元で、前年同期と比べ17.7%の増加だった。その中で小売業の総額は1992億5000万元の16.9%増だ。両者とも、2004年の全国社会消費品小売総額より3%近くの伸び幅だった。中国の小売企業は引き続き成長の勢いを保ち、運営効率の向上により利益が見込まれている。

専門家は、2005年から2010年まで中国の小売業は、8〜10%で安定して成長していくと予想している。外資系小売企業が勢力範囲を広げている中で、競争とプレッシャー、生存危機に迫られている中国企業。しかし、中外小売企業の秩序ある競争の中で行われる様々なレベルの協力は、結果的にはお互い利益を得ることにもなり、中国小売業の健康的で秩序ある発展を推し進めることにもなるだろう。(中国画報徐迅)