2004 No.16
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老年人材資源を開発

――老齢化社会に急速に入っている中国では、長期にわたって軽視された老年人材資源は社会から重視されるようになり、「第2次人材資源開発」が政府部門の議事日程に組み入れられるようになった。

馮建華

胡長松さんは定年後、人が変わったようだ。以前一日中忙しく働くことに慣れていた彼は一日中ぶらぶらしてなにをしたらいいかわからず、町をぶらつくといや気がさし、花を植えたり、鳥かごをぶら提げて静かな所を歩き回る気持ちにもなれない。

定年退職前、胡長松さんは国有企業で機械を検査、修理する仕事をし、技術が優れていたため、とても重視されていた。一日中忙しく働く中で、胡さんは自身に価値があるのを感じとった。2年前、胡さんは満65歳になった。国有企業の人事制度の規定によると、65歳は定年退職の最高年限である。この状況の下で、まだまだ「精神と体力が満ちている」と思っている胡さんは定年退職の手続きをとらざるを得なかった。

退職後の最初の2カ月には、胡さんはこれ以上会社のことで気を使う必要がなくなったので、とても楽になったと感じた。しかし、時間が経つにつれて、胡さんは自分は余計者と思っていらいらし始めた。「体がまだ達者で、技能もあり、もう一度仕事を探すのもそう難しくはないだろう」と胡さんは思った。

再三考慮し、家族の意見を聞いてから、胡長松さんはもう一度仕事を探すことにした。しかし、いざ探し始めると、いろいろ困難にぶつかったように胡さんは感じた。あちこちで開かれる人材募集会はほとんど青壮年を採用し、老人を採用することがほとんどなかった。1年余りたっても胡さんは気に入った仕事を探すことができなかった。

就職情勢がとても厳しい中国では、胡長松さんと同じような経歴をもつ老人は少なくない。彼らは「特技」を身につけているが、それを生かす場所がない。この中に個人の要素もあるが、それよりも長年来中国に老年人材資源を発掘し、十分に利用する制度がなかったことにその大きな原因がある。

全国老齢工作委員会は全国の老年工作を担当する最高の専門機構である。同委員会弁公室の李宝庫常務副主任によると、中国に現在老年の知識人が2900万人おり、そのうち定年退職した人が約600万人で、今後も毎年多くの人が定年退職する。これは貴重な人材資源であり、それを十分利用しないならば、最大の浪費の一つだというべきである。

人の寿命が長くなり、出産率が低下し、医療条件が大きく改善されるにともなって、中国の人口高齢化は西側諸国よりはるかに速いスピードで発展している。これは、長い目で見れば、中国は老年人材資源の保護と開発をもっと重視しなければならないことを意味している。

老年人材資源を合理的に開発するのは、中国の人口高齢化問題を解決する重要な措置の一つであり、国と社会のために富を創り出すこともできれば、老人の自己保障能力を高め、社会の活力を増強し、社会安定を守ることもできる。

中国第5回国勢調査のデータが示しているように、60歳以上の老年人口は1億3200万に達し、そのうち65歳以上の人口は9000万近くで、総人口の7%を占め、国際で考えられている7%の基準に達している。専門家の予測によると、21世紀中葉になると、中国の老年人口は4億人に達し、およそ人口の26.5%を占めることが見込まれている。

人口問題専門家馮理達氏提供の資料が顕示しているように、人口の年齢構造が成年型から老年型への移行を完成する過程は、フランスは115年、スイスは85年、アメリカは60年かかり、日本はわりに短かったとはいえ、それでも25年を使ったが、中国は18年しか使わず、そのうえその速度が速くなっている。

馮理達氏の分析によれば、社会と経済の発展より速い中国の老齢化発展は、西側諸国と異なるもう一つの顕著な特徴である。西側の多くの国が老齢化社会に入った時、一人当たりGNPは1万ドル前後であるが、中国の現在の一人当たりGNPは1000ドルを突破したばかりである。

馮理達氏は、老齢化は社会と経済の発展に大きな影響をもたらし、マイナスの面もあれば、プラスの面もあり、カギはマイナスのものをプラスのものに変えることにある。西側諸国と比べて、中国は人口老齢化のもたらす厳しいチャレンジに直面することになろう。

このような現実に基づいて、中国は今年から一連の措置をとって老年人材資源の開発にいっそう力を入れるが、そのうちの重要な措置は老年人材市場の建設を計画することである。今後、胡長松さんのような技術を身につけた老人は、仕事が探しにくいことで頭を痛めることがなくなるだろう。

このほか、できるだけ早く老年人材輸送プラットホームを構築するため、中国は老年人材交流、老年専門家相談サービス、老幹部技能訓練などの機構を設立する予定である。同時に、関連部門は老人の特徴と社会の必要に基づいて、老年人材の知力を十分に生かせるプロジェクトを実施し、資金面から援助し、特殊な工芸と技能を持つ老人がその工芸と技能を伝える活動を展開するのを資金面から援助する。老年人材資源の発展基金は各種形式の募金活動の展開を通じて集められる。

全国老齢工作委員会の責任者によると、中国はいま多形式、多段階、多ルート、多部門の開発メカニズムの構築を検討中である。老人の資質、体の状況が千差万別であり、各地の経済発展レベルも不均衡であるため、中国はどうしても実情から出発し、多種の形式で老年人材資源を開発、利用しなければならない。

当面の政府機構改革の情勢から見れば、政府機能の転換と人員簡素化のため、多くの諮問活動、調査研究活動および節水、黄河枯渇、南部から北部への引水、水資源の持続的利用と生態環境保護など水利のホットな問題に対しては、情況を熟知し、経験が豊富なベテラン専門家の意見と提案を聴取し、それに基づいて統一的に計画、配慮し、科学的に政策を決定することはなおさら必要である。

現在、中国が老年人材資源を開発する最も主要な活動はできるだけ早く関係ある政策と法規を制定、整備することである。具体的に言って、国の関連部門は相応の政策と法規を制定し、具体的な方法と措置を打ち出し、老年人材資源開発の基本的政策と基本的方途および老年人材配置の方向と分野を確定すべきである同時に、各地区、各部門も所在地区の老人の状況に基づいて、第2次人材資源開発の総体的な考えの筋道と実際の工作状況に基づいて、計画を制定、実行すべきである。