日本経済新聞記者：ニーハオ、日本経済新聞の記者ですが、金融分野についてお尋ねしたいと思います。銀行の不良債権の解決は中国経済にとって大きな課題となっていますが、政府が財政資金を投入する可能性はあるのでしょうか。また4大銀行の競争力をいかに高めようとしているのでしょうか。

温総理：金融不良債権を減少させるため、ここ数年、われわれは極めて大きな努力を払い、1兆4000万元の不良債権を分離し、金融資産管理会社を4社設立して処理させた。

しかし、4等級に分類して見ると、国有商業銀行4行の不良債権率は21.4％に達し、国際慣行の5等級に基づくと、25％に達する。そのうち資産損失がかなり大きな比重を占めている。

国有商業銀行の経営状況を改善するには、資本の拡充や不良債権の分離を含めた政策面の支援が必要である。過去5年間、われわれは2700億元の特別国債を発行して銀行の資本を拡充すると同時に、1兆4000万元の不良債権を分離した。しかし、銀行問題の根本的な解決は、改革を行い、現代的な企業整備構造と現代的金融企業制度を確立し、株式制を実行する条件を整えることにある。

英フィナンシャルタイムズ記者：金融分野の問題について引き続きお尋ねしたい。政府に私営銀行の設立を許可する計画はあるのでしょうか。

温総理：あなたの質問で、2000年に英国の中央銀行を訪問した時のこと、中央銀行はドアが多く、窓が小さかったことを思い出した。その時に、英国には数百年におよぶ金融発展の歴史があることを知った。中国の銀行はわずか数十年の歴史しかないが、中国は銀行を財政の出納係りではなく、真の銀行に変えようとしており、民生銀行のような民間資本を主体とした株式制の銀行も開設された。監督管理が強化されるに伴い、金融市場の所有形態が多様化するのは必然だろうが、それにはかなり長い過程が必要である。

　　『北京週報』日本語版2003年3月18日