2004 No.12
(0315 -0319)

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九カ条の「意見」、中国の
資本市場に吹く暖かい風

呉綜之

2月初め、各大手メディアは続々と「資本市場の改革・開放と安定・発展の推進に関する国務院の若干の意見」を掲載した。九カ条の意見からなる約5000字のこの政府文書はただちに各界の関係筋に興奮を覚えさせ、3年このかた低迷を続けてきた株式市場は春の息吹を感じて活気を取り戻し始めている。

全国人民代表大会で採択される正式な法律文書が討論や改正を経てからはじめて公布されるため、中国の国民経済が運行する中で問題が現れた時の即時調節と中短期調節は、実際には国務院およびその直接指導下にある各部・委員会により行政法規と指導的意見などさまざまな 過渡的な文書に基づいて行われる。このため、国務院が正式に下達する意見はきわめて大きな影響力をもつことが規定付けられている。

資本市場の難題の解決策

国務院の九カ条の意見のタイトルは次の通り。

一、資本市場を大いに発展させる重要な意義を十分認識する。

二、資本市場の改革・開放と安定・発展のための指導思想と任務。

三、関連政策を一層整備し、資本市場の安定・発展を促進する。

四、資本市場の体系を整え、証券投資の種類を豊富にする。

五、上場企業の体質を一層高め、上場企業の規範にのっとった経営を推進する。

六、資本市場の仲介サービス機関の規範にのっとった発展を促し、業務水準を高める。

七、法制と信義を強化し、資本市場の監督管理水準を高める。

八、協調、協力を強化し、市場リスクを防止、解消する。

九、経験を真剣に総括し、対外開放を積極的、適切に推進する。

中国の資本市場を知っている人にとって、意見の内容とその背後にある意義はありふれたものではない。

10余年にわたる模索と発展を経て、中国の資本市場は目を見張る大きな成果をあげ、市場の規模が絶えず大きくなって、企業の発展に重要な融資ルートを提供し、国の多くの重点企業と重点プロジェクトの建設を力強く支持した。広範な投資家に株式、基金、債券、先物などの投資の種類を提供し、社会資金の投資ルートを広げた。上場企業は経済分野で日ましに大きな影響を及ぼし、中国経済の発展を推し進める重要な力となっている。しかし、中国の資本市場は計画経済から市場経済に転換する条件の下で発展してきた新興の市場であり、際立った矛盾と問題がまだ存在している。たとえば、市場の機能と役割に対する認識が一面的なものであり、市場の資金調達機能だけを重んじ、投資家へのリターンを重視せず、市場機能の全面的、効果的な発揮に影響しているとか、市場の深層に構造面の問題が存在しているとか、資本市場発展の重要性に対する認識のさらなる向上が待たれているなどがそれである。

年末に相場がいくらか好転しなかったなら、2003年は中国の株式市場にとって惨めな年であろう。株式指数が持続的に低迷し、取引が少なく、資金が流出し、A株の融資額が再び減少し、株式業者が全業種にわたって欠損を出し、各方面の利益にかかわる政策がなかなか公布されず、9、10月に投資家はほとんど自信がなくなり、「株式市場は瀬戸際化されたのかどうか」についてあちこちで議論されているが、市場関係者は監督管理部門の「不作為」の態度に不満を抱いている。

より重要なのは、株式市場の持続的低迷による連鎖反応が完全に証券市場内部で消化できないことである。日ましに増える保険資金はより多くの、より穏健な投資のルートを必要としている。国有資産監督管理委員会所属の国家経済と人民生活にかかわる国有大型企業および国有商業銀行の体制改革と上場は海外市場に頼りすぎている。リスク投資は退出ルートに欠けている。中小企業の融資は困難である。これらの難題の解決はいずれも繁栄した、健全な資本市場を必要としている。しかし、中国の資本市場はその内部構造の欠陥によって担当すべき重任をまっとうすることができない。

エコノミストの韓志国氏によると、中国のこれまでの株式市場政策はつねに3つの方面に現れている。@危機型の株式市場政策であって発展型の株式市場政策ではなく、統一的に配慮されていない。A短期効果型の政策に注目し、長期収益型の政策に着眼していない。B外部の力による推進型の政策であって、内因による成長型の政策ではない。このようなの政策を実行すると、根本問題を解決するのは困難である。

この九カ条の意見は政府が長く低迷を続けている中国の資本市場の根本問題を解決するための処方である。

専門化が高く評価

多くの著名なエコノミストは「意見」の発表にきわめて大きな興味を示し、積極的に評価している。

韓志国氏はこう指摘する。「意見」の全文に「積極」という二文字が滲んでいる。具体的に言えば、10の方面がある。一、中国の資本市場の地位と役割を積極的に評価している。「意見」は、資本市場を大いに発展させることは中国が今世紀最初の20年間に国民経済4倍増という戦略的目標を実現する上で重要な意義があるとはっきり指摘している。すなわち社会主義市場経済体制を整備し、資本市場の資源配置最適化の機能を一層大きく発揮させ、社会の資金(民間資金を指す)を長期投資に効果的に転化させるのに役立ち、国有経済の構造調整と戦略的改造に、非国有経済の発展加速に役立ち、直接融資の比率を高め、金融市場の構造を整備し、金融市場の効率を高め、金融の安全を守るのに役立つ。二、株式市場に内在する矛盾とくに株式市場の発展を長期にわたり妨げてきた株式分散問題を積極的に解決する。これは国の文書で取り上げられるのは初めてである。三、株式市場の需給関係を積極的に協調し、規定に合った資金を市場に導入する。四、資本市場の体系を積極的に整備する。第五、株式市場の市場主体としての上場企業の開設を積極的に促進する。第六、法制と信義を積極的に促進する。七、市場の立体ネットワークの発展を積極的に促進する。八、市場リスクを積極的に防止、解消する。九、新しい株式市場文化を積極的に提唱する、すなわち価値投資を強調し、リターンメカニズムの完備を強調し、一般投資家の権益保護を強調し、利益追求という資本の本来の姿の回復を強調する。十、資本市場の対外開放を積極的かつ穏健に推進する。

上述の10の方面は中国の株式市場政策に大きな転換が生じ、その結果は必然的に中国株式市場の第二次革命を始動させる。そのため、これは中国の資本市場発展史上における重要な一里塚となる。中国の資本市場の第一次革命はルールの確立とプラットホームの建設である。しかし、市場はねじ曲げられた状態の下で運行しており、資本の本性が顕著ではなく、市場の特徴が際立っておらず、資本メカニズムと市場メカニズムがある程度ねじ曲げられている。そのため、「若干の意見」の公布は、次の段階に資本市場は市場メカニズムと市場主体を解決する第二次革命へ向かうことを示している。資本市場は市場の原則に全面的に回帰し、市場に内在する矛盾を逐次解決し、中国資本市場の全面的規範化を促す。

著名なエコノミスト呉暁求氏の考えでは、「意見」は昨年11月第16回党大会で発表された「社会主義市場経済体制整備の若干の問題に関する中国共産党中央の決定」の趣旨を受け継ぐもので、資本市場の内在法則をしっかり把握し、明らかにしており、また当面の金融体制改革の重要な部分にも指導的意見を提出している。今後20年の金融体制改革の過程で、資本市場の整備は改革の重点の中の重点となるだろう。「意見」は実際には中国の金融体制改革に適応するパターンと構想を模索し、資源配置における資本市場の基礎的役割を際立って強調している。中国の金融市場、とくに資本市場のスタートがわりに遅く、多くの運行規則には非市場の操作が存在しているため、資本市場の運行規則に対しある程度の誤解と偏見がある。「意見」の公布は中国株式市場の法制化、市場化への発展に政策的支持を提供している。

国務院発展研究センター金融研究所の巴曙松副所長によると、「若干の意見」の公布は証券市場政策のコントロールシステムが初歩的に確立されたことを示している。これは市場に安定した政策的予期を形成し、関連政策の動揺或いは急変が市場にもたらす衝撃を防ぎ、避けるのに役立つ。それは国務院が必ず発展の中で資本市場問題を解決する基調を示している。こうして資本市場の発展を妨害する一連の制度面の障碍問題が具体的に解決される可能性があり、投資家とくに一般投資家への尊重を体現している。

エコノミストの華生氏によれば、「位置付けが的確で、健全に発展する証券市場においてのみ、中国の金融体制改革、国有資本体制改革がはじめて順調に行われる」。「意見」は中国証券市場の位置付けに対し根本からやり直す役割を果たしており、「これまで資本市場の問題を解決する目的は国有企業の融資を解決することにある。今回の「意見」は証券市場を正しく位置付けさせており、当面解決しなければならないのは資本市場自体の改革・開放と安定・発展の問題である」と語っている。

カギは「意見」の実施にある

銀河証券研究所の陳東副所長によると、「意見」のすべての内容が逐次実現できることは、中国の証券市場にとってはとても幸いな事ことであるが、市場が最も心配しているのは、一部の内容が形式に流れて実現できなくなり、解決がさし迫って待たれている一部の問題がなかなか解決できないことである。

上海財経大学国際金融学部主任の奚君羊教授は、「言うまでもなく、資本市場は社会の各方面の利益にかかわる市場であり、異なる地区と部門はそれぞれ自らの利益から出発して、資本市場の発展に対し自らの理解、ひいては曲解をもっており、これによってさまざまな矛盾が生じることもある」と語った。

著名なエコノミストの劉紀鵬氏は、「意見」は各地区、各部門が資本市場の規範的発展に関心を寄せ、それを支持し、資本市場にかかわる政策と措置をとる時は、資本市場の敏感性、複雑性、特殊性を十分に考慮するとともに、情報を共有し、通じ合って便利で、職責が明確な協調協力メカニズムを確立し、市場の安定・発展のために好ましい環境と条件をつくり出す必要があると語り、「意見」の公布にともなって、実質的、より具体的で有利な措置が続々ととられ、資本市場が新しい発展段階に入ると見ている。