2004 No.12
(0315 -0319)

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資本市場の改革・開放と安定・発展について国務院が「意見」を提出

「資本市場の改革・開放と安定・発展の推進に関する国務院の若干の意見」の全文は次の通り。「証券市場のマクロ管理の一層の強化に関する国務院の通達」以来、中国の資本市場は急速に発展し、目を見張る成果をあげた。資本市場は一応の規模を整え、市場の基盤施設が絶えず改善され、法律・法規体系が徐々に整備され、市場の規範化程度が一層高まり、社会主義市場経済体系の重要な構成部分となり、国有企業と金融市場の改革・発展、資源配分の最適化、経済構造の調整と経済発展の促進に重要な貢献をした。第16回党大会と16期党中央委第3回総会(16期3中総)の精神を貫徹、実行し、小康(いくらかゆとりのある)社会の全面的建設という目標に向けて、資本市場の改革・開放と安定・発展を積極的に促進するため、ここに次のような意見を述べたい。

1、 資本市場を大いに発展させる重要な意義を十分認識する。

資本市場を大いに発展させることは重要な戦略任務であり、中国が今世紀最初の20年間に国民経済を4倍にする戦略目標の実現に重要な意義がある。1、社会主義市場経済体制を整備し、資本市場の資源配分最適化の機能を一層大きく発揮させ、社会の資金(民間資金を指す)を長期投資に有効に転換させるのに役立つ。2、国有経済の構造調整と戦略的改造に役立ち、非国有経済の発展を加速させる。3、直接金融の比率を高め、金融市場の構造を整え、金融市場の効率を高め、金融の安全を守るのに役立つ。

中国の資本市場は、経済体制改革の進展に伴って、徐々に発展してきた。当初改革に間に合わず、制度設計上の限界から、資本市場には根深い問題と構造上の矛盾が存在し、市場機能の有効な発揮が制約されていた。これらの問題は資本市場の発展の過程の問題で、発展の過程で徐々に解決するしかない。第16回党大会は小康社会の全面的建設の戦略目標を提起し、16期3中総は「社会主義市場経済体制整備の若干の問題に関する党中央の決定」の中で、資本市場の発展について手配し、中国資本市場の改革・開放と安定・発展の方向を示した。情勢を見極め、チャンスをとらえ、発想を転換し、資本市場を大いに発展させ、直接金融の比率を高め、良好な投資環境をつくり、育て、資本形成促進、資源配分最適化、経済構造調整促進、コーポレートガバナンス(企業統治)整備などの面で資本市場の役割を十分発揮させ、国民経済の持続的、急速、協調的、健全な発展と小康社会の全面的建設に新たに貢献しなければならない。

2、 資本市場の改革・開放と安定・発展のための指導思想と任務。

資本市場の改革・開放と安定・発展のための指導思想は次の通り。▽ケ小平理論と「3つの代表」(先進的生産力発展の要請、先進的文化の前進方向、最も広範な人民の根本的利益の3つを代表すること)の重要思想を導きとし、第16回党大会と16期3中総の精神を全面的に実行に移し、「公開、公平、公正」の原則と「法制、監督管理、自律、規範化」の方針に従い、国民経済の大局に寄与し、国民経済との調和のとれた発展を実現する。▽法によって市場を治め、投資家、特に一般投資家の合法的権益を保護する。▽資本市場改革で市場化の方向を堅持し、市場原理を十分生かす。▽改革の度合い、発展の速度、市場の受容度を一つにし、改革、発展、安定の関係をうまく処理する。▽発展させる方法で前進途上の問題を解決し、資本市場の発展加速と市場リスクの解消・防止の関係をうまく処理する。▽秩序正しく徐々に進め、対外開放の水準を絶えず高める。

資本市場の改革・開放と安定・発展のための任務は次の通り。▽直接金融を拡大し、現代的市場体系を整備し、資源配分における市場の基礎的役割をより大きく発揮させることを目標とし、透明で、効率が高く、構造が合理的で、制度が整い、機能がそろい、安全に運営される資本市場をつくる。この目標に向かって、各種企業の資金調達に有利で、各種投資需要を満たし、効率の高い資本市場体系を確立する。▽市場に主導される商品刷新メカニズムを整備し、価格形成とリスク管理の両方を考慮し、株式による資金調達と債券による資金調達の調和のとれた資本市場の商品構成をつくる。▽信義を守り、規範にのっとった経営を行い、統治システムが整った上場企業と市場仲介グループを育成し、市場主体の責任と優勝劣敗のメカニズムを強化する。▽職責の位置づけが明確な上、リスク抑制が有効で、協調(調整)・協力が実施される市場監督管理体制を整え、投資家の合法的権益を確実に保護する。

3、 関連政策を一層整備し、資本市場の安定・発展を促進する。

資本市場の安定・発展は相応の政策的指導と支援が必要である。各官庁は関連政策を一層整備し、資本市場の安定・発展のための良好な環境をつくらなければならない。

証券発行・上場の審査・認可制度を整備する。各種優良企業が資本市場を平等に利用するのに有利な制度をつくり、資源配分の効率を高める。

資本市場の投資見返りを重視する。確実な措置をとり、一部上場企業にみられる上場重視、改造軽視、資金調達重視、見返り軽視の状況を改め、上場企業の全体的体質を高め、投資家に経済成長の成果や増えた財産の一部を享受する機会を与えなければならない。

規範に合った資金の市場投入を奨励する。引き続き証券投資信託を大いに発展させる。保険資金をさまざまな方法で資本市場に直接投資するのを支持し、社会保障基金、企業補充年金基金、商業保険資金などのうち資本市場へ投入する資金の比率を徐々に高める。信義を守り、法を守る専門的機関投資家を育成し、証券投資信託会社(委託者)と保険会社を中心とする機関投資家を資本市場の主導的力とする。

証券会社の資金調達の道を拡大する。条件にかなった証券会社が株式あるいは債券を公開発行し、長期資金を調達するのを引き続き支持する。証券会社の担保融資および銀行間市場参入管理規則を整え、証券会社の合併・買収と証券引受業務融資の審査・認可基準を定め、リスク抑制システムの整備を前提に、証券会社が融資を利用して資金を融通する有利な条件を整える。投信委託会社の資金調達試行を着実に進める。

株式分散問題を積極的、適切に解決する。上場企業の非流通株式の譲渡行為を規範化し、国有資産の流失を防ぐ。上場企業の株式の中で、まだ上場、流通できないか株式の流通問題を着実に解決する。この問題の解決では市場原理を尊重し、市場の安定と発展に有利で、投資家、特に一般投資家の合法的権益が確実に保護されるようにしなければならない。

資本市場の租税政策を整える。社会一般の投資を奨励する租税政策を研究、策定し、証券、先物企業の流通税と所得税の徴収管理方法を整え、条件のある証券、先物企業に対して所得税の集中徴収管理を実施する。

4、資本市場の体系を整え、証券投資の種類を豊富にする。

複数の株式市場体系を整える。資本市場の合理的配置と機能の位置づけを統一的に考慮することを踏まえ、さまざまなタイプの企業が資金調達需要を満たす複数の資本市場体系を徐々に整え、相応の証券発行、上場の条件と企業選択システムの確立を研究し、提起する。引き続きメーン市場の規範化と発展を図り、メーン市場の上場企業構成を徐々に改善する。ベンチャー市場の開設を段階的に推進し、ベンチャー投資制度を整え、中小企業の資金調達の道を拡大する。統一的に監督管理される株式譲渡制度を積極的に模索し、整える。

債券市場を積極的、適切に発展させる。厳格なリスク管理を踏まえ、条件にかなった企業が社債発行によって資金を調達するのを奨励し、債券による資金調達が相対的に遅れている状況を改め、債券市場の商品の種類を豊富にし、資本市場の調和のとれた発展をはかる。企業の債券発行、取引、情報公開、信用格付けなどの規律・制度を策定、整備し、資産担保、信用保証などの債務返済保証システムを確立、整備する。集中監督管理された統一的、相互連動の債務市場を徐々に確立する。

先物市場を着実に発展させる。厳格なリスク管理を前提とし、大口商品生産者と消費者のために、価格形成とリスクヘッジ機能を持った商品先物を徐々に発売する。

市場に主導された、商品の種類を刷新するシステムを確立する。株式、債券と関連する新商品と派生商品を研究、開発する。リスクが比較的低く、収益が固定している証券の商品開発に力を入れ、投資家に貯蓄に代わる証券投資商品を提供する。資産証券化商品を積極的に模索、開発する。

5、 場企業の体質を一層高め、上場企業の規範にのっとった経営を推進する。

上場企業の体質を高める。上場企業の体質は証券市場の投資価値の源泉である。上場企業の取締役と上級経営管理者は株主の利益の最大化と収益水準の引き上げを仕事の出発点、帰着点としなければならない。株式発行管理体制を一層整え、証券発行、上場、推薦制度を推進し、競争力が強く、経営が規範化され、効率が良好な企業の発行、上場を支援し、上場企業の体質を根本的に高める。上場企業が、市場に主導された、企業の持続的発展に有利な合併・買収、再編を行うのを奨励する。再融資政策を一層整備し、優良上場企業が資本市場を利用して、発展を加速し、優良化、強大化を実現するのを支持する。

上場企業の経営を規範化する。上場企業のコーポレートガバナンスを整え、近代的企業制度の要請に従って、権力機関、意思決定機関、監督機関、経営管理者の間の評価制度を真に形成する。取締役と上級経営管理者の信義責任を強め、独立取締役制度を一層整備する。筆頭株主の行為を規範化し、上場企業と中小株主の利益を損なう筆頭株主に対しては責任を追及する。上場企業とその他の情報公開義務者の責任を強化し、情報公開の真実性、正確性、完全性、即時性を確実に保証する。上場企業の上級経営管理者の報奨・制約制度を整える。

市場退出制度を整える。有効な措置をとり、多段階の市場体系づくりと結びつけて、市場退出制度を一層整備する。上場企業の優勝劣敗の実現と同時に、市場退出企業の上級経営管理者が職務を果たせなかった責任を追及する制度を確立し、投資家の合法的権益を確実に保護する。

6、 資本市場の仲介サービス機関の規範にのっとった発展を促し、業務水準を高める。

証券、先物企業を競争力のある近代的金融企業にする。慎重な監督管理の原則に従い、証券、先物企業の市場参入制度を整える。証券、先物企業のコーポレートガバナンスを促し、その株主の行為を規範化し、取締役会と経営者の信義責任を強める。証券、先物の顧客取引決済資金管理制度を改革し、顧客取引決済資金保管システムを研究し、整える。顧客の資産の流用を厳禁し、投資家の合法的権益を確実に守る。証券、先物企業は内部統制制度を整備し、出先機関に対する集中統一管理を強化する。純資本を中心とするリスク監視管理指標体系を整え、証券、先物企業の手堅い財務方針実施を促す。証券、先物企業が合併・買収、再編や組み合わせの最適化によって、優良化、強大化されるのを奨励する。証券、先物企業の市場退出制度をつくる。

その他の仲介サービス機関の管理を強化する。証券先物投資コンサルタント機関、証券投信格付け機関の規範化、発展を図り、会計事務所、法律事務所、資産評価機関の管理を強化し、仲介機関の専門化サービス水準を引き上げる。

7、法制と信義を強化し、資本市場の監督管理水準を高める。

資本市場の法体系を整備し、信義を強める。資本市場の大々的発展という全体的手配に従い、資本市場の安定・発展と投資家の権益保護に有利な法体制を整備する。市場の発展を阻害する行政法規、地方法規、部門規約及び政策文書を整理し、資本市場発展のための良好な法制環境を整える。現代的市場経済の社会信用体系整備の要請に従い、資本市場の信義の準則を定め、信義秩序を守り、重大な法律・規律違反、重大な信用失墜のあった機関と個人に対しては市場参入を禁止する措置を断固実施する。

法に基づく行政を推進し、資本市場の監督管理を強化する。行政審査・認可制度改革と「行政許可法」の貫徹・実施の要請に従い、法執行要員の資質と法執行水準を高める。時代と共に進む監督管理の理念を樹立し、資本市場の発展段階に見合った監督管理方法を確立し、監督管理の手段を整え、監督管理の効率を高める。監督管理の力を一層充実させ、監督管理資源を整え、政治的資質と専門的資質が確かな監督管理陣を育成する。有効な市場監督管理を通じて、市場の公正性、透明性、効率性を高めるよう努力し、市場システムのリスクを下げ、市場参入者の合法的権益を保障する。

業界の自律(自主規制)と世論による監督の役割を生かす。証券先物取引所、登録決済企業、証券先物業協会、弁護士、会計士、資産評価などの業種協会の自律管理機能を発揮させる。証券先物市場に対するニュースメディアの報道、監督を指導、強化する。

8、協調、協力を強化し、市場リスクを防止、解消する。

良好な資本市場の発展環境を整える。資本市場のリスク防止は国の金融の安全と国民経済の健全な発展にかかわるものである。各地区、各官庁は資本市場の規範にのっとった発展に関心と支持を寄せ、資本市場に関係する政策、措置を打ち出す際には、資本市場の敏感性、複雑性、特殊性を十分考慮して、情報を共有し、意思疎通が速く、職責が明確な協調・協力制度を確立し、市場の安定・発展のための良好な環境と条件を整える。

市場リスクを共同で防止し、解消する。各地区、各官庁は会社法など関係の法律・法規で規定された職責を確実に履行し、発起人の虚偽の出資、大株主あるいは実質的筆頭株主による上場企業の資産侵奪行為に対し、有効な措置をとって、それを防止し、すみやかに是正しなければならない。各地区と関係主管官庁は法によって、市場退出企業の管理を強化し、平穏、円滑な市場退出を確保する。重大な経営リスクに対しては、資本市場から退出するかその他の行政処分・措置を受けた証券、先物企業に対し、地方人民政府、金融監督管理官庁及び公安、司法などが協調、協力を強化し、法律・法規と関係政策の規定に従って、積極的かつ有効な措置をとり、リスク処理をしっかり行わなければならない。各地区、各官庁は資本市場の突発事件に遅滞なく対応できるシステムとリスク防止・解消の長期的に有効なシステムを確立しなければならない。

証券先物市場の違法活動を厳しく取り締まる。各地方は市場経済秩序の整とん・規範化に関する国務院の精神を貫徹、実行し、地域の違法な証券発行、不法な証券先物取扱機関の設立、不法な証券先物売買代行、違法あるいは形を変えた証券先物取引所の開設およびその他の証券先物の違法活動を厳格に禁止する。財政、公安、会計検査、工商行政管理などの政府官庁と国有資産監督管理機関は協調・協力を強化し、取り締まりに力を入れ、資本市場の秩序を守らなければならない。

9、経験を真剣に総括し、対外開放を積極的、適切に推進する。

中国の世界貿易機関(WTO)加盟に際しての証券サービス業の対外開放に関する約束を厳格に履行する。条件のある海外証券機関が証券会社、証券投資信託会社に資本参加するのを奨励し、適格な海外機関投資家(QFII)制度を引き続き試行する。

海外の資本市場を積極的に利用する。市場原理と国際慣行に従って、条件にかなった内地(中国本土)企業が海外で証券を発行し、上場するのを支持する。条件にかなった内地の機関と個人が海外で資本市場投資関連のサービス業務やヘッジ業務に従事するのを支持する。適格な国内機関投資家制度を真剣に研究する。

交流と協力を強化する。香港、澳門との経済・貿易の一層協力取り決めを実行する。関係の国際機関および海外の証券監督管理機関との連携と協力を一層強化する。

資本市場を大いに発展させることは、共産党中央と国務院が大局と戦略から出発して打ち出した重要な決定であり、各地区、各部門は必ず十分重視し、大局的観念を打ちたて、資本市場を発展させる重要性を十分認識し、自信を固め、チャンスをとらえ、開拓・刷新の精神で、資本市場発展の条件を共同で整え、中国の資本市場の改革・開放と安定・発展を積極的に推進し、小康社会の全面的建設という壮大な目標の実現に貢献しなければならない。