2004 No.11
(0308 -0312)

アドレス 
中国北京市
百万荘大街24号
北京週報日本語部
電 話 
(8610) 68326018 
(8610) 68886238

>> 農業・農村・農民問題

 

(その四)

農民の都市での就労環境を
改善し出稼ぎ者の収入を増やす

農民労働者は中国の産業労働者の重要な構成部分となっており、都市部への就労は農民が収入を増やす最も直接的な、最も効果のある方途である。

改革・開放政策実施以後、社会主義市場経済体制がだんだんと構築され、農民の出稼ぎに対する制限がしだい緩やかになるにつれて、農村労働力の都市への移動がますます活発化し、非農産業への農村労働力の移転の最も主な形態となっている。1978年から1988年までの10年間に、出稼ぎ農民の人数は200万人から数から6500万人に増え、昨年はさらに9900万人に激増し、前年比500万人増となっている。出稼ぎ農民の80%以上は都市部に流れ込んでいることが関連の調査で明らかになっている。第5回国勢調査によると、第2、第3次産業に就労する農民の比率は46.5%にも達し、そのうち、第2次産業では57.6%に、建築業種ではより高い80%にも達している。農民労働者は中国の産業労働者の重要な構成部分となっていることを物語っている。

1998年から2002年までの農民の収入増は386元であり、年平均77元の伸びで、そのうちの65元(84%)が賃金収入であった。現在、非農産業からの収入はすでに農民の収入の約半分を占めたことになり、賃金収入は3分の1を占めている。農民の都市への就労は農民の収入増の最も直接的な、最も効果のある方途となっている。

農民の都市への就労制限をなくし、就労手続きを簡略化

農民の都市への就労環境には不公平が存在している。例えば、一部の大都市では、農民が就労できる業種と職種に制限があるとか、出稼ぎ農民労働者があまりにも多く諸費用を徴収されているとか、農民就労者が取得しなければならない証明が多すぎるとか、農民労働者が適時に賃金を支給されないとかがある。党中央と国務院は非常にこれらの問題を重視し、都市への就労者向けの不合理な6種類の費用徴収を撤廃するよう要請している。この政策の恩恵だけで、昨年は農民の負担が56億元減ることになった。国務院はまた収容・原籍送還制度の撤廃を決定し、農民労働者への賃金の未払い問題について強力な措置をとることになった。

『意見』は都市への農民就労者の合法的権益の保障についての政策をさらに明らかにし、都市と農村の一体化した労働就業制度をつくるという主旨を明らかにしている。『意見』の要請に基づいて、出稼ぎ労働者向けのさまざまな不合理な就労証明書類を撤廃しなければならない。なぜかというと、こうしたやり方は出稼ぎ農民を差別視することであり、農民の平等な就労権を損ない、市場経済の公平な競争の原則に合わないだけでなく、農民の秩序ある移動の面でその役割を果たすことができないからである。実際には、農民労働者向けの就労証明書は、ほとんど管理を名目とした費用徴収の理由に変わっている。権限を越えて農民労働者に対する行政事業性費用徴収項目を設けるとか、費用徴収の基準を引き上げるとかは今後禁止されることになる。同時に関連の法律・法規を充実させ、都市への農民労働者の合法的な権益を保障しなければならない。

外来人口の管理費用を財政予算に組み入れる

大勢の農民が都市へ流れ込むことで、移動人口に対する管理制度の不備が顕在化した。実際には、かなりの移動人口はすでに都市の仮居住地に定住しており、地元の住民と同じような権利を享受することができなくても、事実上都市常住人口となっている。外来人口のわりに集中している地区の政府部門は、地区発展計画と公衆サービス計画を立てる際に移動人口の存在と必要をそれに組み入れることがないため、流動人口に対する社会管理費用も政府の財政予算に組み入れられていない。そのため、外来人口の管理費用は外来人口から徴収するほかないことになり、普遍的実行されるやり方ともなった。移動人口の子供たちの義務教育を例とすると、中国の第5回国勢調査によると、移動人口の子供の総勢は2000万人に達している。人口管理政策の不備によって、移動人口の子供が都市部の学校に就学するにはほとんど「他の地での就学費」(義務教育補完基金とも言われている)を支払う必要があった。公立学校には公共教育経費を増やす正常なルートがないため、移動人口の子供の入学を受け入れる能力に響くことも必至であった。従って、差し迫って解決しなければならない問題は都市部と農村の義務教育体制を整合することである。

都市部の発展計画と公衆サービス計画は社会全体にサービスを提供すべきであり、他の地方から来た人口の管理費用も政府の財政予算に組み入れられるべきである。ここ数年間に、一部の都市は戸籍制度の改革に乗り出し、出稼ぎ農民の都市での就労条件と居住条件を実際の受容能力に基づいて緩めるようになっている。他の地方から来た人口が都市に融合することは都市のサービス業の発展にプラスとなるだけでなく、社会のバランスのとれた発展にもプラスとなる。

農民の就労能力の向上は「三農」問題解決のポイント

都市への農民就労者はほとんど職業トレーニングを受けたことはない。農民の資質を全面的に高めることは農民の就労率を引き上げ、中国の産業競争力を向上させる重要な前提条件であり、農業、農村、農民の問題を抜本的に解決するポイントでもある。

農民の職業トレーニングを行うには、一、農民の職業技能のトレーニングを各クラスの公共財政に組み入れ、「政府が主導し、各方面から資金を調達する」というメカニズムを構築することである。二、市場のニーズを満たすことを出発点として、トレーニングの適用性を高めることである。三、新たなトレーニングの形態を模索することである。社会の各方面が農民のトレーニングをサポートする積極性を引き出し、各種の教育・トレーニング機構と求人部門が農民のトレーニングを進めることを奨励する。トレーニング資金の使用効率とトレーニング効果を高めるため、農民にトレーニングの機構や内容と時間を自主的に選ばせるべきであり、政府はトレーニングを受ける農民に一定の手当てと資金援助を与えるべきである。同時に、農民の有償トレーニング参加と職業資格認定を強制することを防ぎ、それを是正しなければならない。