2004 No.42
(1011 -1017)

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中国の私有経済の割合、2年後には明確に

蘭辛珍

中国は12月31日から全国で経済センサスを展開することにしている。「経済センサスの目的は、国民経済のトータルな規模と構造を調査することにある」と国家統計局の林賢郁副局長は語っている。

国務院経済センサス・グループによると、経済センサスの対象は国内で第2、第3次産業に従事しているすべての法人機構、産業部門、私営業者である。経済センサスの主な内容には、機構の経済的性格、規模、財務状況、企業の主な生産経営活動などが含まれる。

今回の経済センサスは建国以来初めてのもの、法人機構500余万、産業部門700余万、私営業者2300余万に及び、推定所要期間は2年。調査結果は一般公開することになる。国務院経済センサス・グループは4月から北京市、吉林省、四川省、浙江省でそれぞれ1県(区)を選んで経済センサスのテストを行っている。

専門家によれば、国有経済部門の生産と経営活動は国の関係部門に記録があるため、今回の経済センサスの重点は私有経済に置かれることになる。私有経済が国民経済に占める割合は2006年に明確になる。

私有経済の規模を明確にする

国家統計局経済センサス・センターのデータによると、2003年における中国の第2、第3次産業の増加額は10兆元近くになり、国内総生産(GDP)の約85%を占めるに至った。ところが、本当の数字はこれより大きいものとなるはずであり、これはその中に含まれる私有経済増加額がそれほど正確でないからである、と指摘している専門家もいる。

林賢郁国家統計局副局長は中国が2003年にGDPの計算と公表の制度を改革することを決定した際、次のように述べている――中国では、政府の管理部門に度外視されてきた私有経済(実像がつかみにくい経済とも言われている)はその数は小さくないが、登録されていないためGDPに現れないわけである。

これについて、中国科学院経済研究所の研究員である張卓元教授は調査を行ったことがあり、その結果は、中国の中小都市と農村地区には、登録されていない私有経済業者の数は登録されている私有経済業者をはるかに上回っており、登録されている私有経済業者と民営企業にも、脱税のため、生産コストを多く申告し、収入を少なめに申告しているものもある。そのため、私有経済についての関係データが正確でないことが明らかになっている。

中国の私有経済の規模はいったいどれほどなのかはいまだに定かではない、と張卓元教授は言う。国は1990年代の10年間に、5つの専門テーマをめぐって経済センサスを6回も行ったことがあるが、遺憾ながら、いずれも私有経済には及んでいなかった。しかし、私有経済の規模をはっきりさせることは、政府が国民経済と社会の発展計画を検討、策定し、経済構造を最適化し、マクロコントロールを改善し、新しい就職のルートを切り開くなどの面で重要な意義を持つ。

国務院経済センサス・オフィスの副主任、スポークスマンの李強氏によると、計画経済の時代においては、国民経済の規模はかなりよく知られていた。しかし、改革開放後の20余年間に、所有制構造、産業構造、組織方式、流通方式など面で大きな変化が見られ、一部の分野の変化は適時に明確にされるに至っていない。このため、経済センサスを通じて国民経済のトータルな発展状況をはっきりさせることはとくに重要となるわけである。

調査の重点の私有経済については、工商管理部門で登録されているものも含まれ、登録されていない新聞売り場や自転車修理業者、個人経営者なども含まれるということである。

調査員は1000余万人に

経済センサスに必要な調査員は約1000万人を上回り、それぞれ3分の1を占める国の統計部門のスタッフ、その他の行政・事業部門のスタッフ、財政経済大学の在学生およびその他の経済関係のものからなる。経済センサスの正確性を確保するため、国は調査員に対しトレーニングを行い、合格者には合格証明書を発給することになる。

経済センサスの真実性を確保

今年4月、北京市は通州区で経済センサスのテストを行い、多くの問題に気がついた。例えば、個人の経営活動や企業の機密を漏らすことを懸念して、調査を拒否したり、ウソの数字を記入したりすることもあった。また、工商管理部門に登録された企業の所在地にその企業がなかったものもある。同区で登録されている法人機構は1万3681、私営業者は2万8200に達するが、9月12日現在、登録された場所に経営場所がみつからないものが1966もあり、登録総数の14.4%を占めている。

これによって、経済センサスの真実性の問題が浮き彫りにされることになった。

国務院は9月11日、「全国経済センサス条例」を公表した。それによると、調査対象は実情通り、時間通りに調査表に記入し、申告を水増しにしたり、隠蔽したり、拒否したり、遅らせたりしてはならない。各クラスの経済センサス機構及び調査員は関連規律を守り、経済センサスの過程で明らかになった国の機密と調査対象の企業機密に対し、守秘義務を履行しなければならない。

また、この条例が公布される前に公表された「国務院の第1回全国経済センサスに関する通達」も次のように述べている――およそ中国国内で第2次、第3次産業に従事するすべての法人機構、産業活動部門、私営業者は、時間通り、実情通りに調査表に記入し、基本データの真実性と正確性を確保しなければならない。いかなる地方、部門、機構、個人も申告を水増しにしたり、隠蔽したり、拒否したり、遅らせたりしてはならず、調査資料を偽造、改ざんしてはならない。

北京市経済センサス・オフィス総合グループの張継斌氏の説明によれば、北京市は経済センサスを行う過程で次の三つのことに力を入れて調査データの正確性を確保することになっている。@調査員を厳格に選ぶこと。A疑いのあるデータは真剣に処理すること。B全面的な調査段階で、調査対象に対してトレーニングを行い、調査表の記入法を教え、総体的にデータの真実性を確保すること。

国務院経済センサス・オフィスの李強副主任は、今回の経済センサスで「段階を越えて集約する」方法をとると語った。つまり、地方政府部門の干渉を避けるため、重要な投資プロジェクトの調査データは地方の調査部門を飛び越えて上の調査部門に報告しなければならず、一部の中核企業についてのデータは直接国家統計局に報告することになっている。

地方や部門の責任者は無断で経済センサスの資料を改ざんしたり、データを捏造したり、経済センサス機構や調査員に強制的に指示するか、または示唆を与えて経済センサスの資料を改ざんしたり、虚偽のデータを捏造したりするなら、法に基づいて行政処分または規律処分を与えたり、公職を解いたり、免職したりすることになる。

調査員が経済センサス資料の改ざん、虚偽のデータの捏造に参与したなら、法に基づいて行政処分を与え、しかも調査員から除名される。

調査対象が経済センサスを拒否したり、経済センサス機構と調査員が法に基づいて調査を行うことを妨げたり、虚偽の資料または不完全な資料を提供したり、時間通りに経済センサスの内容を提供せず、注意されてもなお提供しようとしないなら、統計機構は責任をもって改正するよう指示する。悪質な場合、直接の責任を負う主管者とその他の直接責任者に対し法によって行政処分または規律処分を与える。企業・事業体に上述の不法行為の一つがある場合、5万元以下の罰金が課され、私営業者には以上の不法行為がある場合、1万元以下の罰金が課される。経済センサスにおけるすべての欺瞞行為は通報によって批判される。

付録

経済センサスの段階割

経済センサスは次の5段階に分けて行われる。

第1段階――準備段階 2004年12月末まで。経済センサス案の設計、調査員のトレーニング。

第2段階――申告段階 2005年1月から4月まで。調査員が調査対象である個人、企業・事業体を訪問し、調査表の配布と収集を行い、調査表の質を審査するなど。

第3段階――データ処理と報告の段階 2005年2月から8月まで。地方の各クラスの調査データをまとめて上級経済センサス機構に報告する。

第4段階――データの評価と公表の段階 2005年9月から12月末まで。

第5段階――資料の応用や経済センサス作業の総括、評定、奨励の段階 2005年9月から2006年前半まで。