2004 No.43
(1018 -1024)

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王毅駐日大使、中日関係について語る

王毅駐日本大使は10月18日、日本記者クラブで行われた記者会見に招かれ、中国政府の対日政策や歴史問題、台湾問題などの原則的立場を説明した。王大使の主な発言内容は次のとおり。

中国の指導者と中国政府は一貫して中日関係を非常に重視している。中日関係の健全な発展を実現するために、双方が「一つの基礎を維持し、三つの目標を推進する」ことを望む。「一つの基礎」とは中日共同声明などの3つの政治文書によって形成された政治的基礎のことであり、中でも重要なのは日本が侵略戦争への反省を表明することと「一つの中国」の原則を堅持することである。中日国交回復以来の歴史を振り返ると、双方がこの基礎を維持しさえすれば両国関係は順調に発展するが、そうでない場合には問題が生じる。双方は現在、こうした精神と原則に立ち返り、順守することによって、政治的障害を取り除き、両国関係の健全な発展を実現させる必要がある。
両国関係の健全な発展のために双方が共に努力すべき「三つの目標」を提案する。

(1)歴史を鏡とし、未来に目を向ける姿勢を堅持することで、歴史の経験・教訓を両国関係を前進させる原動力とする。

(2)互恵協力と世々代々にわたる友好関係を堅持し、互恵を通じて友好事業に新たな内容を加える。

(3)平和的発展を堅持し、アジアを共に振興し、両国の新世紀における新たな共通の利益を明確にし、拡大する。

王毅大使は東中国海の資源開発と境界確定の問題について、次のように述べた。

東中国海における中国の天然ガス開発は、論争とは無関係の中国近海で行われており、中国の国家主権の範囲内のことである。しかし、中国はやはり中日関係という大局に基づいて、双方が東中国海問題について協議し、対話を通じて理解を促進し、論争解決の道を探ることを自発的に提案する。中日双方はどちらも200カイリの権利(沿岸から約370キロの沖までを排他的経済水域〈EEZ〉とする権利)を主張しているが、東中国海の幅は400カイリに満たず、双方の主張(するEEZ海域)が重複し、論争になっている。どのように論争を解決するべきか。「国連海洋法条約」の規定によれば、公平の原則に基づいて話し合い、双方が共に受け入れられる方法を求めるべきである。つまり、自己の一方的な主張を相手に押し付けることはできない。公平の原則とは、さまざまな要素を総合的に考慮することで、まず海洋地理的な要素が挙げられる。東中国海の中国側はユーラシア大陸で、長い海岸線があるが、日本側は列島である。地理的条件がつり合わないのに、日本が東中国海の半分を要求するのは「公平の原則」に矛盾する。さらに、中間線とはただ日本が一方的に主張する線にすぎず、双方の話し合いの結果によるものではなく、ましてや、すでに確定した境界でもない。中国側にも自国が主張する線がある。双方が「国連海洋法条約」に従って事を運ぶよう望む。

日本の一部メディアが指摘した「中国の反日教育」について、王毅大使は次のように述べた。

中国では反日教育などというものが行われていない。他国と同様、あるのは愛国主義教育である。もし特に日本に対するものがあるとすれば、毛沢東主席をはじめとする中国の歴代指導者が、対中侵略戦争の責任は日本のごく少数の軍国主義分子にあり、多数の日本人民も被害者であり、中日両国の人民は世々代々にわたり友好的であり続けるべきだと、中国人民に語ってきたことだろう。まさにこうした中日友好の教育があったからこそ、日本の残留孤児が中国の一般人に大切に育てられ、成人し、中日友好の教育があったからこそ、中日両国の国交正常化が実現したのである。

日本が国連安保理常任理事国入りを目指していることについて、王毅大使は次のように語った。

中国は安全保障理事会を含む国連の改革を支持しており、常任理事国として、責任ある国として、中国は特定の国の要求に対し性急に態度を表明するつもりがない。中国は、日本が国連問題を含めて、国際社会で積極的な役割を果たすのを歓迎する。

日本の求める目標についてだが、日本が適切な行動をとることで、アジア諸国からの真の信頼、特に近隣諸国の国民からの信頼を得ることがカギとなるだろう。

靖国神社問題について、王毅大使は次のように語った。

靖国神社問題の本質は、あの時期の歴史に正しく対処できるかどうかにある。重要な点は、靖国神社に14人のA級戦犯が合祀(ごうし)されていることである。彼らは日本の対外侵略戦争の発動者・指揮者であり、日本の一般民衆も当時、彼らによって深刻な被害を受けた。A級戦犯の大多数が対中侵略戦争に関係しており、多くが対中侵略軍の要職にあり、中国人民に対し重大な罪を犯した。これらの人にひざまずき、土下座して礼拝することは、必然的に戦争被害国、特に軍国主義の被害が最も大きかった中国人民の感情を傷つけ、中日関係の政治的基礎を揺るがすことになる。これは中国人民にとっては、当然受け入れがたいことである。

靖国神社問題はすでに日本内政の範囲を超えた、理非曲直や国際正義に関わる厳粛な外交問題である。この問題には、双方が中日共同声明や国際的な共通認識に基づいて対処しなければならない。日本の指導者が根本から態度を改め、両国関係の大局と両国の長期的利益に従い、中国の国民感情を再び傷つけないよう望む。