2004 No.40
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マクロ規制下で発展し続ける中国の自動車産業

              魯 皮

中国の国民経済発展の主導産業の一つである自動車工業は、向こう2、3年引き続き発展の勢いを保つだろう。新しくうち出された「自動車産業発展政策」は中国の自動車産業に長期の、持続的、健全な発展の道を歩ませる重任を担なっていると言える。

中国の自動車市場は近年二桁数字の成長を続けている。国家情報センター経済コンサルタント部の徐長明主任は近年来の自動車市場を分析して、「今の国内自動車の発展速度からすると、2004年の国内自動車総販売台数は500万台を突破し、恐らく515万台に達するだろう。そうなれば中国は世界2位となる」と予測している。

だが、市場の過熱が懸念され、どのように自動車産業を健全に、持続的に発展させるべきかが人びとの関心を集めている。

自動車はマクロ規制の対象

6月1日、新「自動車産業政策」が国家発展・改革委員会から公布された。

中国自動車技術研究センター北京担当部の傅連学副主任は、新「政策」をこの時期にうち出したのは関係部門が自動車産業に新たなラウンドのマクロ規制を行なうためであり、自動車業界に存在している盲目的投資現象を規制し、導く役割を果たすだろう、としている。

1994年の「自動車工業産業政策」と比べ、新「政策」には6つの変化がみられる。1、WTOルールおよび中国がWTO加盟で行なった約束に背く部分、例えば対外貿易のバランス、国産化の割合を求めるなどの政策を取り消した。2、行政審査・認可を大幅に減らし、法規に依拠し、技術基準によって産業を導くことを強調している。3、ブランド戦略をうち出し、知的財産権をもつ製品の自主的開発を奨励し、自動車工業の自主的発展に対する政策的指導を明確にしている。4、国内自動車企業グループの巨大化、強大化を促し、現有企業の合併・再編を導く。5、自動車企業にブランド販売・アフターサービス・システムの構築を重視するよう求めている。6、より良好な消費・使用環境をつくるための指導的な意見を提出している。

「自動車産業発展政策」のほかに、自動車産業に対するその他のマクロ規制措置もとられている。5月中旬、韓国で開かれたアジア開発銀行会議で、中国の李勇財政部副部長は、中国政府は鉄鋼、セメント、アルミニウム、不動産、自動車業を含む投資しすぎの業種への貸付を制限することを明らかにした。このあと、中国の四大銀行のうちの三行が自動車工業投資の貸付を停止することに踏み切った。

長期の、持続的、健全な発展

国務院発展研究センター産経部の劉世錦部長は、「中国のWTO加入後、中国の自動車産業は落ち込むと多くの人が予想していたが、それが外れたばかりか、かって高成長をとげ、2003年には「石油噴出」式の成長をみせた。それは主に自動車産業がすでに中国経済発展の主導的産業となったことを示している。WTO加入後、政府の政策が調整され、全般的に言って、輸入規制が緩和され、最も重要なのは市場環境が変わり、競争が激しくなり、値が下がり、消費者が乗用車を買うことができるようになったことである。WTO加盟前後かなり人が大幅な値下がりを期待していたが、WTO加盟後も思っていたほど値がすぐに下がらず、待ちきれなくなって買い出した。中国の自動車産業はすでに消費段階に入っているので、工業と国民経済の平均成長レベルより高い速度を保つのは可能である」と述べている。

高成長を続ける自動車産業への投資は、生産過剰になるのではないかという各界の懸念と論争を引き起こしている。2003年上半期から、国家発展・改革委員会は鉄鋼業などの投資過熱現象について調査を開始し、かつ自動車工業協会に自動車工業の生産状況についての全国的調査を委託した。

傅連学副主任の紹介によると、昨年の調査が示しているように、自動車産業の投資増大速度は市場の成長と全体的にはほぼ一致しているが、一部に過熱現象が見られるという。

国家発展・改革委員会産業発展研究所の馬暁河所長は、今年の早い時期に発表したその文章の中で、自動車産業は過熱気味で、供給市場に投資バブルが存在していると指摘し、現在の中国の自動車生産能力はおよそ550万台で、向こう5年、新規生産能力が500余万台増加すると、全国の自動車生産能力は市場の需要を大きく上回ることになる、と見ている

5月28日、IBM業務コンサルタント・サービス部とAI AG(自動車工業行動グループ)が北京で最新の調査結果を発表したが、「中国自動車供給業者調査」というこの報告は、中国の自動車生産能力増大速度は予期の市場成長を上回り、生産能力過剰および向こう5年内に発生する市場淘汰の可能性が大きくなってきている、としている。

アメリカのゴールドマン・サックス社のある統計報告は、中国の乗用車生産能力の増大は2004年に高峰に達し、2005年の生産と販売比率は2002年の102%から115%になり、生産過剰が現れるだろうと見ている。

だが、国家情報センター中経ネットと国家統計局景気部ーが最近発表した景気監視研究報告は、今年の上半期、自動車業は2003年の第四・四半期の反落の状態を保ち、その速度がいくらか速くなり、2003年からの自動車業の発展が速すぎるといった問題は初歩的に緩和されてきている、としている。

増え続ける外資の投入

「中国自動車産業の高成長の勢いはすくなくとも2、3年は続くだろう」と徐長明主任は見ている。

2003年の国内自動車の総販売台数は445万台を突破し、アメリカ、日本に次いで世界3位となり、2年連続して30%の高成長率を実現し、うち乗用車の販売台数は80%増で、初めて204万台の最高記録を示した。

新「自動車産業発展政策」は、新しい自動車メーカーが中国の自動車工業に参入する投資額の基準を引き上げているが、中国の自動車業の25%−30%という利潤率と明るい展望は多くの投資家を引き付けている。

6月中旬に北京で開かれたモーターショーで、アメリカ、欧州、アジアの自動車メーカーが各自のスポーツ多目的車など多くの新型車を展示したが、このことからも多くのメーカーが世界で成長が最も速い中国の自動車市場に目を着けていることがわかる。

アメリカのフォード社は6月8日、今年の目標は自動車生産能力を4倍にすることであると表明した。これより一週間前、ゼネラルモーターズ社は3年内に中国での投資を30億ドル増加し、同社の中国での自動車生産能力を倍増させ、年産130万台に高めると宣言した。

最も早く中国自動車市場に進出したドイツのフォルクスワーゲン社は現在、中国市場で三分の一以上のシェアを占めているが、そのトップの座を固めるため、さらに中国に74億ドル投資すると昨年宣言した。ゼネラルモーターズ中国グループは、中国での生産台数が2倍の130万台に達しても、今後の中国自動車市場のニーズを満たすのは難しいとしている。

中国の東風汽車公司の徐平副総裁は「生産過剰は市場全体からすると問題だが、具体的な一公司からすると必ずしもそうではない」と楽観的である。同公司はフランスのフィアット社の中国でのパートナー・シップである。

2002―2003年に外国の自動車メーカーが中国に投資した資金は関係統計資料によると、63億ドルであるが、今後3年間、外国企業の中国自動車業への直接投資額は100億になると見込まれている。この数字にはゼネラルモーターズが発表したばかりの30億ドルの投資追加額は含まれていない。

このほかに、ダイムラー・クライスラー、ホンダ、トヨタ、日産、マツダ、韓国の起亜、現代などが合弁などの形で、中国市場におけるその存在を拡大しようとしている。