2004 No.30
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軍事大国をめざす日本

――2004年「防衛白書」の発表と日本の近年来の中日関係における言動は、軍事拡張の道を進む日本に対する人びとの憂慮をいっそう大きくさせている。

斐遠穎(外交ペンクラブ)

歴史、地縁、現実などの原因で、日本はどこへ行くのかという疑問が日本の隣国さらにはアジア地域の人びとの心から拭いきれない。最近発表された日本の「2004年度版防衛白書」は人びとの注目と警戒心を引き起こさないわけにはいかない。「防衛白書」の内容と日本が近年うち出した一連の軍事措置を結び付けて見ると、日本の軍事政策が人びとを不安にさせる方向に進んでいることに気がつく。

この「白書」は初めて国際協力活動を自衛隊の「基本任務の一つ」とし、日本は自衛隊の国際活動空間を拡大し、軍事面で国の地位にふさわしい国際貢献をすべきであると強調している。これは実際には日本が軍事大国になろうとしていることを示すものである。

80年代から、日本は専守防衛政策を調整し、作戦指導方針を変え、防衛体制を改革し、国連の平和維持活動法などの法律を利用して海外に派兵しはじめた。ここ2年、また続けざまに有事法制3法案、有事関連7法案などを成立させ、日本の平和憲法の規制を突き破り、日本が国際軍事活動に広く参加する道を切り開いた。今年、日本の国会は「イラク復興特措法案」を採択し、イラクへの派兵を支持し、国際戦争地区に派兵する先例を正式に開いた。

日本がなぜこれほど海外派兵に熱中するのだろうか。日本政府は、日本を「普通の国」にするためだと言っているが、事実は決してそうではない。日本政府の政策は明らかにいわゆる海外活動を通じて、日本の軍事力の向上、とくに兵力の長距離輸送能力と後方保障能力の大幅な向上を狙っているのである。早くも2001年、日本は、精鋭かつ強大な自衛隊をつくることをうち出した。これを受けて、日本は軍隊の質的建設を重視し、装備の先進化、大型化、遠距離化をすすめ、かつ新しい中央指揮系統を始動させ、陸海空自衛隊の参加を含むネット部隊を組織し、空中機動師団だけでなく、空母の建造も積極的に準備し、宇宙軍事計画を提出した。今秋通過する新防衛大綱は、自衛隊は独立行動能力をそなえ、シーレーン防衛用の艦隊と航行部隊をもつようにし、そのために多くの先進武器装備の導入を必要としているとしている。日本の軍事費支出は膨大で、世界2位、軍事装備は世界一流であり、その精良さはアメリカに次いでいる。日本は一歩一歩と軍事大国の目標に向かって突き進んでいるのだ。

「白書」は日米両国のグローバルな協力をいっそう強化すべきだと強調している。有事法制と「日米物品役務相互提供改正協定」に基づいて、日本または周辺に緊急事態が発生した場合、日本は米軍に物資と労務を提供するほか、米軍陣地を構築するために民間の土地を提供し、必要なときには、米軍に弾薬を提供することもでき、また日本は海外の戦区に派兵し、かつ世界のどこでも米軍の物資労務の支持を受けることができるとしている。日本の防衛はすでに「本土防衛型」から「海外関与型」に転換している。

「朝日新聞」の報道によると、新たなラウンドの日米軍事一体化が進んでいるという。日米両国は昨年、防衛政策再検討会議を設けたが、これは戦略的協調をはかるためのもので、これには日本の外務省、防衛庁、アメリカの国務省、国防総省の次官級の要人が参加している。報道によると、アメリカは日米軍事力を整合するため、沖縄に駐屯している一部米海兵隊を北海道に移し、同時に日本の航空自衛隊の総司令部を米軍司令部のある横田空軍基地に移転することについて、日本政府と交渉を進めている。日本の国会は、2008年3月までに配備するミサイル防衛システムを構築するため、今年10億ドルを支出することを承認した。このシステムのため、日米両国は2005年にハワイ海域で、ミサイル迎撃実験を行ない、その第一歩として、アメリカは9月に日本海に長距離ミサイル追跡能力のあるイージス駆逐艦を配備することにしている。

事実、日本はすでにアメリカのアジアにおける戦略的中心となっている。共同通信社が先ごろもらしたところによると、アメリカ政府は陸軍第一軍司令部をアメリカの西海岸から日本に移すことにしているという。この第一軍の主な任務はアジア太平洋地域で発生する不測の事件や衝突に対応することである。したがって、この移転の意味は言わないまでも明白だ。日本は「自主的防衛」を強調し、多国間安全保障メカニズムを構築すると言っているが、日本の安全戦略はやはり日米軍事同盟が礎となっており、日米安全保障体制の強化を日本の安全戦略の三大支柱の中での第一の位置に置いている。

日本の軍事力のアップと日米軍事同盟の強化はどの国に向けられたものなのであろうか。「防衛白書」がそれに回答してくれている。「防衛白書」は多くのスペースをさいてアジア太平洋地域の軍事情勢を分析し、周辺情勢に警戒心を高め、とくにわざと「中国の国防予算の増加」「中国の海洋調査船の日本の専管経済区進入」「海洋権益紛争」などの問題に高度の警戒心を保たなければならないと強調している。日本の首相の私的諮問機関は、日本は終始海空軍力の面で中国に対する優位を維持する必要があるなどと言っている。日本の軍事分析家は「反テロ」「拡散防止」を煙幕に、日本の軍事戦略の重点はすでに北部から西部へ移されており、西部とは主に中国を指していると指摘している。

日本側は「自衛」のためには「先制」手段で敵国のミサイル基地を攻撃することもできるとたびたび表明している。これは中国に対したものではないと日本は繰り返し言っているが、そう言えば言うほど、人にはなおさらそらぞらしく聞こえるのである。日本が軍事の触覚を中国領土の範囲に伸ばしているのはとっくに秘密ではなくなっている。早くも90年代に「日米防衛協力のための新指針(新ガイドライン)」が発表されると、日本側は日米防衛の範囲は台湾も含むと重ねて表明した。さきごろ、日本の外務省のスポークスマンは、「有事法案」で決められている範囲に基づくと、台湾、釣魚島だけでなく、さらには中国の南海地域も「有事」の範囲に入っており、釣魚島が攻撃を受けるなら、米日両国は日米安全保障条約に基づいて防衛行動をとるなどと公言した。昨年11月、米空母艦隊と海上自衛隊がはじめて中国東海の浅海海域で、対潜水艦訓練を行ない、先ごろまた、航空自衛隊と米空軍が12日間の超大型の空戦演習を行なった。注意すべきは、このような演習は旧ソ連を対象に北海道で続けられていたものであるが、それを台湾付近に移した下心は見え透いたものであることである。

「防衛白書」の日本の安全範囲に対する新画定、「専守防衛」戦略に対する再突破などは、「普通の国」になる願いを一歩前に進めたものである。このような願いはもともと非難されるものではないが、問題は日本がどのような「普通の国」になろうとしているかである。第一種の「普通の国」は善隣友好政策をとり、歴史に正しく対処し、隣国と経済面で互恵の協力を行ない、軍事面で共同安全を保障することができるものであるが、もう一種は「普通の国」になりたいという名のもとに、実際には軍備を拡張し、周辺諸国に脅威をあたえるというものである。「白書」の発表と日本の近年来の中日関係における一部言動は、それによって後者のような状況が現れるのではないかと人びとは憂慮しないわけにはいかない。日本の侵略で重大な損失を受けた中国は日本が本当の意味での「普通の国」になり、歴史を鑑として平和発展の道を歩むよう願っている。日本がこのような「普通の国」になるのは日本国民を含むアジア諸国人民の共同の利益に合致しているのである。