2004 No.15
(0405 -0409)

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貿易協力が永遠のテーマ

―――2003年、日本との貿易総額は約1300億ドルに達し、1999年から5年連続して最高を更新した。現在、中日の間では、政治面での関係は依然不安定な状態にあるが、貿易面での協力はむしろ加速されていることが証明された。

丁 盈

中国は経済が最も急成長している発展途上国。一方、日本は世界第2位の経済強国。前者は後者の資金と技術を必要としており、後者は人口13億という大市場と豊富な資源に依存して経済再生を実現しようとしている。東アジアの隣国である中国と日本が、経済のグローバル化に伴い、更に緊密な貿易パートナーシップを確立したい、また確立しなければならないと決断したのには、こうした意図があるからだ。

現在の状況

中日の輸出入総額は2003年に1300億ドル(中国税関統計では1335億8000万ドル、日本の財務省統計では1324億3000億ドル)を突破し、前年に比べ30.4%増加した。

日本貿易振興会(ジェトロ)北京代表事務所の中井邦尚代表は「日本の財務省の統計によると、日本は中国にとって最大の輸入国であり、中国商品が日本の全輸入商品総額に占める割合は18.3%、次に米国が17.1%となっている。一方、日本にとって中国は第2の輸出国であり、香港やマカオ、台湾地区を加えれば、実質的には、中国は既に日本の最大の輸出国だ。中日双方は互いに緊密な貿易パートナーとなった。中国は既に日本を抜いて米国、ドイツに次ぐ世界第3の貿易国であり、日中両国の経済貿易協力が今後、一段と増強されるのは間違いない」と強調する。

外交学院の日本経済研究専門家、江瑞平教授は「双方の貿易額の急増は中国の経済建設が直接もたらした結果であり、同時に西部開発や東北地方の振興政策、不動産業の発展に刺激されたものだ。また生活水準が向上したことで、日本からの自動車やデジタル機器、AV(音響・映像)製品の輸入が増え続けている。WTO(世界貿易機関)加盟時の確約を果たすため国内市場は一段と拡大されたが、その最大の恩恵を受けたのが日本だ」と指摘。

日本は90年代以降、経済が低迷していたが、2003年から回復基調に転じた。回復を牽引したのは輸出増だが、なかでも対中輸出の急増が大きな役割を果たしており、ジェトロの統計によると、2002年に比べ43.6%も増加した。

更に中井代表は「この数年来、中国企業は日本に投資、また日本企業との合弁に乗り出しているが、これも日本経済の発展を刺激した要因の1つだ」と指摘する。例えば、海爾(ハイアール)グループは三洋電機と友好協力協定を締結。ハイアールは三洋電機を通じて日本で低価格の家電を販売する一方、三洋電機はハイアールを通じて中国で価格の比較的高いハイテク製品を販売することになった。

中国の投資家に対しては、日本政府も「内国民待遇」を供与すると同時に、その他の面でも便宜を与えている。中井代表は「中国の投資家が日本で業務を展開する際、ふさわしいオフィスが探せない場合には3カ月間、日本政府がオフィスを無料で提供している。日本政府は宣伝に更に力を入れて、より多くの外国投資家にこの優遇政策を知ってもらうべきだ」と強調する。

将来の予測

ジェトロは日中間の貿易額について、2004年には1500億ドルを突破し、6年連続して最高を更新するだろうと予測している。

中井代表は輸入、輸出ともに増加した要因について「日本経済の回復が消費を刺激し、同時に日系企業の中国生産拠点での業務が軌道に乗ってきたことから、中国からの輸入額が増えた。またWTOの加盟に伴い自動車や家電、インフラ整備などへの需要が高まったことで、電子製品や電動機械、通信設備、建築用機械、オフィス設備、化学製品、金属製品、輸送機械、精密機器などの輸出が増加した」と説明すると共に、「伝統的な輸出品、農産品はやや減少した」と指摘。

中井代表によると、日本政府は現在、紡績品やIT(情報技術)製品、環境保全技術、医療サービス、保険などの輸出を奨励しているという。

「中国の急成長は日本にとって大きなチャンスであり、これを機に日本経済は急速に回復していくだろう。中国が経済発展に伴い日本の製品や部品、技術にしろ、またサービスシステムにしろ、輸入を増大させていくのは確かだ」と中井代表。

更に中井代表は「日本経済は中国の政策の影響を受けやすい。日本では大半は人民元の切り上げを望んでいない。人民元高になれば、中国に投資している企業にコスト増がもたらされるからだ。また日本では、中国経済の過熱によって原材料が過度に消耗されて価格が高騰する、といった悪影響を受けるのではないかと懸念する声も一部にある」と話す。

江瑞平教授は「日本企業の対中投資は2004年も増大し続けるだろう。中国市場の開放が更に拡大し、インフレ整備が一段と進むからだ。また西部大開発や東北地方の振興、2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博もある。より重要なのは、中日両国が東アジアの自由貿易協定(FTA)の締結に力を入れていることだ。日本は発展に向け従来の欧米地区からアジアを重視するようになり、日本は中国の対日貿易に比べ対中貿易の依存度を高めていくだろう」と分析する。

その上で江瑞平教授は「両国間の貿易摩擦は依然として回避されていない。中国経済の発展のスピードが日本を上回り続けているため、日本国内では一部でいわゆる『中国脅威論』の影響を受ける人も出てくるだろう。いま1つの問題は、中日両国間の政治関係が依然として安定していないために、両国の経済貿易協力や共同で進めている東アジア地域での自由貿易協定(FTA)計画にも影響がもたらされることだ」と指摘。

対外経済貿易大学の鄭宝銀教授は「中日間では貿易統計方式に違いがあるため、双方にある程度影響が出ている。日本側は、2003年の対中貿易では179億5000万ドルの赤字としているが、一方、中国側は対日貿易で143億3000万ドルの赤字になったとしている。中日双方は協議して統計方式の統一で合意すべきだ。その他の国の間では既に協議を経て統一システムが形成されている。合意できなければ、この問題はいつまでも中日間の経済貿易面にギクシャクした関係をもたらすだろう」と強調。

総体的に言えば、両国間の経済貿易分野での協力、この流れを阻むことはできない。日本側も協力の重要性を認識していると共に、中国との協力を強化する意思があり、抵抗は見られない。ジェトロは現在、北京と上海、大連、香港の4カ所に代表事務所を開設しており、重慶直轄市では海外投資コンサルタント業務を展開。2004年には青島と成都、広州に事務所を設置する計画だ。ジェトロの畠山前理事長は「中国の発展を脅威としてではなく、中国の繁栄と発展は我々の繁栄、発展として見るべきである。中国の発展は我々に利益をもたらしてくれるからだ」と強調する。