中国の高齢者事業の発展
中華人民共和国国務院報道弁公室
2006年12月・北京
前 書 き
二十世紀末に、中国の60歳以上の高齢者人口の比率は人口総数の10%を上回るに至った。世界通用の基準によると、人口の年齢構造はすでに高齢化社会に入ったと言える。新しい世紀に入った後、人口の高齢化の速度はさらに加速している。2005年末には、60歳以上の高齢者は1.44億人に近づき、総人口に占める比率は11%に達することになった。
中国は世界最大の発展途上国であり、高齢者人口の基数が増大していること、人口高齢化の速度が速まっていることと発展のアンバランスという条件のもとで、いかにして高齢者の合法的権益を保障し、高齢者事業の発展を促進するかということは社会発展の中で直面する大きな課題である。
中国政府はこれまでずっと高齢者事業に関心を示し、それを重視してきた。長年このかた、国は中華民族の敬老、養老の文化の伝統を発揚することに大いに力を入れ、適切かつ効果的な措置をとり、中国の国情にふさわしい高齢者事業発展のモデルを積極的に模索してきた。とりわけここ数年、中国政府は科学的発展観を全面的かつ徹底的に実行し、人口の高齢化の挑戦に積極的に対応し、高齢者事業の発展を経済社会が統一して発展することと社会主義調和社会を構築することの重要な内容とし、経済、法律と行政手段を総合的に利用して、高齢者事業をたえず推し進めている。
一、高齢者事業の国としてのメカニズム
「老いても養うところあり、老いても医療を受けるところあり、老いても教えを受けるところあり、老いても学ぶところあり、老いても為すところあり、老いても楽しむところあり」ということは中国における高齢者事業の発展目標である。ここ数年、中国政府はこの目標をめぐって、高齢者関連の法律、法規と政策の整備を強化し、高齢者事業の発展計画を制定し、高齢者活動システムを健全化し、人びとが広い範囲にわたって高齢者事業の発展に参加するよう奨励し、国際交流と協力を展開している。
1949年、中華人民共和国の成立以来、国は高齢者社会保障、高齢者福祉およびサービス、高齢者医療衛生、高齢者文化教育とスポーツ、高齢者権益の保障および高齢者関連産業など多方面の内容を含む一連の法律、法規と政策を発布した。ここ20年間に、全国人民代表大会およびその常務委員会、国務院およびその関係部門が発布した高齢者関係の法律、法規、規則と関連の政策は200件以上に上り、「中華人民共和国憲法」を基礎とし、「中華人民共和国高齢者権益保障法」を主体とし、関連の法律、行政法規、地域的法規、国務院の関係部門の規則、地方政府の関連政策を含む高齢者関連法律法規政策システムの枠組みを初歩的に形成するに至った。
中国政府は前後して「中国における高齢者関係の仕事の7年発展要綱(1994〜2000年)」、「中国高齢者事業発展の第10次五カ年計画要綱(2001〜2005年)」および「中国高齢者事業発展の第11次五カ年計画」を発布し、実施した。国務院の関係部門と地方の各クラスの人民政府はそれぞれの部門の高齢者関係の仕事の行動計画と現地の高齢者事業の発展計画を制定している。国は監督査察と評価の制度を確立し、計画の実施状況に対して中期と期末における検査を行い、計画の実行に力を入れている。同時に、高齢者事業統計指標システムと高齢者関係の諸方面の統計制度を確立し、計画の制定と監督査察および評価の仕事を完ぺきなものにするため、基礎データを提供している。前世紀の80年代いらい、前後して3回も全国的範囲で高齢者の置かれた状況を調査し、高齢者事業に対しての科学的な政策決定に重要なよりどころを提供した。
国務院は全国高齢者活動委員会を発足させ、全国の高齢者の仕事を統一的に企画し、コーディネートし、高齢者事業発展の戦略と重要な政策を研究、制定し、関係部門と協調して推し進めることで高齢者事業の発展計画を実施し、各地域の高齢者関係の仕事を指導し監督しチェックしている。全国高齢活動委員会主任は国務院副総理が担当し、傘下諸組織は国の26の部門によって構成され、委員は傘下諸組織の副部長に相当する指導者が担当している。委員会には事務機構があり、日常活動を取りしきっている。現在、全国にはすでに省(自治区、直轄市)、地区(市、州、盟)、県(市、区、旗)、郷(鎭、街道)各クラスの高齢活動委員会およびその事務機構を基本的に確立し、村(住民)委員会には高齢者の関係活動を担当している専任者が置かれ、初歩的ではあるが中央から地方にかけての仕事のネットワークを形成するに至った。
国は政策と世論による誘導などいくつかのやり方を通じて、高齢者事業を発展させる社会環境を積極的に整備し、社会全体が高齢者事業の発展に関心を示し、それをサポートし、参与するよう導いている。市場原理を充分に生かし、企業および事業体が高齢者に豊かな製品とサービスを提供するよう指導し、それに協力している。広い範囲にわたって社会の力に働きかけ、高齢者とかかわりのある全国および地方的な社会団体が高齢者事業発展基金を調達し、大がかりな文化娯楽・スポーツのイベントを開催し、高齢化についての科学研究をくりひろげ、高齢者教育の発展を促進している。各地の末端の大衆組織とボランティアの人たちが高齢者の精神的文化的生活を豊富にし、高齢者に対するさまざまなサービスをくりひろげることに力を入れる。
中国政府は前後して、ハイレベルの代表団を派遣して国連が主催する第一回、第二回の世界高齢者大会と関連のある国際および地域的な高齢者会議に参加し、国連第二回世界高齢者大会アジア太平洋地域後続行動会議や一連の国際および地域的な高齢者会議を成功裏に主催し、高齢化に関する国際行動計画およびアジア太平洋地域高齢行動計画の制定に参与し、さらに積極的に履行した。高齢分野の世界や地域的な多国間および二国間の交流と協力を積極的にくりひろげ、6つの国際高齢者組織に加入し、90あまりの国と地域の高齢者組織と業務上の連係を確立した。高齢化についての科学研究、高齢者救済および高齢者教育などの分野で国連の関係組織、欧州連合(EU)および一部の国の政府と非政府組織(NGO)とプロジェクト協力をくりひろげている。
二、養老保障システム
経済社会の発展と人口高齢化水準にふさわしい養老保障システムを確立することは中国が高齢者事業を発展させるうえでの重要な任務と優先的な分野である。ここ数年、中国は政府、社会、家庭、個人と結びついた養老保障システムを段階的に確立し、完全なものにし、高齢者の基本的な生活を保障することに努めている。
都市部の養老保険システムの確立
ここ数年、中国政府は都市部の各種類企業の職員、個人商工業者と自由業者をカバーする統一的な都市部企業職員基本養老保険制度を逐次確立している。2005年末現在、全国の基本養老保険加入者数は1.75億人に達し、そのなかには4367万人の離休(1949年10月1日まで革命の履歴をもち定年した者をさす)・定年退職した高齢者が養老保険待遇を受け、その年の養老保険基金支出は4040億元に上った。国は基本養老金調整メカニズムを確立し、職員の給料の増加と物価変動の状況に基づいて、定年退職した人員の基本養老金水準を適時に調整している。政府機関と事業体の職員の離休・定年退職制度を確立し、国の財政あるいは部門によって国の規定基準に基づいて年金が支出されているのである。
国は数多くのルートを通じて基本養老保険基金を調達し、人口高齢化に対応するための準備金を増やすことに力を入れ、企業の離休・定年退職人員の基本養老金が期限どおりに全額支出されることを確保している。基本養老保険基金の納入を強化し、2005年末現在、全国の基本養老保険基金残高総額は4041億元であり、その年に納入した総額は4312億元となった。財政による補助の取り組みの度合を大きくし、2005年に各クラスの財政補助基本養老保険基金は651億元となっている。全国社会保障基金を確立し、2005年末現在、全国社会保障基金の積立金は2010億元に達した。
国は補完的な養老保険を積極的に発展させ、条件の備わった企業が職員のために企業年金を確立するよう指導し、それに協力し、その費用は企業と職員がともに納入し、基金の十分な積立と個人口座管理を実行することにしている。2005年末現在、全国では2.4万の企業が企業年金を確立し、参加した職員は924万人に達した。国は個人の貯蓄的性格をもつ養老保険の展開を奨励し、数多くのルートに頼って高齢者の生活保障を強化している。
農村部の養老保障システム確立の模索
中国の高齢者の60%近くが農村に分布している。中国政府は農村の経済社会発展レベルに立脚し、耕地による保障と家族による扶養の機能を積極的に発揮し、農村部の社会養老保障制度の確立を模索し、数多くの農村における高齢者の基本生活を保障することに努めている。
耕地をベースとする養老の保障効果を発揮させ、数多くの高齢者も含む農民の土地請け負い・経営権を保護する。「中華人民共和国高齢者権益保障法」に基づいて、扶養者が高齢者の請け負った農地を耕し、高齢者のものである林木や家畜などを世話する義務があり、それによる収益は高齢者に属するものであり、それによって、高齢者の基本生活の収入源を保障する。「家族による扶養取り決め」を結ぶことを提唱し、扶養の内容と基準を規範化し、村(住民)委員会または関連組織に取り決めの履行を監督させ、高齢者の扶養を受ける権利を保証する。現在、中国の農村では「家族による扶養取り決め」を結ぶことがすでに全面的にくりひろげられ、2005年末までに、1300万余件の「家族による扶養取り決め」が結ばれた。
農村部の社会養老保険制度の確立を模索する。2005年末現在、全国の31の省(自治区、直轄市)の約1900の県(市、区、旗)では農村社会養老保険の仕事が実施され、5400余万人の農民が保険に加入し、積み立てられた保険基金の総額は約310億元となり、保険に加入した300余万人の農民は養老金を受け取り、その年に支出された養老保険金は21.3億元に上った。
いろいろな種類の保障制度を積極的に発展させ、農村の特殊高齢者層を優先に社会保障の範囲に組み入れている。働く能力を失い、生活のための収入源がなく、法定扶養者や面倒を見てくれる人もなく、あるいは法定扶養者や面倒を見てくれることになっていた人が確かに扶養する能力がない農村の高齢者に対しては、国に食生活、衣服、住居、医療、お葬式の費用を保障される「五つの保障」の制度が実施される。現在、全国で「五つの保障」を受けている高齢者は460万以上に上る。計画出産政策を行うことにした農村の一人っ子夫妻または女の子2人いる夫妻に対しては、60歳になった後、中央あるいは地方の財政に特別項目の資金が案配され、計画出産家庭奨励扶助制度を実施している。2005年末現在、この奨励を受けている人は135万人に達した。中国政府は都市化過程において土地を徴用された農民の養老問題を重視し、土地を徴用された農民の基本的生活と長期の生活費を確保し、土地を徴用された農民たちを次第に社会保障システムに組み入れている。現在、15の省(自治区、直轄市)が土地を徴用された農民に対する社会保障の方法を公布し、約600万人が社会保障の範囲に組み入れられ、約500億元の資金が調達された。
貧しい高齢者に対する救済制度の確立
中国政府は高齢者の貧困を緩和しなくすことを国の貧困対策戦略と高齢者事業発展計画に組み入れている。国は都市住民最低生活保障制度を確立し、一人当たりの収入が地元の最低生活保障基準より低い家庭に対し基準に基づいて補助を与えている。2005年には貧しい高齢者を含めた2233万人の都市貧困人口が最低生活保障金を受領し、基本的に保障すべき人をすべて保障したのである。農村で、国は特別な困難を抱えた世帯に定期的に一定額の救済と一時的生活救済制度を実施し、条件のある地域では農村最低生活保障制度の確立を積極的に模索している。現在、865万人の農村人口は農村における特別な困難を抱えた世帯に対する定期定額救済枠に組み入れられ、985万人の農村人口は農村の最低生活保障枠に組み入れられ、その中には、「五つの保障」という条件には合わない貧しい高齢者も含まれている。国は条件のある地域に養老センターを確立し、養老手当と高齢者手当を給付し、高齢者の生活を積極的に改善するよう奨励している。地方政府は開発的貧困救済に積極的に取り組み、より低い年齢の、健康で、働く能力のある貧しい高齢者が栽培、養殖や加工などの作業に従事できるよう手助けし、貧しい高齢者の生産による自助能力を強化している。社会の力の高齢者貧困救済の中での効力を積極的に発揮させ、各地の高齢基金会などの社会団体、企業および事業体と個人が慈善救済と社会互助を展開するよう促し、ペアを組んで手助けし、相手を特定して扶養するかまたは手助け、ボランティアサービス、訪問お見舞いなどさまざまな種類の救済のパターンを作り出し、全面的に貧しい高齢者に中味の濃い扶助を提供している。
三、高齢者の医療・保健
高齢者の医療保障と医療衛生サービスを強化し、高齢期にある人たちの健康を向上させることは、高齢化社会の全国民的健康と生命の質の向上を図るための重要な内容である。中国政府は都市部・農村部における高齢者の医療保障の強化を重視し、高齢者向けの医療衛生の仕事に力を入れ、高齢者の医療衛生サービスを発展させ、高齢者の基本的医療需要の保障に努め、高齢者の心身健康の増進を目指している。
都市と農村における高齢者の医療保障の強化
国は社会の統一的計画と個人口座を結びつけた都市部の職員の基本医療保険制度を創設し、定年退職者個人が基本医療保険料を納めず、個人口座への振込金額と個人負担医療費の比例を適当に優遇すると規定している。各地域では普遍的に高齢者が患いやすい病気、慢性疾患などの高額な医療費を社会の統一計画基金給付の範囲に組み入れ、定年退職者個人の給付比例を減らしている。2005年末現在、全国の基本医療保険に加入している定年退職者は3761万人に上るものとなった。
国は多種多様な補足的な医療保障措置を積極的に実行して、高齢者の医療費負担の軽減に努めている。公務員の医療費補助方法を実施し、定年退職者を含む国家公務員に医療費の財政補助を行っている。政府は、各地が高額医療費の補助方法を制定することを推し進め、個人納付または企業納付によって資金を調達し、ひどい病気、重い病気や長期慢性疾患を患った職員と定年退職者のために、統一計画基金の最高上限額を超える医療費を補助している。一定の経済力のある企業は補足医療保険を設け、基本医療保険待遇以外の医療費を補助している。中国政府は都市部社会医療救助制度の確立を積極的に模索し、財政による支援、宝くじによる公益金、社会からの寄付など多種多様なルートを通して医療救助基金を調達し、経済的に困っている人たちの治療に補助を与えている。2005年末現在、医療救助を実施している試行県(市、区、旗)は1119に達し、年間で合計163.3万人の人たちを助けた。
2003年から、国は個人による納付、集団による扶助、政府による援助を結びつけた新しいタイプの農村合作医療制度の試行の仕事に着手した。2006年6月末現在、全国の新しいタイプの農村合作医療の試行県(市、区、旗)は1399に増え、農業人口4.95億人をカバーし、3.96億人の農民が新しいタイプの農村合作医療に加入し、試行地域で新しいタイプの農村合作医療に加入した高齢者の比率は73%を上回った。全国で新しいタイプの合作医療に加入した農民のうち2.82億人が補償を受け、補償金144.12億元が支払われた。国は、各地が新しいタイプの合作医療に加入した70歳以上の農村の高齢者に優遇策を与え、高齢者の特殊な需要への配慮を求めている。農村医療救助制度を積極的に創設し、政府の財政支援と社会からの寄付とを結びつけて救助資金を調達し、農村の「五つの保障」を受ける高齢者と経済的に困っている人たちの新しいタイプの農村合作医療への加入を助け、ひどい病気を患って医療費の個人負担が重すぎ、家庭の基本的生活にひびいている貧しい農民に補助を与え、高齢者の基本的な医療難をある程度緩和した。現在、31の省(自治区、直轄市)ではすべて農村医療救助制度が創設されている。2005年には農村で1112万人が医療救助を受け、10.8億元の救助資金が支出された。
中国は高齢者向けの特定項目の医療救助とリハビリ援助の仕事を積極的にくりひろげている。国の身体障害者事業発展要綱の実施によって、西部地区を重点とする「高齢者に再び視力を回復させる」プロジェクトなどを実行し、白内障の高齢患者約600万人に手術を施し、それに辺ぴな貧困地区の四肢に不具合のある高齢者、耳の不自由な高齢者に無料で義肢、補聴器を装着させ、身体障害のある貧しい高齢者の体の機能回復または機能補完を助けた。
高齢者の医療衛生サービスの発展
国は高齢者の医療衛生の仕事に対する企画・指導を強化している。「高齢者医療・保健第8次五カ年計画(1991〜1995年)」を制定、実施し、高齢者の医療衛生の仕事の強化に関する政策的文書を二度も発布し、高齢者の医療・保健の仕事を「全国健康教育および健康促進活動計画要綱(2005〜2010年)」「中国介護事業発展計画要綱(2005〜2010年)」「中国精神衛生活動計画(2002〜2010年)」など医療衛生の仕事の発展に関する一連の企画に組み入れた。全国の高齢者の医療衛生の仕事に対する指導・協調・科学的政策決定を強化するように、全国の高齢者の衛生の仕事の指導グループと高齢者の衛生の仕事の専門家諮問委員会を設置した。
国は、有力な大・中医療機構が老年病科または老年病外来診療部門を開設し、高齢者に対して専門サービスを積極的に提供することを奨励している。地域衛生計画により老年病の予防治療、高齢者リハビリ、ホスピス介護などのサービスを提供できる医療衛生サービス機構を設立している。各地の医療機構は70歳以上の高齢者に診察受付、受診、薬の受け取り、入院などの優先サービスと優遇サービスを普遍的に提供している。2006年に国は「国民経済と社会発展の第11次五カ年計画要綱」を公布し、心の温まる介護プロジェクトの実施、高齢患者と高齢身障者(80歳以上)向けの介護サービス施設の発展を重点として企画に組み入れた。
都市コミュニティーの医療衛生サービスシステムの構築を加速し、各地が高齢者の医療・保健をコミュニティーの医療衛生の仕事の重点とすることを促進し、高齢者に対して安全で効果的で利便性のある経済的な医療衛生サービスを提供することに努めている。各地は末端医療衛生機構のコミュニティー衛生サービス機構への転換を積極的に指導し、高齢者保健、医療介護、リハビリなどのサービスを展開している。2005年末現在、全国の都市はコミュニティー医療衛生サービスセンター(ステーション)を1.5万カ所以上設置し、95%の地区クラス以上の都市、86%の市管轄区、一部の県クラスの都市で都市コミュニティー医療衛生サービスをくりひろげている。末端医療機構は高齢者の特殊な需要に応じて、家庭往診、家庭介護、昼間における病状の観察、ホスピス介護などのサービスを提供いている。高齢者の一部の基本的な健康問題はコミュニティーで解決できるようになっている。
国は高齢者の健康の特性に応じて、医療衛生・保健についての広報を積極的にくりひろげている。ラジオ、テレビ、新聞・雑誌、コミュニティー広報掲示板など多種多様なやり方で高齢者の養生・保健常識をPRし、普及している。各クラスの病院は年間を通じて所在するコミュニティーに向けて健康講座を開き、慢性病患者に保健のためのアドバイスを行っている。国は健康な高齢者の基準を制定し、全国で健康な高齢者の評価の仕事をくりひろげ、科学的かつ健康な生活スタイルを積極的に普及している。心臓・脳血管病、糖尿病など慢性病の三段階の予防の仕事を強化し、高血圧症、糖尿病の予防治療マニュアル、管理案を作成し、逐次普及し、高齢者の慢性疾患の早期発見、早期診断、早期治療を促進している。1991年から、中国政府は老年病の予防治療に関する研究の仕事を国の科学技術計画に組み入れた。今では、老年病の予防治療研究機構の数は全国で50カ所以上に達する。
高齢者の大衆的スポーツ保健活動の推進
中国政府は高齢者の大衆的スポーツ保健活動を大いに推進し、高齢者の体位の向上と健康の増進を図っている。2005年末まで、全国で県以上の各クラス行政区、70%の都市コミュニティー、50%の農村の郷・鎮に高齢者体育協会を設立し、高齢者の大衆的スポーツ活動に対する組織と指導を強化した。ここ数年らい、国は「全人民保健プロジェクト」を実施し、公益的なスポーツ保健のスペースと施設の整備を強化し、高齢者にスポーツ保健活動のスペースを提供した。現在、全人民保健プロジェクトは3万カ所以上の施設を整備した。2001年から、中国は「億万高齢者保健活動」を組織、実施し、より多くの高齢者の注目を集め、スポーツ保健に仲間入りさせている。現在、日常的なスポーツ保健活動に参加している高齢者は全国で5800万人以上に達する。
四、高齢者への社会サービス
高齢者向け社会サービスシステムの整備を加速することは、高齢者の増えつつある社会サービスに対するニーズを確保するための重要な措置である。ここ数年らい、中国政府は高齢者向けコミュニティーサービスの発展に大いに力を入れ、高齢者の在宅養老にプラスとなる環境を絶えず改善している。同時に、機構による養老サービスを積極的に推進し、高齢者の社会サービスに対するニーズの多様化にできるだけ対応し、在宅養老を基礎とし、コミュニティーサービスを支えとし、機構による養老を補足とする高齢者向け社会サービスを初歩的に形成するに至った。
国は「全国の都市コミュニティー建設の推進に関する意見」「コミュニティーサービス活動の強化・改善に関する意見」など一連の政策、文書を公布し、積極的な措置をとり、資金投下により大きな力を入れ、コミュニティー整備とサービスの仕事を強化し、数多くの高齢者を含むコミュニティー住民に便利で役に立つ多種多様なサービスを提供し、高齢者の在宅養老をサポートする環境を絶えず整備している。2005年末までに、全国の都市コミュニティーサービス施設は19.5万カ所、総合的なコミュニティーサービスセンターは8479カ所に達することになった。各地では訪問サービス、指定場所でのサービス、巡回サービスなどの方式を通して、高齢者に生活介護、家事サービス、緊急救援およびその他の無料または低い費用の額で利便サービス項目を提供している。2001年から、中国政府は3年連続してコミュニティーの高齢者福祉サービス施設を整備する「星光計画」を実施し、投資総額は134億元に達し、「星光高齢者ホーム」が3.2万カ所建てられた。この計画は高齢者のための訪問サービス、緊急援助、昼間の介護、保健リハビリ、文芸・スポーツ・レジャー娯楽など多くの機能を備え、3000万人以上の高齢者が受益している。2005年には、全国で平均して町ごとに1.32カ所の都市高齢者福祉機構、9.8のコミュニティー住民委員会ごとに1カ所の都市高齢者福祉機構が存在することになった。
ここ数年らい、国は資金投下を増やし、都市部で「三無」高齢者(働く能力がない、生活費のあてがない、法定扶養者がいないかまたはその法定扶養者に確かに生活扶助能力と扶養能力がない高齢者)向けの社会福祉ホームを設立し、高齢者アパート、老人ホーム、高齢者介護ホームの発展に大いに力を入れ、経済状況と生活能力が異なる高齢者、特に高齢患者と高齢身障者に機構による養老サービスを提供している。農村では敬老院の整備に力を入れ、「五つの保障」高齢者に集中的な養老施設と生活サービスを提供している。「社会福祉社会化の実現を加速することについての意見」「養老サービス業の発展を加速することについての意見」などの政策、文書を公布し、社会の力を奨励し、生かし、国の施設の民間による運営、民間投資への国の援助、政府による補助、政府の資金によるサービス提供など多種多様な方式を通して、養老機構を比較的速く発展させるよう推し進めている。2005年末までに、全国の都市部・農村部に社会福祉ホーム、敬老院、老人ホーム、高齢者アパート、高齢者介護ホームなどの養老サービス機構が3万9546カ所もあり、ベッド総数は149.7万床、そのうち農村の郷・鎮敬老院2万9681カ所、ベッド総数89.5万床となっている。国は養老サービス機構に対する規範的な管理を強化し、「国クラス福祉ホームの評定基準」「社会福祉機構の基本的規範」など規範的な文書を前後して発布し、養老サービスの質とレベルの向上に力を入れている。
国は学校教育、在職教育、職場トレーニングなどの方式を通して、高齢者向けサービスに必要な管理人材・サービス人材を養成している。国は「社会活動者の職業レベル評価制度に関する暫定規定」と「社会活動者の職業レベル試験に関する実施弁法」を公布し、専従社会活動者と社会福祉専攻の大学卒業生を引きつけ、福祉サービス機構で仕事するよう奨励している。政府は高齢者介護員の職業基準と資格を公布し、養老サービス従事者の専業化と規範化の建設を強化した。2005年末までに、高齢者介護員の資格を取得した高齢者向けサービス員は約2万人に達した。ボランティア組織を発展させ、全国で「金暉行動」という高齢者向けサービスのボランティア活動を展開し、広範な青少年とその他の社会の人びとを組織し、それに働きかけて高齢者向けサービスに参加させ、養老機構や在宅高齢者と「ペアによる扶助」などの方式を通して、高齢者に生活介護、医療保健、法律援助など多方面のサービスを提供している。今現在までのところ、全国で1300万人のボランティアが280万人以上の高齢者に6.3億時間を上回るボランティアサービスを提供しており、高齢者向けサービスのボランティアステーションが6万カ所以上設置されている。
五、高齢者向けの知識教育
高齢者の知識教育を発展させることは高齢者の精神的文化的生活レベルを向上させるうえで必要なことである。中国は高齢者向けの文化教育事業の発展を重視し、高齢者の精神的文化的生活をより豊富にし、高齢者の精神的文化的ニーズを絶えず満足させている。
中国政府は大中都市に施設が完備し、機能がそろった、総合的高齢者活動センターを逐次設立しており、県(市、区、旗)に高齢者文化活動センター、郷(鎮、街道)に高齢者活動ステーション、末端組織の村(住民)委員会に高齢者活動ルームを設置している。2005年末現在、都市と農村の高齢者文化・スポーツ活動施設は67万カ所を上回ることになった。各クラス政府は、既存または増築した公益性文化施設の中に、高齢者が活動できる場所を増設し、関係部門の管轄する文化活動施設も高齢者への開放を積極的に推進している。国の財政にサポートされる図書館、文化館、美術館、博物館、科学技術館などの公共文化サービス施設および公園、庭園、観光地などの公共文化活動の施設も高齢者に対して、入場料無料または優遇価格で開放することにしている。高齢者の社会文化生活の環境も絶えず改善されている。
国は高齢者に合った精神的文化的商品を積極的に提供している。中国共産党中央と省クラスのラジオ放送局、テレビ局は高齢者向けの番組またはコラムを開設している。2005年末現在、全国で刊行された高齢者向けの各種新聞は24種、発行部数は280万部、雑誌23種、発行部数は305.8万部に達する。文芸、映画・テレビ、演劇と出版界は高齢者に喜ばれる文芸作品を多く創作している。各クラスの文化部門は演芸団を組織し、末端に赴いて、高齢者の人気を集めることのできる文芸作品を創作し、公演している。高齢者の心身の健康に有益なさまざまな文化娯楽活動を提唱しサポートし、また、毎年、国の財政から特別支出金を振り向け、全国高齢者文芸公演、中国高齢者コーラス祭などのビッグイベントの開催をサポートし、高齢者の国際文化芸術交流をくりひろげている。各地では、多種多様な健全的かつ有益なコミュニティーの高齢者文化活動をつねに企画している。大衆文芸館、文化館、文化ステーションなどの公共文化機関は高齢者の文化活動への指導に力を入れ、数多くの高齢者のアマチュア文芸中堅活動家を養成し、この人たちは高齢者の精神的文化的生活を活発化させ、充実させる面において、重要な役割を果たしている。都市と農村の高齢者の文芸活動の組織などが急速な発展をとげ、高齢者の大衆的な文化活動の中堅となっている。
国は高齢者の教育を受ける権利の保障を重視し、高齢者教育事業の急速な発展を促進するため、資金投下を増やし、それを積極的に扶助している。各クラス政府、関係部門、企業・事業体はいくつかのモデルケースとしての老年大学を創設し、それと同時に省、市、県の既存の大衆文化施設をベースとし、高齢者教育を多ルート、多段階的に発展させ、「すべての県に老年大学が設けられる」という目標の実現に努力し、さらにコミュニティー、郷、鎮へと拡大しつつある。一部の地域は現代メディアの機能を生かし、高齢者向けのテレビとインターネット学校を開設し、高齢者教育のカバー率を拡大している。現在、多段階、多形態、多科目、多種多様な学制の高齢者教育システムが基本的に形成されるに至っている。高齢者は学習を通じて、知識を増やし、生活を充実させ、精神を陶冶し、健康を増進し、社会にサービスする目的をなしとげている。2005年末現在、中国の老年大学(学校)は2.6万校を超え、在学者数は230余万人に達した。
六、高齢者の社会発展への参与
国は高齢者の知識、経験、技能を重視し、それを大切にしている。高齢者の優れた資質を尊重し、高齢者の特長と役割を発揮するように、条件を積極的に作り出し、高齢者が社会に溶け込み、社会の発展に引き続き参加することを奨励し、サポートしている。
「中華人民共和国高齢者権益保障法」では高齢者が社会の発展に参加する権益を保障することについて、特に章節を設けている。中国が公布した高齢化事業発展計画または企画はいずれも高齢者の社会発展への参与を奨励することを重要な内容とし、さらに離休・定年退職したハイレベルの専門家と専門技術者に役割を発揮させるための特別の政策を策定している。都市部では各クラス政府は経済、社会、科学技術の発展の必要に応じて、高齢者が教育訓練、技術コンサルタント、医療衛生、科学技術の応用・開発および次世代の教育に関心を寄せるなどの活動に参与するよう導いている。農村部では、健康な前期高齢者が栽培や養殖業と加工業に参加することを奨励している。統計データによると、高齢者人口のうち、都市部で社会公益活動に参加したことのある高齢者は38.7%、収入のある仕事を続けている高齢者は5.2%を占め、農村部で農作業に従事する高齢者の数は36.4%を占めている。2003年から、国は科学技術知識と専門技術を有する高齢の知識人を組織し、その特長を生かすようにし、西部地区と所在する地域の発達していない地域への援助を主要な内容とする「銀齢行動」(シルバー行動)を始動した。現在、すでに24の省(自治区、直轄市)がその恩恵に浴し、治療を受けた患者数は20万人を超え、それと同時に、医療関係の中堅と小中学校の教師を3.8万人も育成した。全国で「愛心助成長」(愛による養成)というボランティアサービスプロジェクトを実施し、健康な前期高齢者を主体とするボランティア・グループは、モラルの教育、広報・講演、監査、青少年に関心を寄せる行動をくりひろげ、青少年の学習、生活、心理面のケアなどの問題の解決に協力し、現在、同プロジェクトは全国の100以上の都市で実施されている。
政府の指導とバックアップのもとで、中国老年教授協会、老年科学技術者協会、老年法律家(法曹関係者)協会などの全国的な高齢者の社会団体は13に増え、分会も全国各地に分布している。中国老年教授協会と老年科学技術者協会の個人会員は65万人余に上っている。各地域では高齢の知識人を主体とする定年退職エンジニア協会、老年教育者協会、離休・定年退職した医療者協会などの社会団体を設立し、高齢の知識人は社会経済の発展に引き続き貢献している。各地域は都市と農村の末端の高齢者組織の整備を重視し、2005年末現在、都市部のコミュニティーと農村部の高齢者協会は31.7万に増え、数多くの高齢者が末端組織のコミュニティーの整備、社会公益活動への参加と高齢者自身の権益の保護などにおいて積極的な役割を果たしている。
ここ数年らい、国は「都市道路と建築物のバリアフリー設計規範」を公布し、「バリアフリー施設整備の仕事の『第10次五カ年計画』実施方案」および「民間空港旅客ターミナルバリアフリー施設設備配置基準」「鉄道駅および中枢設計規範」「鉄道旅客駅建築設計規範」「鉄道駅旅客貨物輸送設備設計規範」など一連の基準・規範を制定し、大中都市の道路、駅、空港、デパート、バス停、住宅団地およびその他の公共建築物のバリアフリー施設の整備も急速に増えている。高齢者向けの安心した居住環境と社会活動に参加する施設環境も次々と整備されている。また、全国でバリアフリー施設整備モデル都市(区)活動を展開し、北京、上海、天津など12都市が中国初のバリアフリー施設整備モデル都市(区)創設都市と認定された。
七、高齢者の合法的権益の保護
国は高齢者の合法的権益を尊重、保護し、法律やモラルなどの手段を十分に運用し、高齢者の権益保障の仕事を強化し、高齢者のさまざまな合法的権益の実現を促進するとしている。
「中華人民共和国憲法」では「中華人民共和国の公民は年老いて、疾病または労働力を失うことになった場合、国と社会から物質面の援助を受ける権利を持つ」「成年した子女には父母を扶養する義務がある」「高齢者、女性と児童を虐待してはならない」ということが規定されている。「中華人民共和国高齢者権益保障法」「中華人民共和国民法通則」「中華人民共和国遺産相続法」「中華人民共和国婚姻法」「中華人民共和国刑法」「中華人民共和国治安管理処罰法」などの基本法はいずれも高齢者の権利および高齢者の権利侵害の法的責任を明確に規定している。現在、全国で30の省(自治区、直轄市)が高齢者の合法的権益を保護する専門的地域的法規を制定した。国は社会生活の中で、高齢者を十分に尊重し、関心を寄せている。2005年に公布された「高齢者優遇活動の強化についての意見」の中で、経済面での扶養、医療・保健、生活面のケア、文化・スポーツ・レジャーと権利保護サービスなどの面について、高齢者に対し、優遇サービスや世話を優先的に行う要求が打ち出された。現在、各省、自治区、直轄市はいずれも高齢者に対する優遇政策を制定し、これにより、高齢者が社会の尊重とケアを十分に享受することができることになる。
人民法院(裁判所)は虐待、遺棄、傷害を受けた高齢者の刑事案件をきちんと審理し、法律に依拠して、高齢者の人身と財産権を侵害した犯罪行為を裁くことにしている。高齢者の養老、医療などのトラブルをめぐる訴訟に対し、優先的に立件し、優先的に審理、判決する。一部の末端人民法院はもっぱら高齢者の民事訴訟案件を処理する「老年法廷」(高齢者のための法廷)を設け、高齢者とかかわりのある案件の陪審員制度を確立した。最高人民法院は司法救助に関する規定を制定し、貧しい高齢者の訴訟費用の支払いは期限を延ばすか、または減免することにしている。2005年には3万人以上の高齢者が司法救助を受けた。公安機関は法律に依拠して、高齢者の合法的権益を侵害するさまざまな違法犯罪行為を厳しく取り締まることで、高齢者の人身と財産の安全を守りぬいた。司法行政部門も高齢者に対する法律援助と法律サービスに積極的に取り組んでいる。各地域の法律援助と法律サービス機関は高齢者に対し優先的サービス、または優遇サービスを行っている。都市と農村にあまねく存在する末端人民調停組織は高齢者とかかわりのある紛争を調停し、高齢者の権益を保護する面で、重要な役割を果たしている。2001年から2005年までのところ、法律サービス機関が高齢者に提供した法律援助は年平均4万余件、代理訴訟と非訴訟の法的サービスは40余万件、調停した高齢者に関する紛争案件は40万件以上に上った。
各クラス人民代表大会常務委員会は定期的または不定期的に法律執行についての検査を行い、政府の関係部門が法律に依拠して職責を履行し、高齢者のさまざまな合法的権益を実行に移すことを促進している。2001年から2005年にかけて、全国の県クラス以上の人民代表大会常務委員会は高齢者関連の法律、法規の執行に対する検査は3000回以上に上った。各クラスの人民政治協商会議は民主監督の職務を履行し、政府に高齢者権益保障の改善について提言している。2001年から2005年まで、全国政治協商会議委員が高齢者に関する提案を約1000件も提出した。各クラス政府の関係部門は投書の処理に力を入れ、大衆による監督のチャンネルが滞りなく通じることを確保している。高齢者は投書を通じて、自らの権利を主張し、意見と提言を行っている。2005年に全国高齢者関連機構が処理した高齢者から寄せられた投書は合計40万件近くに達した。マスコミも高齢者権益保障問題をめぐる世論監督を多方面においてくりひろげている。
中国政府は高齢化法律法規政策の広報・普及を重視し、「中華人民共和国高齢者権益保障法」を「第3次五カ年法律普及計画」(1996〜2000年)、「第4次五カ年法律普及計画」(2001〜2005年)、第5次五カ年法律普及計画」(2006〜2010年)に組み入れ、多種多様な広報学習キャンペーンを展開し、社会全体の高齢者合法権益保護の法律意識と高齢者の自己保護意識を向上させている。各クラス政府はさまざまなやり方で、中華民族の敬老、養老の優れた伝統を発揚させ、社会の敬老意識とレベルを高めることに努めている。各地域ではほとんど老人デーと敬老の日を設け、毎年、中国の伝統的な重陽節と所在する地域の敬老デーの期間に、政府の関係部門は大々的な広報教育活動と敬老イベントを催すことに力を入れている。各地域では、広報教育の重点を青少年に置き、敬老の教育を小中学校の授業内容に組み入れ、青少年の中で「敬老・老人ケア・老人の手助けをテーマとする教育活動」を展開し、敬老、養老の社会的気風を発揚している。
中国の高齢者事業が収めた成果は広く認められている。だが、13億の人口を有する発展途上国である中国の高齢者事業にはなお問題といたらぬ点がある。例えば、高齢者関連の法律、法規がまだ健全化されておらず、高齢者の合法的権益を侵害する案件もしばしば発生していること、社会保障メカニズムも完ぺきではなく、一部の都市では生活難を抱える高齢者の保障の水準はかなり低く、一部の農村では高齢者人口の貧困問題がかなり顕在化していること、社会全体の敬老の社会的気風の形成をさらに促す必要がある、などがそれである。中国では高齢化問題を上手に解決し、高齢者事業のたえざる発展を目指す課題は並大抵ではない困難な仕事である。現在、中国の高齢者人口は年平均3%のペースで増加しており、日ごとに深刻化する高齢化社会の挑戦に直面している中国政府はさらなる効果的な戦略措置を講じ、高齢者事業と経済社会のバランスのとれた発展を推し進めるよう努め、高齢者が経済社会の発展の成果を分かち合えるよう促していかなければならない。
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