2004 No.31
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どう変わる北京

李 子

カナダの留学を終えて北京に帰ってきた兪暁二さんはまずクルマを買った。彼女にとって留学していた3年間に北京がこんなに大きく変わるとは思いもよらなかった。2003年、北京ではおよそ30万人が兪さんと同じようにマイカー族の一員となった。北京の自動車保有量は予定より7年も早く200万台に達した。

1997年から、北京の自動車が急増し、6年半の間に増加台数はその前の48年の増加台数にも追いつくほどになった。車の激増、道路交通の混雑、渋滞を前にして、市民の間で北京の都市計画が合理的であるかどうかについて議論が沸いている。

今年の2月、王岐山・北京市長は、人口と産業をより合理的に配置するため、都市計画の修正作業を進めると発表した。

修正の必要性

北京は歴史の長い都市。総面積は約16800平方キロ、人口は1381万9000人で、数千年の歴史文化と現代文化が融合して、今日の北京の特色をなしている。

現行の「北京市総体計画(1991−2010)」は1993年に国務院の認可を得て実施されたが、社会、経済の発展にともなって、人口が増加し、都市が拡大し、資源が不足し、現行の計画が都市の発展状況に適応しなくなったため、北京市政府は繰り上げて修正作業を行うことに決定した。北京市計画委員会の陳剛主任によると、1993年に認可された計画も今年行う修正方案も「人口と産業の合理的な配置」という目標は同じであるが、ここ10年に各方面が大きく変化したことから、現行の計画の多くの指標が繰り上げて達成されているという。

1991年から現在までに自動車の急増のほかに、都市の規模を示す3つの重要指標――人口規模、経済指標、用地規模が大きく変わった。

現行の1993年総体計画は、2010年の北京の常住人口は1250万、流動人口は250万になると予測していたが、2001年に北京の常住人口は1367万、流動人口は263万に達した。

1991年の北京市のGDPは598億8900万元で、当時の総体計画は2010年に北京市のGDPは4倍に増えると見込んでいたが、2002年に北京市のGDPはすでに3130億元に達した。

北京市市区の居住用地は2001年末に1995年の「北京市詳細規制計画」よりも70平方キロ増加し、総量は145平方キロから215平方キロに増えた。この数字は1000万近くの人口を受け入れることができる。専門家の董光器氏は「20年の建設発展からみると、この収容量は大きく繰り上げて実現したものといえる」と語る。

こうして、現行の計画を繰り上げて修正する必要が出てきたため、現行の「北京市総体計画」を7年繰り上げて修正することになったのである。

新しい計画構想

国内外の首都、特大都市、都市文化の発展趨勢の分析を通じて、人間本位と持続可能な発展の理念に基づき、専門家は、「北京の新しい四大定位・三段階戦略」を打ち出した。

北京の新しい四大定位とは@国の首都――政治の中心、国際交流の中心、A世界都市――世界級サービスの中心、世界級大都市地区の中心都市、B有名な文化都市―――文化、教育、科学技術、革新の中心、世界の有名な歴史文化都市、C住みやすい都市――十分な就職機会、快適な居住環境、人間本位・持続可能な発展を大切にする地区の創造、を指す。

北京の未来の発展目標に基づいて、関係部門は3段階に分けて歩む戦略を打ち出した。

第一歩 2003―2008年、全国で率先して現代化を実現し、現代化された国際大都市の基本的枠組みを構築する。第二歩 2009−2020年、現代化を全面的に実現し、北京の著しい特色をもつ現代化された国際大都市の地位を確立する。第三歩 2021−2050年前後、北京は経済、社会、エコが全面的に調和しながら持続的に発展する都市となり、世界都市に仲間入りする。

この四定位と3段階戦略に基づいて、王岐山市長は総体計画の修正にあたって、次の4つの重点を際立たせるよう求めた。@新興都市計画と機能の配置調整A交通とインフラ計画B生態環境保護計画C歴史文化遺産の保護計画。新しい計画は、「両軸・両帯・多中心」の新しい都市空間の枠組みを提起している。「両軸」とは故宮を中心とした南北の中軸線と天安門を中心とした東西の中軸線を指し、「両帯」とは北は懐柔、蜜雲から順義、通州、亦荘の東南を経由し廊坊と天津に向かう「東部発展地帯」と北京西部の山岳部から延慶、昌平などにつながる「西部生態地帯」を指し、「多中心」とは、それぞれ独自の機能を持つ市街地の区と「両帯」に新興都市をいくつか建設することを指す。

北京市交通委員会の趙文芝主任は、この新しい都市空間の枠組みの建設によって、市区の産業と人口が分流され、都市の中心区への交通の圧力が軽減されるとみている。

王岐山市長は、「計画について新しい策定方法を編み出し、経済、社会などの分野の専門家を計画策定の全過程に参加させるべきで、あくまでも計画の科学性、公開性、権威性を堅持しなければならない」と強調している。

紹介によると、理論研究と横の比較を強化し、西側諸国の経験を十分に吸収するため、北京市計画委員会はアメリカとスペインの都市計画専門家を北京市に招いて交流した。

新たなビジネスチャンス

不動産デベロッパーは北京の発展計画に大きな関心を寄せている。この計画は不動産開発事業の展開の道しるべになるからだ。

「両軸・両帯・多中心」の新しい都市空間の枠組みは現在の不動産開発の配置を変え、より多くの発展空間をもたらすだけでなく、同時に大都市の広範な市民の生活と居住モデルに深い影響を与えることになる。

業界の人びとは、この新しい枠組みは北京の不動産市場の持続可能な発展に大きなメリットをもたらすとみている。デベロッパー筋によると、「両帯」付近にますます多くの住宅購入希望者が熱い目を注いでいるという。

向こう数年に北京は周辺に50万以上の人口が居住し就職できる新興都市をいくつか建設することにしており、大がかりな都市づくりキャンペーンが展開されようとしている。ある報道によると、懐柔は中等都市の建設を申請し、大興はまず産業を興して都市づくりを進め、順義は空港タウンを中心に自動車、マイクロ電子、現代物流を発展させ、良郷は高等教育園、物流園をつくり、通州は国際現代都市の新しい市区を築くことにしている。

その筋の専門家は、北京の「中心分流」にともなって、順義、亦荘、通州、懐柔などの地区は産業がそれぞれ異なるため、最終的には定位、ランク、社会階層の異なる居住区となり、北京はいっそう多元化し、いっそう魅力をもつようになるとしている。

産業の再配置で、もとの居住形態が打ち破られ、ますます多くの住民が自分の職業の配置と発展に基づいて、異なる新興都市で都市生活を楽しもうとするようになる。

北京の計画の調整によって、北京に近い天津、廊坊などもデベロッパーが狙いをつける区域となっている。天津の不動産開発の温度が急上昇し、住宅の価格が高騰し、地元のデベロッパーの住宅供給が追いつかず、北京、上海、広東のデベロッパーが天津市場に進出してきている。

北京の金融街をバックに天津の関係部門と順調に商談を進めている北京天融株式公司の董事長・黄建昆氏は、「天津、廊坊などの地区は北京の新計画によって、北京のデベロッパーにとっての新しい戦場となる可能性があり、最近、連日、北京と他省のデベロッパーがこれらの地区で「土地探し」に懸命になっている」と語っている。

北京市総体計画修正タイムテーブル

3月1日〜4月15日 現状調査・研究段階(現場を調査し、資料を集め、現状図を制作する)

4月16日〜5月15日 第一次方案段階(第一ラウンドの初歩的方案を作成する)

5月16日〜6月30日 第二次方案段階(配置方案を初歩的に確定する)

7月1日〜7月7月31日 要綱評価段階(要綱の段階的成果をあげる)

8月1日〜10月15日 成果編制段階

10月16日〜12月31日 論証、公示、上級機関への報告段階