2004 No.22
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中国の市場経済はどの程度発展したか

  呉綜之

杭州スプリングワッシャー公司董事長趙関祥氏は「この10年の『対外訴訟』は本当に苦労した」と感慨無量に語った。

1992年、アメリカのあるスプリングワッシャー・メーカーは中国の同業者がダンピングしていると非難した。郷鎮企業であった杭州スプリングワッシャー工場は応訴を決定し、中国の企業が反ダンピングに応訴する先例をつくった。しかし、アメリカの関係方面は当年やはり中国が「非市場経済国」であることを理由として、中国の企業に対し128.63%の反ダンピング税率を裁定した。その後の10年間に、従業員が100余人しかないこの民営の小さな工場は毎年のように再議を提出し、訴訟費用を前後して600万元使用し、ついに2002年末にダンピング税率ゼロという結果を手に入れ、アメリカ市場に再進出した。

趙関祥氏と同じように、国外の反ダンピング訴訟に直面している中国の多くの企業家は理解に苦しんだ。彼らは「われわれは政府のために生産しているわけでもなく、政府もわれわれに原料とか労働者を提供していない、すべてが市場から来て市場に送り出しているのに、市場経済ではないというのはなぜだろうか」と言った。

1970年代末期から中国は改革・開放をやり始め、計画経済が市場経済に変わった。これは停まることのない動的過程であり、ここ10年は速度がいちだんと速くなった。

中国の市場経済はいったいどの程度まで発展しているのか。一般公衆が感覚に頼って回答するのと違って、専門家はこれにいっそう理性的に精確に回答する必要があった。昨年、北京師範大学経済と資源管理研究所の完成した「2003中国市場経済発展レポート」は、2001年の中国の市場経済の発展程度は69%としている。

この研究を主宰した北京師範大学経済と資源管理研究所所長の李暁西氏は、60%は一国が市場経済基準に達したかどうかを判定する臨界レベルであり、中国は69%の市場経済レベルに達したので、疑いなく市場経済国である。経済体制改革の内在的要求とWTO加入時の約束という外部からの推進につれて、市場化程度は引き続き高くなっていると語った。

数字はどのように得られたのか

一国の市場経済の発展程度を客観的に評価するのは、容易なことではない。というのは、国情の相違、経済制度の巨大な差異、各国の法律、規則による障害、および評価する人の出発点と立場がいずれも一国の市場経済の発展程度に対する評価に影響するからである。

李暁西教授はこう語った。人々があれこれの国が市場経済国であり、あれこれの企業が市場経済企業であるというと、自ずと市場経済とはなにか、標準の市場経済とはなにか、または市場経済の基準はなにかという問題にぶつかる。さもなければ、どうしてあれこれの国が市場経済国であるまたはそうではないという結論を引き出せるのか。事実上、市場経済基準の存在を認める人もいれば否定する人もいる。この両者はそれぞれ理由がある。ここではわれわれは国際貿易の中で反ダンピングのために提出した命題、つまり市場経済基準が存在していることを受け入れてもよいが、同時にそれが相対的なものであるとも見ている。

李暁西教授はさらに言葉を続けた。中国の市場化発展の程度を判断するには、多くの推し量る指標が必要である。われわれの研究は、現代経済理論の市場経済に対する主要な概括に基づき、国内外の市場経済発展の歴史と現実から出発し、アメリカ、EU、カナダの反ダンピングの市場経済基準に対する法律の規定を参考して、市場経済国とはなにかに対し、五つの方面がとくに重要であり、またその中から五つの共通性をもつ基準――政府の役割の問題、企業の権利と行為の問題、投入する要素のコストと価格の問題、貿易問題、金融パラメーター問題を概括することができると見ている。市場経済の五大基準に対する客観的分析を踏まえて、われわれは33の変量指標を中国の経済市場化程度を推し量る指標とすることを確定した。これを基礎として、アメリカの伝統的な基金会の点数評定方法を参照して、2001年の中国の経済市場化の各変量指標、要素と経済全体を推し量る結果を得た。

この33の指標は経済分野の各方面にかかわっており、それを11の方面に帰納して、11個の子要素とも称している。33の変量指標の価値量の基礎の上で11の子要素の点数評定の価値量を得ることができる。価値量は低いものから高いものへ、つまり自由度と市場化程度の高いものから低いものへの排列順序は、「貿易商品定価自由度」1.33点、「資本と土地」1.67点、「企業運営」2点、「非国有経済の貢献」2.4点、「政府の財政負担」2.5点、「公平貿易に対する法律の保護」2.5点、「労働と賃金」2.67点、「経済への政府干与」3点、「銀行と通貨」3点、「利率と為替レート」3点、「貿易自由度」3.5点である。

11の子要素の価値量を基礎として、五大要素を帰納する。この五大要素の点数評定の価値量に基づくと、低いものから高いものへ、つまり自由度と市場化程度が高いものから低いものへの排列順序は、生産要素市場2.17点、経済主体自由化2.2点、貿易環境公平化2.44点、政府管理規範化2.75点、金融パラメーター合理化3点である。

五大要素の価値量を基礎として、算術平均計算を行うと、中国の市場経済程度の総評点は2.51点であり、パーセントに換算すれば、69%に近いもので、これは中国の市場経済程度が市場経済の臨界レベルである60%を超えているが、欧米など先進的な市場経済国と比べてまだある程度の格差があることを示している。

李暁西教授は、中国は「発展途上の市場経済国」であると見ている。

発展途上の市場経済国

国家資源委員会副秘書長の馬建堂博士は、「中国の市場化発展程度は69%で、残りの31%がすべて政府の干与によってもたらされたものとは限らない。市場自体の発育程度によるものが少なくないと思う」と語った。

国務院発展研究センターマクロ経済研究部部長の盧中厚博士は、「この31%のうち、軽々しく市場化と言えないものが一部分ある」としている。

同博士は「一部の分野に(市場経済のやり方を)さらに一歩進んで導入すればいいと考えてはならない。導入できないものも一部分ある。政府の機能は減らしてはならず、強化すべきだ」と強調し、例えば農村の公衆衛生、教育、農民が農業以外の産業に従事する場合の待遇問題、農民労働者の合法的権益保障などの問題をすべて市場に解決させることができるだろうかと語った。

李暁西教授はこう語った。なるほど、中国はまだ完全市場化を実現していないが、100%の市場化とはなにか、どの国が100%の市場化を実現させたか。中国に投資する場合、69%の市場化は自分にとって重要でないとでも言うのだろうか。若干の方面がまだ市場化の臨界レベルに達していないことに至っては、この部分が非市場化の真空地帯だと言うのではない。事実上、これら分野の市場化も急速に推進されている。例えば、中国のWTO加入後わずか2年で、国務院が廃棄するか改正すると発表した法律はすでに1000件にも達している。いまの経済環境は2年前と比べて大きく違っている。

李暁西教授は次のように言葉を続けた。市場経済国であると公認された一部の国の経済制度に差異があることをわれわれは見て取っている。ある国が市場経済国であるから、この国と差異のある国は市場経済国とは言えないと断言する人はいないだろう。各国の基礎、伝統、発展段階が同じでないため、市場経済の形式ひいては一部分の内容も必然的に違ってくる。われわれは市場経済に一定の基準があると考えるのは正しいが、この基準を絶対化、簡単化させるのもよくない。この市場経済基準の枠組みは絶対的なものではなく、点でもなければ線でもなく、市場経済の基本的特徴を基礎としてつくられた区間で、ある程度の差異と逸脱の存在を認める状態区間であり、各国の市場経済の共通性を主とし、差異性を従として形成された豊富多彩な市場経済の状態区間である。