2007 No.01
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「約束の夏」日中の仲立ちに
札幌・若松さん翻訳出版 北京で記念会

終戦後の中国東北部からの引き揚げ体験を八歳の少女の視点で描いた札幌市の児童文学作家、若松みき江さん(69)の自伝小説「約束の夏」が中国語に翻訳・出版され、12月25日、北京で出版記念会が開かれた。若松さんは「日本と中国の間は問題が多いが、一人一人の小さな出会いが理解につながる。この本がその仲立ちになってくれたら」と語った。

中国語版の題名は「夏天的諾言」。北京・当代世界出版社から初版五千部が出版された。出版費用として家具・インテリアチェーン大手ニトリ(札幌)が設立した「北海道応援基金」から百二十万円の助成を受け、昨年12月から1年かけて翻訳、出版が実現した。

出版記念会には約60人が参加。札幌から若松さん夫妻と、中国語版の挿絵を描いた道展会員画家の香西富士夫さん(68)らが出席した。

題名にある「約束」とは、中国東北部での母子五人の逃避行で、栄養失調のため衰弱した二歳になる末弟を中国人夫婦に託す時、母が「決して捜しに来ない」と誓ったことを指す。逃避行の際、日本軍に家族を殺されながらも食料を分け与えてくれた中国の人々に感謝し、弟は幸せに暮らしているはずだとの思いからだ。

若松さんは「私は昨年夏他界した母の遺言を守ろうと思う。日本が身勝手な戦争さえしなければ、こんなことにはならなかった」と訴えた。劉徳有・元中国文化部副部長は「血と涙で描いた真実の記録だ」とたたえた。