2004 No.29
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「曹氏凧」作りの孔家三代

封靖

孔柄彰さんが制作した凧〈金猴献瑞〉が先ごろ北京で開催された第一回中国民間工芸品博覧会で山花賞を獲得した。

凧揚げ愛好者の間でよく知られている曹氏凧は祖父・孔祥沢、その子・孔令民、孫・孔柄彰の孔家三代が研究を重ねて制作したもの。曹氏凧という名称は曹雪芹の著作「南鷂北鳶考工誌」からきたものである。曹雪芹は清代の偉大な文学者で、その古典名著「紅楼夢」は中国で知らない人はいないが、かれが凧についての著作を書いたことはあまり知られていない。

孔令民さんの紹介によると、1943年、大学で彫塑を学んでいた父の孔祥沢が曹雪芹の遺作「廃芸斎集稿」(八巻)を偶然に見つけ、その第二巻が「南鷂北鳶考工誌」であり、そこに数十の凧の作り方、揚げ方が書いてあったという。

この「南鷂北鳶考工誌」を参考にして、孔家三代は凧の制作を研究し続け、制作に成功した凧に「曹氏凧」と命名した。

「曹氏凧の最大の特徴は中国南北の凧制作技術を有機的に結び付けていることである」と孔令民さんは語る。

南部は風が相対的に弱いため、一般に比較的柔らかい素材で翼を作り、北部は風が強いため、硬い素材で翼を作る。曹氏凧はこの硬軟の2つの特徴を兼ね備え、どのような風力でも、よく揚るようにできている。

曹氏凧の造形は立体感があり、人物、鳥獣の形をした凧はまるで本当の人間、鳥獣が空を飛んでいるかのように見える。

曹氏凧の代表格は「沙燕」である。沙燕は象徴的な意味をもち、人びとの吉祥、幸福への憧れを象徴している。曹氏凧の絵も寓意に富んでいる。

祖父の孔祥沢さんは芸術的に造詣が深く、本職は展覧会デザイナー。その子の孔令民さんは農業、工業、商業など多くの分野の仕事をした経験があり、70年代末に郷鎮企業で凧作りの技術的指導をし始めた。1980年、北京第一回花卉凧展で曹氏凧を出品し、好評を博した。その後、何度も国内外の凧展、凧揚げ大会に参加し、多くの賞を獲得した。

今では、すべての職を辞し、北京西郊に家を買い、凧揚作りに専念している。

3年前、息子の孔柄彰さんが大学を出て、凧作りの道に入ることにした。これに孔令民さんは大変喜んだ。「柄彰は進歩がはやく、凧制作レベルは多くの面で私をしのいでいる。芸術レベルをいっそう高めるために、美術学院に入れてやるつもりをしている」と息子の将来に大きな期待を寄せる。

孔家の凧作品は内外博物館、凧愛好者に収蔵され、その名を慕って凧を買いに来る人が

後を絶たない。ただ高級品なので、値がはり、中型作品で一般に千元以上する。

この祖父・子・孫三代は1年かけて、曹氏凧について系統的に論じた「曹雪芹凧芸術」を書き上げ、昨年出版した。