2004 No.45
(1101 -1107)

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日本の安保理常任理事国入りは可能か

    ――短期間に実現できるものではなく、最大の障害は日本自身にある

丁志涛

国連安保理常任理事国になるのは日本が長年求めてきた目標である。日本はそのために力を尽くしているが、その努力は報いられるだろうか。

日本は世界の第二の経済大国で、国連への拠出金は米国に次いで二位であり、これを国連との駆け引きの資本としている。また国際社会でのイメージをよくして、その支持をとりつけようと、発展途上国への経済援助を増やしたりしている。

アメリカは日本の安保理常任理事国入りを支持しているが、アメリカにとって日本が国際紛争により多く介入することを必要としているからである。パウエル国務長官らは、日本が安保理でその役割を十分に果たすことのできる一員になるには、日本憲法第9条を修正する必要があるとしている。

日本の安保理常任理事国入りの夢はすでに34年になる。早くも1970年、日本の外相が国連に安保理常任理事国入りの希望をを提出した。1994年、当時の河野洋平外相は国連全体会議で、「日本は常任理事国としての責任を果たす用意がある」と正式に表明した。

小泉政府はこの既定の国策を推進するために力を入れ、一方で憲法第9条の修正を急ぎ、他方で海外派兵を通じて、イラクへの多国籍軍参加を表明している。

今年は国連改革の年で、来年は国連創設60周年を迎える。日本はこの機会をつかんで、盛んに外交攻勢をかけている。8月2日、川口外相は、国連強化対策本部を設け、8月25日、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン,キルギスを歴訪し、この4カ国に投資することを表明した。最近、逢沢外務次官はニューヨークで、アフリカ8カ国の国連大使を招宴し、これらの国の支持を得ようとした。9月13日、小泉首相は、首相就任以来最も長い外遊に出かけ、14日、ブラジル、16日、メキシコを訪れ、18日、ニューヨーク入りし、21日、新常任理事国候補国日本、ドイツ、インド、ブラジル4カ国首脳会議に出席した。この4カ国はともに常任理事国入りの意思を表明した。

世界で、日本常任理事国入りに反対の立場を示している国は非常に少なく、支持、理解を示している国が多く、一部の国は沈黙を保っている。

朝鮮中央通信社は10月3日、日本が安保理常任理事国入りを求めていることに質疑を提出し、日本はまだ罪深い侵略の歴史を清算していないので、安保理常任理事国になることを語る資格は全くないとしている。

9月24日、韓国の「朝鮮日報」は社説を発表し、日本が安保理常任理事国になれるかどうかをはかる基準は金銭ではなく、道徳であり、日本が安保理常任理事国になるうえで道徳上の障害が存在している、と強調している。

9月21日に行なわれた中国外交部の記者会見で、孔泉報道官は、「日本が国際問題においてさらなる役割を発揮するのを希望していることをわれわれも理解しているが、われわれは、一つの国が国際問題において責任ある役割を発揮するのを望むならば、自国に関わる歴史問題についてはっきりとした認識を持つ必要があると考える。国連安保理は企業の取締役会ではなく、出資金の多寡で構成を決めるわけにはいかない」と語った。9月27日、中国の李肇星外交部長は、第59回国連総会一般弁論での発言の中で、中国は安保理常任理事国の拡大に賛成しているが、発展途上国の代表性を優先的に高めることを主張すると表明した。

日本の期待は実現するだろうか

この問題について、中国の大多数の学者の見方は大体一致しており、短期的には可能性が小さいとみている。

日本の戦後の行為と影響からすると、日本はアジアの少なくない国から信任を得ていない。日本は歴史問題で、はっきりした反省をせず、小泉首相は毎年、A級戦犯が祀られている靖国神社に参拝している。

また日本は国際的に一貫してアメリカに追随しており、国際政治大国となるだけの重みにはるかに欠けている。

日本人自身が「日本はアメリカに追随するだけで、自己の外交がない」と言っている。日本はこうした政策を変えなければ、世界の大多数の国の真の信任を得ることは難しい。

国連の分担金の多寡で常任理事国の資格を得ようとするのも無理がある。国連の分担金は各国のGDPの比率によって割り当てられているからである。日本は世界の第二の経済大国であり、分担金が国連構成国で順位が二位であるのは合理的ではないとは言えない。

安保理の改革は国連憲章の改正にかかわり、その手続きがきわめて複雑であり、長い時間がかかる。

ドイツ、インド、ブラジルと一緒に常任理事国入りをめざす日本の戦術は簡単に成功するものではない。中国社会科学院日本研究所の研究員金煕徳氏は、「日本とドイツには共通性がなく、ドイツは自主外交をもち、しかも歴史問題をよく解決している。日本とインドが支持しあうのもおかしい。地域原則から言うと、インドは日本の最強の競争相手である」と指摘する。

このほかに、拒否権の問題がある。金煕徳氏は、「アメリカは日本が安保理で拒否権をもつことを望んでいない。それでも日本の安保理常任理事国入りを支持しているその主な原因はアメリカは各国が安保理の改革問題で意見の一致を見るのは不可能であるとみているからである。アメリカのこのような予測は道理がないわけでない」としている。