2004 No.41
(1004 -1010)

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農業は増産したが、農民は増収しただろうか

――今年、中国農民の食糧栽培の意欲は目に見えて大きくなり、食糧は増産し、農民の収入も増加した。

                           莫 然

農民の陳木年さんは今年31.3ヘクタールの晩稲を植えたが、いま稲は若穂分化期に入り、よい作柄を見せている。

陳さんは広東省汕尾市海豊県城東鎮の食糧栽培農民で、1995年から城東鎮北平村で20ヘクタールの水田を請け負って水稲を植えている。ここ数年、彼は市場の相場に基づいて「高収穫、高耐病性、良質」の品種を栽培し、ビニール薄膜を使って苗を育成し、前後してハンドトラクター6台、液化噴霧ポンプ1台、コンバイン 3台、揚水ポンプ5台、送風機1台を買い入れて、耕作、噴薬、取り入れなどの機械化作業を実現した。同時に、彼はすべての農機具を利用して周辺の農家の生産を援助し、彼らの経済効益を高めている。今年初め、彼は国家農業部と省農業庁から全国と全省の食糧栽培優秀農家として表彰された。

今年に入ってから、国が食糧栽培を奨励するとともにそれを保護し、食糧の価格が上がる一方であるのを目にして、彼は食糧栽培は大いにやりがいがあると思った。そのため、彼は20ヘクタールの請負農地のほか、栽培面積をさらに11.3ヘクタール拡大した。彼は自信ありげに、丹念に耕作し、市場にねらいを定めて経営しさえすれば、食糧栽培は必ずもうかると言った。

食糧栽培に意欲

今年、農民の食糧栽培の意欲は目に見えて大きくなった。夏季取り入れ食糧と早稲がともに増産し、そのうち早稲は400万トン、夏季取り入れ食糧は450万トン増産し、食糧生産に重要な転機が現れた。

権威筋は次のように指摘する。中国の農業、とくに食糧生産に重要な転機が現れているが、それは三つの「長年見なかったこと」に現れている。一は夏季取り入れ食糧の増産幅が長年見なかったもので、今年の収量が1億105万トンに達し、前年より4.8%増産し、4年連続減産の局面を転換したことであり、二は食糧の蒔き付け面積増加が長年見なかったもので、今年の蒔き付け面積が前年より267万ヘクタールほど増加し、総面積が1億ヘクタールを上回り、5年連続減少の局面に終止符を打ったことであり、三は農民の現金収入増加の速いことが長年見なかったもので、長年見なかった都市部住民の収入増加幅を上回る態勢が現れ、長年見なかった2桁の増加幅が現れ、上半期の農村住民の一人当たり現金収入が1345元に達し、実質的には10.9%増加し、1997年以来増収の最もよい年で、8年ぶりに高収入を創出したことである。

農業部の杜青林部長は記者のインタビューに応じた際、上半期の農業、とくに食糧生産に変化が現れたのはとても喜ばしいことだ。中央1号文書および諸政策・措置の力強い推進と食糧価格上昇の促進の下で、農民の食糧栽培の意欲が盛り上がり、わりに短い期間で食糧生産と農民収入に回復的発展という喜ばしい局面が現れたと指摘した。

同部長はまた、今年農業と農村経済の発展目標を実現するため、当面の任務はかなり困難なものであり、中央は力を入れてしっかりやらなければならない10項目の重点的活動を提出したが、第1項目は引き続き農業、とくに食糧生産を強化し、食糧生産促進の諸政策・措置を実行に移し、整備して、食糧流通体制と農村の税金・費用徴収の改革を推進することであると強調した。

食糧を植えてもうけた

寧夏回族自治区賀蘭県聯星村の農民は今年食糧を植えてもうかるかどうかについてそろばんをはじいた。馬建国という若い農民はそろばんをはじいてから、いま食糧を植えるのはもうかる、採算に合うときっぱりと言った。

馬さんの家は今年0.53ヘクタールの小麦を植えたが、寧夏の小麦の市価1キロ1.62元で計算すると、彼の家の小麦は2400キロ収穫したので、3888元の収入が入る。小麦を刈り取ったあとはとうもろこしを植え、そのとうもろこしの収量は4000キロに達する。とうもろこしの市価1キロ1元で計算すると、5000元の収入が入る。食糧を2回植えて、8888元の収入が入るわけである.

つづいて支出も計算してみた。馬さんはこう言った。食糧を植えるために使う水の代金は312元であり、化学肥料は今年の値段がいくらか高めで1200元かかった。小麦の種子は200キロ必要であるが、1キロは1.4元で、しめて280元かかる。害虫駆除の農薬は240元かかる。人に頼んで種を蒔いてもらうのに56元かかり、トラクターで農地を耕す費用は200元で、とうもろこしの種子は200元かかる。すべての支出を加えると2488元になる。収入から支出を差し引くと、純収入は6400元となる。

馬さんはさらに、今年国と自治区は農民に食糧直接補助、春耕化学肥料補助、良種補助を与え、同時に若干の雑費を免除したが、これらを加えて計算すると、収入はもう少し多くなると言い、国の政策がよく、食糧の値段が少しずつ上がっているから、農民の負担は軽くなり、いまは食糧を植えると確かにもうかると満足げに言った。

中央政策研究室の鄭新立副主任は、今年上半期に、中国の食糧主産地の農業と農村経済は全面的に成長する態勢を呈し、それは農民の増収と食糧増産に際立って現れており、とくに食糧主産地の農民の一人当たり現金収入の増加幅は1997年以来の最大のものであると語った。

鄭新立副主任はこう分析する。食糧主産地の農民の増収がこれほどすばらしくなったのは、まず中央の一連の農業支援政策のおかげである。食糧生産直接補助、良種補助、農業機械補助と農業税減免という「三補一減(免)」政策は、農業の効益増大と農民の収入増加を効果的に推進した。農業税減免を試行中の黒竜江、吉林の2省では、農業税減免に食糧直接補助を加えると、この2省の食糧栽培農家はヘクタール当たり800元増収し、一人当たり増収額が200元以上に達する。各省・自治区も中央の政策を真剣に実行に移し、それに合わせてかなりの額の補助金を支出した。例えば、内蒙古自治区では、上半期に6盟(市)が7億元近くの農業牧畜業税を残らず免除した。政策的減免と補助だけでも、内蒙古の農民と牧畜民の一人当たり収入は110元増加する。

農民増収のもう一つの重要な要因は、食糧価格の上昇と食糧収量の増加で、農民が農産物を売って得る収入がかなり大幅に増加したことである。農産物を売って得る収入は一人当たり589元で18.9%増加した。鄭新立副主任は、前年同期と比べて、今年上半期の全国食糧価格は平均26.7%上がり、農民の増収を力強く促進した。例えば、江西省の農民は食糧価格上昇で98元の収益を得たが、この額は同期の現金収入増加額の57.7%占めている。山東省の農民が上半期に食糧を売り渡して得た現金収入は前年同期より21.8%増えた。

 問題は依然として存在する

食糧は増産し、農民の収入は増えたが、農民の収入に影響する若干の問題が依然として存在している。一は農業生産手段の価格と農村の生活消費財の価格上昇幅が高めで、農民の生産と生活費用の支出を増加させた。二は少数地区が隠れた方式で、形を変えて農民から各種の費用を徴収し、農民の負担を重くしている。三は食糧主産地の農民が食糧主産地の食糧生産発展に有利な現行政策が長期にわたって続いていけるかどうかと心配している。四は食糧豊作後、食糧の価格が下がるおそれが依然として存在し、食糧主産地の農民の価格要素がまたも少なくなる可能性がある。

これに対し、専門家は次のように指摘した。一はあらゆる手をつくして食糧の価格を安定させ、食糧主産地農民の収入を持続的に増加させる。政府は食糧買付けの最低保護価格の政策を断固として実行し、食糧栽培農民の収益を保護すべきである。食糧主産地の政府は中央の農民負担軽減の諸政策を厳格に実行し、条件を整えて食糧主産地の農業余剰労働力の移転を促進しなければならない。例えば、出稼ぎ農民に対するトレーニングを強化し、彼らの就業能力を高めることがその一例である。