中華人民共和国商業銀行法
(1995年5月10日第8期全国人民代表大会常務委員会第13回会議で採択 2003年12月27日の第10期全人代常務委第6回会議の「『中華人民共和国商業銀行法』改正に関する決定」に基づいて修正)
第一章 総則
第1条 商業銀行及び預金者その他の顧客の適法な権益を保護し、商業銀行の行為を規範化し、融資資産の質を高め、監督、管理を強化し、商業銀行の健全経営を保証し、金融秩序を守り、社会主義市場経済の発展を促進するため、本法を制定する。
第2条 本法で商業銀行とは、本法及び「中華人民共和国公司法」に基づいて設立された、公衆の預金を受け入れ、貸付けをし、決済などの業務を行う企業法人をいう。
第3条 商業銀行は、次の各号に掲げる業務の一部または全部を営むことができる。
1 公衆の預金を受け入れること。
2 短期、中期及び長期貸付けをすること。
3 国内外の決済をすること。
4 手形の引受と割引をすること。
5 金融債を発行すること。
6 公債の発行、償還を代行し、または引受をすること。
7 公債を売買すること。
8 コール取引をすること。
9 外貨を売買し、または代理売買すること。
10 信用状サービス及び保証を提供すること。
11 金銭の受払い及び保険業務を代行すること。
12 貸金庫サービスを行うこと。
13 中国人民銀行の認可を受けたその他の業務。
営業範囲は商業銀行が定款で定め、中国人民銀行の認可を受ける。
第4条 商業銀行は収益性、安全性、流動性を経営原則とし、自主経営、リスク自己負担、損益自己負担及び自己責任制をとる。
商業銀行は法によって業務を行い、いかなる単位(訳注 機関、企業、団体などの総称)及び個人の干渉をも受けない。
商業銀行はその全法人財産により独立して民事責任を負う。
第5条 商業銀行と顧客の業務取引では、平等、自由意思、公平及び誠実信用の原則に従うものとする。
第6条 商業銀行は、預金者の適法な権益がいかなる単位及び個人の侵害をも受けないよう保証するものとする。
第7条 商業銀行は融資業務を行うとき、借入者の信用状態を厳格に審査し、担保を求め、貸付金を予定通り回収するものとする。
商業銀行が法によって借入者から期限の来た貸付金の元金と利息を回収することは、法律の保護を受ける。
第8条 商業銀行は業務を行うとき、法律、行政法規の関係規定を遵守するものとし、国家の利益、社会公共の利益を損なってはならない。
第9条 商業銀行は業務を行うとき、公平な競争の原則を遵守するものとし、不正競争をしてはならない。
第10条商業銀行は法によって中国人民銀行の監督、管理を受ける。
第2章 商業銀行の設立及び組織機構
第11条 商業銀行を設立するときは、中国人民銀行の審査、認可を受けるものとする。
中国人民銀行の認可を受けなければ、いかなる単位及び個人も公衆の預金を受け入れるなど商業銀行の業務をしてはならず、いかなる単位も名称中に「銀行」の文字を使用してはならない。
第12条 商業銀行を設立するには、以下の各号に掲げる条件を備えなければならない。
1 本法及び「中華人民共和国公司法」の規定に適った定款があること。
2 本法の規定に適った登記資本の最低額を有すること。
3 専門知識及び業務経験をもつ董事長(行長)、総経理その他の高級管理者がいること。
4 整った組織機構及び管理制度をもつこと。
5 基準に適合した営業場所、安全警備措置及び業務に関連するその他の施設があること。
中国人民銀行は設立の申請を審査するとき、経済発展の必要性と銀行競争の状況を考慮に入れなければならない。
第13条 商業銀行設立の登記資本最低額は10億人民元とする。都市合作商業銀行設立の登記資本最低額は1億人民元、農村合作商業銀行設立の登記資本最低額は5000万人民元とする。登記資本は払込資本とする。
中国人民銀行は経済の発展に基づいて、登記資本の最低額を調整することができる。ただし、前項に定める限度額を下回ってはならない。
第14条 商業銀行を設立するとき、申請者は中国人民銀行に次の各号に掲げる書類、資料を提出するものとする。
1 申請書。申請書には設立予定の商業銀行の名称、所在地、登記資本、業務範囲などを記載するものとする。
2 企業化調査報告。
3 中国人民銀行が定めるその他の書類、資料。
第15条 商業銀行設立の申請が審査の結果、本法第14条の規定に適合するとされたときは、申請者は正式申請書に記入し、かつ次の各号に掲げる書類、資料を提出するものとする。
1 定款草案。
2 就任予定の高級管理者の資格証明。
3 法定の資本確認機関が発行した資本確認証明。
4 株主名簿とその出資額、持ち分。
5 登記資本の10%以上を保有する株主の信用証明及び関係資料。
6 経営方針及び計画。
7 営業場所、安全警備措置及び業務に関連するその他の施設の資料。
8 中国人民銀行が定めるその他の書類、資料。
第16条 設立認可を受けた商業銀行は、中国人民銀行から営業許可証の交付を受け、かつ同許可証を示して工商行政管理部門で登記をし、営業免許を受け取る。
第17条 商業銀行の組織形態、組織機構には「中華人民共和国公司法」の規定を適用する。
本法の施行以前に設立された商業銀行の組織形態、組織機構が「中華人民共和国公司法」の規定に完全には適合していないときは、引き続き従来の規定を踏襲することができ、前項の規定を適用する期日は国務院が定める。
第18条 国有独資商業銀行には監事会を設ける。監事会は中国人民銀行、政府関係部門の代表、関係専門家,本行職員の代表で構成される。監事会の選出方法は国務院が定める。
監事会は国有独資商業銀行の融資資産の質、資産負債比率及び国有資産の価値維持・増加などの状況並びに高級管理者の法律、行政法規または定款の違反行為及び銀行の利益を損なう行為について監視する。
第19条 商業銀行は業務の必要性に基づいて、中華人民共和国の内外に分支機構を設けることができる。分支機構を設けるには、中国人民銀行の審査、認可を受けなければならない。中華人民共和国内の分支機構は、行政区画ごとには設けない。
商業銀行は中華人民共和国内に分支機構を設けるときは、規定に従ってその経営規模に応じた運転資金を支給するものとする。各分支機構に支給される運転資金の総和は、本店の資本金総額の60%を超えてはならない。
第20条 商業銀行の分支機構を設けるとき、申請者は中国人民銀行に次の各号に掲げる書類、資料を提出するものとする。
1 申請書。申請書には設置予定の分支機構の名称、運転資金の額、業務範囲及び本店と分支機構の所在地などを記載するものとする。
2 申請者の最近二年間の財務会計報告。
3 就任予定の高級管理者の資格証明。
4 経営方針及び計画。
5 営業場所、安全警備措置及び業務に関連するその他の施設の資料。
6 中国人民銀行が定めたその他の書類、資料。
第21条 設置認可を受けた商業銀行の分支機構は、中国人民銀行から営業許可証の交付を受け、かつ同許可証を示して工商行政管理部門で登記をし、営業免許を受け取る。
第22条 商業銀行は分支機構に対して、銀行全体の統一計算、統一資金運用、分級管理の財務制度を実施する。
商業銀行の分支機構は法人格を持たず、本店の授権範囲内で法に基づいて業務を行い、その民事責任は本店が負う。
第23条 設立認可を受けた商業銀行及びその分支機構は中国人民銀行がこれを公告する。
商業銀行及びその分支機構が営業免許取得の日から正当な理由がなく6カ月を超えて開業しないとき、または開業後連続6カ月以上自ら業務を停止したときには、中国人民銀行が営業許可証を取り消し、その旨を公告する。
第24条 商業銀行は次の各号に掲げる変更事項の一つがあるときは、中国人民銀行の認可を受けるものとする。
1 名称の変更。
2 登記資本の変更。
3 本店または支店・出張所[分支行]の所在地の変更。
4 業務範囲の調整。
5 資本総額または株式総額の10%以上を保有する株主の変更。
6 定款の改正。
7 中国人民銀行の定めるその他の変更事項。
董事長(行長)、総経理の更迭にあたっては、その就任資格について中国人民銀行の審査を受けるものとする。
第25条 商業銀行の分離、合併には、「中華人民共和国公司法」の規定を適用する。
商業銀行の分離、合併は、中国人民銀行の審査、認可を受けるものとする。
第26条 商業銀行は法律、行政法規の規定によって営業許可証を使用するものとする。営業許可証の偽造、変造、譲渡、賃貸、貸与を禁止する。
第27条 次の各号のいずれかに該当するときには、商業銀行の高級管理者を務めることができない。
1 横領、賄賂、財産侵奪、財産流用の罪若しくは社会・経済秩序破壊の罪を侵して、刑罰の判決を受け、または犯罪のために政治的権利を剥奪されること。
2 経営のまずさのために破産し、清算された公司、企業の董事または工場長[廠長]、支配人[経理]を務め、かつ当該公司、企業の破産に個人的責任があること。
3 違法のために営業免許を取り消された公司、企業の法定代表者を務め、かつ個人的責任があること。
4 比較的多額の個人債務を期限が来ても完済できないこと。
第28条 いかなる単位及び個人も商業銀行の株式総額の10%以上を購入するときは、事前に中国人民銀行の認可を受けるものとする。
第3章 預金者の保護
第29条 個人の貯蓄性預金業務を扱う商業銀行は、自由意思による預入れ、自由な引出し、利子の支払い、預金者の秘密保護の原則に従うものとする。
個人の貯蓄性預金について、商業銀行はいかなる単位または個人の照会、凍結、差引き請求をも拒否する権限を有する。ただし法律に別段の定めがある場合を除く。
第30条 単位の預金について、商業銀行はいかなる単位または個人の照会請求をも拒否する権限を有する。ただし法律、行政法規に別段の定めがある場合を除く。またいかなる単位または個人の凍結、差引き請求をも拒否する権限を有する。ただし法律に別段の定めがある場合を除く。
第31条 商業銀行は中国人民銀行の定める預金金利の上下限に従って預金金利を決め、これを公表するものとする。
第32条 商業銀行は中国人民銀行の規定に従って中国人民銀行に預金準備金を預け、十分な支払準備金を残すものとする。
第33条 商業銀行は預金の元金及び利息の支払いを保証するものとし、預金の元金及び利息の支払いを引き延ばし、または拒否してはならない。
第4章 貸付けその他の業務の基本規則
第34条 商業銀行は国民経済・社会発展の必要に基づき、国の産業政策の指導のもとで貸付け業務を行う。
第35条 商業銀行の貸付けは、借入金の使途、返済能力、返済方法などの状況を厳格に審査するものとする。
商業銀行の貸付けは、審査と貸付けの分離、分級審査・承認の制度をとるものとする。
第36条 商業銀行の貸付けでは、借入者は担保を提供するものとする。商業銀行は保証人の返済能力、担保物、質物の権利関係及び価値並びに抵当権、質権の実行可能性を厳格に審査しなければならない。
商業銀行の審査、評価を経て、借入者の信用状態がよく、借入金を返済できることが確認されたときには、担保を提供しないことができる。
第37条 商業銀行の貸付けは、借入者と書面契約を結ぶものとする。契約には貸付けの種類、借入金の使途、金額、利率、返済期間、返済方式、違約責任その他双方が必要と認める事項を定めるものとする。
第38条 商業銀行は中国人民銀行が定めた貸出金利の上下限に従って、貸出金利を決めるものとする。
第39条 商業銀行の貸付けでは、次の各号に掲げる資産負債比率管理の規定を遵守するものとする。
1 自己資金比率は8%を下回ってはならない。
2 貸出残高と預金残高の比率は75%を超えてはならない。
3 流動資産残高と流動負債残高の25%を下回ってはならない。
4 同一借入者に対する貸出残高と商業銀行の資本残高との比率は10%を超えてはならない。
5 資産負債比率管理に関する中国人民銀行のその他の規定。
本法の施行前に設立された商業銀行の資産負債比率が前項の規定に適合しないときには、一定期間内に前項の規定に適合させるものとする。具体的規則[弁法]は国務院が定める。
第40条 商業銀行は関係者に信用貸付けをしてはならない。また他の借入者の貸付けよりよい条件で関係者に担保付貸付けをしてはならない。
前項で関係者とは、次の者をいう。
1 商業銀行の董事、監事、管理者、融資担当者とその近親者。
2 前号に掲げる者が出資し、または高級管理職についている公司、企業その他の経済組織。
第41条 いかなる単位及び個人も商業銀行に貸付けまたは保証を強要してはならない。商業銀行はあらゆる単位及び個人による貸付けまたは保証の強要を拒否する権利を有する。
国務院が認可した特定の貸付け項目については、国有独資商業銀行が貸付けを行うものとする。貸付けによる損失は国務院がこれを補う措置をとるものとする。
第42条 借入者は期限通り借入金の元金及び利息を支払うものとする。
借入者が期限が来ても担保付貸付けを返済しないときは、商業銀行は法により、保証人に貸付金の元金及び利息の支払いを請求し、または当該担保物について優先的に弁済を受ける権利を有する。商業銀行が抵当権、質権の行使によって得た不動産または株式は、取得の日から1年以内に処分するものとする。
借入者は期限が来ても信用貸付けを返済しないときには、契約の定めに従って責任を負うものとする。
第43条 商業銀行は中華人民共和国内で信託投資及び証券取扱業務に従事してはならず、自用に供する以外の不動産に投資してはならない。商業銀行は中華人民共和国国内で、銀行以外の金融機関及び企業に投資してはならない。本法施行以前に、商業銀行が銀行以外の金融機関及び企業に投資した場合は、国務院が別段実施方法を定める。
第44条 手形引受、為替、委託代金取立などの決済業務を行う商業銀行は、所定の期限通り決済し、受払い・記帳するものとし、伝票、手形を押え、または規定に違反して手形を戻してはならない。引受け、受払い・記帳の期限に関する規定は公表するものとする。
第45条 商業銀行が金融債を発行し、または海外で借入れをするときは、法律、行政法規の規定により認可を受けるものとする。
第46条 コール取引は、中国人民銀行が定めた期限を守るものとする。コール取引の期限は最長4カ月を超えてはならない。コールマネーを使って固定資産貸付けをし、またはコールマネーを投資に充てることを禁止する。
コールローンは、預金準備金を預け、支払準備金を残し及び中国人民銀行の期限の来た借入金を返済した後の遊休資金に限られる。コールマネーは手形及び為替交換じりの決済並びに臨時運転資金に充てる。
第47条 商業銀行は規定に反して利率を引上げまたは引下げ並びにその他の不正手段を使って預金を受け入れ、貸付けをしてはならない。
第48条 企業・事業単位は自主的に一つの商業銀行の営業場所を選んで、日常の振替決済及び現金受払いを行う一つの基本勘定口座を開くことができる。二つ以上の基本勘定口座を開いてはならない。
いかなる単位及び個人も個人名義の口座を開いて単位の資金を預け入れてはならない。
第49条 商業銀行の営業時間は、顧客の利便を図るようにし、これを公告するものとする。商業銀行は公告した営業時間に営業するものとし、任意に営業を停止し、または営業時間を短縮してはならない。
第50条 商業銀行は業務を扱い、サービスを提供するとき、規定に従って手数料を徴収する。
第51条 商業銀行は国の関係規定に従って、財務会計諸表、業務契約その他の資料を保存するものとする。
第52条 商業銀行の職員は法律、行政法規及びその他の業務管理諸規定を遵守するものとし、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1 職務上の立場を利用して、賄賂を要求、収受し、または国の規定に違反して各種名目のリベート、コミッションを受け取ること。
2 職務上の立場を利用して、自行または顧客の資金を横領、流用、侵奪すること。
3 規定に違反し、私情にとらわれて親族、友人に貸付けまたは保証をすること。
4 他の経済組織で兼職すること。
5 法律、行政法規及び業務管理規定に違反するその他の行為。
第53条 商業銀行の職員は在職中に知った国家秘密、商業秘密を漏らしてはならない。
第5章 財務会計
第54条 商業銀行は法律及び国の統一的会計制度並びに中国人民銀行の関係規定によって、自行の財務、会計制度を確立するものとする。
第55条 商業銀行は国の関係規定に従って、業務活動及び財務状態を正しく記録し、かつ全面的に表示し、年度財務会計報告を作成し、中国人民銀行及び財政部門に会計諸表を遅滞なく提出するものとする。商業銀行は法定の会計帳簿以外に、会計帳簿を設けてはならない。
第56条 商業銀行は毎会計年度終了後3カ月以内に、中国人民銀行の規定に従って、前年度の営業成績及び会計検査報告を公表するものとする。
第57条 商業銀行は国の関係規定に従って、貸倒準備金を積み立て、貸倒を償却するものとする。
第58条 商業銀行の会計年度は新暦1月1日から12月31日までとする。
第6章 監督管理
第59条 商業銀行は中国人民銀行の規定に従って、自行の業務規則を定め、自行の業務管理、現金管理及び安全警備制度を確立するものとする。
第60条 商業銀行は自行の預金、貸付け、決済、貸倒れなどの状況について点検、検査制度を確立するものとする。
商業銀行は分支機構に対して、恒常的な点検及び検査による監督を行うものとする。
第61条 商業銀行は定期的に中国人民銀行に貸借対照表、損益計算書その他の財務会計諸表及び資料を提出するものとする。
第62条 中国人民銀行は本法第3章、第4章、第5章の規定により、商業銀行の預金、貸付け、決済、貸倒れなどの状況について随時検査、監督を行う権限を有する。検査、監督に当たって、検査監督要員は適法な証明書類を呈示するものとする。商業銀行は中国人民銀行の要求に従って、財務会計資料、業務契約及び経営管理面のその他の情報を提供するものとする。
第63条 商業銀行は法により会計検査機関の会計検査による監督を受けるものとする。
第7章 接収管理及び終了
第64条 商業銀行で信用危機がすでに発生し、または発生する恐れがあり、預金者の利益に重大な影響が及ぶ際には、中国人民銀行は当該銀行を接収管理することができる。
接収管理の目的は接収管理される商業銀行に対し必要な措置を講じることによって、預金者の利益を守り、商業銀行の正常な経営能力を回復させることにある。接収管理される商業銀行の債権債務関係は、接収管理によっても変わらない。
第65条 接収管理は中国人民銀行が決定し、かつ実施させる。中国人民銀行による接収管理の決定には、次の各号に掲げる内容を記載するものとする。
1 接収管理される商業銀行の名称。
2 接収管理の理由。
3 接収管理組織。
4 接収管理期間。
接収管理の決定は中国人民銀行がこれを公告する。
第66条 接収管理は接収管理決定の実施の日から始まる。
接収管理開始の日から、接収管理組織が商業銀行の経営管理権限を行使する。
第67条 接収管理期間が満了したとき、中国人民銀行は延長を決定することができる。ただし接収管理期間は最長2年を超えることができない。
第68条 次の各号のいずれかに該当するときには、接収管理は終了する。
1 接収管理決定に定める期間が満了し、または中国人民銀行が決定した接収管理の延長期間が満了すること。
2 接収管理期間の満了以前に、当該商業銀行が正常な経営能力を回復していること。
3 接収管理期間の満了以前に、当該商業銀行が合併され、または法によって破産宣告されること。
第69条 商業銀行は分離、合併によりまたは定款に定める解散事由が生じて解散する必要があるときには、解散の理由及び預金の元金及び利息の支払いなどの債務完済計画を添付して、中国人民銀行に申請を出すものとし、中国人民銀行の認可を経て解散する。
商業銀行が解散するときには、法によって清算組を設け、清算を行い、完済計画に従って遅滞なく預金の元金及び利息などの債務を返済するものとする。中国人民銀行は清算の過程を監督する。
第70条 商業銀行が営業許可証取消しのために廃止されるときには、中国人民銀行は法により遅滞なく清算組を設けさせ、清算を行い、完済計画に従って預金の元金及び利息などの債務を遅滞なく返済させるものとする。
第71条 商業銀行が期限の来た債務の支払いができないときは、中国人民銀行の同意を得て、裁判所[人民法院]が法によって破産を宣告する。商業銀行が破産宣告されたときには、裁判所が中国人民銀行などの関係部門及び関係要員に清算組を設けさせ、清算を行わせる。
商業銀行の破産清算に当たっては、清算費用を支払い、従業員の未払い給与及び労働保険費用を支払った後、個人貯蓄性預金の元金及び利息を優先的に支払うものとする。
第72条 商業銀行は解散、廃止及び破産宣告によって終了する。
第8章 法的責任
第73条 商業銀行が次の各号のいずれかに該当し、預金者またはその他の顧客に財産上の損害を与えたときは、延滞利息の支払いその他の民事責任を負うものとする。
1 理由なく預金の元金及び利息の支払いを引き延ばし、拒否すること。
2 手形引受などの決済業務の規定に違反して、これを決済せず、受払い・記帳をせず、または伝票、手形を押さえ、若しくは規定に反して手形を戻すこと。
3 個人の貯蓄性預金または単位の預金について不法な照会、凍結、差引きの請求に応じること。
4 本法の規定に違反して、預金者または他の顧客に損害を与えるその他の行為。
第74条 商業銀行が次の各号のいずれかに該当する場合は、中国人民銀行が是正を命じ、違法所得があるときは、違法所得を没収し、違法所得の1倍以上5倍以下の罰金を併科し、違法所得がないときは、10万元以上50万元以下の罰金に処する。情状が特に重く、または期限を過ぎても是正しないときは、中国人民銀行が休業改善を命じ、または営業許可証を取り消すことができる。犯罪を構成するときは、法によって刑事責任を追及する。
1 認可を受けないで金融債を発行し、または海外で借入れをすること。
2 認可を受けないで公債を売買し、または外貨を売買、代理売買すること。
3 国内で信託投資及び株式業務に従事し、または自用に供する以外の不動産に投資すること。
4 国内の銀行以外の金融機関及び企業に投資すること。
5 関係者に信用貸付けをし、または他の借入者の同種貸付けよりもよい条件で担保付き貸付けをすること。
6 虚偽のまたは重要な事実を隠した財務諸表及び統計諸表を提供すること。
7 中国人民銀行による点検、検査、監督を拒否すること。
8 営業許可証を賃貸し、貸与すること。
第75条 商業銀行が本法第73条で定めている各号または次の各号のいずれかに該当する場合は、中国人民銀行が是正を命じ、違法所得があるときは、それを没収し、違法所得の1倍以上3倍以下の罰金を併科し、違法所得がないときは、5万元以上30万元以下の罰金に処する。
1 中国人民銀行の定める比率で預金準備金を預けていないこと。
2 資本比率、預貸比率、資産流動性比率、同一借入者への貸付け比率及び中国人民銀行の資産負債比率管理に関するその他の規定を遵守していないこと。
3 認可を受けないで分支機構を設置すること。
4 認可を受けないで分離、合併を行うこと。
5 コール取引が定められた期限をこえ、またはコールマネーを使って固定資産貸付けを行うこと。
6 規定に違反して利率を引き上げ、または引き下げ並びにその他の不正手段を使って預金を受け入れ、貸付けをすること。
第76条 商業銀行が本法第73条〜第75条の規定に該当する場合は、直接の責任を負う主管者その他の直接責任者に規律処分を行い、犯罪を構成するときは、法によって刑事責任を追及する。
第77条 次の各号のいずれかに該当する場合は、中国人民銀行が是正を命じ、違法所得があるときは、それを没収し、違法所得の1倍以上3倍以下の罰金を併科し、違法所得があるときは、5万元以上30万元以下の罰金に処する。
1 認可を受けないで名称中に「銀行」の文字を使用すること。
2 認可を受けないで商業銀行の株式総額の10%以上を取得すること。
3 個人名義の口座を開いて単位の資金を預け入れること。
第78条 商業銀行が規定に従って中国人民銀行に関係の書類、資料を提出しない、または本法第24条の規定に違反して変更事項について認可を受けない場合には、中国人民銀行が是正を命じ、期限を過ぎても是正しないときは、1万元以上10万元以下の罰金に処する。
第79条 中国人民銀行の認可を受けないで、任意に商業銀行を設立し、または不法に公衆の預金を受け入れ若しくは形を変えて公衆の預金を受け入れた場合は、法により刑事を追及し、かつ中国人民銀行がこれを取り締まる。
商業銀行経営許可証を偽造、変造、譲渡した場合は、法によって刑事責任を追及する。
第80条 借入者が詐欺の手段を使って融資を受け、犯罪を構成するときには、法によって刑事責任を追及する。
第81条 商業銀行の職員が職務上の立場を利用して、賄賂を要求若しくは収受し、または国の規定に違反して各種名目のリベート、コミッションを受け取った場合は、法によって刑事責任を追及する。
前項の行為をして、貸付けまたは保証をし、損害を与えたときは、全部または一部の賠償責任を負うものとする。
第82条 商業銀行の職員が職務上の立場を利用して、自行または顧客の資金を横領、流用または侵奪し、犯罪を構成するときには、法によって刑事責任を追及する。犯罪を構成しない場合は、規律処分にするものとする。
第83条 商業銀行の職員が本法の規定に違反して職務を疎かにし、損害を与えたときは、規律処分にするものとし、犯罪を構成するときは、法によって刑事責任を追及する。
規定に違反し、私情にとらわれて親族、友人に貸付けまたは保証をし、損害を与えたときは、全部または一部の賠償責任を負うものとする。
第84条 商業銀行の職員が在職中に知った国家秘密、商業秘密を漏らした場合は、規律処分にするものとし、犯罪を構成するときは、法によって刑事責任を追及する。
第85条 単位または個人が商業銀行に貸付けまたは保証を強要した場合には、直接の責任を負う主管者その他の直接責任者または個人を規律処分にするものとし、損害を与えたときは、全部または一部の賠償責任を負うものとする。
商業銀行の職員が単位または個人が商業銀行に貸付けまたは保証を強要するのを拒否しなかった場合は、規律処分にするものとし、損害を与えたときは、相応の賠償責任を負うものとする。
第86条 商業銀行とその職員は中国人民銀行の処罰の決定に不服があるときは、「中華人民共和国行政訴訟法」の規定によって裁判所に訴訟を提起することができる。
第9章 付則
第87条 本法の施行以前に、国務院の規定に従って設立認可を受けた商業銀行は再度審査、認可の手続きをとらない。
第88条 外資商業銀行、中外合弁商業銀行、外国商業銀行支店には本法の規定を適用し、法律、行政法規に別段の定めがある場合は、その規定による。
第89条 都市信用協同組合、農村信用協同組合が預金、貸付け及び決済などの業務をするときは、本法の関係規定を適用する。
第90条 郵政企業が郵政貯蓄、為替業務をするときは、本法の関係規定を適用する。
第91条 本法は1995年7月1日から施行する。
[]内は原語。
なお、「中華人民共和国商業銀行法」改正に関する全人代常務委の決定(2003年12月27日採択)は2004年2月1日から施行される。
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