2004 No.10
(0301 -0305)

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中国は世界経済の中で日ましに
重要な役割を果たしている

呉綜之

中国経済は改革・開放以来の25年間に、年間に平均9%以上の成長という高速度を保ち、世界経済成長史上の新奇跡をつくった。このような経済発展速度は、中国の人々の生活に天地をくつがえすような変化を生じさせたばかりではなく、世界経済にも影響を及ぼしている。中国はいま世界経済発展のエンジンの一つとなって、世界経済の中で日ましに重要な役割を果たしている。

中国社会科学院世界経済と政治研究所副研究員の袁正清氏は、購買力平均価格で計算すると、1980年から2000年までの間に、中国の経済成長の世界のGDPへの貢献率は14%で、わずかアメリカの20.7%につぐものであり、中国の商品貿易とサービス貿易の貢献率は4.7%で、わずかアメリカの14.4%と日本の6.9%につぐものであると語った。

世界経済との良性の相互影響

2003年、中国のGDPは9.1%成長し、輸出入貿易は8500億ドルを越えて、世界4番目の貿易大国となった。中国がWTOに加盟し、全世界に市場を開放したため、世界経済が相変わらず緩慢に成長する背景の下で、中国の輸出入増加は多くの国の経済回復、とくに周辺諸国の経済回復に対し重要な役割を果たしている。

2003年、中国の経済活動が異常なほど活発で、内需が旺盛であるため、輸入が快速に増加し、最初の月はなんと63.4%という高速度に達した。統計データが顕示しているように、昨年、中国の日本、アメリカ、EUからの輸入総額はいずれも1000億ドルを突破した。これは日米欧という三つの発達した経済実体およびその他の諸国・地域の経済発展と回復に対し、いずれも積極的な役割を果たした。たとえば、周辺諸国・地域から言うと、日本、韓国、ASEAN、香港特別行政区、中国台湾地区からの輸入額はいずれも30%以上増加したが、これら諸国・地域との貿易はいずれも巨大な赤字であり、2003年の日本との貿易赤字は147億2500万ドル、ASEANとの貿易赤字は164億ドル、韓国との貿易赤字は230億ドルであり、これが周辺地域の経済回復に及ぼした影響はすこぶる大きなものである。

今年1月7日発行のアメリカ週刊誌『ワシントン・オブザーブ』に掲載された「アメリカと中国 アジア経済成長の蒸気機関と機関車」と題する記事は、ウォール街のベテラン評論家ドナルド・ストラゼイム氏の「国際社会は2003年に、中国がますます速い足どりで市場経済に向かって進んでおり、しかもそれが片時も停まったことがないという何年も前に発生した事実をついに認識したと思う」という評論を引用している。氏は、以前中国の高速度で成長する経済がこの地域の他の国々に直接的な利益をもたらさなかったが、いまでは状況が変わりつつあり、中国はもはや全世界の主な輸出入国の一つに変わっている」と指摘した。

昨年、中国に運ぶ貨物が大量に増えたため、国際海運の運賃は大幅に値上げした。香港の『大公報』にこれについて、「今年の海運業は普段ととても違っている。そのうちの一つの重要な要因は中国の貿易が活発に行われていることであり、各海運会社は中国業務がなかったなら、利益獲得など問題にならなかった」と評論している。世界に対する中国経済の促進的役割について、欧州中央銀行総裁のテリシェ氏はタイのバンコクで主宰した国際清算銀行の2カ月に1回の定例会議で、「われわれは、アジアの高速成長およびアジアの国際貿易の急増から非常に深い印象を受けた。中国ははっきり見える飛躍的な速度で成長しており、全世界の成長に対し主だった貢献をした」と語った。

総合的国力の向上と経済実力の増強により、中国は世界の桧舞台でますます重要な役割を果たしている。

前出の袁正清氏は次にように語る。早くも数年前のアジア金融危機の時、中国は人民元の切下げをしないことを約束するとともに力の及ぶ限りの援助を提供し、アジア太平洋地域の諸国ができるだけ速く危機から脱却することに寄与し、国際社会から広く称賛され、好評を博した。改革・開放の拡大につれて、中国が国際社会に参与する程度も高くなっている。一方では、中国はWTOなど多くの国際機構に加盟し、他方では、自国の優位と国際的地位をフルに活用して、積極的に地域的国際機構の設置を提唱した。上海協力機構の設置はとりもなおさずその典型的な例証である。同機構は世界に新しい協力の理念と精神を示し、大国と小国の共同提唱、安全先行、互恵協業を特徴とする新しいタイプの区域協力のパターンを提供し、相互信頼、互恵、平等および多様の文明を尊重する、共同の発展を図るという新しい安全観を体現している。同時に、中国の経済発展は地域経済一体化の発展を力強く推進している。アジア地域の協力の中で、中国は重要なメンバーとなっている。中国とASEANの協力深化は、ASEANに対する中国の経済発展の重要性を表し、中国の発展と広大な市場は東南アジアの経済成長の重要な動力源となっている。過去の10年間に、中国の対ASEAN貿易は6倍以上増加し、1997年以来は年平均約20%の速度で増加し、2002年は547億7000万ドルに達し、2003年1月から8月までは477億3000万ドルに達して、前年同期より43.4%増えた。2002年、中国はASEANと「全面的経済協力枠組み取り決め」を結び、2010年に中国・ASEAN自由貿易区を設置する目標を確定した。昨年10月に開かれた第7回中国・ASEAN指導者会議で、中国は「東南アジア友好協力条約」に加入した。開放した中国は日ましにかたくASEANと結びつき、地域一体化のひな形が形成された。

中国経済の高速発展につれて、中国と世界各国との貿易に確かに若干の摩擦が生じ、「中国経済脅威論」をまきちらす国さえあった。

国家発展改革委員会対外経済研究所所長の張燕生氏はこう分析する。外資の直接導入から言って、2003年に中国が導入した外資は535億ドルであったが、全世界では6000余億ドルであるから、10の1近くのFDIが中国に入ったわけである。そのため、中国周辺の一部の国と地域は、こうなると中国の発展が影響を受けると考え、日本を含む一部の先進国も中国の圧力を感受しており、アメリカも人民元レートの引き上げを要求している。これらの現実的な問題は回避することはできないが、問題のカギはいま中国がどのような姿勢、どのような戦略、どのような政策で世界経済のグローバル化に融け込むかおよび世界が中国のような大国の受け入れについてどのように調整するかにある。一部の国が中国に対しますます多くの反ダンピングと反補助を実行したり、特種の保護措置をとって中国のアパレルと紡績品の輸出を制裁したりするような簡単な方式しかとらないならば、相互間の矛盾を激化させ、摩擦を激しくさせ、衝突を深刻化させるだけである。どのようにしてよりよい方式で競争と衝突をエスカレートさせず、中国を受け入れるように国際経済を促し、中国経済が自ら進んで世界経済に融け込むか、これは新しい課題である。わたしは個人として、世界経済フォーラムのような交流プラットフォームをより多く利用して、各国の政治家、経済学者、企業家、NGO関係者に互いに観点を交換し、問題解決の方法を探究させるべきだと考える。

経済の高度成長保持は有望

国家情報センターは最近発表した「2004年中国経済十大予測レポート」の中で、2004年、中国経済は2003年の発展の勢いを受け継いで、引き続き高度成長を保ち、国民経済は約8.5%成長する可能性があり、経済成長周期は回復の段階から繁栄の段階に発展すると述べている。

同センターの専門家委員会委員である高輝清氏はこう語る。1998年に中国が積極的な財政政策を実施して以来、固定資産投資が経済成長を促進する主な力となり、昨年の国家予算内の投資資金の比重が非常に小さかったにもかかわらず、投資率が非常に高いため、昨年1月から9月までの中国の投資率は42%前後に達した。これは改革・開放以来の最高値である。一部の人は、投資を主導とするこのような経済成長の枠組みが持続していかれるかどうかについて、相変わらず憂慮している。

しかし、氏はまたこう語る。国際の状況から、高投資率は実際には経済のテイクオフに伴って現れる必然的な現象であることを見てとれる。経済の持続的な高速発展を保つには、消費需要増大が相対的に平穏な状況の下で、持続的に高度成長する固定資産投資の支持が必要である。このほか、現在政府が握っている投資が交通運輸、都市インフラ建設、環境保全などの分野にますます多く投下され、公共サービスが提供されているが、その多くは最終消費の範疇に算入すべきである。だから、いわゆる「投資が速すぎる」、「住民の消費がついていっていない」によって生まれる「消化不良」症を心配する必要があまりない。

氏はさらにこう語る。今後いちだんと突っ込んで行われる改革は生産力に潜在するエネルギーの放出を促すだろう。改革・開放実施以来の中国の歴史を見ると、体制面にかかわる大改革はいずれも経済の大飛躍をもたらす。体制刷新が経済成長にもたらす助動力は、技術面の刷新がとてもかなわないものである。中国が改革の過程で漸進的方式をとるという原則を始終堅持したため、短期間内に経済にあまり大きな衝撃を与えず、経済の平穏裏の移行に役立ち、随時誤りを発見しそれを是正することにも役立つという目に見えるメリットをもたらした。

国家統計局総経済師の姚景源氏はこう語る。「2004年、中国経済は持続的高速成長の勢いを保つが、経済成長の質、構造、協調的発展は成果をあげ、中国の経済成長の見所は速度にあるのではなく、協調的発展にある」。2004年、中国経済はできるだけ全面的、協調的、持続可能に発展し、経済の質的向上に力を入れ、経済の大きな起伏を防止する。政府は投資を減らし、投下の方向を変え、「三農」(農業、農村、農民)の問題解決を重視し、農村の医療システムを整備し、公共生産物を増やし、民間投資をわりに大幅に増加する。

住民の消費に推進される内需が経済成長を推進する役割は日ましに経済学者に重視されている。中国共産党中央政策研究室副主任の鄭新立氏は、近年来、住宅、マイカー、教育、健康、情報の五大消費はたえず増加し、いまは消費の新しいホットスポットとなっており、将来は中国経済の持続的成長の主な推進力となるだろうと指摘する。

モルガン大通が最近発表した研究レポートも、周期の影響を受けて、当面の投資と繁栄は徐々に中国の家庭収入を増やすだろう。そして、長年多額の金を預金したあと消費を十分できるようになった家庭が増えるだろうと述べている。高盛は、消費構成が急速に変わったため、中国政府筋の発表した小売額の数字は中国の消費需要の強さを過小評価しているが、その実中華人民共和国の消費需要は2002年後半から回復に向かっていると言っている。

モルガン大通はさらに、2008年、消費は投資に代わって中国の商業周期を主導する重要な要因になるだろう。自動車は中国では重要な商品となり、自動車文化は中国の消費と投資の桧舞台に登るだろうと予測している。

前出の国家統計局総経済師の姚景源氏は、当今の中国の経済成長は新たな時代に入っており、過去の20数年と比べて、その外部環境と内在的原動力がともに大きく変わっているから、今後、中国経済は依然として高速成長することを信じている。

氏はこう分析する。まず中国経済はいま新しい段階に入りつつある。その主なメルクマールは経済総量が1桁から2桁に増大し、2002年から人民元10兆2000億元を突破し、一人あたりGDPが1000ドルに近づいていることである。

次に、中国の経済成長を支える制度メカニズムに変化が生じ、市場メカニズムが日ましに整備され、それは市場進出面の制限がいっそう少なくなり、政府の管制がいっそう緩くなり、投融資環境がいっそうよくなり、法律環境がいっそう健全になり、市場要素の活用がいっそう効果的になることおよび経済活力の増強と経済効率の向上に対する市場活力の推進がますます強くなることに表れている。

第三に、中国の経済成長を支える最大の企業群、産業構造、地域配置にも変化が生じている。非国有経済、とくに海外投資と民間投資は中国の経済成長に新しい活力をもたらしている。このほか、電子情報産業、不動産、自動車業はすでに中国の経済成長の推進役となっており、産業構造エスカレートのすう勢は引き続き速くなるだろう。経済全体に対する珠江デルタ、長江デルタ、環渤海経済区を中心とする高度成長区域の促進的役割は大きくなる。西部大開発戦略と東北地区旧工業基地振興計画は中・西部地域および東北地区に活力を注ぎ込んでいる。

第四に、中国のWTO加盟と中国経済規模の拡大につれて、経済グローバル化が中国に与える影響はますます大きくなる。中国の経済成長を支える市場はもはや国内市場だけではなくなり、全世界の市場も中国の経済成長を支えるだろう。

第五に、中国の経済成長を支える新しい発展観がすでに確立された。中国は全般的配慮、協調的発展の原則を堅持し、単にGDPの増加を追求することから富の増加と経済機能の最適化に転換し、これを基礎として健全で効果的な均衡的発展を実現する。

近年経済の発展すう勢を的確に予測することで有名な北京大学中国経済研究センター教授の宋国青氏は、2004年の中国のGDP成長率は9%以上に達し、そのうち第2・四半期は10%に達して、2003年の経済成長速度より明らかに高くなると確信し、「中国経済のゴールデン成長期」はすでに25年続いたが、このような高速成長はさらに20年続き、少なくとも最近の10年のGDPが8%以上成長するはずであると語った。