2004 No.20
(0510 -0514)

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中国人労働者強制連行問題、
基金会設立を日本に提案

中日弁護士界は5月12日、第2次大戦中に日本に強制連行された中国人労働者のための賠償基金の設立を日本の国会と政府に提案する予定であることを北京で明らかにした。これは中国人労働者強制連行問題の全面的な解決へ向けた重要な一歩とする。

「中国人戦争被害者賠償請求訴訟・日本弁護士団」の小野寺利孝幹事長によると、日本弁護士団は中国側の弁護士や被害者代表と話し合ったうえで、今月末に日本の国会または政府に案を提出する方針だ。

すでに作成された草案には、日本政府や強制連行に関わった企業が中国人労働者を強制的に連行して労働させた歴史的事実を認め、誠意を込めて謝罪することを前提に、賠償基金会を共同出資で設立し、中国人被害者とその遺族に賠償と救済を提供すべきだとの内容が盛り込まれている。

小野寺幹事長によると、この基金はドイツの「記憶・責任・未来基金」を手本に計画されたものであり、日本が歴史を直視し、中国人労働者強制連行問題の全面的な解決を推し進める希望がある。また、日本各地ではこの2年間、中国人労働者強制連行問題の賠償請求訴訟で原告側が勝訴するケースが増えており、基金会の設立の機が熟しつつあるとしている。

小野寺幹事長はさらに、「勝訴で恩恵を受けるのは個別の案件の原告側だけだ。訴訟を通して中国人被害者すべてが賠償を獲得するには長い時間がかかり、現実的ではない。存命の中国人被害者はすでに高齢で、賠償を得ることは非常に差し迫った任務となっている」と語った。

日本政府の調査で、第2次大戦中に日本に強制連行されて、過酷な労働を強いられた中国人が3万8935人にのぼっていることが判明した。被害者はそれぞれ日本企業35社により135カ所で強制労働に従事させられた。非人道的な待遇を受け、労働の報酬もなく、約7千人が死亡した。

中華全国弁護士協会の民間対日賠償請求指導チームの康健副主任(北京方元弁護士事務所)は、「草案からみて、基金会の設立は中国労働者強制連行問題の解決に役立ち、他の戦争賠償訴訟も進展させるだろう」と述べた。

日本弁護士側の提供したデータによると、第2次大戦後の国連決議により、日本には同問題の中国人被害者への賠償金支払いが義務付けられている。支払い義務が認められながらも実際には支払われていない8千万円(現在の800億円に相当)は、日本政府に保管が委託されている。また、中国人労働者を強制労働させた日本企業は戦後、日本政府から5672万円(現在の600億円に相当)の補償金を受け取っており、こうした資金も基金会設立の基礎とすることが可能という。