2004 No.14
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外資参入が進む建築市場

―――中国の建築市場は今後3年内に世界最大規模の市場、各国の建設企業が競い合う世界の舞台となるだろう。

蘭辛珍

全国の大都市を歩き回ると、あちこちで新築された建築物が目に入るが、赤レンガと青瓦を特色とする中国伝統の建物が少ないことに気づくだろう。一際目を引くのは、モダンな建物だ。しかも、それぞれヨーロッパ風であったり、北米風であったり、統一された風格は見られない。

十数年の発展を経て、中国の建築市場は既に国内企業中心の市場ではなくなった。世界の建設企業が中国に触手を伸ばしており、中国の建築物の風格に影響を及ぼしている。

特にこの5年来、外国企業の活動が活発だ。世界の建設企業大手225社のうち140社が中国で業務を請け負っている。認可された合作や合弁の建築設計事務所は約120社。主要な都市ではシンボル的な建築物は外国人設計士によるものだ。

WTO(世界貿易機関)加盟時の協定に基づき、政府は2004年までに外国不動産企業の現地法人設立を許可すると共に、合弁や合作の不動産企業に内国民待遇を供与しなければならない。実際、北京市政府は2002年以降、徐々に不産業市場への参入制限を緩和してきた。2003年の1年間だけでも、シンガポールや米国、日本、カナダ、英国、オランダ、ドイツ、インドネシアなど外資の不動産投資プロジェクトは20件近くに達した。建築総面積は500平方メートルを超え、波及投資総額は30億元。現在、北京市の不動産企業は2122社を数え、うち香港やマカオ、台湾を含む海外企業は106社を数える。

1998年に始まった住宅制度改革は不動産消費を大きく刺激し、建築市場の急成長をもたらした。WTOへの加盟とオリンピック招致の成功で、建築市場はさらに「高付加価値」を持つようになった。統計によると、北京のオリンピック関連工事の総投資額は2800億元にのぼる。うちインフラ整備が1800億元、スポーツ施設が170億元。また市街地の300万平方メートルで老朽家屋の改造など再開発が行われ、5年以内に新たに6000万平方メートルの住宅が完成する予定だ。オリンピックを開催する2008年までにホテル数は現在の300から800軒に増加。1215ヘクタールに及ぶオリンピック公園も建設される。

外国の投資家がこうした現実に着眼し、不動産大手や他業種の外資が相次いで建築市場に参入するのは明らかだ。不動産業で世界第3位のオランダ・ING社や米国のHines社など世界の著名企業は既に進出している。

Hines社は「万国公寓(マンション)」と「盛世大厦(ビル)」のリース業務に続き、一般市民向けの高級住宅―「公園大道」(Park Avenue)を手がけており、今年7月には完成する予定。

ING社は現在、中国市場でのシェア拡大を狙ってBaring Asset Management社の中国業務の買収交渉を行っているところだ。同社は1996年に不動産市場に参入した外資の古参企業の1つ。

中国の建築市場の成長は世界で最も急速だ。建築部建築市場管理司の王寧副司長は「市場の開放が進むに伴って、中国が実施するプロジェクトの世界範囲での入札も増えてきた。特にオリンピック関連施設の建設では国際基準に基づいて設計・建設する必要があり、今後も世界範囲の入札が行われるだろう。今後3年内に中国の建築市場は世界最大規模の市場、各国の建設企業が競い合う世界の舞台になるだろう」と指摘する。

北京市は今年1月、外国の不動産企業に更に多くのビジネスチャンスを提供する「4号令」を公布。「4号令」は「北京市は200年1月9日より、凡そ営利目的のプロジェクト関連の土地については合意による譲渡を停止し、全て入札や競売などの方式を採用して土地市場での公開取引を実施する」と規定している。北京の不動産市場を虎視眈々と狙う外資はこの規定により、国内業者と同一のスタートラインに立てることになる。

外資の投資は不動産のみにとどまらない。不動産信用融資市場にも外資は熱い視線を注いでいる。オーストラリアの投資銀行最大手のMacquarie Bankは2002年に管理コンサルタント会社・MSSを設立。国内初の住宅ローン・コンサルタントサービス会社で、MSS開設の当日、中国建設銀行上海市店は不動産金融市場の開拓で協力協定を結んだ。同社は上海市で現在、約1500社の中小不動産業者が参加する建物管理代理ネットワークを通じて中古住宅を抵当にしたハウスローン業務を展開すると共に、この業務の更なる拡大に取り組んでいる。

外資の参入で不動産業界の競争の枠組みに大きな変化が生じた。外資の間では管理をめぐるM&A(企業の合併と買収)が活発化。Hines社は他社と連合で韓国・現代グループが北京に建設した「盛世大厦」を買収。オランダのRodamco Asia社は北京と上海でシンガポールの「凱徳置地」が所有するマンションの株式の60%を取得、また別の物件を完全買収している。

不動産市場の国際化は進んでいる。実力があれば、どの国の企業であれ競争に参入できるようなった。

王寧副司長は「不動産市場関連の各制度が完備され、住宅制度の改革が進み、融資制度が成熟し、特に土地取引が公開されるようになれば、外資の不動産市場参入への安心感はさらに強まるだろう」と強調する。