2004 No.12
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各方面が「意見」の影響に関心

任 童

国務院の「意見」は中国の資本市場全体の発展に大きな影響を与えるが、この影響は各方面の利益にかかわっているため、各方面はそれに大きな関心を抱いている。

保険資金の市場進出の「青信号」

「意見」は、規定に合った資金の市場進出を奨励し、保険資金をさまざまな方式で資本市場に直接投資するのを支持し、社会保障基金、企業補充養老基金、商業保険資金など資本市場に投入する資金の比率をちくじ高めること、信用があり、法律を守る専業の機構投資家を多く養成し、基金管理公司と保険公司を主とする機構投資家を資本市場の主導の力にならせることを打ち出している。

中央財経大学保険学部主任の?演蘇教授は「保険資金の市場進出を妨げる堅い氷はこの時から融け始める」と評価した。

これは疑いなく保険資金にとっては嬉しいことである。ここ2年来、保険資金の規模は急速に大きくなっている。最新データが顕示しているように、2003年12月31日現在、保険業の総資産は9122億8000万元に達し、そのうち国債投資は1406億元で、前年比27%増え、証券資金投資は463億元で、前年比50.5%増えた。2003年はSARSが暴れたにもかかわらず、保険業の保険料収入は依然として3880億元に達し、前年比27%増えた。2003年の保険料の増加速度は近年では最も速い年で、2002年のこの数字は44.7%に達した。

しかし、保険料収入は保険公司に入りやすいが、資金運用を通じて価値の保持と増大を実現するのは難しい。当面では、中国保険公司の資金運用は銀行預金、政府債券、金融債券売買、証券投資基金を通じての間接的市場進出に限られ、しかも市場進出資金の比率も15%にすぎない。当面の中国の保険資金の間接的市場進出額はその総量の5%にも達していない。しかし、保険資金の直接市場進出は国際通用のやり方である。中国の保険業が飛躍的に発展する今日、保険資金が運用するルートの狭いことは業種の発展を制約するボトルネックとなっている。「支払い能力不足」はメディアが2003年に保険業を報道する時に最も多く使用した表現の一つである。

前出の?演蘇教授は次のように語った。「今回の『意見』の中で、国務院はまず資本市場における保険公司と基金公司の地位――主導の力であることを明確にしている。つづいて国務院は初めて保険資金の多ルート投資を支持する態度を表明した」。これは今後保険資金投資が直面する制限が少なくなり、保険資金が資産管理公司設立などの方式で株式市場に直接投資でき、また国外の債券市場などの資本市場に投資する可能性もあることを意味する。ルートが広くなると、保険資金が発展する舞台がいっそう大きくなる。これは保険公司の支払い能力を高めるのを積極的に援助すると語った。

しかし、同教授は、保険資金の市場進出を妨げる政策という堅い氷が解凍したとはいうものの、いますぐ動き出すことができず、関係部門が保険資金の自由化の幅、異なる品種への投資の比率、それから最も重要なリスク抑制措置など操作意義のある付属措置を制定するのを待たなければならないと分析する。同教授は「保険業は楽観しすぎてはならない。まず、ルートが広くなるにつれて、市場が保険業の資本制御能力に新しい要求を出している。次に、ルートが広くなったあと、資金の直面するリスクもそれにつれて大きくなる。最後に、多ルートはハイリターンを意味せず、保険公司はリスク評価とリスク抑制能力を強化し、代理人管理を強化し、ハイリターン率で得意先をミスリードする現象の出現を避けなければならない」と強調した。

保険公司は資金を市場に直接進出させる準備をこっそりと始めている。昨年、数社の保険公司の資産管理公司の設立または設立認可は、保険資金の専業化独立運営に現実的基礎が備わっていることを意味する。もと中国生命保険公司資金運用センターの劉廷安総経理は、全国で最も多くの資金を擁している保険機構として、中国生命保険公司の資金運用はかなり成熟した政策決定システム、リスク・モニター・システム、効益評価システムをもっていると語った。太平洋保険公司資金運用管理センターの曹貴仁総経理は、リスク抑制の面では、太平洋保険公司はリスク抑制模型があるだけでなく、独立して運営するリスク管理システムもあり、しかも基本面と技術面の結合を重視すると語った。

「意見」の発表後、人々は期待の焦点を具体的細則の発表に移した。国務院はすでに保険資金の市場進出ルートの自由化を明確にしたが、保険資金がどのように市場に進出するかは、保険監督管理委員会、証券監督管理委員会、銀行監督管理委員会の共同の努力と協力を待たなければならない。専門家によれば、保険資金の直接市場進出問題は真剣に規範化させなければならない。まもなければ、保険業にきわめて大きなリスクをもたらす。

富を増やすチャンス

「意見」の発表後、数年間鳴りをひそめていた各証券取引所は再び賑やかになった。投資家たちはみな、中国の証券市場が投資家にもたらす経済成長の成果を分かち合い、富を増やすチャンスが来たと見ている。

「意見」はまた「確実な措置をとって、一部上場公司が上場を重視するが体制転換を軽視し、資金調達を重視するがリターンを軽視する状況を改め、上場公司の全体の質を高め、投資家に経済成長の成果を分かち合い、富を増やすチャンスを提供しなければならない」と述べている。

同文書は前後5回も投資家の利益を保護しなければならないと強調しているが、これはそれ以前の法規には見られないことである。以前では、中国の株式市場は主に資本市場の資金調達機能を強調し、企業の資金調達に奉仕することを強調して、投資家の利益を確保することを軽視した。そのため、企業がさまざまな手段を利用して金を集める現象があちこちに見られた。しかし、投資家の利益が効果的に保護されない市場は発展するのが難しい。というのは、投資家が資本市場の主体だからである。同時に大多数の投資家が市場で投資のリターンを得られるカギは、上場公司の質と業績をい大いに高めることにある。上場公司は証券市場の利潤の源である。そのため、業界筋は、同文書は上場公司の質的向上を強調しているが、これは資本市場ぜんたいの健全な発展を保証する根本であると見ている。

このほか、「意見」は資本市場の課税政策整備の中で、「社会公衆の投資を奨励する課税政策を検討、制定する」ことを打ち出している。中国はこれまでずっと資本所得税を徴収していない。つまり投資家が株式取引でもうけた金は税金を納めなくてもよいことである。しかし、数年前、関係専門家は資本所得税の徴収を提案したことがあり、そのため多くの投資家はびくついていた。今回発表した意見の関係規定は投資家たちを安心させている。

このほか、「証券、先物公司の流通税と所得税の徴収・管理規定を整備し、条件を備えた証券、先物公司に対し所得税集中徴収・管理を実行する」という内容は、証券業者の税負担を軽減し、それによってその経営状況を改善することを暗示している。

湘財証券研究部研究員の尹哲氏によれば、証券公司は「意見」から最も直接的に利益を受ける者である。同氏は、「意見」の発表は長期以来証券市場に存在している争議問題に明確な方向を指し示し、市場に楽観的な期待をもたせると語った。証券公司にとって、自営業務と合併・買収業務は市場全体の好転でわりに大きな発展をとげる。このほか、「意見」は「条件になかった証券公司が株式または債券を公開発行して長期資金を調達し、証券公司の抵当貸付および銀行の同業市場管理規定を改善し、証券公司の買収・合併と証券委託販売業務貸付の審査基準を制定し、リスク抑制メカニズムを健全にする前提の下で、証券公司が貸付を使って資金を融通するために有利な条件を整える」としているが、これは証券公司の生存環境を大きく改善する。このほか、「意見」は新しい金融業務を開拓すると言っているが、これは証券公司の業務発展に対し長期にわたって良好な期待ときわめて大きな空間をもたらすことだろう。

「創業板」に政策面から青信号

「意見」は「多段階の市場システム」確立を何回も提起するとともに、「主板市場を引き続き規範化、発展させて、主板市場の上場公司構造をちくじ改善する。創業板市場建設を数段階に分けて推し進め、リスク投資メカニズムを整備し、中小企業の融資ルートを広げる」ことを明確に打ち出している。

今日では国民経済の中でますます重要な地位を占めている中小企業は、長年来資本市場で融資する面でその地位にふさわしくない待遇を受けてきた。同時に、創業板はあたかも資本市場の融資を渇望する中小企業の前で揺れる「金のリンゴ」のようで、手を伸ばせばつかめそうだが、いつまでもつかめないでいる。そのため、国外での上場を考えざるをえない優秀な中小企業が少なからずある。

中国人民大学金融と証券研究所副所長の趙錫軍氏によれば、「意見」発表は、創業板に対しすでに政策面で青信号を出しており、多段階の資本市場を設立する発展の方向も非常にはっきりしており、とりわけ意見の中で言っている統一的な監督・管理の下の株式譲渡制度を積極的に模索、改善することは、一部の新しいタイプの取引譲渡試行市場の設立を認め、二板市場の出現後、三板市場、地方取引市場なども陸続と設立され、真の意義の多段階の資本市場をちくじ形成することを意味している。

事実上、多段階の資本市場は株式市場だけでなく、債券市場と金融派生物市場をも含んでいる。しかし専門家は、中国について言うなら、いま株式市場を発展させることは多段階資本市場建設の重点の中の重点であると見ている。海外の成熟した市場の主体枠組みから見れば、株式市場は一般には二つの段階を含んでいる。一つは成熟した企業に奉仕する主板市場であり、もう一つは成長する中小企業と創業企業に奉仕する創業板市場であり、この二つの市場はあたかも資本市場の発展を促す二つの「輪」のようにもちつもたれつで双方ともそれぞれ長所を発揮している。十数年来、中国の資本市場は主板市場という一つの「輪」だけに頼って、歴史的な大飛躍を実現し、ちょっとやそっとでは得られない成果をあげている。新しい歴史的時期に中国は主板市場を引き続き規範化、発展させると同時に、なおさら時機を失せずして創業板市場建設を数段階に分けて推し進め、それによって株式市場発展といういま一つの「輪」を始動させることを求められている。

専門家によれば、多段階の資本市場を発展させることは、いま進行中の金融改革と密接な利害関係があり、中国の金融改革を掘り下げて推し進めるための重要な環であり、非常に重要な意義がある。一方では、直接融資を拡大し、直接融資と間接融資の構造面のアンバランス問題をある程度解決し、金融部門のリスクを減らすことができる。他方では、国民経済の中で半分ほど占めている中小企業の融資ルートをこの上なく広げ、資本市場が国民経済の各部門に浸透する能力と経済発展に奉仕する機能を高めることができる。多段階の資本市場を発展させることは、また多様化のルートを通じて貯蓄を投資に転化させ、投資の変動が誘発するマクロ経済の変動を減らすこともできる。

内部と外部の条件から見ると、中国経済は引き続き強い成長の勢いを保ち、市場環境は持続的に良くなり、投資家は日ましに成熟している。当面、中国で多段階の資本市場を発展させる条件はほぼ成熟しており、適時に実行するのは自然のなり行きである。

株主権分設の解決に原則

市場経済は商品の等価交換を要求し、株式も金融商品として価値法則に従わなければならない。しかし、中国の証券市場では、歴史的原因により、一つの公司の株式が非流通株と流通株に分けられ、A株、B株、H株に分けられることさえあり、こうして一種の株式に多種の発行価格があり、株主権構造が分裂する。このような状況は証券市場の長期の発展に不利でもあれば、客観的には公衆投資家の合法的権益を損なうものでもある。

国務院金融研究所副所長の巴曙松博士は、株主権分設は特定の歴史的時期、特定の発展の軌跡の中で中国の資本市場に現れた制度面の欠陥である。この問題をどう解決するかは、実際には次の段階の中国の資本市場の発展に影響する最も重要な問題の一つである。

これに対し、「意見」は次にように述べている。株主権分置問題を積極的かつ妥当に解決する。上場公司の非流通株式の譲渡行為を規範化させ、国有資産の流失を防止する。当面上場公司の株式の中でまだ上場して流通することのできない株式の流通問題を着実に解決する。この問題を解決する時は市場法則を尊重し、市場の安定と発展に利し、投資家とくに公衆投資家の合法的権益を確実に保護しなければならない。

巴曙松博士によれば、以前は全流通問題の上では国有資産の流失、市場からより多くの減持収益の獲得をいっそう重視したが、いまでは、「意見」は株主権分設問題を解決する時とくに中小投資家の利益を保護しなければならないと言っている。これは疑いなく重要な進歩であり、市場に対する自信を保つことに対しわりに大きな積極的作用がある。

有名な経済学者曹鳳?氏はこう見る。株主権分設問題の解決は、全体として四つの基本的原則を堅持しなければならない。第一は公平、公正、公開の原則を堅持し、一人で決めてはならない。第二は市場の安定を保たなければならない。第三は投資家の合法的権益を保護すべきである。第四は株主権分設問題を解決する時、国有資産の価値保持・増大をも考慮しなければならない。

氏は「一晩で国有株減持、全流通問題を解決すると考えるのは天真すぎるが、十年かそれより長い時間をかけて国有株減持問題を解決すると考えるのは、時間があまりにも長すぎる。「意見」の打ち出した着実解決の原則と『とくに公衆投資家の利益を保護する』原則は今年全流通試行作業の突破口となるだろう」と語った。

QFIIはA株市場を見込む

『国際金融紙』の報道によると、スイス銀行グループの中国証券部マネージャ袁淑琴氏は、「このような政策があれば、われわれはとても嬉しく思う。A株市場の状況はとてもすばらしく、国外の適格な機構投資家の実験の成功は政策によって認めれている。QFIIがA株市場に進出してから、海外の機構はこの市場をますますよく知るようになり、注目している。われわれは将来中国のA株市場の開放と発展に対し自信にあふれている」と語った。

2003年の中国国内のA株市場は世界で最もよくない市場の一つであったが、不思議な現象も見られた。2003年3月以来、海外の適格な機構投資家が競って中国A株市場進出の資格を申請し、スイス銀行がほかでもなくその中の最も積極的な一員であるというのがそれである。

2003年5月、スイス銀行と野村証券は率先してQFIIの資格を獲得したが、現在この資格を獲得した海外の適格な機構投資家は10社ある。スイス銀行、野村証券、シティーバンク、モルガン・スタンレー、高盛公司、香港上海銀行、ドイツ銀行、オランダ商業銀行、モルガン大通銀行など国際的に名の知られた投資銀行と資産管理会社がほとんど入っている。

そのうちの数社はわずか数カ月にたえず投資額を追加し、スイス銀行は2回も投資額を増やして、その総額は6億5000万ドルに達した。QFIIの投資総額はすでに16億5000万ドルに達している。

報道によれば、昨年のA株市場の状況はあまりよくなかったが、これら海外の適格な機構投資家は逆に大した投資リターンを獲得した。袁淑琴氏が明らかにしたところによると、A株市場における一部得意先の絶対的投資リターンが50%を越え、90%に達したものさえあったという。

袁淑琴氏はこう語った。海外の基金マネージャは中国のA株市場に積極的に投資している。投資家はA株上場公司の質がH株の公司と大した区別がないことを発見した。いま香港のH株の上昇幅が大きく、投資家は今度はA株に対し自信にあふれている。同時にA株市場は成熟の方向に向かって発展しており、昨年の上昇幅最高の株式が公司の利益獲得と正比例をなし、価値投資は真のすう勢となり、証券の監督・管理もますます公平、合理的になっている。

海外投資家はますます熱情的で、A株購入の資金が増えるのを望んでいる。しかし、外国為替管理局の暫定規定によれば、適格な投資家が単独に申請する投資額は5000万ドル相当の人民元を下回ってはならず、8億ドル相当の人民元を上回ってならない。この規定はもはや海外投資家の需要を満たせないようである。袁淑琴氏は、外国為替管理が証券市場と同時に発展できることを望むと語った。