2004 No.13
(0322 -0326)

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>> 農業・農村・農民問題

 

(その五)

農村の基盤施設整備を強化し
農民の収入増のために条件を作り出す

長年来の重工業を優先的に発展させる戦略と都市・農村の二元化経済構造という条件の下で、工業化の実現に必要な資本の蓄積を確保するため、国民収入の配分においては農業や農村と農民から取るものは多かったが、与えるものは少なかった。この状況は改革・開放政策の実行によって変わり、とりわけ第9次5カ年計画(以下「9・5計画」と略)期(1996〜2000年)に入ってから、国は農業と農村への投入を増やした。とりわけここ数年間に、農村の基盤施設への投入増に国は力を入れている。基本建設分野では、国は1998年から積極的な財政政策を実施し始め、長期建設国債を発行し、農業基本建設への投入を大幅に増やしている。1998年から2003年までに中央が計画した農業基本建設投資総額は3000億元を上回り、国債および中央予算内投資に占める比率はいずれも約30%となっており、建国以来農業基本建設への投入増がもっとも速く、最も多い時期となり、建国の初期から1997年までの投入の総和を上回り、農業基本建設の成果が最も顕著な時期であった。

農業と農村への投入を引き続き増やすことは非常に必要である。なぜかというと、一、全局から見れば、農民の収入が伸び悩む問題を解決することは内需拡大の必要でもあるからである。二、新しい段階に入った農業の成長が単純な数量の増加から数量や品質、安全、生態保全などの目標の全面的な実現に変わるようにするため、投入を増やさなければならないからである。三、WTO加盟後の新たな情勢に適応し、農業の国際競争力を高めるには、農業へのサポートを増大しなければならないからである。四、農村の税金・費用徴収体制を改革し、農民の負担を軽減し、農村の末端組織の運営と基盤施設建設への投入を確保するため、移転支出の度合いを増大しなければならないからである。総合国力の向上で、中国は農業への投入を増やす条件が整うようになった。昨年の国の財政収入は1998年の2倍強となった。もっとも重要なのは、党中央と国務院は「五つの統一計画・按配」の考え方と人間本位の、全面的な、バランスのとれた、持続可能な科学的な発展をはかる観点を適時に打ち出し、「三農問題」の解決を突出した位置に置き、国民収入の配分構造を調整し、農業、農村、農民に傾斜する方向を明確にし、それを保証したことである。

中央の要求に基づいて、国債を含む農業基本建設への中央の投資重点は次の三つである。@農業、林業、水利施設など重要なプロジェクト、A食糧生産能力の向上と農業構造の調整、B「六小プロジェクト」を主とする農村の小型基盤施設の整備、C中・西部地区への傾斜。こうすれば、やりたいことがやれないという数年にわたる状況を変えることができるだけでなく、直接農民の収入増を促すこともできる。

「六小プロジェクト」の農民の収入増における役割

「六小プロジェクト」は2001年に開かれた中央農村工作会議で打ち出されたものである。それは、節水灌漑、飲用水、村道建設、メタンガス、水利・電力施設、牧草地とその囲いなどを指している。ここ数年の実践を通じて、「六小プロジェクト」の内容も増えることになった。2001年に中央が「六小プロジェクト」に投入した資金は101億元であり、翌年は136億元に増え、2003年はさらに280億元に増えた。各地方の各クラス政府や農民と社会機構も投資を「六小プロジェクト」に注ぎ込み、農村の中小型基盤施設の整備がかつてない速度で進み、新たな段階に入ることになった。

全般的に見れば、「六小プロジェクト」の建設では、顕著な経済的効果と社会面の効果を目にすることができるようになった。農村の生産と生活の条件が改善されたことがもっとも直接的な成果といえる。おおまかな統計によると、2001年に入ってい以来、全国では新規増加した節水灌漑面積は5400余万ムー(約362ヘクタール)に達し、3000余万人の飲用水難の問題が解決され、120万戸の農家がメタンガスの利用を実現し、1億ムー(6700ヘクタール)の牧草地の周辺に囲いを作り上げ、県・郷クラスの自動車道路8万8000キロを建設、改造した。「六小プロジェクト」を実施した農村地区では、環境が美しくなり、農民の生活レベルが目に見えて向上し、農業生産コストが引き下げられ、生態環境に改善が見られる。また、プロジェクト建設に参加した農民は望ましい収入を手にすることができたので、「六小プロジェクト」は「民心プロジェクト」と「徳政プロジェクト」と言われるようになっている。

管理・運営体制を整備し農業の投資効果を高める

歴史的な原因で、農村の小型基盤施設の整備はまだまだ農民の必要を満たすに至っていない。また、「六小プロジェクト」の建設と管理にもいくつかの問題がある。例えば、プロジェクトの準備が不十分であるとか、資金ルートが単一であるとか、資金と工事の管理制度が整備されていないとか、完工後のプロジェクトの管理・運営体制が健全でないとかがそれである。農村の基盤施設の管理・運営体制を整備し、政府の農業への投入を増やすには、新しいタイプの農村中小型公益施設建設メカニズムをできるだけ速く構築し、農村の小中型公益施設の建設を各クラス財政支出に組み入れ、同時に政府の投資を導きとし、さまざまな融資形態と経営方式をとり、社会投資を誘致し、建設資金を増やし、健全な建設管理メカニズムを積極的に模索しなければならない。今後、政府のサポートする農村の基盤施設プロジェクトが農民に実益をもたらすことを確保しなければならない。このため、もっとも重要なのは、広範な農民がプロジェクト建設に参加し、民主的な政策決定・監督の権利を行使するようにすることである。