2004 No.37
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中国の社会保障状況と政策

中華人民共和国国務院報道弁公室

2004年9月・北京

 

前書き

社会保障は現代国家の最も重要な社会経済制度の一つである。経済発展レベルに適応する社会保障システムを確立、整備することは、経済と社会の協調的発展の必然的な要求であり、また社会の安定と国の長い将来にわたる安定の重要な保証である。

中国は世界最大の発展途上国であり、人口が多く、経済発展の起点が低く、地区間と都市・農村間の発展がアンバランスであり、そのため、社会保障システムを整備するのは困難に満ちた重い任務である。

中国政府は自国の国情から出発し、あくまで人を本として、社会保障システムの確立と整備を高度に重視し、それに大いに力を入れている。「中華人民共和国憲法」は、国は経済発展レベルに適応する社会保障制度を確立し、健全にすると明確に規定している。中国政府は経済発展を人民生活向上と社会保障実現の基本的前提としている。

1978年の改革・開放以前では、中国は長期にわたり計画経済体制に適応する社会保障政策を実行し、国民に各種の社会保障を最大限に提供した。1980年代中期以降、社会主義市場経済体制の確立と完備に伴って、中国は計画経済期の社会保障制度に対し一連の改革を行い、市場経済体制に適応し、中央政府と地方政府が分担する社会保障システムの基本的枠組みを徐々につくり上げた。

中国の社会保障システムは社会保険、社会福祉、優待慰撫と配置、社会救助、住宅保障などが含まれている。社会保険は社会保障システムの核心部分であり、養老保険、失業保険、医療保険、労働災害保険、出産保険が含まれている。

一、養老保険

中国はすでに老齢社会に入っており、老齢化の進み方が速く、老齢人口が多く、2030年代に人口老齢化はピークに達する。老人の基本的生活を保障し、老人の合法的権益を守るため、中国政府はたえず養老保険制度を整備し、基金調達方式を改革し、多段階の養老保険システムを確立し、養老保険制度の持続可能な発展の実現に努めている。

都市部従業員の基本的養老保険制度建設を強化

――都市部の企業で働く従業員の基本的養老保険制度を改革する。1997年、中国政府は全国の都市部の企業で働く従業員の基本的養老保険制度を統一し、社会統一プールと個人口座の結合を実行した。企業の従業員は法定の停年退職年齢(男性従業員は満60歳、女性幹部は満55歳、女性労働者は満50歳)に達し、しかも個人が保険料を満15年納付した場合、停年退職後は月ごとに基本的養老金を受け取ることができる。基本的養老金は主に定額養老金と個人口座養老金からなり、定額養老金の月間基準額は当地従業員の前年度の毎月の平均賃金の20%前後に相当し、個人口座養老金の月間基準額は本人の個人口座(本人の賃金の11%)の累計貯蓄額の120分の1である。政府は都市住民の生活費用価格指数および従業員の賃金増加状況を参照して、基本的養老金のレベルを調整する。2003年、企業の保険に参加した停年退職者の毎月の基本的養老金は平均621元である。

――基本的養老保険の適用範囲を拡大する。中国の基本的養老保険は最初は国有企業と都市部の集団企業で働く従業員だけに適用していたが、1999年から、その適用範囲は外資企業および都市部の私営企業とその他の企業で働く従業員にまで拡大された。各省、自治区、直轄市はそれぞれの実情に応じて、都市部の個人経営者を基本的養老保険の適用範囲に入れることができる。2002年、中国は基本的養老保険の適用範囲を都市部の流動就労者に拡大した。2003年、全国の基本的養老保険参加者数は1億5506万人に達し、そのうち、従業員は1億1646万人である。

――基本的養老保険制度を整備する改革を試行する。2001年から、中国政府は基本的養老保険制度を整備する改革の試行を始めた。それには主に個人口座をちくじ開設し、基金の部分的蓄積を実現し、基金の価値維持と価値増大の方法を模索すること、定額養老金の計算・支給方法を改革し、定額養老金のレベルを従業員の保険料納付年限といっそう密接に結び付け、従業員が保険料を15年間納付したあと、1年多く納付するごとに、一定の比率で定額養老金を追加支給すること、流動就労者の保険料納付方法を統一し、保険料納付基数を当地従業員の平均賃金に統一し、納付比率を20%に統一することが含まれている。遼寧省で試行してから、2004年に試行の範囲を吉林省、黒竜江省に拡大している。

――機関と事業体の停年退職制度改革を模索する。中国の国家機関および事業体で働く人員の停年養老制度は企業のと異なっている。2003年、機関と事業体の引退休養者は67万人、停年退職者は931万人に達した。1990年代から、一部の地区は機関と事業体の停年退職制度の改革を模索し、停年退職金の社会統一プールの改革を試行し始めた。2003年末現在、社会統一プールに参加した従業員は1199万人、引退と停年退職者は258万人に達した。

さまざまなルートを通じて基本的養老保険基金を調達

人口の老齢化が速くなり、停年退職者が絶えず増える背景の下で、中国の基本的養老保険基金支給の圧力はますます大きくなっている。基本的養老金の期限どおりの全額支給を確保するため、中国政府はさまざまなルートを通じて基本的養老保険基金を調達している。

――企業と従業員が共に保険料を納付する。企業が納付する保険料の金額は企業の賃金総額の20%を越えず、具体的比率は各省、自治区、直轄市の人民政府が定め、従業員は本人の賃金の8%で保険料を納付する。都市部の個人経営者および流動就労者が基本的養老保険に参加する場合、本人は当地の平均賃金の18%前後に相当する保険料を納付する。2003年の全国企業の基本的養老保険料の納付総額は2595億元に達した。

――基本的養老保険基金に対する財政補助金を増加する。国は、各級政府が財政支出構造の調整に大いに力を入れ、社会保障への投入を増加すると規定している。2003年、各級財政は基本的養老保険基金に544億元を補助し、そのうち、中央財政の補助金は474億元である。

――全国社会保障基金を設立する。2000年に、中国政府は全国社会保障基金の設立を決定した。全国社会保障基金の出所は、国有株の保有を減らして得た資金および株主権の資産、中央財政から支出する資金、国務院の認可を得てその他の方式で調達した資金および投資収益などがある。全国社会保障基金は全国社会保障基金理事会によって管理され、「全国社会保障基金投資管理暫定規則」の定めた手続きと条件に基づいて市場化運営を実行する。全国社会保障基金は養老保険など各種の社会保障を実施するための重要な財力備蓄であり、2003年末現在、蓄積した資金は累計1300余億元に達した。

養老保険管理サービスの社会化を推進

これまで中国の企業は自企業の停年退職者への基本的養老金支給と人員管理を担当していた。停年退職者への基本的養老金の期限どおりの全額支給を保障し、企業の社会重務の負担を軽減するため、政府は基本的養老金の社会化支給を積極的に推し進め、2003年末に、企業の停年退職者に支給する基本的養老金は残らず社会化支給を実現し、社会化管理サービスを受ける企業の停年退職者は84.5%に達した。

社会保険の管理レベルを全面的に高め、労働力の移動における社会保険関係の接続の必要に適応するため、中国政府は2003年から「金保プロジェクト」を実施し始め、その目標は社会保障情報が全国コンピューターネットワークに接続して運行することにあり、現在は養老保険情報の中央と省クラスのオンラインが初歩的に実現した。

多段階の養老保険システムを確立

ここ数年来、中国政府は多段階の養老保険システム建設を大いに推し進め、規定によって基本的養老保険に参加する基礎の上で、条件を備えた企業は従業員のために企業年金を設立することができる。企業年金の費用は企業と従業員が共に納付し、基金の完全蓄積を実行し、個人口座の方式で管理する。企業年金基金は市場化管理と運営を実行する。2003年現在、企業の年金計画に参加した人数は700万人近くに達した。このほか、国は個人の貯金のための養老保険の展開を奨励する。

21世紀の最初の20年は、中国の養老保険事業を発展させる重要な時期である。国は引き続き社会統一プールと個人口座を結びつける基本的養老保険制度を整備し、個人口座をちくじ開設する。条件にかなった都市部の従業員を残らず基本養老保険に組み入れる。省クラスの養老保険調節基金を設立し、健全にし、市クラスの統一プールを整備する基礎の上で省クラスの統一プールをちくじ実行する。

二、失業保険

中国政府は企業の労働雇用制度改革を推し進め、市場誘導による就業メカニズムを構築すると同時に、失業保険制度の確立と整備を加速して、従業員の失業後の基本的生活を保障し、失業者の再就業を助け、国有企業の一時帰休者の基本的生活保障制度と失業保険の合併を推し進めている。2003年末現在、全国の失業保険参加者数は1億373万人に達し、年間に742万人の失業者に期限の異なる失業保険待遇を提供した。

失業保険制度を整備

中国政府は1999年に「失業保険条例」を公布して、失業保険制度をいっそう規範化させ、整備した。

――保険参加の範囲と保険料納付。都市部の企業・事業体およびその従業員は失業保険に参加しなければならない。雇用部門は自部門の賃金総額の2%、従業員は本人の賃金の1%の比率で失業保険料を納付する。統一プール地区の失業保険基金が実際使用額を超えた場合、失業保険調節金で調節し、地方財政が補助する。

――享受条件。失業者が失業保険待遇を享受するには次の三つの条件がなければならない。1、失業保険料を満1年納付する。2、本人の意志以外の原因で就業を中断した。3、失業登録を終え、求職の要求がある。

――失業保険金の基準。各省、自治区、直轄市人民政府は所在地区の最低賃金基準より低く、都市住民の最低生活保障基準より高いレベルで、所在地区の失業保険金基準を確定する。享受期限の具体的規定として、失業者が失業する前、所属部門と本人が規定によって保険料を納付する期間が累計して満1年以上5年未満の場合、享受期限は長くて12カ月、満5年以上10年未満の場合、享受期限は長くて18カ月、10年以上の場合、享受期限は一番長く24カ月である。

――その他の失業保険待遇。失業者が失業保険金を受け取る期間に病気にかかった場合、医療補助金を受け取ることができる。失業保険金を受け取る期間に死亡した場合、その遺族は葬儀補助金と遺族慰謝金を受け取ることができる。失業保険金を受け取る期間は職業訓練と職業紹介の補助金を享受することもできる。

――都市部の企業と事業体に雇用された農民契約制労働者の失業保険参加。雇用部門が規定によって保険料を納付し、個人は保険料を納付しない。満1年連続して働き、労働契約が満期になり、それを延長しなかったかあるいは繰り上げて労働契約を解除した場合、勤務期間の長さに基づいて、一回限りの生活補助を申請することができる。

再就職を促進

失業者の基本的生活を保障すると同時に、国は失業保険で再就職を促進する効果的な方法を積極的に模索している。失業保険サービスと就業サービスの有機的リンクを強化する。失業登録をすかさず行い、就職情報を積極的に提供し、就職指導と職業紹介を全面的に展開して、失業者が技能、心理面の就業競争力を高めるように援助する。失業保険基金の職業紹介、職業訓練への投入を増加する。訓練を直接組織し、政府が訓練成果を買い上げる形式を通じて、技能訓練を広く行い、失業者の再就業能力を増強する。

国有企業一時帰休者の基本的生活を保障

1998年、国有企業の余剰人員の配置換えの圧力が大きくなり、失業保険支持能力がまだ不足している状況を鑑みて、中国政府は国有企業一時帰休者の基本的生活を保障するため、国有企業一時帰休者の基本的生活保障制度を確立した。

――国有企業一時帰休者の基本的生活費の期限どおりの全額支給を確保する。一時帰休者を抱える国有企業はあまねく再就職サービスセンターを設立した。一時帰休者がセンターで登録した後、センターは基本的生活費を支給する。基本的生活費の基準は当地の失業保険金基準よりやや高い。センターはまた一時帰休者に代わって養老、医療、失業などの社会保険料を納付する。センターが一時帰休者の基本的生活保障および社会保険料納付に用いる資金は、原則的に「三・三制」の方法、つまり財政予算が三分の一を支出し、企業が三分の一を負担し、社会が三分の一を調達する(主に失業保険基金から調節する)ことで解決する。1998年から2003年にかけて、全国の再就職サービスセンターで登録した国有企業の一時帰休者数は合わせて2400万人に達し、そのうちの1900万人近くが再就職を実現し、センターで登録した一時帰休者はほぼ期限どおりに全額の基本的生活費を受け取り、センターが彼らに代わって社会保険料を納付した。

――「三本の保障ライン制度」を設立する。1998年以来、中国政府は国有企業一時帰休者の基本的生活保障、失業保険、都市部住民の最低生活保障を内容とする「三本の保障ライン制度」を確立した。一時帰休者が基本的生活費を受け取る最長期限は3年で、期限満了後に再就職しなかった場合、規定によって失業保険待遇を享受することができる。家庭の一人当たり収入が当地の都市住民の最低生活保障基準より低い場合は、規定によって都市住民最低生活保障待遇の享受を申請することができる。

――失業保険と合併する。失業保険制度の日増しの整備と基金蓄積の増加につれて、2001年から、国有企業一時帰休者の基本的生活保障制度が失業保険と合併し、国有企業はこれ以上新しい再就職サービスセンターを設立しなくなり、企業の新しい一時帰休者も原則的にはセンターで登録せず、企業が法によって彼らと労働関係を解除し、本人は規定に基づいて失業保険待遇を享受する。

今後の一時期に、中国の労働力総量過剰の矛盾と就業の構造的矛盾が続けて存在し、失業保険が直面する圧力は依然としてかなり大きいものである。中国政府は、失業保険の適用範囲の拡大、基金の徴収と使用・管理を規範化させ、失業者の基本的生活を保障すると同時に、失業保険に再就職促進の役割をいちだんと発揮させるよう努力する。

三、医療保険

先に試行し、それを基礎として、中国政府は1998年に「都市部従業員の基本的医療保険制度設立に関する決定」を公布し、全国で都市部従業員の基本的医療保険制度改革を推し進めた。2003年末現在、全国の基本的医療保険参加者数は1億902万人に達し、そのうち、従業員は7975万人、停年退職者は2927万人である。

都市部従業員の基本的医療保険制度を確立

中国は社会統一プールと個人口座を結びつけるという都市部従業員基本医療保険制度を実行している。この基本的医療保険制度は原則的には属地管理を実行する。

――適用範囲と保険料納付。基本的医療保険は、都市部のあらゆる雇用部門と従業員に適用し、それにはあらゆる行政機関、事業体、各種類型の企業、社会団体および民間の企業以外の部門で働く従業員と停年退職者が含まれる。都市部の流動就労者も基本的医療保険に参加することができる。基本的医療保険の資金源は主に雇用部門と個人が共に納付する医療保険料であり、雇用部門の納付比率は従業員賃金総額の6%前後で、個人の納付比率は本人の賃金の2%であり、停年退職者は納付しない。個人の納付した分は全部個人口座に入れ、部門の納めた分は30%前後の比率で個人口座に入れ、残りの70%前後は統一プール基金を設立する。

――納付基準。医療費は医療保険基金と個人が共同で負担する。外来診察の小口の医療費用は主として個人口座で支払う。入院の大口の医療費用は主として統一プール基金で支払う。統一プール基金は明確な最低支給基準と最高支給限度額があり、最低支給基準は原則的には当地従業員の年平均賃金の10%前後で、最高支給限度額は当地従業員の年平均賃金の4倍前後である。最低支給基準以上、最高支給限度額以下の医療費用は、主として統一プール基金から支払い、個人も一定額を負担する。停年退職者個人の医薬費負担比率は在職従業員よりいくらか低い。

医療保険の管理・サービスを強化

医療サービス行為を規範化させ、コストを下げるため、国は基本医療保険制度の改革、医療・衛生体制の改革、薬品生産流通体制の改革を同時に推進している。国の基本的医療保険薬品、診療項目、医療サービス施設の目録を編成する。医療保険参加者の必要な医療サービスの享受を保証し、不合理な医療費用支出を制限して、基本的医療保険基金の利用効率を高める。サービスを提供する医療機構と薬局に対し特別管理を実行し、競争メカニズムを構築し、医療行為が規範化し、わりによいサービスを提供する医療機構と薬局を選んで医療保険の指定機構とする。医療保険機構と指定医療機構の費用決算方法を制定し、たえず整備する。

多段階の医療保障システムを整備

基本的医療保険制度を確立すると同時に、医療保険参加者の異なる医療需要を満たすため、国は多段階の医療保障システムを確立、整備して、医療保険参加者の個人負担を軽減している。各地はそれぞれの実情に応じて、あまねく大口医療費用補助制度を確立し、その資金源は主に個人と企業の納付する保険料で、これで基本的医療保険の最高支給限度額を超えた医療費用をまかなう。国は、企業が主に従業員の基本的医療保険待遇以外の医療費用の負担を解決するため、従業員の補充医療保険を設立するのを奨励する。企業の補充医療保険料が賃金総額の4%以内にある分は、コストから支出する。国家公務員およびいままで公費医療を享受した事業体の人員に対しては、公務員医療補助制度を設立する。特殊な困難を抱える人々に基本的医療保障を提供するため、国は主に政府の投入で支持する社会医療救助制度をちくじ設立する。

中国の医療保険制度改革はまだ多くのきわめて困難な任務に直面している。今後、国は医療保険の適用範囲を一段と拡大し、都市で働く各種の従業員のうち、条件にかなった人をちくじ基本的医療保険に参加させる。医療保険の管理とサービスを強化、整備し、医療費用の不合理な増加を抑え、医療保険参加者によりよいサービスを提供する。多段階の医療保障システムを確立、整備し、医療保険参加者の個人負担をちくじ軽減させ、医療保険制度の穏健な運行と持続可能な発展を実現する。

四、労働災害保険

中国政府は従業員の労働災害予防、労働災害補償、労働災害リハビリを結びつけた労働災害保険制度の確立に努めている。2004年1月、国が公布した「労働災害保険条例」が実施されてから、労働災害保険の適用範囲は速やかに拡大され、2004年6月末現在、労働災害保険に参加する従業員数は4996万人に達した。

労働災害保険基金統一プール制度を確立

国の規定によると、各種の企業と労働者を雇用する個人工商業経営者はいずれも労働災害保険に参加し、自社の従業員全員あるいは雇用した人員の労働災害保険料を納付すべきであり、勤労者個人は保険料を納付しない。労働災害保険は支出に基づいて収入を確定し、収支がバランスを保つ基金調達パターンを実行し、地区クラス以上の都市は統一プール基金を設立する。政府は異なる業種の労働災害リスクの程度に基づいて業種別の差別ある保険料比率を確定するとともに、労働災害保険料の使用、労働災害発生率などの状況に基づいて各業種の内部で若干の保険料比率の等級を確定する。

待遇保障を明確に

労働災害保険は「過失のない補償」という原則を実行する。待遇の項目は主に労働災害の医療費用、労働能力の喪失程度に基づいて確定した身体障害補助金、身体障害手当、身体障害看護料、仕事のために死亡した勤労者の直系親族に渡す葬儀補助金、親族を養う救済金、1回限りの労働災害死亡補助金などが含まれている。労働災害保険の待遇を与える主な条件は、従業員が勤務時間、勤務区域内で、仕事の原因で意外な事故と傷害が発生したか職業病を患ったことである。

労働能力鑑定制度を実行

国は従業員の労働災害と職業病による身体障害程度の鑑定基準を統一的に制定、公布し、仕事で負傷した従業員が治療を経て負傷の状態が相対的に安定してから身体障害が残り、しかも労働能力に影響する場合は、労働能力鑑定を行う。労働能力鑑定は労働機能の障害程度と生活自己管理の障害程度などの等級鑑定を含んでいる。省と区を設けた市は政府の関係部門、労働組合、雇用部門などの代表からなる労働能力鑑定委員会を設立し、責任をもって身体障害従業員に対し労働能力鑑定を行う。労働能力鑑定は雇用部門、労働災害を受けた従業員あるいはその直系親族が区を設けた市の労働能力鑑定委員会に申請する。労働能力鑑定委員会は医療専門家バンクを設置し、労働能力鑑定申請を受け取ってから、ランダム方式で専門家を選んで鑑定し、鑑定意見を提出し、それに基づいて鑑定結論を出す。

労働災害予防と職業リハビリを強化

中国政府が工事技術を改善し、宣伝・教育を行い、安全規則を制定し、安全・衛生基準を実施し、および労働災害保険部門の保険料比率浮動メカニズムを通じて雇用部門が安全生産条件を改善するように促進するなどの措置を講じて、労働災害と職業病の予防を積極的に展開している。「安全第一、予防を主とする」という原則に基づいて、企業と従業員が労働安全と衛生の法規と制度を守り、国の労働安全と衛生の規則と基準を厳格に実行し、労働過程の事故を防止し、職業の危害を減らすように督促している。

国は職業リハビリ作業を積極的に模索、展開し、労働災害を受けた従業員に対し労働災害リハビリ、心理リハビリ、職業訓練、就業指導を行うとともに、いくつかの地区に職業リハビリセンターとリハビリ病院を設立して、労働災害を受けた従業員が労働災害によってもたらされた生理と心理の障害を克服し、健康と仕事の能力を回復し、持ち場に戻るように助けている。

五、出産保険

国は1988年から一部の地区で出産保険制度改革を推進しはじめた。 2003年末現在、全国で出産保険に参加した従業員は3655万人に達し、年間に合計36万人の従業員が出産保険待遇を享受した。

出産保険制度は主に都市部の企業とその従業員に適用し、一部の地区では国家機関、事業体、社会団体、企業の女性従業員に適用している。出産保険料は保険に参加する部門が従業員賃金総額の1%を上回らない比率で納付し、従業員個人は保険料を納付しない。保険に参加していない部門は、依然として出産保険待遇を与える責任がある。従業員の出産は法に依って90日を下回らない出産手当を享受する。女性従業員は出産するか流産した後、その賃金と労働関係が保留されて変わらず、規定に基づいて医療費用を清算する。

六、社会福祉

中国政府は社会福祉事業の発展を積極的に推し進め、多種のルートを通じて資金を調達し、老人、孤児、身障者などの人々に社会福祉を提供している。

老人の社会福祉

「中華人民共和国老人権益保障法」の規定によると、国と社会は措置を取って、老人の生活、健康および社会発展参与の条件を改善する。各クラスの政府は老年事業を国民経済と社会発展計画に組み入れ、老年事業への投入をちくじ増加するとともに、社会各方面の投入を奨励し、老年事業を経済、社会と協調して発展させている。ここ数年、社会福祉社会化の推進を通じて、国、集団の設立した老年社会福祉機構を中堅とし、社会の力の設立した老年社会福祉機構を新しい成長要素とし、コミュニティーの老人福祉サービスを拠り所とし、家で老後を過ごすことを基礎とする老人社会サービスシステムをちくじ形成している。現在、中国に各種の老人社会福祉機構が3万8000カ所、ベッド数が112万9000床あり、60歳以上の老人は1000人当たり8.4床のベッドを擁している。2001年、国は「全国コミュニティーの老人福祉サービス星光計画」を実施し始め、2004年6月現在、全国の都市と農村は総額134億9000万元の資金を投じてコミュニティーの「星光老人ホーム」を3万2000カ所新築、改造した。

児童の社会福祉

「中華人民共和国未成年者保護法」、「中華人民共和国教育法」などの法律・法規によると、国は児童に教育、計画的免疫などの社会福祉を提供し、特に身障児童、孤児、棄て子など特殊な苦しい状態にある児童に福祉プロジェクト、施設、サービスを提供して、その生活、リハビリ、教育を保障している。現在、全国に192の専門の児童福祉機構と600近くの総合的福祉機構の児童部は、5万4000人の孤児、身障児童を引き取って養っている。全国各地はまたリハビリセンター、智恵遅れ児童訓練班などコミュニティーの孤児、身障者に奉仕する機構を約1万近く設置した。

中国政府は、2004年から、3年前後の時間を使い、6億元の資金を調達して、 「身体障害孤児手術リハビリ明日計画」を実施し、毎年1万人近くの身障孤児に手術を施して健康を回復させている。2006年までに、全国の社会福祉機構が引き取って養っている手術適応症の身障孤児に、効果的な手術による矯正とリハビリを得させることを目指している。

身障者の社会福祉

国は「中華人民共和国身体障害者保障法」を公布、実施して、身障者のリハビリ、教育、労働就業、文化生活、社会福祉などに法的保障を提供している。政府は福祉企業を興し、比例に基づく就業と身障者の個人経営助成などの形式を通じて、身障者の就業実現を援助している。一時的救済、集中扶養および身障者の福祉養生機構設立などの福祉措置をとって、身障者に特別な配慮を寄せている。2003年末現在、全国の都市部では合計403万人の身障者が就業を実現し、農村では1685万人の身障者が生産労動に従事している。259万人の貧しい身障者は生活を保障され、44万2000人の身障者は各種の福祉院、老人ホームで集中扶養、5保(衣・食・住・医療・埋葬を保証)扶養を享受し、246万人の身障者は一時的救済、定期補助、特別補助を与えられ、701万人の貧しい身障者の衣食問題は基本的に解決された。2003年、各クラスの政府は身障者事業費として15億元を支出することを決定し、社会福祉資金を約1億元募集した。  

七、優待慰撫と配置

優待慰撫・配置制度は中国政府が軍人とその家族を主体とする優待慰撫・配置対象を物質面から配慮し、精神面から慰撫する制度である。現在、中国に4000余万人の優待慰撫・配置対象がある。

中国政府は優待慰撫対象の権益を保障するため、「革命烈士表彰条例」、「軍人救済優遇条例」などの法規を陸続と公布した。国は優待慰撫対象の違いとその貢献の大きさに基づき、経済と社会の発展水準を参照して、異なる優待慰撫の等級と基準を確立した。烈士の遺族、犠牲になった軍人と病死した軍人の遺族、身障軍人などに対し国による救済を実行し、高齢の復員軍人などの重点的な優待慰撫対象に定期的に定量の生活補助を与える。義務兵の家族に優遇金を支給し、身障軍人など重点的な優待慰撫対象は医療、住宅、交通、教育、就業などの面で社会優遇を享受している。2003年、国の救済補助を享受した優待慰撫対象は465万人、国の各クラス財政が支出した救済資金は87億9000万元に達した。

「中華人民共和国兵役法」、「退役義務兵配置条例」などの法律・法規は、退役軍人の配置に対し規定を行っている。政府は都市部の退役兵士のために就業のポストを手配し、自分で職を探す都市部の退役兵士には1回限りの経済補助を支給するとともに、優遇政策で扶助する。農村部の退役した義務兵が生産、生活、医療、婚姻などの面でぶつかっている困難に対し、異なる状況に基づいて解決する。機関、団体、企業・事業体が労働者を募集する際、同等な条件の下で都市部と農村部の退役軍人を優先的に採用する。大学・高等専門学校・中等専門学校の入学試験では、同等な条件の下で退役軍人を優先的に採用する。現役から退いた身障軍人に対し、就業、生活などの面で適切に配慮する。現役から退いた軍隊の幹部(士官を含む)に対し、それぞれ復員、転業、停年退職などの配置方法を実行する。現在、各クラスの政府に関係事務機構が普遍的に設立されている。

中国政府は社会各方面の力を動員して、優待慰撫対象と退役軍人の切実な利益を保障することから出発し、各項の優待慰撫・配置制度を絶えず改善し、優待慰撫対象の保障レベルを高め、退役軍人の配置管理の法制化・制度化建設を推し進め、優待慰撫・配置対象の合法的権益を保護している。

八、社会救助

中国政府は国家発展の実際から出発して、都市と農村の生活が困難な住民に対し最低生活保障を最大限に実施し、被災者に対し救済を行い、都市に流浪する物もらいを救助し、各種の社会相互援助活動の展開を提唱、奨励している。

都市住民の最低生活保障

1999年、中国政府は「都市住民最低生活保障条例」を公布した。同条例の規定によると、非農村戸籍をもつ都市住民に対し、一緒に暮らす家族の平均所得が当地の都市住民の最低生活基準より低い場合、いずれも当地の政府から基本的生活物質援助を獲得することができる。生活の供給源がなく、労働能力がなく、法定扶養人、扶養人か養育人のない都市住民に対し、当地の都市住民の最低生活保障基準に基づいて全額で救助することができる。保障基準の制定は主に都市住民の一人当たり所得と生活消費レベル、前年の物価レベル、生活消費物価指数、当地の最低生活レベルの維持に必要な費用、リンクする必要のあるその他の社会保障基準および衣食住など基本的生存を維持するのに必要な物品と未成年者の義務教育費用などに依拠し、同時に当地の経済・社会発展レベル、当地の最低生活保障条件に合致する人数および財政の負担能力などの状況をも考慮する。都市住民の最低生活保障資金は地方政府によって財政予算に組み入れられる。財政面に確かに困難がある地区に対し、中央財政は支持を与える。2003年末現在、全国の都市住民の最低生活保障金受領人数は2247万人で、毎月一人当たり58元である。その年の全国の各クラス政府の財政は156億元の最低生活資金を支出したが、そのうち中央政府は中・西部の困難地区に92億元を補助した。

災害救助

国は突発的な自然災害に対する応急システムと社会救助制度を確立している。政府は人民の生命と安全を第一位におき、災害が発生した場合はすかさず被災者を応急救助し、移転し、災害後は大衆を導いて生産による自己救助、相互援助と共済を行い、社会各方面の力を参与するように動員し、災害による人員死傷と財産損失を最大限に減らし、被災者の衣・食・住・医療を確保する。各クラスの政府は財政予算の中に、災害救助物資の備蓄と被災者の移転救済に用いる災害救助支出を計上している。2003年、各クラスの政府は被災者の生活に用いる災害救助資金を53億1000万元手配したが、そのうち中央政府は40億5000万元を手配した。

流浪する物もらいの救助

2003年8月1日、国は「都市部の生活のあてのない流浪物もらい救助管理規則」を正式に施行した。同規則は「自らの意志で救助を受け、無償で援助する」原則に基づいて、都市の生活のあてのない流浪物もらいに対し関心愛護の救助管理を行い、救助を受ける人の異なる状況と需要に応じて、食事、宿泊、医療、通信、帰郷、送迎などの救助サービスを提供する。2003年末現在、全国に設置した救助管理ステーションは909カ所あり、その年に生活のあてのない流浪物もらいを21万余人救助した。

社会の相互援助

国は社会のメンバーが進んで弱い人と困っている人を助ける活動を組織し、それに参与することを奨励、支持し、社会寄贈制度の確立を推進し、経常的な寄付援助活動機構、活動ステーション、貯蔵施設を設立、整備して、いつでも各種の社会寄贈を受け入れるようにしている。2003年末現在、大・中都市と条件を備えた小都市には社会寄贈受付ステーションが2万8000カ所ある。1996年から2003年までの間に、社会各界は230余億元相当の現金と物品および9億6000点の衣類と夜具をが寄付し、援助をを受けた。被災者と貧しい大衆は延べ4億余人に達した。末端の政府はコミュニティーサービス業を興すことを通じて、貧しい人たちに配慮とサービスを提供している。中国の各クラスの労働組合組織は毎年困難を抱える従業員の家庭への「温かみを送る」活動を展開している。1994年から2004年初めにかけて、慰問金を181億1000万元集めて、困難を抱える5577万8000戸の従業員の家庭を慰問した。

中国の各クラスの労働組合組織は互助保障活動を積極的に展開している。2003年末現在、全国の労働組合がつくった従業員互助保障組織は1万8000を数え、参加人数は723万人に達した。また従業員互助保障を実行する労働組合組織は1839あり、参加人数は1485万人で、延べ600余万人が待遇給付を獲得した。

九、住宅保障

中国政府は住宅公共積立金制度、経済適用住宅制度、廉価リース住宅制度を主な内容とする都市部住宅保障制度を積極的に確立し、都市住民の住宅条件を絶えず改善している。2003年末現在、都市住民の1人当たり住宅建築面積は23.7平方メートルに達した。

住宅公共積立金制度

住宅公共積立金制度は中国政府が従業員の住宅問題を解決するための政策的な融資ルートである。住宅公共積立金は国家機関、事業体、各種の企業、社会団体、民営の非企業部門とその在職従業員はそれぞれ従業員の賃金の一定の比率に基づいて月ごとに納付して積み立て、従業員の個人所有に属する。住宅公共積立金は特定口座を開設して預金し、従業員の個人住宅の購入、建築、分解修理などの特定項目に用い、また従業員個人に義務性、互助性、保障性の特徴を持つ住宅ローンを提供することができる。1994年、住宅公共積立金制度は都市部で全面的に推進された。1999年、国は「住宅公共積立金管理条例」を公布し、2002年に再公布して、住宅公共積立金制度をちくじ法制化と規範化の軌道にのせるようにした。現在、住宅公共積立金管理委員会が政策決定を行い、住宅公共積立金管理センターが運営し、銀行に特定口座を開設して預金し、財政が監督する管理体制が基本的に確立されている。規定によると、住宅公共積立金は企業のコストに算入し、個人所得税を免除されるなどの税収政策を享受することができ、預金と貸付は低利率の原則を実施し、政策の優遇を体現している。2003年末現在、全国に住宅公共積立金に加入した従業員が6045万人おり、合計5563億元の公共積立金を調達した。従業員は住宅の購入、建築と定年退職などの原因で1743億元を引き出し、個人住宅ローンを合計2343億元支出して、327万世帯の従業員家庭の住宅購入、建築を支持し、住民家庭の住宅条件を改善するうえで重要な役割を果たした。

経済適用住宅制度

1998年、中国は経済適用住宅を発展させることを確定した。経済適用住宅は政府が特恵の政策を提供し、建設基準、供給対象、販売価格を限定し、保障の性格を持つ政策的な建売住宅である。下記の条件に合致する家庭は一セットの経済適用住宅の購入あるいは借り入れを申請することができる。@当地の都市戸籍(当地に配置する条件に合致する軍人を含む)があるかあるいは市・県人民政府の確定した供給対象、A住宅がないか現有の住宅面積が市・県人民政府の定めた基準より低い住宅困難家庭、B家庭の収入が市・県人民政府の確定した収入ラインの基準に合致する、C市・県人民政府の定めたその他の条件。経済適用住宅のリース価格と販売価格は元金を保証し、わずかな利益を獲得することを原則とし、経済適用住宅は購入後一定の年限に達してから、はじめて売ることができ、しかもその収益を一定の比率に基づいて政府に納めなければならない。経済適用住宅は申請・審査・公示制度を実施し、公開と透明を強調し、厳格に監督、管理する。1998年から2003年までに完工した経済適用住宅の面積は4億7700万平方メートルに達した。

廉価リース住宅制度

1998年以来、中国政府は廉価リース住宅制度建設を積極的に推し進め、絶えず廉価リース住宅保障政策を整備している。政府の規定した価格で賃貸しする公有住宅と廉価リース住宅に対しては、暫時家屋不動産税、営業税を免除する。各地の政府は国の統一的政策の指導の下で、当地の経済・社会発展の実情と結び付け、都市部の最低所得家庭の廉価リース住宅制度をその地に適した方法で確立する。廉価リース住宅制度は財政予算を主とし、多ルートで廉価リース住宅資金を調達し、住宅リース補助を主とし、実物による賃金割り当て、リース料削減を従とする多種の保障方式を実施する。住宅面積と家庭所得が当地政府の定めた基準以下の家庭に対し、当地政府は申請、登録、順序に基づいて按配し、その基本的要求を保障している。2003年、全国の35の大・中都市で最低所得家庭の廉価リース住宅制度が全面的に確立された。

十、農村の社会保障

中国の農村は、人口が全国人口の大多数を占め、経済発展レベルがわりに低い。農村では、土地は生産手段でもあれば、消費財でもあり、土地は集団所有に属し、農家生産量リンク請負制を実行している。歴史と伝統的文化の影響を受けて、農村は家庭扶養、自己保障、家族互助の長期的な伝統を持っている。農村の経済・社会発展の特徴に基づいて、国は農村で都市と異なる社会保障方法を実行している。

農村の養老保険制度確立を模索

中国農村の養老保障は家庭を主としている。1990年代以降、一部の地区は農村の社会・経済発展の実際に基づき、「個人の保険料納付を主とし、集団補助を従とし、政府が政策面から扶助する」という原則にのっとって、個人口座蓄積式の養老保険を設立した。2003年末現在、全国の1870県(市、区)は程度は違うがそれぞれ農村社会養老保険活動を展開し、5428万人がこれに加入し、259億元の基金を蓄積し、198万人の農民が養老年金を受け取った。2004年、中国政府は農村の一部の計画出産家庭に対し奨励扶助制度の試行を始めた。農村の子女が1人あるいは女の子が2人しかいない計画出産夫妻は、満60歳から亡くなるまで一人当たり年平均600元を下回らない奨励扶助金を享受する。奨励扶助金は中央政府と地方政府が共同で負担する。

新しいタイプの農村合作医療制度を確立

農民の医療の基本的必要を保障し、農民の病気による経済負担を軽減し、病気で貧しくなり、または再び貧しくなるのを緩和するため、中国政府は2002年から重病の統一プールを主とする新しいタイプの農村合作医療制度を確立し始め、政府が組織、指導、支持し、農民が自由意志で参加し、政府、集団、個人が多方面から資金を調達する。現在、30省・自治区・直轄市の310県(市)で試行している。2004年6月現在、9504万の農業人口をカバーし、実際参加人数は6899万人に達し、合計30億2000万元の資金を調達し、そのうち地方の各クラス財政補助は11億1000万元、中・西部地区に対する中央財政の補助は3億9000万元である。

農村で社会救助を実行

1950年代、中国は5保扶養制度を確立し始めた。1994年、国務院は「農村5保扶養工作条例」を公布し、村民の中の下記の条件に合致する老人、身体障害者、未成年者に対し衣・食・住・医療・埋葬を保障する(未成年者は義務教育を保障する)5保扶養を実施する。@法定の扶養義務人がいないかまたは法定の扶養義務人はいるが、扶養する能力がない。A労働能力がない。B生活の供給源がない。自分で生活できない一部の5保老人の面倒を見る問題を解決するため、各地は次々と老人ホームを建てて、これらの人を集中して扶養し、それをちくじ5保扶養の重要な形式の一つに発展させている。2003年末現在、全国の実際の5保扶養人数は254万5000人、老人ホームは2万4000カ所で、集中して扶養する5保対象は50万3000人に達した。

中国政府は各地区の経済発展がアンバランスで、地区間の財政・経済状況の差異が大きいという現実に照らして、条件を備えた地区が農村最低生活保障制度の確立を模索するのを奨励している。その他の地区は「政府が救助し、社会が助け合い、子女が扶養し、土地政策を安定させる」という原則を堅持し、極貧農家の基本生活救助制度を確立している。それと同時に、病気になった農村の貧しい人たちに対し医療救助を実行している。2003年末現在、全国で最低生活保障と極貧農家の生活救助を享受する農村の特別貧困の人数は1257万人に達した。

結びの言葉

長年の模索と実践を通じて、中国の特色のある社会保障システムの枠組みが初歩的に形成されている。当面と今後のある時期に、中国が社会保障事業を発展させる任務は依然として非常に困難なものである。人口の高齢化は養老年金と医療費用の支出の圧力をいっそう大きくし、都市化レベルの向上は都市と農村をリンクする社会保障制度の確立と健全化をいっそう差し迫ったものにし、就業形式の多様化で、より多くの非共有制経済の従業員と流動就業者が社会保障の対象に組み入れられる。これらは中国の社会保障制度の平穏な運行と社会保障事業の持続可能な発展の長期にわたって効果のあるメカニズムの構築に対し新しい要求を出している。

社会保障システムの整備を加速することは、中国政府がいくらかゆとりのある社会の建設を全面的に推進する重要な任務の一つである。中国の国民経済が快速の、持続的、協調的、健全な発展を保って国の総合的経済実力を増強し、全面的、協調的、持続可能な科学的発展観を貫徹、実施し、長年の模索を通じて確立された中国の国情に適合する社会保障システムは、中国の社会保障事業の持続的な発展に各種の有利な条件を提供する。今後、中国人民は国の発展と進歩の中からいちだんと利益を獲得し、いっそう豊富な物質的文明の成果を享有することになろう。